古書店夕海堂〜色褪せないかつての楽園について〜

koshotenyuumidou

古書店夕海堂〜色褪せないかつての楽園について〜
  • 電子単行本
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×22
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

286

レビュー数
3
得点
54
評価数
12
平均
4.5 / 5
神率
66.7%
著者
とらのとら 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
電子発売日
価格
ISBN

あらすじ

おれはあなたに初めて会った時に、見つけたと思ったんです。


物静かで人見知り、本の中でしか恋を知らない小鳥は、ひょんなことから継いだ古書店ではじめての恋に出会って――。

慕っていた店主・松本の入院でバイト先の古書店「夕海堂」を継ぎ三代目になった小鳥。そこに、初代店主の孫である宗一が訪れ、小説の続きを買う口実で頻繁に通うように。季節が深まるにつれ二人の関係がゆっくりと進む中、小鳥は宗一が買っていく本に初代店主と松本の叶わなかった恋の思い出が残っていることに気付く。夕海堂に残る恋愛の記憶と交差するように、小鳥はしだいに宗一への想いを自覚して......。

YANAMi・装画

表題作古書店夕海堂〜色褪せないかつての楽園について〜

28歳、古書店「夕海堂」初代経営者の孫
24歳、古書店「夕海堂」を引き継いだ3代目

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

文章がキレイ。

情景が浮かぶ描写が素晴らしく、古書店にまつわる過去ストーリーも素敵。BLとしては、最初から恋愛対象内だった二人が出会い、するするっとくっつく。人の縁を感じる数々のエピソードがとても良く、BL部分は刺さらなかった。

古書店を舞台に、淡々と進むお話。静かな世界に浸りながら読める感じで、文章から醸し出される空気が心地良い。ただの客でありながら店を継いだ小鳥と、先々代経営者の孫である宗一。この二人の出会いをきっかけに、古書店の過去が明らかになっていく。

開業から十年間、古書店で二人暮らしだった宗一の祖父と先代店主。そんな二人の小さな思い出の欠片を拾い集めていく宗一と小鳥。そうしてゆっくり見えてくるものは、その時代の匂いと切なさで、時を経て今を生きる二人に繋がるのがとても良い。

BLに関しては、宗一は最初から思わせぶりでぐいぐい迫り、小鳥はストレートにときめいている。さらっと恋人になり、何もない日々を過ごしていたのに、いきなり“死ぬまで”“死んだ後も”“永遠に”と激重感情をぶつけてきて驚く。

宗一自身にそこまでに至る経験があるなら分かるが、感化された結果の言葉なら薄っぺらいと言わざるを得ず、一瞬で冷めてしまった。過去の悲恋エピソードが良かっただけに、宗一と小鳥のBLが残念。

心に響く心理描写は恋愛以外のところばかりだったので、別ジャンルの作品があれば読んでみたい。文章がとても好き。

1

No Title

 宗一(28)×小鳥(24)
 年上攻め、年下受け
 
 とらのとら先生の文章は本当にその場の空気が伝わってくる。
 宗一と小鳥の二人がはじめて会う場面も、そこそこの頻度で宗一が訪ねてくる期間も。恋愛感情すら知らない小鳥は当然、宗一のことが好きかも――なんて考えも出てこない。
 なのに小鳥のぎこちないような、心を開き切ってないような、気を遣った会話や態度から見える微かな恋の兆しを感じてすごくじわじわ萌える。
 まだ好きを自覚してないのに、付き合ってないのに、なんでこんなに何でもない世間話のような会話でもキュンとくるんだろう。

 Hシーンで小鳥の放つ「ずっと我慢してたおしっこしてるみたいな気持ちよさ」って表現がエロすぎて、宗一が暴発しないか心配だったw

 風景描写が多く、人物の描写が最小限だからか、小鳥のこの発言に宗一はどう思ったんだろうとか、想像を掻き立てられる。
 性描写も今までの作品と同じく神がかっていて、Hの始まりから終わりまでじっくり読み込めます。
 在り来りな流れや会話じゃないので、読んでいてクドくもないし飽きもしないです。

1

秘められた恋と、始まる恋。二つの恋物語に胸が締め付けられる

とらのとら先生、今年初めて読んだ「結婚したら海のそばに住もうね」が本当に本当に好きで、
先生の既刊も読んでみたいと思い、こちらを手に取りました。

電子で129P。
短いけれど、私の中で間違いなく、大切に大切に読み返したい本の一冊になりました。

都会の喧騒の中にひっそり佇む古書店、どこかタイムトリップしたようなその静謐な雰囲気を、
先生の文章から胸いっぱいに吸い込んで…

特に中盤〜後半にかけては、切なさに胸が締め付けられました。

主人公たち視点では両思いの物語ではあるのだけれど、
その裏に見える、もう一組の男性たちの、叶わなかった恋の記憶。泣きました( ; ; )


以下、簡単なあらすじと共に感想を。


主人公は、古書店を2代目店主・松本から受け継いだ小鳥(ことり・受け)。
ある日そこへ、「松本さんに会いたい」と年上の男性・宗一(そういち・攻め)が訪ねてきたことをきっかけに、二人の交流が始まります。

ある日、宗一が購入していったシリーズ本の2巻に、メモ書きの付いた
野球観戦チケットを発見した小鳥。

その後も続刊から次々と”誰かの思い出の品”が見つかり、やがてそれが
古書店の初代店主(宗一の祖父)と2代目店主・松本との思い出の品なのだと
分かってー

と続きます。

宗一×小鳥の、手探りで少しずつ近づいていく距離感には確かに甘い空気感が
あるのに、なぜか胸がきゅっと痛むような、不思議な感覚に囚われます。

とらのとら先生の文章の特徴なのかな。上手く言葉で言い表せられないのですが、
先生の書かれる文章が本当にすごくすごく好きです。。ああ、語彙力…

健気すぎる二人の恋愛と、その裏で明らかにされていく初代と2代目店主の密やかな恋の記録。

一緒に野球観戦をした時の、紙のチケット。押し花のメモ…

本の中に大切に挟まれ色褪せなかったチケットのように、それぞれ家庭を持ち
子供を持ち、孫が生まれても、互いの気持ちは褪せることなく生き続けていたこと。

それが、当人たちの言葉では全く語られはしないのですが(宗一の祖父は亡くなっています)、
痛いぐらいに伝わってきて、切なくて苦しくてしかたなかった。。

好きな人と一緒にいられて、一緒に生活ができて、歳を重ねられるということ。
そんな幸せって、奇跡のようなものなんだな、、としみじみと感じながら、本を閉じました。

全体を通して切なさ漂うお話なんですが、小鳥と宗一が一緒に野球観戦に
行ったりするシーンなど、野球関連のお話が色々出てくるところがとても楽しくて印象深く、好きだなあ…と思いました。

自分も今年西武ライオンズの試合を生で2回観に行ったけど、2回とも負けたなあ…
なんて思い出したりして。笑
もちろん悔しかったけど、球場で食べた限定アイスや、ユニフォームを身につけて
周りの人と一緒に歌って応援して…という光景が、読みながらぱあっと思い出されて
嬉しくなりました。

何度も読み返してはじっくり味わいたくなる、切なくも素敵な二つの恋のお話、
大好きな一冊になりました。✨

3

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