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rain refrain
初読み作家さんです。
表題作シリーズと短編が1作品収録されています。
表題作は何度も版元が変更になったそうで、単行本出版になるかどうか分からなかったそうなんですが、なんとか4話完結に出来たそうです。
そう言われれば、途中で絵柄も変わっているし、伏線のお話がありそうなのにそれが描かれていなかったりと、完全な形というよりは少し物足りない感がするのはそのせいかもしれません。
作品が少し前の作品だなというのは絵柄で伝わってきます。
表題作は年の差カップルで、ほのぼのとした雰囲気なのですが、少し唐突な展開があったり、受け様が乙女すぎる感じが少し気になりました。
同時収録作の短編は時代物で、城主と敵方の美しい忍という取り合わせ。
攻め様の表情がほとんど変わらないので、感情を読み取るには短い作品だと思うのですが、シリアスな中にもクスッと笑ってしまうようなシーンもあり、もうちょっとこのカプのお話も読みたかったなと思いました。
この宮越和草さんのカラーイラストが好き!無彩色の使い方が堪らなくツボ!なんだろう、配色のバランスが良いのかな?グレイッシュ系の色味が凄く好きです。
モノクロでも、ツヤベタやスパッタリングが丁寧で画面に華がある。受の少年が…おめめぱっちりで可愛過ぎるのが気になるけどロリロリって程でもないので「可愛い絵柄」として読めます。
お話は、親子仲は良いのだが父親の再婚で家に居辛くなり、大学生になるのを機に母方の叔父の家に居候する事を決めた主人公の新生活話です。
家族以外の人…と言っても身内なんだけど、暫く交流の無かった叔父と暮らす事に緊張する主人公。
そんな主人公の緊張を解いたのが、お向かいにある佐久間歯科の佐久間隆文。彼は主人公・透也の叔父と親友だった。それどころかちょくちょく叔父宅に転がり込んでは食事を御馳走になっていた。
叔父と2人きりの生活に緊張し、2人で食事ってのも落ち着かないなと思っていたトコに、佐久間が現れた。
「2人より3人の方がもっとにぎやかで良いじゃない」
寝ぼけていたとはいえ、初対面で抱きつかれたりさり気無いボディタッチがあったりしてドキドキしたけど、透也は佐久間の人柄に温かみを感じる。
大学生と歯科医の年の差の恋なんだけど、主人公を取り巻く環境や叔父の温かさと、叔父と歯科医の関係…。ありがちな話なのに細部がしっかりと組まれていたので、設定に引っかかりを感じずに読む事が出来ました。
ほのぼの~。主人公の幸せを願いたくなる1冊でした。
心にぽっかりと空白が出来てしまった時、
その部分を補填する為に出来てしまう関係も
ありなのだろう。
二十歳と二十八歳、大学生と歯科医の恋愛は、
これから静かに花開くのだろうと思う。穏やかな
日々の中で。