獣人殿下にお嫁入り 愛され王子の憂鬱な新婚生活

jujin denka ni oyomeiri aisare ouji no yuuutsu na shinkonseikatsu

獣人殿下にお嫁入り 愛され王子の憂鬱な新婚生活
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×23
  • 萌7
  • 中立3
  • しゅみじゃない11

--

レビュー数
8
得点
66
評価数
30
平均
2.7 / 5
神率
20%
著者
清白妙 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
発売日
電子発売日
価格
¥1,400(税抜)  
ISBN
9784344848887

あらすじ

獣人や亜人、様々な種族が暮らす世界、純血の種族は稀有な存在だった。長らく鎖国をしていたロンデスバッハ国はその唯一とも言われる純潔の人族の国。ロンデスバッハは二年に開国したが、数多の国の中で生き残るため、国王の命令で政略結婚が盛んに行われていた。 そしてついに元軍人で王子のジークフリートも、男でありながら北の大国グレハロクワトラス・シエカフスキーの虎獣人皇太子・セルゲイの元へ嫁ぐことになった。 男同士政略結婚とはいえ、国のため良好な夫婦関係を築こうと思い嫁いだジークフリートだったが、結婚相手である皇太子・セイゲルの気持ちが読めずーー? ムーンライトノベルズの大人気作「3.5秒のアムール」が待望の書籍化! 政略結婚から始まる、獣人皇太子殿下との新婚生活ファンタジー!!

表題作獣人殿下にお嫁入り 愛され王子の憂鬱な新婚生活

28歳,グレハロクワトラス・シエカフスキー帝国のアムール獣人皇太子
25歳,ロンデスバッハ王国の第六王子で元軍人

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数8

引っ張ったねーーー!

アムール族の男は本当にどうしようもないな!というかセルゲイ、お前だ!!

とーーーっても分厚い本で表紙は笠井さんのイラスト。わー、シリアスかな?最後まで読めるかな?と心配でした。
が、あれ?なんか軽い口調なセリフや読みやすい文章。スラスラ読めました。しかし長かった。

とにかくセルゲイ、いい加減にしろーーーっ!ジークの一年間を思うと正直ラストに感動できません。
エルマーとジークの二人の仲の良さや忠信のほうがよっぽど良かったです。

今は言えない、待ってくれ、信じてくれって…。しかもその理由が一冊ほぼお預けでジークを苦しめるほどの内容か?で。

しかも初夜を一年待つ理由も。怪しい薬の使い方も。ジークの人権!なんだと思ってるの?
というか全てちゃんと伝えてればジークがここまで苦しまなくて済んだのに。ミラナへの嫉妬でセルゲイの言うことを信じられなかったのもあるけどさ…。

エルマーの成長だけが喜ばしかったです。
ジークとセルゲイのあれだけこだわっていた世継ぎの子育てや子供への関わり方や想いもなんだかなでした。

0

嫌いアンソロ参加作品 コメディです

なろうで、ずっと読んでいた作品の商業化。 幻冬舎コミックス 書き下ろしSS付き。 
酷評が目立つので、応援したくなってしまう。
これは「嫌われる」がテーマの小説なの。コメディタッチの面白い内容だと思うけどなー。

私は電子版を購入。
当然だけど比較すると 商業本のほうが配列が綺麗、洗練されて読みやすくなってました。

感激したのは笠井先生の挿絵。
笠井先生、ありがとう。私の脳内妄想より、はるかに美麗な姿に描かれていて、感激。

★ジークは、自分をガチムチと理解しているけど、実際は獣人と比較したら華奢。
特に顔は美麗と設定されていないけど、笠井先生のジークは可愛い美男。

★セルゲイは、取り越し苦労を暴走させる、赤毛の巨漢虎獣人。
運命の番のジークに一目ぼれして痺れた瞬間から、ずっとずーっと暴走。
原題の3.5秒の意味は、発情期の状態のこと。
ジークの夫・セルゲイは不死身の持久力を持つ先祖帰り。3.5秒で早漏してはすぐ復活。
 
★前半は、ストレスたまる展開。
何をやっても裏目に出るセルゲイ。セルゲイに不満を叫び続けるジーク。
でも、それでいいのです。なぜなら、それがお題だから。 
→「嫌いアンソロ」参加作品。
【基本設定】主人公が嫌いになる、もしくは嫌われる話
【共通テーマ】私(僕)が頑張って隠してることを教えてあげようか
【必須ワード】「証」

難を言うなら、長編のダレ解消。
著者とナロウファンのフェチを満たすサービスで長編になっているけど、
別編に出すことにして、思い切って分割して、この作品は短くし立て直しをしたら良かったかも。

---
番外編の投稿あり
「面妖な……」と称される例の薬の開発秘話を綴った外伝 が更新中です。
「あやしい薬の作り方」 https://novel18.syosetu.com/n6599fo/

2

思い込みが激しすぎる

今回は帝国の皇太子の虎獣人と
王国の第六王子の純人のお話です。 

政略結婚で嫁いだ受様が
名実ともに攻様の大切な相手となるまで。

この世界には人間だけでなく獣人や亜人等
様々な種族が国を作って暮らしていますが
今やただ一つの王国を除いて
王族ですら純血の種族は存在しません。

その唯一の国が受様の生国・ロンデスバッハ王国です。
ロンデスバッハは大陸から少し離れた島国で
鎖国により純粋な人族だけが暮らしいました。

しかしながら2年前、
周辺諸国の勧めで開国にふみきってみると
文化も発展も遅れた時代遅れの小国となっていたのです。

王は遅れを取り戻すべく幾多の改革を行うとともに
他国の技術や知識を容易に手に入れるために
自らの王子と王女を売り出したのです。

受様は母が平民出身で後ろ盾もない第6王子で
王位継承権も放棄して軍属していましたが
最後の未婚者となって王から政略結婚を
言い渡されるのですが

相手は北の帝国の皇太子だったのです!!
この皇太子が今回の攻様です♪

かの帝国は虎人族の治める国ですが
繁殖能力が低すぎて男でも妊娠できる薬まであり
子沢山の王にあやかりたいとの申込みだったのです。

受様は動揺しつつも受け入れるしかなく
半年後には気心の知れた侍従と帝国へと向かいます。

果たして北の帝国で受様を待ち受ける未来とは!?

WEB小説サイト「ムーンライトノベルズ」にて
連載されたWeb小説を加筆修正しての書籍化で、
政略結婚で虎獣人の攻様に嫁いだ純人の受様の
すれ違いラブコメディになります♪

長く続いた鎖国によって
他国よりず多分に遅れてしまった国の発展のため
王の子供達は見知らぬ国に嫁いでいきます。

しかも結婚相手は
自分達とは見た目も違う獣人や亜人で不安なのに
受様の相手は虎人の皇太子という同性であり
攻様の子を産む事を期待されての輿入れなのです。

もふもふファンタジーは大好きですし
男性同士でも妊娠させる秘薬、
政略結婚というパワーワードにも
ワクワクして手にした1冊になります。

受様は多大な決意の上で帝国に向かいますが
帝国では皇太子妃の座を巡る内紛まで起こっていて
受様は道中で襲われると言う最悪の事態を迎えます。

絶体絶命の受様を助けに現れたのは
なんと攻様本人で受様は攻様に好印象を抱くのですが

攻様は婚姻式を挙げて受様が妻となっても
大事な初夜をスルーしたばかりか
全く閨を共にしようとしないのです!!

物語はそれぞれの視点で進むので
読者には攻様が受様に惚れている事は判っていますが
攻様は受様にその事情を一切告げないので
受様のぐるぐるは深まるばかりです。

そんな攻様と受様のすれ違いに
受様の存在をよく思わない貴族達の横やりが入り
なかなか2人の仲は進展しません。

2人のすれ違いは多分に
攻様の半身に対する理想と妄想と思込みが原因なので
そのあたりにムムムッ!? ってなると
非常に引っかかってしまう展開でしたが

私は結果がよければグルグルは大好物なので
受様の誤解が解けて攻様と結ばれるまで
どうなったら好転するのかとワクワク&ハラハラ
楽しく読ませて頂きました (^O^)/

WEB小説だからかもですが
詳細に書き込んでいるシーンがあるかと思えば
あっさり飛ばれてしまう場面もあって
物語の濃淡が作者の好みに寄ってる感じがしました。

コミコミ通販したので小冊子も読んだのですが
この小冊子分まで納めらていたら
しっかり「完」って感じられたと思います。

2

ちょっと想像と違いました

笠井あゆみ先生の素敵なイラストと、獣人殿下と政略結婚という単語に惹かれて購入しました。

どんな切ない展開が待ってるのかと期待して読んだんです。どんなに読み進めても切なさは訪れずに、こちらの作品はコミカルなのだと知りました。何の知識も無かったのでこちらの作品を誤解してたようです。

でもコミカルな作品はそれはそれで好きなのです。
しかし、攻めのセルゲイと受けのジークフリートの壮大な思い違い、すれ違いのままに終盤まで進んで行くのに読んでてちょっと疲れてしまいました。

冒頭のジークフリートの母親の言動に昭和の香りを感じてしまった辺りから嫌な予感はしてたんですよね。(^^;)

それとセルゲイが話を聞かない独善的な性格だというのは気にならなかったんですが、冷たい態度のジークフリートに対して情け無い声を出すセルゲイに萎えてしまいました。

全般に渡ってそんな様子だったので、獣人殿下に求める格好良さは何処にって思ってしまいました。獣人BLを読むにあたって期待するのはそこだと思うんです。


それから途中にある誤字も気になりました。これだけ長い作品になるとしょうがないと思いますが、せっかく紙本になるのだから担当者さまにはもっと頑張って欲しいと思いました。


3

テンポが合わない作品でした

他の方が書かれているように面白さのある作品、、なんだとは思いますが、私には読み進めることができませんでした。
攻のキャラクターが受け付けない感じといいますか、とにかく読んでてしんどいと思ってしまったので半分ほどで離脱しました。

7

人の話を聞こう

笠井先生ホイホイで購入。前半楽しく笑えましたが、ちょっと長いなあと感じてしまったので萌にしました。本編420Pほど+あとがき。信じられないくらい人の話を聞かない皇太子殿下でもOK!な方限定だなと思います。

長らく続けた鎖国を2年前に解いたロンデスバッハ王国。色々立ち遅れていたものを取り返すべく、沢山いた王子王女をつかって政略結婚を行い、国を盛り返しています。身分の低い母から生まれた堅物のジークフリートもとうとう政略結婚を父から命じられたのですが、相手は獣人、しかも皇太子(♂)で・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
エルマー(受けの従者)、ヴァルラム(攻めの護衛)、ミラナ(攻めの皇太子妃候補と噂される♀)、攻めの両親、受け母ぐらいかな。エルマーが面白かったです。

++攻め受けについて

攻めが、今まで読んできた本の中で、もっとも「あほちゃうか」と思う皇太子でした。なんて独りよがりなことを考えることか!自分の発情期が1年に1回しかこなくて、それがついこの間終わったばかりだからと、受けとの初夜を「じゃ、つぎの発情期のときにしよ♡」と勝手に決めやがる!そしてそれを受けに一言も言わない!圧倒的に会話がたりない!!!!!!!!!!

祖国で禁止されていた同性婚でも「頑張る!」とお勉強してきたのに、訳も分からずほったらかしにされる受け。そりゃあブチ切れていいですよ!ほんと!あっちこっちから「ミラナが皇太子妃だよ」等と吹き込まれるわ、攻めはなんも話してくれないわ、そしてその状態がひたすら続く。読んでいるこっちはイライライライラ。

2人のすれ違う様は面白いんですよ、笑います。なんだけど圧倒的に腹たつページが長くて、ほんとに「一発攻めを殴らせろ!」と言いたいお話でした。めっちゃ強い攻めなので、まあパンチが届く訳はないのですが。

4

攻めの頭がお花畑

小説投稿サイト掲載作品の書籍化で、政略結婚から始まった新婚夫婦のドタバタスレ違い劇場って感じのお話になります。

で、こちら、めちゃくちゃ好みのあらすじだったので購入したんですよね。
実際、ストーリーとしてはとても面白いし好きなんですよ。
えーと、混血が進み様々な獣人が存在する世界。
そこで純粋な人族である小国の王子が、虎獣人の国である大国に嫁ぐ事となる。
男の身でありながら嫁ぐ事に戸惑いを覚えるも、国の為に自身の役割を立派に果たそうと、前向きに決意する王子。
しかし大国で待っていたのは、離宮に閉じ込められ閨さえ一度も無い毎日で・・と言った感じになるんですけど。

こちら、最初にドタバタスレ違い劇と書いたんですけど、二人の誤解によるズレがコミカルに綴られてまして。
離宮に閉じ込められて閨さえ無くてと言うと悲惨な状況に思えますが、実は攻めであるセルゲイがジークフリード(受け)を溺愛してるのが丸分かりなので甘々なんですよね。
こう態度や言葉の端々から、ジークへの愛情が駄々漏れ状態と言いますか。
また、主人公であるジークはジークで、なかなか面白いキャラと言いますか。
すごく前向きだし、やや筋肉バカと言うんですかね。
悩み事がある時は身体を動かすに限る!と筋トレに励みだしたりしてと、全体的に明るくコミカルな雰囲気で進むんですよ。
この二人なんかスレ違ってるけど、互いに好き同士だよなぁみたいな。
ジークは自分が嫌われてると思い込んでるし、セルゲイは明らかに愛情が空回ってよなぁみたいな。
個人的に、こう言うドタバタスレ違いものって大好きな為、いつもなら高評価を付けると思います。

ただこちら、これはもう個人の好みの問題なんですけど、攻めが好きになれない。

何だろうな。
セルゲイがジークを溺愛していて、大切にしよう守ろうとしてるのは間違い無いんですよ。
ただその方法が、めちゃくちゃ独り善がり。
事情を話すでもない、気持ちを伝えるでもない、その状態で「安全の為に」離宮に閉じ込める。

そもそも、セルゲイがジークをこれほど愛する理由ですが、彼が自分の半身だからなんですよね。
半身と言うのは、獣人での運命の相手の事らしいんですけど。

まぁそんなワケでセルゲイですが、ジークを一目見た時からメロメロ。
こんなに可憐で美しくて儚げな人なんだから、とある事実を知ればショックを受けて死んでしまうかも知れない!
だから、秘密にしたまま安全な場所(離宮)に居てもらおう!みたいな。

ただこの事実な、そこまで必死に隠す必要ない気がするんですよね。
むしろ、秘密にしたまま公務から遠ざけ、離宮で飼い殺しって、そっちの方がよっぽど傷付くよな?と。
この思い込みの激しさにもイライラする。

そもそも、セルゲイが自身の半身ってだけで好きになってる事こそ問題だと思うんですよ。
だから自分の勝手なイメージでジークを判断し、独り善がりな方法に出ちゃう。
これね、本当のジークとちゃんと向き合ってれば、彼がそんな弱い男じゃ無い事はすぐに分かると思うんですよね。
要はセルゲイが愛してるのは彼の中の勝手なイメージの「半身」で、ジーク自身では無く見えちゃう。
溺愛攻め大好きなのに、ジークが半身じゃ無かったら好きになってないんだろうなぁと思うと、スーッと冷めちゃって。

またさぁ、閨を全然しない理由と言うのが、これぞ独り善がりも極まれりって感じでウンザリしちゃって。
なんと、初夜を最高のものにしたいからですよ。
その為、発情期を待ってたからですよ。
え? こいつ、ただのバカなの?と。

これ、ロマンチストと言えば聞こえはいいけど、要はしょうもない勘違い男ですよね。
あのね、閨が一年も無ければ、小国から政略で嫁いできた嫁は不安になるよ・・・。
てか、それならそれでちゃんと理由を話せばいいのに。
でも彼はやたら自分の考えに固執してて、ジークの意見は聞こうともしないんですよね。
あっ、半身だから話さなくても分かりあえると思いこんでるから聞かないのか。
「半身なのだから、ちゃんと分かってくれる」とか言ってるもんね。
おいおい、半身ってのはずいぶん都合がいいな!と。
自分の独り善がりな考えで勝手に決めて勝手に行動する上に、ジークなら分かってくれる!と相手にだけ理解を求めるのに、もう呆れて言葉が出ないと言うか。

こちら、攻めと受けの両視点で語られるんですよ。
だから、互いのスレ違いっぷりと言うのが良く分かるんですよね。
ただ、攻め視点になると、もう読んでてイライラしてイライラしてたまらなくて。
こう、恋愛って二人で行うもののはずなのに、セルゲイは完全に彼の一人劇場でしかないから。
え? ジークの意思は?と。
てか、お前の中のジークは完全に想像上の生き物で、現実には存在しとらんよと。
だからいつもは大好きな溺愛描写があるたびに、逆にどんどん冷めちゃう。

う~ん。
本来このタイプのスレ違いものってとても好みハズなんですけど、この二人に限っては、自分の独り善がりな考えだったり、感情だったりを優先させてのスレ違いに見えちゃって、全然萌えないと言うか。
とりあえず、セルゲイは溺愛攻めとしては超ポンコツ。
いや、彼が初エッチ時に男でも妊娠出来る薬とやらを、なんと原液のままジークに飲ませた事で(本来は15倍に希釈するそうです)、完全に私の中ではアウトになっちゃって。
いくら発情期中に疑似子宮が欲しいからと言って、副作用も何も分からないのに、よくそんな事したよなあ!
本当にジークが大切なら、絶対そんな事はしないよなあ!と。
せめてジークの了承をとれよ。騙し討ちじゃなく。


とは言え、これは本当に好みの問題ですので。
私が合わないだけで、この手のちょいおバカな溺愛攻めを可愛く感じる方も大勢おられると思います。
そんなワケで、空回り気味の愛情暴走攻めとか、見事なスレ違い劇が面白いコミカルな作品がお好きな方は、楽しく読めると思います。

16

笠井さんホイホイされましたが

笠井さんの表紙に釣られ、あらすじを拝見して面白そうだなと思って手に取りました。某web小説サイトさんで人気の作品の書籍化とのことですが、人気が出るのも頷ける面白い作品でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







主人公はロンデスバッハ国の第六王子のジークフリート(愛称はジーク)。
母親が庶民という出のために、また継承順位が低い第六王子という身分のために彼は王位継承権を手放し軍人として生活していた。

が、彼の国はとある理由で王からの命により他国に王子・王女たちが他国との政略結婚をしていくことになる。ジークも第六王子としての使命を果たすべく政略結婚自体は受け入れるつもりはいたものの、父親である王から言われたのは大国・グレハロクワトラス・シエカフスキーの皇太子であるセイゲルの元へ「嫁ぐ」こと。

男でありながら「嫁ぐ」とは…、と抵抗感を示すジークではあったものの、王子として自分の意見を押し通すことはできず言わるがままにセイゲルの元へ輿入れすることにするが―。

読み始めたとき、もしかしたらめちゃめちゃドシリアス系のお話?と思ったんですね。けれど意外なほどコミカルです。

政略結婚で、しかも同性との婚姻。
セイゲルにしろ、ジークにしろ、「王子であるが故」の責務として仕方なくこの婚姻を受けた感があるんです。が、出会ってみれば…、という展開になっています。会った瞬間に、セイゲル、ジーク共に相手を好ましく思う(これにも理由があります)。が、すぐに、はい、幸せになりました、という流れにはなっていません。お互い思うところがあるゆえにすれ違っていく。

この「すれ違い」の描き方が秀逸で、視点が交互で描かれているために二人の感情の機微が分かりやすいんですね。相手を想うがゆえにすれ違っていく、というドシリアス一辺倒にも振り切れるバックボーンですが、すごくコミカルで、ハラハラはするものの爆笑を挟みつつ進む展開なので読んでいてしんどくない。

そしてもう一点、主要な登場人物たちに、悪意がない。

BL作品において当て馬という存在は珍しくないというか普通に登場してくる重要なキーパーソンですが、今作品は当て馬?と思わせる人物は登場しますがいい意味で当て馬はいません。あれ、もしかして、この後シリアス展開になる…?と思わせて、シリアスにはならない。

今作品には萌えポイントがいくつかあります。

セイゲルは虎の獣人。つまりケモ耳がありモフモフです。
一方のジークは元軍人で非常に男らしい青年であること。
そして二人には「子を成す」という責任があること。

そういったバックボーンがきちんと生きている。そのためにストーリーに無理がなく読んでいて引っ掛かりがない。さらにセイゲルのジークへの執着心とそれを補って余りあるスパダリ感、なのにそれが空回りする詰めの甘さも可愛らしく、一方のジークの健気さと男気のバランスも萌えツボに突き刺さりました。

ジークの忠実なる従者のエルマーがとても可愛くって、彼メインのスピンオフも読んでみたいです。

そこそこ厚さのある作品なのですが、この厚さに見合った内容。切なさと甘々と、笑いと萌えと。それらがバランスよく詰まった作品でした。評価でちょびっと悩みましたが、笠井さんの挿絵が眼福過ぎたのと、今作品が商業BL作品のデビューということでちょびっとおまけして神評価で。

笠井さんホイホイされてお買い上げしましたが、ストーリーも非常に面白く萌えるお話で、めちゃめちゃ萌えました。次回作も楽しみに待っていようと思います。

7

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