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この作家さんの初単行本だそうです。
短編集なんですが、私のツボにハマったのとハマらなかったのがあって評価に迷いました。
全体的にはティーンエージャーから20代初めの「可愛い」感じの作品が詰まっていると思うんですが。
「スタートライン」
社会人x大学に入ってから田舎に帰っていない大学2年生
二人は幼馴染。受けは攻めに恋心を以前から抱いているのですが、彼には彼女がいて・・・
この作品は好きでした。
「日々青々」
同級生同士です。大学入学を機に同居し始めた二人ですが、一方が高校のときからもう一方に「彼氏になって」と迫っていて・・・
これも好きでした。
「イン・ザ・プール」
教師と水泳部の生徒の恋。ちょっと大胆な生徒でした。
「ピアニストの憂鬱」
ピアノの師匠を失って失意の中にいるピアニストとその師匠の息子。
「 嫌い嫌いと言うけれど。」
ちょっと変わった美意識を持つ美術を勉強してる学生。キラキラしたものが嫌いで、見栄えがいい幼馴染が苦手。
70年代の服装をした先輩が面白かった。関西弁で話してます。
「疾走する背中」
陸上部の後輩x先輩
いじめのために陸上部をやめた先輩をどうしても引き止めたい後輩。でも、いじめられていた本当の理由は??
タカヒサさんの初単行本。
短編集、どの作品も比較的地味です。
丁寧に描かれてはいるんですが、それが漫画の雰囲気感になりきれてはいない。
この空気感をモノに出来ればタカヒサさんの作品はもっと良くなるんじゃないかなー。
話の中で一番好みだったのは「インン・ザ・プール」
教師と、水泳部員だけれど成績は良くない井出。
彼は何となく、井出の勉強をみてやります。
そしてテスト後、冗談交じりに先生が言った、裸でプールで泳ぐというのを井出は実践します。
水の中、少年が沈んで泳いでいる姿はなかなか美しい。
そのシーンだけでも終わってよかった気がする。
その後の2人がくっつくシーンがむしろ安っぽく思えました。
全巻を通じ「天然男子」と言うキーワードに
かなり縛られ過ぎな感があります。
純情を描く試みをしている姿勢は良いと思うの
ですが、純情を演出する為の流れに不自然さが
見えると却って養殖臭さが目立ってしまって
どうも気分が乗り切れません。
果たして作者さんは収録作を描く際、きちんと
愛着を注ぐ事が出来ていたのでしょうか?
評者には「描かされた感」の方が余程強かった
様に感じられてならないのですが。