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鬼才・綺月陣が描く、血まみれの純愛ドラマ!
kyuketsuki ha vegetarian
めちゃくちゃ好きだ。
学生時代はサブカルクソ女(死語)で、丸尾●広や花●和一等、ディープなエログロナンセンスな世界観が大好きだった。
この作品を読んで、その当時の気持ちを思い出していき、薄暗い展開に緊張と興奮でドキドキしながら楽しめました!
ダークファンタジーや、大人向けの仄暗い童話って何でこんなに惹かれるんだろう……
確かに、好みがハッキリ分かれる作品だと思いますが、私は大好きです!
社会人になり、すっかりエログロナンセンスな世界から離れてしまい耐性も無くなった今。
以前から気になっていましたが、「グロいらしいし、どうしようかな〜」と自分のメンタルが万全な時に読もう…と、お気に入り登録で温存していました。
今回、2巻が発売されると知り思い切って1・2巻同時購入!
いや〜〜〜……買ってよかった〜〜〜〜…!!!!!!!!
心配していたグロさも自分的には許容範囲でした。
が、耐性の無い方には衝撃的だと思います…
ぶっちゃけ、モブレ位はあるだろうな〜と、覚悟していましたが、予想外の暴力表現に圧倒されますね。
でも、大丈夫。
その後の濡れ場が兎に角、甘くて優しくて耽美的なので…!
グロの後にエロ。ナイス構成!!
野菜が好きな変わり者吸血鬼との、不思議で温かな交流にホッコリ癒され、徐々に惹かれ合う2人の優しく耽美な触れ合いにキュンと胸が高鳴りました。
初めはコミカルで優しい語り口で進むものの、次第に雲行きが怪しくなっていき…読みながら「何かおかしい」と、不気味で薄暗く感じる変化にゾクッとします。
主人公トニーは何故、大人になりたくないのか?
何故、極寒の地の雪山で豊かな野菜が育つのか?
この謎が解き明かされる時が、物語の真髄。
醜くて酷いのは吸血鬼か、はたまた人間か?
嫌な部分、薄気味悪い部分、醜い部分、負の感情全てが詰まった残酷な展開は心臓に悪い……
2人を待ち受ける運命にハラハラしながら、とても楽しめる作品でした。
濃厚すぎる〝暗黒童話〟な世界を是非ともお楽しみください。
このご時世には珍しい新しいBL小説レーベルの立ち上げ第一弾の作品という事でこの本を手に取りました。
雪山の上に一人で暮らしている青年トニー。この青年の畑は悪条件、悪天候にも関わらず色鮮やかな美味しい野菜が育つのは何故…?
トニーが大人になる事を頑なに拒む理由は何故…?
という謎を呼ぶ展開で読み進めました。
吸血鬼ものの設定です。ほのぼの話が進みますが、終盤に急流滑りがある展開です。大人と子供の対立構造もあり童話風の物語です。大人の嫌な面を見せられます。
この小説のモチーフである「野菜」と「吸血鬼」という組み合わせがユーモアがあり面白かったです。主人公のトニーがけなげで可愛いらしかったです。
終盤の展開が苦手な人もいるかもしれませんが、当方はBLゲームで救いようのない展開で終わる作品に慣れていたので、少しゆるさを感じました。
もう少し全体にアクが欲しかったかも、です。
BL小説や漫画はどんな事があっても最後はハッピーエンド作品が多いですね…。
昔から何とも言えない気分になるメリバエンドが心に残りやすいです。
BLも色々なエンドがあってもいいかな…と思う今日この頃です。
「ファンタジー」でなく「現実」を求めてしまうのは年のせいでしょうか。
ともあれ最後の締めくくり方は良かったです。
綺月先生の本を読むのは初めてでしたが、「達筆」という言葉が浮かぶほど、小説に描き慣れられているので、素直に引き込まれました。あとがきまでも達筆でした(笑)新しいレーベルの執筆者の一番手を飾るのにふさわしい実力のある作家さんですね。
あとがきで先生がおっしゃっていた黒いBL童話集を読みたいな。是非アモール文庫で…!
先生が大絶賛していたのも納得のイラストが素敵で世界観に没頭する後押しになりました。
紙や装丁も上質でこだわりがあり、アモール文庫に好感を持ちました。
本作の続きもあるようで、もう一つの○や両親の秘密も気になるので楽しみです。
あとがきで他の出版社に吸血鬼物は売れないから断られたという件を読み、商業ものは制約が多い事を実感しました。新しいレーベルでは制約に捉われない自由な題材で新境地を切り拓いて欲しいです。
吸血鬼のヴァンと、両親を亡くして雪に覆われる山小屋で一人野菜を育てて生きているトニーのお話し。孤独に耐えられず、死にたいというヴァン。野菜を食べて、吸血鬼の力を弱めようとしていました。そこに美しい野菜を売るトニーと出会います。
気さくなヴァンは日に日にトニーと仲良くなります。トニーの作るサラダはみんな美味しそうで、食材や鍋を持って訪問してくるヴァンはだんだん元気を取り戻します。一方トニーはあと数十日で迎える誕生日で成人する事を恐れています。
ヴァンが吸血鬼だと分かっても、彼を受け入れて友達となるトニー。「私は誰だ?」「吸血鬼です」と繰り返される会話の中に二人の信頼関係が強くなるのを感じます。雪山での穏やかな生活は癒しの空間です。
しかし、誕生日が近づいてくると、その穏やか生活が一変してしまいます。何が起きたのか?トニーは何故成人したくなかったのか?
是非、作中で確認してほしいです。
一見、親切そうに見える人が、どんな風に変わるのか?そして、読者のこの不快感は自分の中にも持ってるかもしれない。そういう種類のちょっとした悪意。それが、どんどん大きくなって制御できなくなっていく様をみせつけられます。
二人はどうなってしまうのか?
心の寒暖差が激しいストーリー展開ですが、最後まで読むと、ちゃんと、二人には将来が見えてきます。
ハードな場面もありますが、イラストも様々な場面で入れられていて、とても楽しく読めます。興味ある方は是非。
あとがきのイラストにはネタバレがあるので、読んでからみるのをオススメします。
今回はベジタリアンを目指す吸血鬼と
野菜作りに定評のある孤児のお話です。
攻様と出会った受様が狭い世界を飛び立つまでと
彼らの仲間となった動物視点での番外編を収録。
受様の両親は農作物を育てるのが得意で
雪解けを知らない極寒の山でも美味しい野菜を作って
親子3人で暮らしていました。
受様は知らない事は全て2人に教えられて育ちますが
受様が7才の時に熊に襲われ亡くなります。
残された受様は見よう見まねながらも野菜を作り続け
次の誕生日には成年を迎える年になりますが
受様は大人になりたいとは思っていませんでした。
というのも逞しい父に似ず可憐な母に似た小柄な受様は
村の世話役である男に性的接触を強いられていたのです。
未成年との姦淫は村の禁忌なため
今は受様の奉仕だけで済んでいますが
男寡な世話役は成人した受様を組み敷く気満々なのです。
受様は迫る誕生日に怯えていましたが
受様の野菜を食べたいと訪れた美貌の男によって
受様の日々は激変する事となります。
美男子こそ今回の攻様です♪
攻様は長い銀髪と秀麗な容姿をもつ美男子で
村で野菜を売る受様を見かけたと訊ね来たのです。
雪山を登って来たにしては色々と不自然な点がありつつも
攻様は受様の作ったサラダをものすごい勢いで食し
倒れるように寝てしまいますが、
受様は久しぶりの他人の気配に喜びも感じるのです。
翌朝、受様が目覚めた時には攻様の姿は有りませんでしたが
翌日にはサラダの礼だとガチョウの卵を
その翌日には鶏とワインを、次は野兎、次は仔羊と
徐々大きな礼を抱えてやってくるようになるのです。
いったい攻様は何者なの!?
500年生きている攻様とある事情で死を願う受様の
人外ダークファンタジーになります♪
亜紀良先生のイラストとあらすじの雰囲気で
コメディぽいのかなと手にしたのですが
綺月先生らしくけっこう重たいお話でした。
タイトルから読者には攻様の正体は明らかなのですが
攻様がベジタリアンを目指しているのは
"死にたい"からなのです。
徐々に明かされていく攻様の過去や望み、
早くに親を亡くした受様の境遇も可愛そうなもので
共にいるうちに2人は互いの存在に癒されていくのですが
受様を狙っている世話役の男や
受様を心配しつつも搾取を躊躇わない村人によって
受様の命か脅かされる事態になり
攻様の求める未来ばかりか、
受様の未来までハラハラ&ドキドキでしたが
受様が攻様の手を取る未来となって良かったです。
ちょっと謎な部分が残されたのですが
続刊の予定があるそうなので
彼らのその後が読める日を楽しみにしたいと思います。
500年以上生き続ける吸血鬼と村人と離れて山小屋で一人暮らす青年とのお話。
雪に囲まれた静かな山小屋が舞台。終始仄暗いイメージでお話が進みます。
アニメの世界昔話(古い…)のような世界。
途中までは2人の利害が一致した共同生活が暖炉の火のように暖かく幸せそうに続き、読んでいて幸せな気分になりました。
その後村人絡みの事件が起き、残酷な描写があります。
でも本当に怖いのは死でも吸血鬼でもなく、生身の人間の保身や自分勝手な感情でした。
このあたりの人間くさい醜さの描写と絶望感が綺月先生らしく、唸りました。
ここまで痛めつけないと次の展開に説得力が無いのだろう、と納得。
最後は希望に繋がるラストでした。
私は綺月先生しか書けないお話だな、と思います。
もの凄く集中して世界にはまりながら読みました。
おもしろかったです。
これは読む人を選ぶ作品じゃないかな…。
終盤はどえらい展開に陥り、気持ちがシューーン…としました。そのあとハピエンだったとしても、なんかモヤモヤしました。
タイトルが不思議系。
どんな内容なのか簡単なあらすじを読んだとて、詳しくは知らないから読んでみたいと手に取りました。
簡単に言うと吸血鬼ヴァンと野菜を栽培・販売している少年・トニーとの恋物語です。
タイトルにあるベジタリアン。これはどういうことかと言うと、死にたいのに死ねないヴァンが、トニーの作る野菜に惚れ込み、野菜を食わせろってなるのが2人の出会いでして…
ヴァンは、血液じゃなく野菜を摂れば穢れた身体が浄化されて灰となり死ねる。そう思っているからベジタリアンなんです。
実際そうなるわけないし、野菜を貰うために獣の肉をトニーにプレゼント→獣の血を完全に吸血しないとその獣が吸血鬼になる→血を完全に吸わなきゃならない→結果吸血行動は終わらない。
死ぬためにベジタリアンになったのに、結果として吸血行動を増し増しにしちゃうという悪循環で悩むヴァンに同情したトニーは、ヴァンに美味な野菜料理を振る舞うようになり、結果一緒に過ごす時間が増えていきます。
ここまでは良かった。良かったのー!!
トニーは山の頂上付近の特殊な場所に住んでいて、定期的に山を下りて村の人たちと交流を持っています。というか、持たなくちゃならない状況になっています。…その理由も含め、この物語のダークな部分が中盤以降展開されていきます。
結構謎の多い作品で、伏線みたいなものも散りばめられています。細かく触れるとネタバレ地雷踏んでしまいそうなので多くは語らないことにしますが、キーとなるのは村人たちです。
そしてトニーの育てる美味しい野菜の肥料。
作者さんがあとがきで触れていましたが、この物語には続きがあるそうです…なので、今巻で全てがスッキリ謎解決とはなりません。分からない部分もちらほらあります。
ヴァンとトニーのBL部分より、謎というか村人たちのトニーとの関係描写が濃密(胸くそ悪い)で、中盤以降はBLを楽しむどころじゃなかったです。
ひぇぇー…BL小説を読んで初めてこんな残酷なシーン読んだかも知れません。
本当は怖いグリム童話とか…ダーク童話に近い感じがしましたね。昔そういう本をたくさん読んだことがありましたが、今となっては心臓の耐性も失われ……魔女狩りを想起させる残酷なシーンには、うぉっ!ギャーッ!!ヒェェ〜…です。
BLを楽しんでいたのに、まさかスプラッターの返り討ちに遭うとは思わなかったです。苦手な方は気をつけて読んで下さい…。
この作品、ダークシュールなシーンがちょいちょいあります。胸くそ悪くて痛いシーンもあるのに、たまーにクスッとする会話もあるし、感情がしっちゃかめっちゃかです。どういう気持ちで読めば良いのか分かんなくなる、だから評価も難しい。
話としては面白いけど、甘さ控えめで苦味強しだったかなぁ…という印象でした。ラブの部分はもっとゲロ甘にして欲しかったです。ゲロ甘でも浄化できない怖さですけどね。
次巻の購入どうしようか悩むなぁ、これ。
あとがきより。
作者さまの書きたいものを自由に書かせて貰った、と言うのはすごく伝わりました。