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Re:dial
なんとなく電書サイトを見ていて「やっす!」とあまり期待せずに購入しました。
がしかし、ページ数も少ないのにとっても読後感が良いお話でした。
ひとりでいることの寂しさに絡め取られている心に、お互いがぬくもりを与え合えるそんな大切な存在に出会えた奇跡。
ずっと穏やかにこれからの人生を過ごすのだろうなと幸せな気持ちで読み終わりました。
ほかの作品も読んでみようと思います。
10年、消せずにいた忘れられない人の電話番号に、誤って発信をしてしまう。
それは、違う人の番号になっていた。
その人は、偶然かかってきた見知らぬ人の電話で、生き直す切っ掛けを得る。
・・この作品を読んで思いだしたのは、
ウォン・カーウァイ監督の映画『欲望の翼(1990)』で、
そのエンディング曲 アニタ・ムイの「是這樣的(ungle Drums)」
あの映画も、マギーチャンがずっと忘れられない人の電話番号に、雨が降るとかけていた。
二一先生の作品、他のでいいのがあって、それをきっかけにこれも読んでみました。
そんなに長くなさそうなので、さっくり系かなと思っていたら、読み応えすごくてびっくり。
ストーリーは、受け・榛名さんが10年前に失踪してしまった恋人の電話番号に酔って電話したら、誰か男性が出て夢うつつのまま話してしまうところから始まります。
出てくれた人が攻め・秦さんなのですが、電話をきっかけに秦さんは榛名さんがやってる弁当屋に訪ねてくるのです。
元トラックドライバーの秦さんは、欠員が出た榛名さんの弁当屋を手伝うことになり……というお話です。
受け攻めともに(秦さんのほうは定かではないですが)、もう何年も“情愛”に触れていなかったんでしょうね。もっと軽度な人とのふれあいレベルすらなかったのかな。
おかげで秦さんが弁当屋を手伝う二週間、忘れていた人との交流を思い出すがごとく過ごしてるように思います。
こういう、ただただ相手を大事にしながら関わる展開、心に染み入るようですごく好きです。
また途中で明かされますが、秦さんもゲイで、お弁当屋さんに来たのは下心もあったと。
それを隠しながら大事に榛名さんの助けになろうとするの、ホントに大事にしてたんだ!って伝わってきました……。
しかし、恋人がいなくなってしまった経験から榛名さんは最初、その想いに乗ることができなかったんですね。
振られたでも死別でもなく、失踪。
急にいなくなってしまって、昇華もできない想いだけが残されて、榛名さんは動けなくなってしまっていたんじゃないかと。
こちらも胸が痛くなるようでした。
秦さんにはいい攻めになっていただいて、榛名さんの心を解いていってくれることを願います……。
読書時間はそんなに長くなかったのですが、得られた楽しみは大きく、すごく良かったです。
秦さん下心あったんだという認識をいれた状態で再読いきたいと思います笑
kindle unlimitedで読める、
小説だが101ページなので手軽に楽しめる作品です。
秦×寿朗
行方不明になった寿朗の恋人:路也
宅配弁当の店を経営している寿朗は、
10年前に行方不明になった恋人の路也をずっと忘れられない。
ある日、恋人の電話番号にうっかりと電話をかけてしまった。
電話に出てきたのは恋人ではなく海にいると答えた男だった。
それから数日、海にいると答えた男・秦が寿朗を訪ねてきてきた。
秦が寿朗の店を2週間手伝こととなり、
共同生活ともした。
その2週間、寂しい2人は惹かれあって、
恋人となったというお話です。
10年前に行方不明になった恋人の電話番号を消せずにいる寿朗は、
電話番号を消したら路也が自分の中から消してしまうことを恐れている。
付き合って5年目、突然行方不明となったからきっと悔や未練も残りましたでしょう。
10年も1人で生きて、
持ちきれないほど寂しい気持ちを感じているでしょう。
路也の電話番号で繋がってきた電話に
「帰ってきてくれよ……なぁ……みちや…… 俺、すげぇ寂しい……」
心の中に嵐がきたような感情が溢れてきた寿朗に
心を痛めました。
10年間も新しい恋人ができかった寿朗
路也の電話番号で秦と偶然出会い、
秦も同性愛者で、
しかも両思い。
ただの2週間で恋に落ちた。
きっと偶然ではなく、
忘れられないほど大切にしてきた路也から寿朗が幸せになって欲しくて、
くれた奇跡だと思います。
神様が誂えてくれた恋です。
思わず感動してしまいました。
最後、
電話番号は秦のを知っていても、
ずっと上書できなかった携帯に登録されした「路也」を
「秦さん」に上書したのは、
秦を受け入れることできない自分から解放し、
止まったままだった時間から歩き出して、
路也がくれた奇跡を信じることができたからです。
臆病で意地っ張りでずっと孤独だった寿朗が、
やっと秦に癒されて安堵しました。
「 幸せだった思い出を消すことは、とても難しい。
だけど、思い出が消えてしまうかも知れないという恐怖もうない。
秦に混ぜて、路也もまた存在し続けている。
幸せだった記憶も、喪失の辛さも、秦がいる限り消えることはないのだろ。忘れないという確信に、寿朗はやっと安心することができた。」
逝った人のことは、無理に忘れないでいい、
忘れることではなく、乗り越えて、
幸せを掴むことが大事ということでしょう。
神様が誂えてくれた奇跡の恋
男たちが孤独から抜け出す
胸を揺さぶられる作品でした。
携帯電話が結んだ物語。
偶然の出会いが、いつしか本気の恋へと変化していきますが、好きなのに前に進めないもどかしくて焦ったい大人のラブストーリーでした。
昔の恋人のことを忘れられずにいる寿朗が、あるとき間違えて恋人の携帯番号に発信したことから物語が始まっていきます。
繋がった相手は、一人旅をしている秦という男性。気さくな秦に気を許して、ついでがあったら自分の店に寄って下さいと伝えたところ、秦が本当に訪ねてきました。
縁があって、寿朗の店で期間限定で働くことになった秦。手際の良さと、ドライバーセンス、和やかな人当たりに、寿郎も顧客たちも秦とすっかり打ち解けます。
そんな秦に惹かれていくと同時に、秦から好きだと告白されてしまう寿郎。両想いなのに、寿朗は自分の気持ちに素直になれない理由がありました。
それはかつての恋人とのことが理由です。
今はもう会うことが出来ない恋人との別れが、秦との未来を足踏み…足踏みどころか無いものにしようとしている原因です。それは、未だに着信の名前が、恋人の名前のままにいることにも繋がっています。
前に進みたいけど進めない。
そう悩む寿朗のことを、それも含めて受け入れるほどに好きだと伝え続ける秦の懐の広さがすごいなーって感じです。寿郎の方は気持ちがグチャグチャで、秦の気持ちを受け入れることが出来ないのが読んでいてシンドイです。
秦の方が押せ押せで寿朗に熱い気持ちをぶつけてくるので、この熱い想いが冷えた寿朗の気持ちを溶かしてやってくれー!と願いながら2人の恋の行方を見守りました。
寿朗の本音は秦に筒抜けなので、あとは素直になるだけなんです。秦が寿朗への求愛を頑張っていたのは、きっと寿郎の想いが分かっていたからかも知れません。
サラッと読めるので、切ないシーンも重くならずに読むことができました。ただ秦が寿朗を好きになった理由がぼんやりとしていたので、そこは勿体無かったかな。
2人が気持ちを伝え合うのに、携帯電話越しって言うのが素敵だなと思いました。近くにいるのにね(^^)
これからは、着歴の名前が秦の名前でどんどん埋め尽くされることでしょう。これからは悲しい思い出じゃなく、楽しい思い出に上書きしていって欲しいです。