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suishou no kuni unmei no ko ha isekai no ouji ni dekiai sareru
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
異世界ファンタジーBLの王道、たいへん読みやすい。
安心できるストーリーで、ハラハラ、ドキドキは少なめだけど読んだあとは、心が和む作品と思う。
サマミヤアカザ先生の表紙は美しい。
秋の夜長にいつまでも眺めていたい。
表紙だけでも神作品。
前作がとっても面白かったので、新刊も楽しみに待っていました。
待っていましたが、サマミヤさんの美麗表紙…!書影を拝見して、テンション高く発売日を心待ちにしていました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
大学生の玻璃が主人公。
彼は幼い時に両親を事故で亡くして以来、叔母の真珠に育てられてきた。
外国人の血は入っていないはずの玻璃だが、見た目はハーフっぽく、さらに結婚歴のない叔母に育てられてきたということから子どもの時からハブられ、いじめられてきた。そんな過去を持つ彼は、人と慣れあうことを良しとしない青年。
そして彼にはもう一つ不思議な力があった。
「石」の本質を見抜く力を持っていること。
真珠以外には話したことはなく、彼は大学での研究に没頭している。
そんなある日彼は水晶のネックレスを見かける。
デザインはともかく、その水晶自体の美しさに惹かれた玻璃はそのネックレスを買い求め身につけることにするが、研究中の事故に巻き込まれたときに異世界トリップしてしまい―?
というお話。
タイトル、玻璃という名前と彼の持つ能力、そして真珠の仕事(ジュエリーデザイナー)。
というところからも読み取れるように、今作品は「水晶」がテーマになった作品です。
玻璃が、異世界トリップしてしまった地・ルウミ国は、とある危機に瀕していて、その危機から抜け出すために玻璃の持つ力が必要だった。というストーリー展開なのですが。
面白いんですよ?
ストーリー自体はとっても。
ルウミ国の現状とか、封印されてしまった巫女、とか。危機に陥っている理由、とか。面白いんだけれども、うーん。既視感がありすぎる、と言えばいいのか…。
人の持つ負の感情が、ネガティブな思いとか負の感情に作用して、悪影響を及ぼしていく、といった展開なのですが、んんー、こんな内容の少年漫画があったような…、という。
設定としては既視感ありありなのですが、ストーリーとしては王道ではあるんですよね。面白くない、というわけではない。が、何がツボらなかったかというと、登場人物たちです。
ルウミ国の王子であるスヴェン。
彼が、BLではテッパンと言えるスパダリさんです。
イケメンで、優しく、国を深く愛し守るために奮闘する時期国王。
倒れていた玻璃を放っておけず救助に奮闘するところとか、文句なしのスーパーダーリンです。
なんだけれども、彼が玻璃に惹かれた理由が今一つ分からない。
気づいたら恋に堕ちてた、という設定はあるにせよ、彼は初っ端から玻璃に心惹かれているのが分かる展開で、バッサリ言ってしまうとご都合主義的な感じがしました。
そして、玻璃の方も。
幼いころに両親を事故で亡くすという薄幸少年ではありますが、その後は叔母の真珠に愛され、金銭的な不安もなく育てられてきた。過去のいじめがあったにせよ、友人たちを作ることもなく勝手に壁を作って人との関わりを避けてきた。個人的にはあまりにお子さま過ぎて今一つ好きになれず。ルウミ国にトリップしてしまった後も、なんだかツンツンしてて可愛くない…。
そんな玻璃が、自分の意思とは裏腹にルウミ国にトリップしてしまい、そこでスヴェンと出会い、少しずつ人としても成長していく、という成長物語ではあると思うのです。その彼の姿に萌える方がたくさんいらっしゃるというのは理解はできますが、全くもって個人的な感想になりますが、好きになれない受けさんでした。
今作品は人の心の隙に入り込む悪意、というのがベースになっていることもあって、登場人物たちが良い人、というよりは内にいろいろ秘めている人、というのがメインになっていて、キャラに感情移入できなかったのが敗因かと思われます。
とはいえ、BL作品にありがちなキラキラとか、男前な登場人物たち満載!といった感じではないので、そういった意味で独創的な作品ではあります。
あとは、これに尽きる。
サマミヤさんの挿絵が今作も麗しい…!
まるで絵本から抜け出してきたような、絵に描いたような王子様・スヴェンのカッコよさにKOされまくりでした。