美しいこと 上

utsukushikoto

美しいこと 上
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神276
  • 萌×226
  • 萌20
  • 中立11
  • しゅみじゃない19

--

レビュー数
54
得点
1555
評価数
352
平均
4.5 / 5
神率
78.4%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
日高ショーコ 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
シリーズ
美しいこと
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784883863365

あらすじ

松岡洋介には週に一度、美しく女装して街に出かけ、男たちの視線を集めて楽しんでいた。ある日、女の姿でナンパされ、散々な目に逢い途方にくれていた松岡を優しく助けてくれた男がいた。同じ会社で働く、不器用、トロイと評判のさえない男、寛末(ひろすえ)だった。女と誤解されたまま、寛末と会ううちに、松岡は「好きだ」と告白される。松岡は、女としてもう会わないと決心するが・・。

表題作美しいこと 上

寛末基文,33歳,会社員(総務)
松岡洋介,28歳,週末女装をする会社員(営業)

レビュー投稿数54

完全に一方通行の片想い

久しぶりに、隅から隅まで一言一句読み返しました。変わらず「神」評価でしたが………あれ?最初に読んだときほど痛くない!笑 木原音瀬さんのタフな作品の数々に鍛えられたおかげでしょうか。

ノンケのサラリーマン2人がお互いに完全に一方通行の片想いを繰り返して、2年という歳月をかけて恋人同士になる物語の前編です。本作には、二人が出会った夏の夜から、紆余曲折を経て最悪な気分で迎える翌年の夏までのお話が収録されています。「両片想い」という不思議で素敵な現象が多発するBL界隈において(それも大好物ですが)、そんなにうまく行く恋ばかりではないことを思い知らされる作品になっています。

私は、松岡は元々ゲイかバイなのかもと思っていて、今回読み返して尚更そう感じました。自覚はないようだけれど。女装もそうですが、葉子として寛末と付き合いだしてからも女装をやめた後も、彼は完全に寛末の「彼女」になりたいと思っているんですよね。こんなに好きなのに、女装の自分にはあんなに優しかったのに、どうして素の自分を好きになってくれないんだよ馬鹿!と、終始そんなノリの松岡は、スマートな見た目とエリートビジネスマンに相応しい自律心とは裏腹にかなり乙女な男です。

そんなわけで、文中では寛末だけがダメ男のように描かれていますが松岡もかなりダメな奴です。どこか変で、自分勝手で、何度も何度も二択で間違うんです。でも、どうあっても寛末が好きという根幹が揺るがないのでとにかく愛おしい。松岡が本当に愛おしくて、クセになる作品です。寛末の言っていることのほうが正論で常識的なのに、いつの間にか松岡に感情移入して寛末の煮え切らない態度に苛々してしまう名作です。

CDも何度もリピートしているほど好きな作品ですが、読み返してみるとCDはけっこう端折られていますね。原作では松岡が告白を決意するまでのステップがもう少しあるので、更にじっくりと片想いの切なさに浸ることができると思います。

27

こころを持っていかれます

BL初心者です。去年からコミックスを読み始め、現在200冊ほど。今年から小説を読み始めました。そして、腐の先輩がたから名作と名高いこちらの作品にあっさりとノックアウトされました。1日で上下巻、小冊子愛しいことを一気に読みました。そして、今もときどき読み返してます。ここでは上巻の感想を。
女装の松岡(受け)に純愛でじりじりせまる寛末(攻め)。だんだんと寛末を好きになってしまう松岡の展開にドキドキハラハラ。どうすんの?これ。男だってバレたらまずいよ。まずいけどバラすしかないし・・・。案の定、男だとわかってからの寛末の変わりように、松岡と一緒に私の心もどん底へ。まあ、普通に考えて当然の反応だと思いますが、それにしてもせつない。読んでてヒリヒリする。読書でこんな気持ちになるのは久しぶりでした。途中何度も堪えられなくなって本を閉じたくなったことか。
まあ、キスして抱きしめて女装がバレないことなんて、あるんかい?と、時々は冷静に思うこともあったけど、このお話を読むにあたっては、そんなことは些細なこと。気にしてられへん!
とにかく早く二人に(特に松岡に)幸せになってほしくて、一気に読むしかありませんでした。途中でやめると、続きが気になって日常生活に支障をきたしかねないから。(笑)
なので、読み始めるときは上下巻とそろえてからがいいと思います。そしてできれば小冊子の 愛しいこと も。こちらはe-bookさんで買えました。本当に松岡が幸せになったか、なんとか安心できるのはこの小冊子を読んでからになりますので。

15

心に響く切なさ、、、

美しいことを読もうと思ったきっかけは日高ショーコ先生の絵でした。でもその後、箱の中シリーズで木原音瀬先生に魅了され、こちらの作品を購入しました。
美しいこと上巻、下巻、愛しいことを読み終えて一週間程経ちましたがまだ熱りが冷めません。今でも松岡と寛末の色んなシーンを思い出しては切なくなって泣きそうになります。こんなに心に響くBL小説は初めて読みました。BLにハマってまだ日が浅い私ですが、この作品はずっと心に残る神以外ありえない名作だと確信しています。
ここには上巻の感想を書きます。
上巻では、主に女装をした松岡、葉子と寛末の蜜月、そしてカムアウト後の二人の関係の崩壊が描かれています。葉子に一途に恋し、不器用に愛そうとする寛末に切なくなります。 この巻では、寛末の人の良さ、優しさがとても健気で切なかったです。その愛情に松岡は耐えられなくなり、女装姿で寛末に会い続けます。猫のように気まぐれな葉子に寛末は振り回されていて、とても可愛らしかったです。
特に心に残っているシーンは、松岡が寛末の家に泊まるところです。キス以外は駄目と言うと本当に何もせず、ただ抱きしめて一晩明かすという寛末の重すぎる愛情に震えました。
しかしカムアウト後は打って変わって辛い展開が続き、なかなかページを進めることができませんでした。松岡の自業自得と言ってしまえばその通りなんですが、ここで寛末のタチの悪さが目立ってきます。
酔っ払った寛末が松岡を無理矢理犯すシーンは本当に辛くて泣いてしまいました。無理なセックスで血を流す松岡が可哀想すぎて、本当に残酷だと思いました。松岡と寛末が結ばれた後、いくら松岡を愛しても許されることの無い罪です。しかも、その血跡を松岡が拭いてしまったせいで寛末はこのことを一生知らずに過ごすのです。一発殴り込みに行きたいです。上巻で挫けそうになりましたが、二人に、いや、松岡にどうしても幸せになって欲しかったので下巻に進みました。皆さんも是非めげずに読みましょう、、、

14

切なすぎて……

木原作品の中でも有名なこの作品、涙なしに読み進めることができないです。
もう兎に角せつないです。
せつなすぎて、受の松岡がいじらしすぎて、

寛末テメェ!! o(゚皿゚#ゴルァ

と思わず思ってしまうような(しまうじゃなくてずっと思ってたんですが)そんな何ともいえない遣りきれないお話になってます。
女装した松岡を本当の女性と信じて結婚まで考える寛末の、真実を知った時の絶望を考えると確かに哀れには思います。
BLなら普通そこで『男だっていい、君だから好きになったんだ』的なスムーズ展開ハッピーエンドに一直線となるんですが、こと寛末に限って言えばそんなのどこ吹く風。
木原節炸裂させて、ひたすら痛い展開の連続でした。

当初は寛末を弄ぶような松岡に何てやな奴……と思っていたものの、自分は女じゃなくて男なんだって明かした後の松岡のアプローチには、せつないを通り越して痛々しい。
寛末の気持ちを考えれば、松岡の方も気持ちの押しつけだよなぁ……と感じる部分も多かったのですが、あまりにも健気なのでついつい松岡を応援したくなってしまいます。

そんな松岡視点の上巻は、とんでもないところで引きになっているので、読もうとお考えの方には上下巻揃えてから挑むことをオススメします。

12

読者は、共犯者。

同棲していた元カノの荷物整理をきっかけに女装をするようになった松岡洋介。
モデルのように変身した自分に過信して、街へ出て男の誘いに乗り酷い目に遭う。
雨が降る夜の繁華街の片隅で、財布も靴もなくうずくまる女装した自分に
誰もが見てみぬ振りをする。
どうしようもない惨めな自分に、傘をさしかけてくれた人がいた・・・。
持ち金と自分の靴を渡して雨の中、靴下のまま帰った男 寛末基文。
寛末基文は、同じ会社の冴えない事務員だった。
借りたお金と靴を返すためだけにあと1度だけと
とびきりめかしこんで松岡洋介は、女装する。
会ってお礼を言ったらもう会わないと決めた。
もう女装はしないと心に決めたのに・・・寛末基文に惹かれていってしまう。

騙すつもりなんかなかった。
何度も、やめようと思った。
騙している自分に自己嫌悪する。
それでも傍にいることが心地よかった。
本当のことを話して嫌われるのが怖かった。
寛末基文を失いたくなかった。

こんなにもふたりは、うまくいっているのに
“男”であることだけが伝えられない・・・

と、いうのが上巻のお話です。

松岡洋介視点で描かれる上巻。
読者は、共犯者。
松岡洋介の嘘を知っているわけです。一緒に騙している。
でも同時に松岡洋介の本当の気持ちも知っている。

どうしようもなくドキドキしてワクワクして
胸がくるしくて最後は泣き叫んで逃げ出したい
でもハッピーエンドをどこかで期待する・・・
そんな松岡洋介と気持ちを共有できる本。

9

迷いが恋に変わる瞬間

おそらく、上巻を読み終えた後と下巻を読み終えた後の
感情の落差が激しいのが、この「美しいこと」だと思います。

ページをめくる度に、どんどん松岡の気持ちが自分の心の中にしみこんできて、
知らず知らずに、自分自身が松岡になっているような錯覚を覚えます。

寛末に本当のことを言わなくてはいけない。
でも今の関係を失いたくない。
寛末という人間をなくしたくない。

自己嫌悪、そして・・・。

この流れが上巻のベースになっています。

寛末が好きすぎて、でも報われないと思っている一方通行の恋だからこそ
傷ついてしまう松岡。

同性の恋のはじまりがわからなくて、
無意識の内に松岡を振り回してしまう寛末。

どちらが悪いとは言えない、中立的な恋愛だからこそ
二人それぞれに感情移入してしまう素晴らしい作品だと思いました。

本の厚さが約1.5cm程で、「通勤通学にはちょっとお荷物かな?」
と、思っていたのですが・・・とんでもございませんでしたw
読めば読むほど先が気になって、
本の重さ厚みなんて気にならなくなりますよ、本当に(笑)

私はこの作品で初めて木原さんを知りましたが、
これほどまでに男性が男性に恋をしてしまった故の苦悩や切なさが
丁寧に描かれた作品を読んだことがありません。

本気で恋をするとはどういうことなのか。

同性と恋愛をすることはいけないことなのか。

異性と恋に落ちるのが普通なんて、
数ある恋愛の道の一つでしかないんだなと思ってしまいました。

最後は、ハッピーエンドですよ!
心から「よかったね!」と思えるはずです。

寛末の迷いが恋に変わる瞬間をみたとき、私は目頭が熱くなりました。

最近よくある身体から始まるような単調な話に辟易としている方にオススメします!

透明感がある、まさに「美しい」恋の話でした。



8

寛末…

出版後すぐに買ったのに読むのがもったいなくて7ヶ月押し入れで無駄に暖めて読みました。
面白かったです。
どなたもの褒め褒めレビュを読ませていただいては、期待たっぷりで、なのにそれ以上に引き込まれてしまうってのは、ほんとうに格が違う作家さんなんだなあと嘆息するほどに。
ただ!松岡のみに感情移入してしまい、せつなくてやりきれなかった。
なんなの!どこがいいのさ寛末の。もうやめときな!もっといくらでもいい人が現れるって!!と、ずーっと最後まで繰り返し叫んでましたよ心の中で。
しかし、現実にもそんなカップルいますよね。
酷いことされてて、そのたびに愚痴って涙して、周りがいくらやめろといっても結局は本人がふっきらない限り終わらない二人。
恋愛って、そんなですよ。
愛する相手からじゃないと、得ることのできない幸せがあり、それをもう一度もらいたいと執着するんかなあ。ほんとに、ただひたすら松岡がかわいそうでした。

7

あまりにも切ない。

2007年の作品なのに、今年度32位って!!!
もう、どれだけ皆様に愛されている作品かってほどがわかります。


女装でストレスを発散していた松岡を、出会いから女性と信じて愛した寛末。
「江藤葉子」という女性として寛末から愛されるうちに、
同性とわかっていながら寛末を愛し始める松岡。

「どんな姿でも江藤葉子なら愛せる」

なんて寛末の言葉を信じたばっかりに~~~~~~!!!!!

松岡・・・松岡・・・・かわいそうに。
あんな自分の事しか考えられない男を好きになっちゃって・・・
鈍感なだけならまだマシ、寛末は鈍感とかそういうレベルの話ではないの。

やさしさと優柔不断は紙一重だからな~~~
そこを冷静に判断できないくらい相手のこと好きになっちゃったら、もうどうしようもないんだよね。
「好き」な気持ちは止められない。

寛末にしてみれば松岡は「自分を騙し続けた酷い奴」なんだから
そうそう許せるわけないと思うし、
まして江藤葉子=松岡だなんて思えないし、思いたくもないだろうことは
読者の視点から見れば至極当然のことだと思うんだけど、
渦中の松岡には江藤葉子として愛されていた時間があるし、
自分を愛し、どこまでもやさしく大切にしてくれた寛末が頭にあるから
時間をかければ男としての自分も受け入れてもらえる、なんて
幻想を抱いちゃったんだろうな。

読み進めながら、
「松岡~~~目覚ましてよ!もうそろそろフェードアウトしなよ!!!」
って、何度も呼びかけたのに・・・・あぁ言わんこっちゃない。

松岡の健気さ、寛末の自分勝手で思いやりの欠片もない態度に
何度嗚咽を漏らしたことか・・・

日高ショーコさんの挿絵がものすごく作品にマッチしていて、
小説なのに漫画を読んでいる感覚で頭の中で人物が動いていました。
BLに偏見のある友人にも「恋愛小説」って薦められるレベルです・・・

です・・・・が、持久力がないと読めない作品。
BLという括りで世に出すのは勿体ない作品だと思いました。

7

癖になる辛さ

上巻だけ買ったことを後悔しました。どうして下巻も一緒に買わなかったのかと。我慢できずに翌朝本屋に走りました。

木原さん特有の幸せからズドンと落とされる辛さ、痛さ、これが癖になるんですよね。
女装癖のあるサラリーマンと、冴えないサラリーマン。
松岡が女装して、その上で寛末に惹かれていく過程や、葉子の正体を知った後の寛末の激変した態度などリアリティがあって、切ないけど一筋縄でいかないところがむしろいい。
寛末と葉子が心を通い合わせていく描写にはきゅんとしましし、その分、想いが行き違ったあとは読み進めるのが辛かった……。
下巻で松岡と寛末が幸せになることを望みながら、もう読む手が止まらなくて上下巻一気に買わなかったことを後悔しました。

6

久しぶりに読み返したので記念にレビュー

上下巻合わせた感想です。
BL小説を読んだことがない方に「おすすめは?」と聞かれたら、この作品を挙げたいなと常日頃から思っています。
いつその時が来てもいいと思っているのに、残念ながら今まで聞かれることなく、Holly NOVELSは絶版となってしまったわけですが……

遡ること約1●年前(〜唐突に回想〜)
小説といえばまだハリー・ポッ〇ーくらいしか読んだことがなかった当時【ピーー】歳の私は、書店で平積みになっている今作の表紙の松岡(受)に一目惚れして、内容もろくに確かめずにお買い上げ。
(…今にして思えば、その時すでに発売から数年経っていたのに平積みしてあったのが凄い。)
木原先生推しの書店員さんがいたのかな。
ぜひ当時にタイムトラベルしてその方と抱擁を交わしつつ「FRAGILE」あたりも平積みにしたい(ゲスい)

木原先生の凄いところって、「え?BLってベーコンレタスのことですか?(ベタ)」くらいの認識だった私でも、すんなり「こんな世界もあるんだ〜」と抵抗なく物語に入り込める巧みな心理描写にあると思っています。
そして文章がとにかく読みやすい。
淀みなく理解しながら物語の世界に浸ることができる。
かと言って、文章にラノベっぽさ(台詞が多いとか、擬音中心の音声表現だとか、表現の幅が狭いとか)もなく……

ハッッ、作品の話が全くできていなかった……
えっと、あらすじとか内容について語るのはもう今更すぎるので、私がこの作品のどこが好きなのかというどうでもいい話をさせて頂くと、結局のところ「ノンケのクズ攻めが、受けを捨てたことをやっぱり後悔してみっともなく受けに縋る!!!!」
これに尽きる!!
このね、この一連の流れを萌えツボをしっかり突きつつ巧みに描写されているところ。
この展開、BL界隈では結構ありふれてる展開だと思うんですけど、なんでその心境に至ったのかが「どうしてそうなった?」みたいな作品が結構多くてですね…
いやいや、ノンケの攻めがそんなあっさりゲイになる??
とか
そんなクズな攻めにどうしてそんなに尽くすのか、受けの心境が理解できん…
みたいな納得のできないところがなかったというか…。
廣末の葛藤と松岡の苦悩が、それはそれはがっつりと描写されているので、廣末が腹を括るに至った過程や、松岡が廣末にこだわる理由もちゃんと納得できるし理解できるというか…。
とどの詰まり、BLの十八番である人間離れした健気受けもいいですが、松岡みたいに人間臭い健気受けもいいよね!!ってことで。

私が死ぬ時、棺に入れてもらう一冊(あ、二冊か)はこれって決めてるので、新装版出してくれませんかね…?

6

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