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kamitsukai no chou wa chikai no seikishi ni shukufuku wo sasagu
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
無口で一途な騎士と異界帰りの祝蝶
孤児院で育った実羽(受け)はずっと「帰りたい、会いたい」思っていました。孤児院にたどり着いた時以前の記憶がないためここではないどこかとしかわかりません。覚えているには「ミウ」という名前だけ。
そんなある日、橋の上から川面を覗いていると、見慣れないものが見え、よく見ようと身を乗り出して落ちてしまいます。気付いたときには知らない世界。
が、実羽を助けてくれたと思しき二人は「帰ってきた」と。
実羽はフェアリル族という蝶の翅を持つ神の使いの種族で11年前に滝壺に落ちて行方不明だったのだというのです。
フェアリル族の族長メネラウスと、人間で幼馴染の騎士アルギュロス(攻め)に色々説明を受けますがどうしても思い出せません。
このところフェアリル誘拐事件が多発しており不穏な情勢なのでフェアリルの森でゆっくりするべきだというメネラウスに対し、ずっと実羽を待っていたアルギュロスは自分のそばに置きたいと対立するのです。
記憶がない実羽ですが、直前に仲の良かった同級生に告白され触りっこのようなことをした際、相手の精液を口にしてしまい、それがフェアリルは一度体液交換をすると七日以内に体液交換をしないと死ぬというトンデモ体質に引っかかり、よくわからないうちにアルギュロスとSEXすることになるのです。
何とも美味しい設定のせいで何度も絡みはありますが、お互いの気持ちを伝え合っているわけではないため義務的なものであり、アルギュロスが普段無口な癖に最中だけ雄弁に羞恥を煽るようなことを言うので、実羽にとっては蔑まれているように感じ、気持ちいいのに嬉しくないという状況で、受け至上主義にわたしにとって読んでいて苦痛でした。
フェアリルは体液に癒しの効果があり、人間と契約して祝蝶となる制度があるのですが、その効果を狙って誘拐事件が後を絶ちません。メネラウスは祝蝶制度をなくしてしまおうと画策しているし、実羽は記憶が戻らないせいで不安になるしで2人はうまくいくのか不安でした。
10年ほど祝蝶をしてお勤めが終わったらフェアリル同士で結婚すればいいというメネラウスの計画ですが、男の方の実羽が受け入れることにあんなに気持ちよくなっていてフェアリルの女性と夫婦になんてなれないと思うんですけどね。
大きな裏切りと誘拐事件の後、二人がちゃんと話をしてからはちゃんと甘々になったのでその辺りになってやっと安心して読めるようになりました。
ただ、最後が駆け足になってしまったことが残念です。
首謀者は捕まっただけだし、途中世話になった王子の祝蝶ナミにも会ってないし、もちろん王子にもメネラウスにも。
二人だけで終わらしてしまったみたいな感じで話としてはちゃんと終わってない気がしてもやもやしました。
それにしても、ミユという名前だけで実羽という字を当てた孤児院の人は本質を見ていたのでしょうか、ぴったりな漢字ですね。
今回はリスタリニア王国の騎士と界渡りした高校生のお話です。
記憶の無い受様が攻様との再会で自分の居場所を掴むまで。
受様は11年前に保護された身元不詳な少年で
以前の記憶がないまま養護施設で育ちます。
高校3年の秋のある日、
受様は親友と思っていた男友達から告白されます。
真面目な友人の本気を感じてキスを許し
押し倒されても思うままにさせるのですが、
彼は受様の頭を掴んで強引な口淫させ
精液まで飲ませる暴挙にてせるのです!!
しかも「物欲しそうに見られてその気になった」と
言い放たれた受様はショックを受けるのですが
行為以来、今まで覚えたことの無い性衝動に襲われ
自分は変態なのかと悩むようになります。
施設に帰りがたくなった受様が
保護された河川敷の橋の上で川を眺めていると
川の中に月と淡く光る蝶を見え
何かに引っ張られるように川に引き込まれ・・・
目覚めると見慣れない部屋のベッドに寝ていて
日に焼けた肌に銀髪の凛々しい青年に
名前を呼ばれて抱きしめられる事になります。
この青年が今回の攻様です♪
攻様は受様の幼馴染で受様はきっと生きている
と信じ続けていたのです。
攻様と共に現れた黒髪の青年もまた
受様を知っているらしく、彼らは受様を
11年前に行方不明になっていたフェアリルという
蝶の翅をもった特別な生き物だと言うのです!!
しかし、受様の背中に翅などなく
受様にはこの世界での記憶もありません。
果たして受様は本当に
攻様の探す幼馴染のフェアリルなのか!?
界渡りした受様と受様との約束で騎士となった攻様の
異世界トリップファンタジーになります♪
ファンタジーが大好きな上に
葵居先生のツイッター告知にて
異世界トリップ、幼馴染、記憶喪失、溺愛、と
萌ワード満載で楽しみにしていた1冊になります。
黒髪の男性はフェアリルの長で
かつては神に仕えていた特別な生き物である
フェアリルなら世界を渡る事も出来ると言い
受様は川の事故で界渡りをしたのだろうと推測されます。
フェアリルには人間と違う性質があるのですが
1度他人の体液を摂取すると、それ以降7日に1度
体液を取り入れないと死ぬ性質があったのです。
通常はフェアリル同士ならキスでもいいのですが
精液摂取した場合は期限が近付くにつれて
体液を求めるようになると聞かされた受様は
性衝動の原因が友人の精液を飲んだ故と知るのです。
このフェアリルの性質によって
受様に攻様とエッチさせる展開へと繋がり
葵居先生ぽいエロい設定だなと思いました♪
受様は攻様と身体の関係を持ってしまい
おおいに戸惑うのですが
フェアリルを狙う拉致事件の頻発することとなり
その事件に攻様が関わっているのでは!?
という疑惑が浮上してきて
受様が攻様の手を取るまでハラハラ&ドキドキ、
とっても楽しく読ませて頂きました (^-^)/
受様がちょっと流されすぎな感じがしましたが
フェアリルという種がそういった種ならそれも有り、
攻様が過去の失敗を悔いて今度こそはと
受様を守ろうするのに上手く立ち回れない様が
けっこう萌ツボでニマっとさせられました。
葵居ゆゆ先生の作品はハマる作品とハマらない作品が、自分の中でハッキリと分かれてしまう傾向があります。
実はこちらの作品は読んでて、途中までは「ああ、これは中立になるな」と思ってました。
実羽の無謀とも思える中途半端な自立心と、アルギュロスに対してのグラグラと定まらない気持ちに苛ついたからです。
そしてアルギュロスが言葉が足りなくて実羽を不安にさせたかと思うと、エロ親父みたいなセリフが多くて途中で勘弁してよと思ってしまいました。アルギュロスからしたら素直な愛情表現らしいのですが、言葉のチョイスが残念で全然格好良く思えなかったんです。
受け攻めともにいまひとつ魅力に欠けたかと思いました。
でも実羽と8人のフェアリルが拐われた事件辺りから面白くなりました。それと祝蝶のナミが魅力的なのとアトルム王子との関係が素敵だったので萌まで回復した感じです。
けれどもその事件でフェアリルの長のメネラウスには何のお咎めも無かったのが腑に落ちませんでした。実羽と8人のフェアリルが拐われた事件は、騙されていたとはいえメネラウスのアルギュロス憎しの気持ちが招いたと思うのです。
メネラウスはコルウス達賊を引き入れてしまって、実羽や他のフェアリルを危険に晒した事を謝った場面が無いのです。
フェアリルの長として魅力的な存在であって欲しかったのに、メネラウスが嫌な人物にしか思えなかったのも残念でした。
最初に謝っておきます、すみません。
私、ちょっとニッチな所でこのお話が気に入ってしまって。
あのね、北沢画伯の描いたアルギュロスのイラストって完璧なのですよ。
文章にあるままなんですけれど。
えらいクールでカッコいいじゃないですか、このビジュアル。
……だけどさー、違うんですよ。
あたし基準では『ダメダメ君』ですよ、彼。
悪い男方面でダメなんじゃなくて、ダサい男方面でダメなんだと思う。
これがツボった!
いや、実に良いよ、アル!
お話としては冒頭にいきなり痛いエピソードがぶっ込まれておりまして「おお、葵居さん」と思ったんですけれど。
でも、私が好きな『ひりひりする関係』には行かないお話でした。
実羽も、健気なのかお馬鹿さんなのかが微妙な感じでして(失礼)かといって『健気な馬鹿』という私の大好物な感じでもなくて。
アルに合わせて、ぶっ飛んで(病ませてくださるとか)くだされば、もっと好みだったと思います。
ここのところファンタジー続きの葵居さんですが、私は「現代ものを書いて欲しいなぁ」と思っております。
痛くてズレてるやつを。
同じことを書いていても、ファンタジー世界が緩衝材になってしまうのはもったいないと思うんです。
そんな風に思うのは私だけでしょうか。
きょう先生追っかけで購入。ゆゆ先生らしい艶っぽいジレジレ話でしたが、攻め受けともそんなにキャラを好きになれなかったので中立にしました。ファンタジー大丈夫で、そんなに押しが強いわけではない攻めが好きな方でしたら、嬉しいのではと思うお話、本編250Pほど+あとがき。
11年前河川敷で記憶がない状態で保護され、施設で育ってきた実羽(みう)。辛いことがあるといつも一人になれる橋の上で「帰りたい…」と思っていたら、橋の上から落ちてしまいます。目が覚めるとそこには「無事で良かった…」と抱きついてくるイケメンがいて…と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
メネラウス(フェアリルたちのまとめ役)、コルウス(聖騎士)、アトルム王子、ナミ(アトルム王子の祝蝶)ぐらい。なんとなく一歩足りなかった印象。
++攻め受けについて
攻めは受け一筋だったんだろうけど、なんだか分かりにくい。受け視点で書かれていて、受けの揺れ動く気持ちのまま、こっちも不安になるので、読んでいてもニマニマという気持ちになかなかならなかったです。
受けは記憶ないわ、普通の人間じゃないってわかるわ(フェアリルという天使みたいな種族)、攻めの気持ちをはっきり信じられずグルグルするわで、読んでいて不安が募ります。ゆゆ先生の通常運転かもと感じるのですが、どきどき不安なお話を読みたい精神状態じゃなかったからか、攻め受け二人の恋心にきゅんすることが出来ませんでした。
健気さんやどきどきぐるぐる話が好きな方でしたら、もっと違う評価ではと思うお話でした!
葵居さんの新刊はファンタジーもの。
葵居さん作品は一途でスパダリな攻めに健気な受けさん、のCPが多い気がしていますが、そのイメージを損なうことのない作品だったように思います。
主人公は高校生の実羽(「みう」と読む)。
彼には子どもの時の記憶がなく、親もなく、施設で育った。そんな実羽には実羽に想いを寄せる友人がいて身体の関係を迫られてしまう。その友人のことが嫌いではなかった実羽は、彼に謝意を示す意味もあって口淫することに。が、その行為に友人の自分に向ける思いが愛情ではなかったのだと思い知りショックを受けてしまう。
帰りたい。
子どもの時から時々そんな思いにかられることがあった実羽だったが、どこに帰りたいのか自分でもわからなかった。けれど今回も帰りたい、そう思ったとたん、川に落ちてしまう。このまま自分は死んでしまうのか?
そう思った実羽だが、意識が戻った時彼はリスタリニア王国という場所にトリップしてしまっていた。自分を助けてくれたのは騎士のアルギュロス。そこで実羽がアルギュロスに伝えられた「事実」は―?
というお話。
序盤で「ファンタジーもの」と書きましたが、正確には異世界トリップものです。
さすが葵居さん、といったストーリー展開。
ちょっとした描写から、その後に繋がっていく展開で、さながら点が線になっていく感じ。
実羽が、幼少期の記憶を失っていること。
実羽の瞳や髪の色。
そして、リスタリニア王国でミウを助けてくれたアルギュロスという青年との関係。
え、これからどうなるの?という展開と、少しずつ見えてくるミウという青年の秘密にグイグイと惹きつけられました。
異世界トリップものって最近よくお見掛けするバックボーンですが、今作品はそこに実羽の出生の謎が加わってきます。実羽は、もともとリスタリニア王国の住人で、蝶人と呼ばれるフェアリル族。フェアリル族の神秘に、アルギュロスがミウにひたむきに向ける深い愛情が絡み、ストーリーが二転三転する。
ミウが現代日本にトリップしてしまったとき、自分の名だけを覚えていたために「実羽」と漢字を当てはめて名付けられますが、「実羽」と「ミウ」という名前の表記一つでミウの状況を端的に表わしているのもよかった。
BLとしての軸はアルギュロスとミウの恋は成就するのか、といった部分。BL作品において健気で一途な受けさんて定番ですが、今作品は攻めさんがめちゃめちゃ健気です。一途です。可愛いです。彼のすべてはミウのためにある。けれど、それ故にすれ違っていく。このすれ違いが、秀逸です。
ほぼミウ視点でストーリー展開するので、アルギュロスの思いとか彼の行動がなかなか見えてこない。登場人物はまあまあ多く、リスタリニア王国にいたときの記憶がないミウにとっては何を信じればいいのか、誰がミウの味方なのか分からない。読者もまた、ミウとともにヤキモキしハラハラし、アルギュロスを信じ切ることができないんですね。だからこそ、と言って良いでしょう。すべての真相が明らかになった暁には萌えと面白さに満ちていきます。
あともう一点。
ミウはとある理由により人の体液を7日に一回摂取しないと死んでしまう、という状況に早い段階で置かれます。そのため、アルギュロスと定期的にセックスする関係にならざるを得なくなる。
これがすんごくエッチです。
背徳的っていうのかな。ミウはアルギュロスを信じているわけでも愛しているわけでもないのに身体の関係だけは持たなくてはならないわけで。ミウにとっても試練でしたが、アルギュロスにとってもまた切ない行為であります。愛している人を抱く、でもそこにミウからの愛情は存在していない。
でも、それでもいい。
ミウには自分以外の誰にも触れてほしくない。
そんなアルギュロスの執着心と愛情に萌えが滾ります。
この「行為」が、二人の関係を上手に表わしているツールになっていて、そこも非常に良かった。
様々なバックボーンを孕む作品ですが、そのどれもに無駄がなく、ストーリー展開に無理がない。非常に面白く、萌えも詰まった作品でした。