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この本の表題『SILLY ACTION』はこの作家さんの初のやおい作品だそうです。
初出が94年・・・時代かな?
でもある意味、これが初やおいだったとしたら、異色というか、自分的にはないんじゃない?みたいな・・・コメディタッチに仕上げているものの、正直笑えないんですよー(涙)
安里はヤンチャ高校生なんで、仲間といつもオイチョカブしては負けて万単位で借金を作るのです。
まず、そこ! 何か花札っていうのが嫌だ。
で、安易に金を稼ごうと夕刊紙の3行広告で割のいいバイトを見つけていくと案の定、ホモビデオ。
結局怒ってやらなかったんですが、そこに来ていたカメラマンの竜も貧乏カメラマンで、仕事が無くなってピーピー。
こんな万年金欠の二人は、意を決して結局ホモビに出てしまう。
それから関係が始まるのですが、高校生なのに、次から次への負けが込んで借金を作るこの神経がやはり理解できない。
安里と竜のセックス写真を撮って、それを売って金を稼ぐのですが、それも安里の賭け金に消えていく・・・二人して、どうしようもない負のスパイラル状態ですよね。
それを、面白おかしく片付けようとしてるんだけど、どうしても暗さが見えてしまってすごく違和感なんです。
竜の部屋が汚くて、シーツも汚れたままでカピカピっていうのも、生理的に受け付けませんでした!
行為したら、洗えよ!!
次の『ルカの祈祷』は近親相姦・実の親子モノ。
父母が上手くいってなくて、早くに母は家をでてしまい、父と禁忌の関係を続ける少年。
出て行った母親の少女の姿を求めて息子を抱いていたという代替えの愛情でしかなかったという設定は、それなりに納得していいのですが、
そこに出てくる、父親の仕事の手伝いに来る学生。
唐突に、彼に息子を預けるから、もう息子を解放するから、という父親なんですが、そこまで息子と学生に愛があるとは思えない・・・
『タナトスの恋人』
これは良く見る、しもがや&みらい作品に近い作品で、まだ大丈夫でした。
いつも傷だらけで包帯まみれの青年は噂ではMだという。
そんな彼に興味を持った少年が近づいて関係を持つが、何か虚しい。
その実態は、天井にささったナイフが知っている・・・
みたいな、観念的な具体的なわかりやすいものがない展開です。
初コミックではないけれど、初作品というかなり初期の作品をみることができて、作者さんの変遷や、この頃からの根本に持っている傾向というのがよくわかり、作家さんの歴史を知ると言う部分ではとても興味深い本でした。
ただ、内容は、ほの暗さはすきだけど・・・ちょっといただけない部分が多すぎたかな?
あんまり好きじゃない作品だけど手放せない、多分気になる本ではあると思うので、評価は中立なんです。
ああ、このお二方結構商業デビューが遅かったんだっけ、
と再読して確認しました。
実はこのお二方、同人活動暦は長かったりするのです。
評者はこのお二方が聖闘士☆星矢でほのぼの夫婦漫画を
描いていらっしゃったのを記憶して居ますから。
それ以外にも意外なお仕事としてNHK教育で往時放送された
「まんがで読む古典」の『徒然草』コミカライズを担当して
いらっしゃったりもしました。
この本全体のトーンが微妙なのは恐らくそれまで持ち合わせて
居なかったであろう商業作家としての引き出し・作品の幅を
求められたからでもあるのかな、と愚考します。
ただ、同時収録作の『ルカの祈祷』は後のジュネコミックスピアス
シリーズ収録の諸作品に通じる何かがございますね。ここから
何かが掴めたのかも知れません。