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buaisou na ore ni chikazukuna
大学生同士。
無愛想で独りを好むタイプの優司と、よく喋る社交的な葛。
優司は葛に何故か懐かれる。
kindle unlimitedで読んだ。
優司視点。陽キャの葛に懐かれて、なんとなく一緒に居ることがしっくりくるようになったところでモブに襲われているところを助けて性処理を手伝ってやる…っていう世話焼きっぷり。
葛が痴漢されてからスマタまでの流れは、優司の強引さというか言葉責めのSっ気が少々気になったものの、表情がよくて楽しく読んだ。
遊園地に行くあたりで不穏の気配がし始め、葛の過去話はちょっと重すぎて飲み込めなかった。
なんていうか、物語全体の雰囲気と、過去に起こった事実の重さの釣り合いがとれていないように感じる。
必要以上に重い過去を葛に背負わせたことで、読者も読んでて躓くし、葛のキャラクター性自体も歪んで見えてしまって残念だった。
以下、葛の過去について少し具体的に。
葛には、双子の姉が居たが、子供の頃に亡くなっている。
父親と二人で出掛けた公園で、父親が目を離した際に居なくなり、数日後「暴行された後の」遺体が見つかる。犯人はすぐに捕まったが、父親は自責の念から、亡くなった姉によく似た葛と居ると辛いと言い、両親は離婚。父親と葛はそれ以来離れ離れ。
…重すぎるのよ。
この過去話の中で、物語に必須な要素って「父親の過失により葛の双子の姉が亡くなった」だと思うので、なにも「暴行の挙げ句殺される」なんて悲惨な設定にしなくたっていいのではと思ってしまう。
しかも、「暴行された後の」とわざわざ付けるということは、単純な殴る蹴るの暴行ではないのだろうなと思う。
作中では「性的暴行」とは一言も言われてないけれど、文脈から考えれば「(性的)暴行された後の」だろう。
そして現在に戻ってエピソードを読み返したとき、仮に葛の姉が性的暴行の末に殺されていたとしたら、モブに痴漢されて勃起する葛の精神状態って一体どうなっているのだろう…?など考えてしまって薄ら寒くなった。
とにかく過去が重すぎるせいで、葛と優司の恋愛を楽しむどころではなくなってしまった。
重い過去を描くなら、ちゃんとページを割いて向き合って欲しいし、そうじゃないならもっと軽くして欲しい。
バランスが悪く残念だった。