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「10年に渡る流浪の連載」そのままの、流浪する物語。
今時のBL作品界隈ではもはや遭遇できない作風。
曖昧で、
ある意味耽美で、
起承転結もなく、始まりもなく終わりもない…ハッピーもバッドも、読者の感想に委ねられている。
ならば個人の感想のみで押し切れば、これは私好み。
アングラとかサブカルが好きな人に合う作品と言える。
逆に言えば、起承転結がはっきりして結末がスッキリするのが好みの人には合わない。
主人公は「あお」という少年。
冒頭の2作が1998〜1999年発表。だからこの2作品がまず存在し、その後あおの過去が遡って綴られるというイメージ。
まだ中学生のあおがフラフラと家出しユイチの家に入り浸る痛々しい物語となる。
ところが、その上更に生き別れていたユイチの双子の弟・フジヲが非常に重要な人物として現れる。
物語はユイチとフジヲの愛憎のような様相も呈して、ユイチが可愛がるあおを犯す事でユイチとコミットしようとするフジヲの姿を描き出す。
が。
その場でも白けているあおの姿。
あおの、何に対しても何の感情も動かない姿。
ラストの描き下ろしは何とも不思議で不穏な一編。これがなければ冒頭の「青砥」「唯一」があおがユイチの部屋から出た後家に帰ったんだな、と素直に思えたのに。
猫を抱き死んだ鳥を埋める男の家に招かれるあおは、このまま一体どうなるんだろう?という不安感を呼び起こさせる。
自分の存在価値を見いだせないフジヲには、彼に想いを寄せる男が現れる。フジヲが自分から心を許せば、フジヲは救われるだろう。
『こわれもの』にも収録されている『あおのこと』のシリーズが1冊に纏められた作品です。
前作に収録されている2つの短編もこちらに収録されているので、『こわれもの』を読んでいなくても理解できます。
1冊丸ごとこのシリーズなのですが、かなりシリアスで重い雰囲気です。
主人公の青砥は感情が掴みにくいキャラで、通常の喜怒哀楽という感覚が全く欠落しているような少年です。
作品が描かれた年代にかなり間があるので、途中で絵柄の変化を感じましたが、綺麗で見やすく、特に青砥は本当にお人形さんのような美しさでした(表情がないので余計にそう感じます)。
主な登場人物は中学生の青砥と青砥の家庭教師の唯一(ユイチ)、唯一の双子の弟の不二夫(フジヲ)なのですが、3人とも育ってきた環境や過去に問題があって、特に不二夫はかなり歪んでいる性格でした。
青砥は時々優しさを見せることがあり可愛いと感じることがあるのですが、ラスト近くでその優しさもなんだったのかなと思う台詞があり、やっぱりこの子は掴めないと思いました。
最後に収録されている作品は描き下ろしなのですが、このお話が加わる事でそれまでのお話とは全く別の結末になるし、シリーズ初期の『あおのこと「唯一」』とも時系列的にどちらが後のお話なのか良く分からず、どちらが後なのかでこの作品の捉え方が違ってくると思いました。
私の中ではモヤモヤする部分が多かったので、どちらかというと萌を感じるというより淡々と読んだ作品でした。
最初から最期まで、不思議~なはなしでした…
よぅわからへん……てのが正直なところです、
けど雰囲気はすきかな~
あおのこと『青砥』『雄一』と『あおのこと#1~#12』は
別のはなしやと思ったらいいんでしょうか?
その辺がようわかりませんでした。
あと、なんで、『あお』がそこまで、人生なげやりっていうか
無関心??感情がない?みたいな、不思議な子になってしまったんかが、
全然わかりませんでした。
最期も落ちがあるわけでもなく…
何回も読んだら、わかってくることがあるかもしれませんね~
実に不思議な雰囲気の作品です。
表紙絵はまるでドール。
遠藤作品の”かわいい”受けというのは、ドールがモデルなのだと、それが動いて人間似擬態しているのだ、人間を演じているのだと思わせます。
この本は初回『あお』が98年、『唯一』が99年、そして間をおいて05年~07年にかけて一気に連載という形態をとられています。
成績も優秀で見目もよく、家も親が過剰なほどの教育ぶりを示すけど、なんだか放任のような家で育った中学生のあお 。
必要もないのに付けられた家庭教師・ユイチにキスをされ、家出をそそのかされ、夏休みにユイチの家に居候する。
そこで繰り返されるユイチとのセックス。
そこへユイチの生き別れの双子の弟フジヲが上がり込み、ユイチとあおのセックスをただ見ている。
ユイチへの執着からあおへ嫉妬し犯すフジヲ。
それでもあおは満足な抵抗さへもなく受け入れる。
ただ、ただ、あお はそこに存在し、自分を考えると頭が疲れると言う。
無感情で無表情なあおだけど、マイペースでいるユイチといることで、自分の感情を解き放っていたのだろうか?
ただ流されながらも、野良猫のように自分の居場所を見つけて漂流し、そしてまたユイチの元へ帰る。
あお という少年は”さまよい”のさなかにいるのだが、その終着は一体どこにあるのだろう?
彼は一体何をみつけようとしているのか?
執着するものを見つけようとしているのだろうか?
その答えは示されることはなく、まるで雲や実態のない霧をつかむようで手ごたえはないのだが、ある種のホラーのような感覚を覚える。
あお はひょっとして心の幽霊なのではないだろうか?