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koshotenyuumidou
とらのとら先生、今年初めて読んだ「結婚したら海のそばに住もうね」が本当に本当に好きで、
先生の既刊も読んでみたいと思い、こちらを手に取りました。
電子で129P。
短いけれど、私の中で間違いなく、大切に大切に読み返したい本の一冊になりました。
都会の喧騒の中にひっそり佇む古書店、どこかタイムトリップしたようなその静謐な雰囲気を、
先生の文章から胸いっぱいに吸い込んで…
特に中盤〜後半にかけては、切なさに胸が締め付けられました。
主人公たち視点では両思いの物語ではあるのだけれど、
その裏に見える、もう一組の男性たちの、叶わなかった恋の記憶。泣きました( ; ; )
以下、簡単なあらすじと共に感想を。
主人公は、古書店を2代目店主・松本から受け継いだ小鳥(ことり・受け)。
ある日そこへ、「松本さんに会いたい」と年上の男性・宗一(そういち・攻め)が訪ねてきたことをきっかけに、二人の交流が始まります。
ある日、宗一が購入していったシリーズ本の2巻に、メモ書きの付いた
野球観戦チケットを発見した小鳥。
その後も続刊から次々と”誰かの思い出の品”が見つかり、やがてそれが
古書店の初代店主(宗一の祖父)と2代目店主・松本との思い出の品なのだと
分かってー
と続きます。
宗一×小鳥の、手探りで少しずつ近づいていく距離感には確かに甘い空気感が
あるのに、なぜか胸がきゅっと痛むような、不思議な感覚に囚われます。
とらのとら先生の文章の特徴なのかな。上手く言葉で言い表せられないのですが、
先生の書かれる文章が本当にすごくすごく好きです。。ああ、語彙力…
健気すぎる二人の恋愛と、その裏で明らかにされていく初代と2代目店主の密やかな恋の記録。
一緒に野球観戦をした時の、紙のチケット。押し花のメモ…
本の中に大切に挟まれ色褪せなかったチケットのように、それぞれ家庭を持ち
子供を持ち、孫が生まれても、互いの気持ちは褪せることなく生き続けていたこと。
それが、当人たちの言葉では全く語られはしないのですが(宗一の祖父は亡くなっています)、
痛いぐらいに伝わってきて、切なくて苦しくてしかたなかった。。
好きな人と一緒にいられて、一緒に生活ができて、歳を重ねられるということ。
そんな幸せって、奇跡のようなものなんだな、、としみじみと感じながら、本を閉じました。
全体を通して切なさ漂うお話なんですが、小鳥と宗一が一緒に野球観戦に
行ったりするシーンなど、野球関連のお話が色々出てくるところがとても楽しくて印象深く、好きだなあ…と思いました。
自分も今年西武ライオンズの試合を生で2回観に行ったけど、2回とも負けたなあ…
なんて思い出したりして。笑
もちろん悔しかったけど、球場で食べた限定アイスや、ユニフォームを身につけて
周りの人と一緒に歌って応援して…という光景が、読みながらぱあっと思い出されて
嬉しくなりました。
何度も読み返してはじっくり味わいたくなる、切なくも素敵な二つの恋のお話、
大好きな一冊になりました。✨