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作家さんの新作発表
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『SOTUS』の1巻と同時発売になった2巻目。
2巻完結の作品なのでぜひとも2冊まとめて買われることをお勧めしたいです。
1巻に比べて、この甘々な表紙を見てください。イチャイチャしとるー!
ということでレビューを。
『SOTUS』はアーティット、コングポップの二人の視点が切り替わる方式で物語は進んでいきますが、2巻はコングポップ視点から。今までの自分のアーティットへの態度を、とある出来事を介して第三者視点で見つめなおしたコングポップは、アーティットに自分の想いを分かってもらい、そしてお互いにより深く知りたいと願うようになる。
映画に誘ってみたり、理由をつけて二人で出かけるようになるが―。
2巻に入り大きく変わったのはアーティットの心情の変化。
今までは生意気な後輩だと思っていたコングポップの、自分に対する想いをうっすらと理解し始めたことで、彼自身、コングポップへの想いを見つめなおしていく。
基本的に二人とも男気に溢れた男性なので、読んでいて気持ちが良いっていうのかな。ぐるぐるはしますが、自分の想いを自覚した後はきちんと自分と相手に向き合っていく。でも、ケンカップル(というか、アーティットがツンデレなんですよ)なので甘々なだけではないのも良い。
で。
今作品でキーとなっているのが「ギア」。
そもそも「SOTUS」という制度下では、先輩からギアを受け取ることができるのか、が軸になっていますが、その「ギア」を介して二人の仲が進展していく過程が素晴らしい。1巻、2巻ともに表紙の2人はギアを持っていますが、読後改めてこの「ギア」の描き方が素晴らしいとしみじみ思いました。「ギア」を介し、先輩と後輩の関係になった彼らが、その後「ギア」を介し心を通わせていく。読み始めたとき「ギア」にこだわるなあ…、と思って読んでいましたが、これだけインパクトのある小道具もなかなかない。
二人の恋の結末、という観点ですと、2巻の半分くらいで完結します。
今刊行されているコミック版は、1巻の半分くらいの分量の内容が描かれているので、コミカライズ版は3巻くらいで完結になるのかな?
2巻の後半は番外編。
大学生時代から、アーティットが卒業した後のSSが収録されていますが、このSSもナイス。ワンコのコングポップ×ツンデレのアーティット、の二人はそのままに、本編の裏側が読めたりするのでこちらもめちゃ萌えました。
恋人同士になった2巻でも、濡れ場はありません。キスシーンの描写がちょっぴり描かれているだけ。でも、濡れ場はなくても、二人の想いはきちんと読み取れる。その描き方が素晴らしかった。
作品の最後にBitterSweetさんの書かれたあとがきが収録されています。このあとがきから、BitterSweetさんのお人柄が透けて見える。次回作も日本語訳で刊行して欲しいな。楽しみに待っていようと思います。
タイドラマ「SOTUS」の原作はタイのオンライン小説です。その中国語翻訳の台湾版を、日本語に訳したのが本作とのことです。
1巻は、ドラマの8話の途中まででした。
2巻は、それ以降のお話です。ドラマのスペシャルエピソードの元も楽しめます。
2巻は半分までが本編で残り半分が番外編となっています。
1巻はドラマのノベライズだろうかと訝しむほどドラマと同じ展開、同じ科白だったりしており、2巻もほぼほぼそのような感じです。(ちょっとずつ違ってもいます。後述)
タム先輩達の結婚式の後のあのシーン、私はドラマのロケ地がラーマ八世橋なだけと思っていましたが、原作においてもラーマ八世橋の中程で、としっかり書いてありました。
1巻を読んだ時も思いましたが本当に原作に準拠したドラマだったのだなと。
ドラマとの比較が続いて恐縮ですが、ドラマの中では、エムがメイを好きで、メイがコングポップを好き、という図式がありました。(コングポップはアーティットが好き。言わずもがな)
そのことに関連して、エムとコングポップが自身の恋愛についての悩みを打ち明けるシーンなどもありました。相手が誰かは言わず気持ちだけ語る、とても良いシーンで何度も繰り返し見た場面なのですが、その図式やその場面は原作にはありませんでした。
この本に載っているものがすべてだとしたら、ドラマオリジナルなのかもです。ブラボーです。
反対に、原作にあってドラマに無いシーンなどもあり、2巻ではそういう楽しみ方ができました。
総じて、コングポップとアーティットが出会ってから相手を気になりつつ、色々あって気持ちを伝えられず、そもそも自分の気持ちの正体が分からず、悩んだり喧嘩したり誤解したりしながら両思いになるのが本編なので、もだもだにやられはするもののBL的にはゆっくりしています。
ただその分というか、2巻後半の番外編は両思いになってからのお話なので、ツンデレや年下わんこや甘く切な系でなかなか可愛いらしく、ちょっと砂を吐きそうになるなどしました。読んでよかったです。