電子単行本特典付き
neontown
『東京』をテーマにされたという3組の短編でした。なんというか、東京というよりも『TOKYO』と呼びたい雰囲気です。大都市の中で生きる人たちは一人一人の物語があるわけで、誰一人つまらなくて歪な人などいないと思うのです。その一片を覗き見させてもらってるような雰囲気の漫画でした。
どの話も面白かったですが、セリフまわし含めて好きなのがタクシー運転手と社畜社会人の話。
どれだけ辛い環境でも、なんの為に仕事をしているのか自暴自棄になっても、TOKYOのネオンがすれた心に染み渡る、、、。ダンディなタクシー運転手によって絆されていく過程が素敵でした。
綺麗なものを綺麗と思えるってほんと大事。ぐっとくるセリフでした。
東京を裏テーマに、3組のストーリーを綴るオムニバス作品です。
「東京の西の果て」
ノンケの彼氏に「お前じゃ親に顔見せできない」と言われて別れた圭一。
次の休み、一緒に奥多摩に行こうって約束してたのに。装備とか色々買ってたのに。
だから当日、初めてなのに一人で山登り。
熊出没の看板に怖気付くも、慣れた様子の男性が前にいたのでその人を目安に歩き続け…
それがきっかけで休日山登りに行くようになった圭一。
ある日、居酒屋で偶然あの時の男性と隣り合わせになり…
こういう出会いはいいし、この男性もいい感じなんだけど。
この男性。急に圭一に「もしかしてゲイ?」なんて聞いてきて、そのまま持ち帰るって…思ってたのと違う〜。
まあ、ノンケに傷つけられたから次はこういう人で逆にいいのかな?とも思ったり。
「差し出す傘の行方」
少年時代から自分の性向を「いびつ」と感じていた出版社勤務の灰原。
社内で偶然見た作家の丸川がオープンリーゲイと知って著作を読み漁り、ゲイであることはいびつでもなんでもないと勇気を得る。
丸川が文芸賞を獲り、そのパーティーで思わず声をかけるが、逆に丸川から誘われて…
結局そこから2人は始まり、丸川からすれば思いがけずに同居まで行くというお話。
丸川は作家らしく、灰原との時間で変わったこと/変わった自分を見つめている。そしてそれを創作に活かそうとしている。
ところで、この2人リバかなぁ…?
初回は丸川x灰原だけど、その後灰原x丸川になってるような。
「NEONTOWN」
自分が夢見ていた映像に関わる仕事。それに就いているのに、限られた時間と膨大な作業に追われる恵太。
今日も終電を逃しいつものタクシーに乗り込む。
疲れ切った恵太に壮年ドライバーが今日は別の道を通りますね、と。
今まで気づかなかった夜景、海のように広がるネオンの煌めき…
その夜、恵太は変わった。
3ヶ月後、昼間に予約を受けたドライバーさん。
予約したのは、打って変わって明るくなった恵太だった…
この一編は恋愛ものではない…ですね。でも、誰かの一言、誰かの優しさ、そこに救われる事がある事を教えてくれる。
これから恵太とドライバーの上田さんの交流が続くのかどうかはわからないけれど、ほんのり優しくなれるお話。