君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした

kimi ga shinitakatta hi ni boku ha kimi wo kau koto ni shita

君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×21
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

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レビュー数
1
得点
37
評価数
8
平均
4.6 / 5
神率
75%
著者
成東志樹 

作家さんの新作発表
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イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
発売日
価格
ISBN
9784049148619

あらすじ

買ったあいつと、買われた俺は、たぶん同じように飢えていた。

「買わせてくれない? 君の時間を、月20万円で」
 高校2年の冬。枕元には母の骨があった。長く闘病した母が死んで、一度も頼れたことなどなかった父は蒸発した。
 全てを失った少年・坂田は、突然目の前に現れた西川と名乗る男に、奇妙な取引を持ちかけられる。
 母の葬儀代を稼ぎたい一心で応じた坂田に、実は同い年だという西川が提示した条件は、更に不可解なものだった。
 1.毎日、高校にくること
 2.僕と同じ大学に合格して通うこと
 3.今日から友人として振る舞うこと
 金で結ばれた関係はやがて説明のつかない「本物」へと形を変える。愛に飢えた少年たちが紡ぐ、透明な青春譚。

表題作君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした

レビュー投稿数1

余韻が長く続く、精神的に重めな作品

とても良かった。

全てをかけて好きな人を幸せにしようと行動を起こす西川と、愛とは何か、その答えを模索し続ける坂田。あらすじ通りの不思議な始まり方をした二人の、それぞれの事情が全て明かされたときにはすでに……というお話。

BL要素はあるが、二人の結末そのものはBLレーベルだと地雷扱い?のようなあれなので(タイトルで察せるかも)、ダメな人は注意が必要かな。

西川の提案はぶっ飛んでいたものの、その後は淡々とした日常描写。といっても、坂田の生活は一変している。貧乏暮らしでバイト三昧だった日々から、毎日高校に通学することに。

坂田の周りの現実は厳しいけれど、そんなもんだよな、とも思う。問題を起こすなと圧をかける教師や、金の無心で連絡を寄越す父親、家庭内暴力から逃げる友人の兄妹。あと少しで大人になれると自身を鼓舞する高校生の無力さがもどかしい。

西川は坂田とは対極的で、金持ちの家に生まれて穏やかな両親に育てられ、一見何不自由なく生きているように見える。坂田を買うお金も簡単に出してくる。

なぜ坂田だったのか?なぜ買うことにしたのか?という西川の意図はなかなか明かされない。西川からは、どこか遠慮しているような、何かを隠している気配が漂う。それでも必死さは伝わるところもあって切ない。

そして二人の物語は悲しい結末へ。で、心理描写はここからが本番な感じ。愛とはなにか、坂田が西川にもらったものの正体は。そうしたものを一つずつ受け入れて、坂田なりの答えを見つけていく。西川の想いの重さには涙が出た。

たくさんの問題が散りばめられた作品で、どこが刺さるかは読み手の経験によって変わりそう。個人的には豊田の前向きなセリフが心に残っている。
二人の愛が決して一方通行なだけでなかったと思える終わり方も好き。

1

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