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tenshi no teiri
①兄弟の定理 :2018/11/10 津向總一郎,32歳x津向要斗,26歳
⓶天使の定理 :2021/03/10 貞野弦宇,27歳,x式見 槐,29歳
③隷属の定理 :2022/08/10 乃木映爾,40歳,x瀬戸佳槻,30歳,
さすが「スキャンダル」を書いた作家の作品、といった読後感。
恋人を失い外部遮断をする者と、自分の中が空白の者。
欠けた者同士の共依存のような恋。
式見槐:
1巻の「兄弟の定理」スピンオフ
「兄弟の定理」に登場した、要斗を愛していたけれど、身を引いた俳優。
外観は天使。 でも心の中が空で自分がない。
貞野弦宇:鍵は、「弦と弓」
公園でチェロを弾いていた男。
有名な演奏家だったが、四年前から生き方が変わる。
命の取り合い、認めたくない事との対峙、辛辣で愛憎ぐっちゃぐちゃ骨太ストーリー
「兄弟の定理」で癖が効いた当て馬だった槐の心のうちが暴かれていくのや、どうしようなく惹かれてるのに認められない狂おしさとか、心理描写も逸脱ヒリヒリ凄まじくて、2人の攻防に目が離せませんでした。
と共に責められる攻めのお尻!!
このプレイもある意味救済…と思わせる何かがあり、ハードに責めるのはドキリ、揶揄いがちに弄るのはキュン。槐のただでは済ませない攻めっぷり!!攻めに攻めた攻めフェの凄まじさ!微塵も屈しない強さ!!さらに上回る弦宇の意固地さ!すごかったです。
この2人だからこそぶつかり合えて、乗り越えれたんだなと思え、甘さはないんだけど、殺伐とした中の苦悶に悶えました。
挿絵も笠井先生なので見目麗しい!!
攻めがディノレド突っ込まれてる挿絵初めて見ました…電子は会陰から修正入っててなんのこっちゃでしたが、インパクトは凄かった。
いやぁ、、、スピン元であんまりそそられなかったキャラが、スピンオフで炸裂するっていう…。結果、スピン元よりもテンション爆上がりになってしまうパターンには何か法則があるんでしょうか?
挿絵ご担当の笠井先生は攻めと受けをキッチリ描き分けるタイプのイラストレーター様なので、表紙を見た時に今回は式見がアッチになることはわかっていました。
今作も作者様独特の、危うくて狂気じみていて夢現な世界観にハマってしまいました…。雰囲気だけでも現実逃避させてくれます。そこに読み手の精神状態をチューニングできたら、どっぷり浸かれるのでは。
ハラハラしながらじっくりと読み進め、あちこちに打たれた布石を拾いながら感じたテーマは「ループ」断ち。人生のある時点から先へ進めなくなってしまった人を救済していくお話です。
村主監督映画の出演オファーを受けた式見。まだ承諾しないうちから、共演相手の男と「役積み」のために時間を共にするようになります。式見にとっては当初、面白半分の観察目的でしかなく、自分への殺意を剥き出しにする相手の男を逆に落としてやる心積りでいたのですが——
4年前、貞野に何が起こったのか。そして式見は貞野に落ちるのか。落ちた時に彼が思ったこととは何か。貞野が「雑音」を消せなかった後に残ったものとは…。
貞野のために創られたループストーリーがまるでパラレルワールドのように実在し、現実の二人に作用していく様を目撃しながら丁寧に辿っていくと、これが貞野の救済にとどまらず、救済を施す側の式見も救われる物語であることがわかります。
式見が天使と表される理由も深くて、なんて読ませてくれるんだーっ!とこれまた悶えながらバンバンどこかを叩きたくなるところで。もう、こちらの式見はスピン元とは別人として読ませてもらっていました。
攻めも受けも脇キャラも、こんなに心身ともに傷ついていく(いかされる?)BLは、あえての鬼畜もの以外では読めないですよね。園井と瀬戸が可哀想になっちゃって…。二人でくっついちゃえばいいのに笑
物語の構成自体もループになっているところもさすが抜かりがないというか、作者様の頭の中でそういう流れがきちんとできているんだろうなぁって。もちろん、同一次元のループではなく、結末は上昇螺旋型のハピエンです。う、うまい…。
最後に、式見サンの宝箱、何もかもこだわり抜かれていてすごいなー!さすが沙野作品です笑
前作は未読です。
それでも違和感なく読めました。ちらっと出てくるスタントマンのお話のようですが、無理なくスッと理解できましたし。なんなら興味が湧いてそっちも読もうかなという罠にハマります(笑)
で、ストーリーが練られていて、まぁ攻めは最初の出会いから受け君に惹かれてしまっていたということなので、そう考えれば攻めの葛藤も理解。
それより受けが攻めだったという背景が恐ろしく興味をそそる…そして、攻めが責められる!!!
初めてのパターンで楽しめました。
これが苦手な人もいるんでしょうが、私は節操なしなので、ストーリー面白かったら問題ないっす。
あらかじめチェリストが攻め、俳優が受けっていう前情報を入れて読んだので余計に途中で?!ってなりました。それが読み進める上でのスパイスになってどんどん読み進められたから良かったかな。
チェリスト、そしてユーモレスクの中盤、このキーワードに萌えます。
笠井あゆみさんの挿絵がこれまた素敵で…文句なしに神評価です。
沙野先生の作品はあまりキャラ萌えとかは無いことが多く、只々ストーリーに圧倒されることが多いのですが、これもそういう作品でした。
(「兄弟の定理」は読みましたが、式見についてはあまり記憶に残っておらず…)
平たく言ってしまえば、壊れた男と悪趣味な男の歪んだ執着劇。
でも、見方を変えれば、究極に不器用な男達の純愛…とも言えるような気がします。
ユモレスクで始まり、ユモレスクで終わるのですが、場面によっては、あの哀愁漂う中盤以降のメロディが、物語のBGMとして頭の中に流れてくるように感じました。
殺すか殺されるか、命をかけた真剣勝負が繰り広げられ、2人とも普通じゃないので、何故そういう行動に出るのか凡人である私には理解は出来ない部分もあり…
それでもお互いが惹かれあってるのが見ていて分かります。
愛だとか恋だとか単純な表現で表すことは出来ないとは思いますが、弦宇が雑音だというもの、その原因は…もしかしたらそれって一目惚れなのでは…
だとしたら、弦宇はとてつもなく鈍感で不器用すぎて、精神的に幼いまま大人になってしまったのかもと思いました。
終始不穏な空気が流れるストーリーでありながら、エピローグからラストまではとても美しく、素晴らしかったです!!
プレイとかサブキャラの自慰とか、正直趣味じゃないとこもあるのですが(そこは沙野先生の作品なので承知で読んでますw)そういう気持ちというか、全てを浄化するような尊いエピローグでした!
弦宇がチェロを弾き始めると、まるで本当にユモレスクの冒頭の爽やかなメロディが聞こえてくるようで、ずっと怖くて痛々しい印象だった弦宇のイメージが、このシーンでガラッと変わりました。
今までの全てを塗り替え、幸せそうな穏やかな2人はキラキラした感じで、とても感動的な読後感でした!
すべての沙野作品を読んでいるわけではないのだが、ここ最近の先生の作品は、単純な好いた惚れたではない男同士ならではの関係を模索しているような気がする。
問答無用で相手に引き寄せられてしまう引力、相手を支配する力、その力の強さを競う駆け引きめいたもの。
それらすべてを恋と一言で言ってしまってもいいのかもしれないけど、BLにおける恋というものは、男女とは違うのだからもっといろいろな切り口で描けるはず。先生はそう思っておられるように感じる。
前作の「獣はかくして交わる」が好きだった方なら、絶対このお話もお好きなはず。
私は残念ながら、殺したいと思うまでの攻めの受けに対する執着を理解することは難しかったのだけど、こういう、甘いだけじゃない、一言で言い表せない関係性を描いたBLがもっとあってもいい。男同士だからこそ、恋とか愛とか、普通の枠組みにとらわれなくても、BLはもっと自由でいいんだと思う。
「兄弟の定理」は読まなくても理解できる内容だけど、医者の兄に会いたいがためにわざとケガをするスタントマンの弟、という設定が大優勝なので、未読の方はぜひとも読んでみてほしいです(私は神評価つけてます〜)。
電子書籍を購入。
挿絵あり、あとがきあり。
「神」評価です!!
作家買いで、あらすじもレビューも確認せずに購入。
途中で、「兄弟の定理」のスピンオフと気づきましたが、無問題!
これだけでも楽しめます。
通常のボーイズラブ的なものと一線を画すストーリー運び。
惚れた腫れたではない。
魂と魂の真剣勝負。
作品全体に緊迫感が漂います。
ヘビーですが、読後にズンと残ります。
本作と同じような読後感がありました。
「顔のない男」剛しいら先生の作品です。
こちらも、魂と魂の真剣勝負のラブが描かれています。
私と同じようにこの読後感を味わいたい、本作にツボった方に、おすすめの作品です。
予想のはるか上を行く面白さでした!!
沙野先生には毎回驚かされます。
最後まで気が抜けない、予定調和は一切ありません!
何となくお互い惹かれ合うなんて事にはならないのでご安心を。
兄弟の定理で掴みどころの無い「観察者」として結果的にはキューピットとなった式見槐
この式見がどのような恋愛をするのか…
沙野先生にしか書けない魂×魂がぶつかり合う命を削る様な恋愛でした。
弦宇の絶望、式見の空っぽの宝箱
強烈な個性を持つ2人が出会い 互いの全てを暴き合う。
その果てにあったのは、まさに至上の繋がりでした。
天使とは?笠井先生の表紙が素晴らしいです!!読後にぜひじっくり見て下さい!
深夜の高架下でチェロを弾く男
ドヴォルザークのユモレスクの一節だけを何度も繰り返し演奏する。
映画のW主演の相手役として出会う貞野弦宇。
過去に囚われて自分の中だけで完結した水底のような世界に生きている弦宇。
式見は幼少の頃から「幼さ」を観察して どのような子供であれば周囲に認められるか…常に高みから人を観察し分析して生きてきたクセ者。
映画の撮影が進むにつれ演じているのか素の自分なのか お互いの感情に引きずられて追い込まれてしまう。
観察し分析する式見と憎しみをぶつけるような弦宇
この2人以外の登場人物も拗らせ病んでてどこに着地するのか最後まで全く予想できませんでした。
最後のシーン ぜひユモレスクを聴きながら読むのをオススメします。
ストーリーと曲がこれ程マッチして そこにいるかのような臨場感で感動しました。
これまでの暗いトンネルを抜け心揺さぶられるシーンでした。
式見のマネージャーとして大活躍だった彼のスピンオフが決まったとの事。
なかなか興味深い過去を持っていて楽しみです。
流行に流されず書きたい物を書く
これがなかなか今は難しい状況ですが、この本はきっちり書き切ってくれています。
読んでいて嬉しくなりました。
気になってたキャラのスピンオフだったので購入。思っていた感じのお話だったのですが、どうも一回では消化しきれず、まだ未消化なので、萌にしました。キライではないのですが、萌ポイントを特定できない・・・本編250P弱+あとがき。
憑依型カメレオン俳優として人気の槐。ある日撮影まで半年を切ったところで映画出演のオファーと非常識な依頼があり、気になったので会ってみると、W主演の相手が2か月前高架下の公園でチェロを弾いていた人物で・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物で気になったのは
瀬戸(受けマネージャー)、園井(脚本家)、總一郎・要斗(前作カプ)、弓人(攻め父の愛人の子、故人)ぐらいかな。
++ 困っているところ
私がバカなんだと思うのですが、槐の気持ちも弦宇の気持ちも難しくって、シンクロ出来たんだか出来てないんだかが、自分で今一つよく分からなかったんです。だから萌えあがれなかったというか不完全燃焼な心地。
あまりに深くてドロドロしているからかな?私にはあんまり分かりやすいものではなかったでした。
義理の弟に抱いた弦宇の気持ち、そこから抜け出せなくなった彼の感情、自分を形にはめないと知覚できない槐、どれも難しーい!
ただ最後に救われたように「お前は本物の天の使いだ」と告げて、ユモレスクを最初から最後まで弾けるようになったところはとっても嬉しかったし、ドロドロ悶々としてきた全てを雪いでくれる気分になったので、安堵感でいっぱいでした。槐も幸せそうだし、瀬戸さんは瀬戸さんで想いを告げてきっちり弦宇に釘をさしてるし、終わりの辺りはすっきり良かったんです。
終わりに至るまでの濃厚な感情が今一つ消化しきれなかったお話でした。うーん。もうちょっと頑張って読んでみよう。
「兄弟の定理」がとても面白かったので、今作もとても楽しみにしていました。
あの掴み所が無かった式見が主役と知って、沙野先生がどう料理するのか想像も出来ませんでした。
そして弦宇という更に難解な性格を持つ相手を登場させて、最後までこの2人をどう決着付けさせるのかと夢中になって読みました。
予断を許さない展開が面白くて、最後の映画の試写会には一緒に観てる気持ちにさえなりました。
式見という化け物みたいな人物が、弦宇によって一気に人間らしくなって、私的には「兄弟の定理」の式見より断然好きです。
弦宇という難しい人間も式見でなければ、救い出す事が出来なかったのも納得のお話になっていました。
特にエピローグは大好きです。
読み終えてから、しばらく考える時間が必要でした(笑)。
後半およびSSはすごく好きだったんですが、前半、2人の出会いからの展開が私には難しかったです。どっちがどっちでもいい(リバ容認)派の私には式見さんが受だったのは意外な感じでしたが、もし、式見攻を期待している人にはちょっとつらい展開かもしれません…。”兄弟の定理”の2人がちょこっと出てきて幸せそうで、その部分に萌えを感じてしまいました。
常に他人を俯瞰で観察してきた天使(式見)が、大切なものを失ってぶっ壊れている男(貞野)の妄執によって地上に引きずり降ろされて、やっと人間らしい感覚を取り戻す。また、喪失だけを抱えて生きていた貞野が、式見によって生きるための人生を再開させるというラブストーリーだと思うんですけど、互いに対する感情がなんでそこまで強いのかということを理解しきれなかったところはあります。深夜の公園での出会いがそこまで…!?過去になにか接点あったのかなという深読みは当たらず、むしろ、それぞれが抱えている人としての”いびつさ”の相性がよかったということなのかな。2人ともクセ強すぎて、その人物描写は読み応えがありました。
いつも沙野先生の作品では新たな性癖の目覚めがあるのですが、今回は攻のお尻がちょいちょいムズムズするのが新鮮!と思っていたところ、やはりここがポイントでした。毎度必ず読みながら”あれ?”とひっかかるところが、ちゃんと裏テーマになっているので面白いです。(あとがき読んで答え合わせするのが楽しいんです。)
萌えと言う点では「今一発、乗り切れませんでした」というのが正直なところ。
ただ、相変わらずお話は面白かったです。
LOVELOVEしくなくても萌えられる質なので、今回不発だったのは攻め様の弦宇が私のタイプでなかったからなんじゃなかろうかと思っております。
槐方面についてはとても興味深く読んだのですよ。
俯瞰することって恋から最も遠い場所の様な気がするのですよね。
恋に必要なのは良く解ることではなくて情動だと思うので。
でも『見る』ことは『恋すること』の近くにあるのではないかと。
このふたつに掠りながら、逃げずに自分を弦宇に向けて追い込んでいく槐はやたらカッコよかったです。
天使は天使でも裁いちゃったりする方の天使ですよね、槐は。
あ、萌えにブレーキがかかった理由がもうひとつばかりありました。
映画製作の現場が書かれるのですが、その製作方法にちょっと無理を感じまして。
監督までは解る、っていうか「思いっきりデフォルメすればないとは言えないかも」っていう感じなんですけれど、脚本家はぶっ飛び過ぎだと思うんですね……
いや、沙野さんが『役と現実の境目がなくなっていくふたり』を書きたかったのは良く解るんですよ。面白かったですし。
スピン元の「兄弟の定理」未読。
未読でも読めるつくりと沙野先生が仰っていたのを何かで見たので。ツイートでだったか。
その通りにこちらのみでも読めました。もちろん楽しめました。
しかし、これは確実に「兄弟の定理」から読んだ方が良いのではと思います。
まず、スピン元のカプが出てきて何やら萌える描写があるのですが、悲しいかな私は知らないカプのことなので萌えまではいかず、癒しだわー♡程度の熱にとどまりました。萌えたかった…無念っ。
次に、本作の受けさまであり、「兄弟の定理」にも登場している式見 槐(えんじゅ)が、魅力はあるがなんとも掴みにくいキャラ。その為、情報はひとつでも多い方が良いかと。
もちろん未読であっても最後まで読みきると、槐ホント天使だわ( ; ; )…って涙出たのですが、途中何度も自分に、天使ってなんだっけ?と問いかけてしまうほど槐と天使が結びつかないし、捉えにくいキャラだったので。
そして、シリーズ合わせて読んだ方が読後の感動も一層高まるのではと想像します。
個人的になのですが、私は沙野先生作品をイチャラブや過度の甘さは無いものと思って読んでいるのですが…今回はいつも以上にそれが少なかったように思います。
分かって読んでいるのに、何度か、少しで良いので甘さを下さいとなりました。それくらい糖分控えめ。
性行為に甘さがあろうが無かろうが、どこかに愛さえ見出せれば私は萌えられるのですが、今回は、愛のカケラがどこかにひそんでいないかを必死に探すほど殺伐としたものでした。
まぁそう言いながらも、ストーリーが面白いので読みすすめまして、萌えの観点から評価は「萌」かなと思っていたのです……が!!!
後半(限りなくラストに近い)から、なんだこれ最高に萌える(´༎ຶོρ༎ຶོ`)と興奮しました!
鞭打たれ続けた心に至上の甘さです。
たまんないです。
渇ききった心に広がるこの幸福感…沙野先生って本当飴と鞭の使い方が絶妙。
もうひとりの主人公である貞野弦宇も、ひとクセもふたクセもあるキャラ。
クセって言葉じゃぬるいかな。どこか壊れた破綻した、ですね。
弦宇が元チェリストということで、チェロを弾くシーンもあり、ユモレスクという曲が登場します。作中で弦宇が曲の中盤を弾き続けたように、私も中盤のみ延々と聴き続けてみました。より作品の深みを味わえた気がするのですが、門外漢の独り言です。どうぞ聞き流して下さい。笑
はぁ〜それにしても最高の読後感♡鞭打たれ続けた甲斐がありました。
ちなみにちなみに。
沙野先生作品ではお馴染みの裏テーマ、毎度予想しながら読むのですが今回もハズレました。
当たる時は当たるのになぁ。連敗中。
作家買い。
沙野作品の『兄弟の定理』で、当て馬として登場した式見が主人公のお話です。前作が未読でも理解できるかと思いますが、できれば読んでいた方が「式見槐」という人物像をより深く理解できるのでは?と思いますので興味のある方はぜひそちらから読まれることをお勧めします。
『兄弟の~』のあとがきで沙野先生が式見視点のスピンオフを書かれると述べられていたので発売を心待ちにしていましたが、表紙がヤバい。
さすが笠井画伯。美しい…。カッコいい…。
はー、としばしうっとり眺めてから読み始めました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は俳優の式見。
彼は見目麗しく、「カメレオン俳優」と言われるほど役に入り込む実力、人気共に兼ね備えた俳優だ。
だがしかし、彼は心に空虚を抱えている。
執着したり、何かを欲したりといった欲が薄く、さらに人の望むものが理解できるがゆえに「人から見た理想の自分」を演じることに長けている。かつて、欲しかった「もの」が他人のものになってしまって以来、その空虚さは埋まることがない。
そんな彼は、ある日一人の男性に出会う。
夜中に、チェロを弾く男に。
一心不乱にチェロを弾くその男に声をかけた式見だが、後日、思いもかけなかったなかった形でその男・弦宇に再会することになり―。
というお話。
『兄弟の定理』で何ともミステリアスな雰囲気を醸し出していた式見ですが、序盤から彼の内面が一気に読者に流れ込んでくることでその理由も見えてくる。その文章力に圧倒されました。
沙野先生は、人気作家さまですからこんな意見は非常に失礼かもしれませんが、とにかく文章がお上手。読んでいて、その風景とか情景がまざまざと浮かび上がる感じ。その文章力でもって紡がれていく「式見」という男性と「弦宇」という男性像の、見える部分とかくされた部分の対比が素晴らしく、グイグイとストーリーに引きずり込まれていきます。
弦宇は、とある理由から式見を殺したいと願っている。
殺したい、と言うと語弊があるかも。その存在を滅したい、と言った方が正解か。
式見という存在を滅するために、弦宇は彼と映画で共演することにするが。
なんて言うのかな。
見える部分と見えない部分が混在してるんですね。
弦宇は式見を殺したい。
けれど、なぜ殺したいのか、その本当の理由はなかなか見えてこない。
そして弦宇の過去の回想で登場する「カレ」という存在。
それらが何なのか、とにかく知りたくてページを捲る手が止められませんでした。
一般的に、「かれ」と言えば「彼」だと思うんですよ。
それが「カレ」である、その理由。
弦宇にとって、「かれ」は、人ではなかったんじゃないかなー、と思いました。
「カレ」は、弦宇にとって唯一無二の存在で、愛とか、欲情とか、そういった感情を抱いてはいけない存在ではなかったのでは?と。
それが、式見と出会い、彼と関わるうえで、「カレ」が自分の大切な「 」になったのでは、とそう思いました。ちなみに「 」の中に入る言葉はめっちゃネタバレになってしまうのであえて書きません。ぜひとも読んで、確認していただきたいと思います。
沙野作品にありがちではありますが、とにかく甘さは控えめ。
式見と弦宇の関係はまさに闘いです。
殺すか、殺されるか。
抱くのか、抱かれるのか。
でも、ものに執着を見せることのなかった彼らが、そういった感情を抱くその「理由」は何かと問われれば、それはやっぱり愛だったのだと、そう思いました。
あれだけ飄々としていた式見が、自分の身体を張ってボロボロになってでも、それでも弦宇を救いたいと願う。そんな彼の深い想いにも激しく萌えました。
で、この二人を繋ぐツールが「映画の共演」というストーリー展開が圧巻。
無理なく、彼らの素を引き出させるそのバックボーンの繋ぎ方が、さすが沙野さんといったところか。
個人的にはめっちゃドツボに突き刺さる作品で、沙野作品の中でもかなり上位に入る作品ではありますが、んー、結構好き嫌いが分かれそうな作品だなとも思いました。
とにかく痛い展開です。
二人の間に甘さはほぼなし。
しかも「殺す」とか「監禁」とか、物騒なセリフや描写が結構な頻度で登場します。
さらに、攻めさんのお尻もしっかり開発されてしまったりします(リバ、というのとはちょっと違うのですが)。
けれど、この二人の間に流れているのは紛れもなく愛情です。人を愛するって、甘くて優しいものだけではない。そんなビターなお話を好まれる方にはめっちゃお勧めな作品かと思います。
大切なものは、宝箱に入っているのか。
宝箱に入っているものが、宝物なのか。
カタチがあってもなくても、大切なものは失われることはない。
なくしたからこそ、あるいは自分の手に入らなかったとしても。
大切なものを守りたい。そのためなら何を犠牲にしても厭わない。
愛情の形とか、守りたいものの形、というものは千差万別。
しみじみ、深い作品だなあと思いました。
「愛」というものについて深く考えさせられる、そんな作品でした。
あ、あと、登場人物たちが等しく魅力的なのも良い。
彼らは彼らなりの「愛情」で、大切なものを守ろうとする。
そこにあるものも、紛れもなく、様々なカタチの深い愛情でした。
總一郎×要斗の2人が幸せそうなのも良かった。
キャラ良し、ストーリー良し、挿絵良しの、文句なしの神作品でした。
「兄弟の定理」スピンオフ。
捉えどころのないキーマンになっていた式見のお話です。
個人的には前作未読で大丈夫かな~?と思いますが、
前作キャラが登場し内容に触れるシーンもありますので合わせて是非(﹡´◡`﹡ )
さてさて。
期待して待ってたスピン、すげーー良かったです!!
とにかく受けを殺したい!っていう攻めの迫力ね!!
殺すか生かすかのヒリヒリ感や激情が迸っていました。
式見という人物は物事を俯瞰した目で眺め見下ろし、
"激情"という言葉から随分離れているイメージでした。
実際、冒頭は涼しい顔で客観的に人物観察ばかりしています。
しかし渦に巻き込まれる内、演じられなくなっていく。
このお話の巧みな部分は「演じる事によって演じられなくなる事」過程と描写。
映画撮影と現実が融合することによって式見の内面が露わになっていくのです。
ミステリアスな式見のイメージを崩すことなく展開するので最高にゾクゾクしました。
そんですごく言いたい。
(」°ロ°)」『クソデカ感情勃発やんーーー!!!』
脚本家や式見のマネージャーなど、
脇でも崇拝的なクソデカ感情が各所で渦巻いてます。
盲目っぽさがあって過激だけど純粋っていう…(^///^;)
才がある人はどこかぶっ飛んでるもんなんだなぁ…と凡人の私は見つめてました。
内容をザックリと。。。
ある夜。人気俳優の式見は公園でチェロを弾く人物に出会います。同じ曲同じ部分だけを延々と演奏し続ける男は、式見が近づいても存在が見えていないようでした。興味を持った式見が声を掛けると、男は怒りを露わにしてーーー。
その後、式見に映画のオファーが舞い込みます。指名してきたのはW主演の相手役・弦宇。深夜にチェロを弾いていた人物でーーーーと展開します。
弦宇の目的は、
・とにかく式見を殺したい。
・演奏の邪魔をされた晩から雑音が止まらない。
・式見が消えれば雑音も消えるはず。死んで。
……いや~ぶっ飛んだ攻め登場だよ。ほぼ言いがかりw
式見を殺せば上手く収まると妄執しきっていて、
ずっと殺したい殺したいと唸っていた気がする…(゚ロ゚;)
しかも撮影に乗じて殺す予告してるし…(゚ロ゚;;)
けどそんな変わり者を式見が興味持たないわけがない。
殺せるなら殺していいよ、と弦宇の観察を楽しんでいました。(デスヨネー!式見らしい)
んで。物語は映画の撮影と平行して進むのですね。
映画はアテガキで弦宇のために作られた脚本になっています。
これがほんとすごく良くてゾワゾワしました。
役と式見・役と弦宇がドンドン融合していって、
どっちが現実で物語か境界が曖昧になっていくんですね。
式見は劇中の役を演じようとしても演じられなくなる。
映画の脚本内容と相俟って生と死の境ギリギリにいるようなヒリついた展開。
冒頭の涼しげな式見は影を潜め、激情に飲まれていきます。
役と融合するほどコントロールが出来なくなる式見。
式見と対面している内に感情と行動が乖離する弦宇。
情緒不安定さが見て取れて読むのがシンドかった…(;ω;)
そしてこのぐらいしなきゃ式見の分厚~い仮面は取れない。
登場人物みな、ものすごい熱量で渦巻く感情が重いです。
特に不安定なのは弦宇で。
複雑な過去があって心が壊れそうなんですね。
自己破壊衝動などもあって…。
恋愛のれの字が始まらないけどどうなるの!?とハラハラ。
と同時に少しずつ見えてくるのは、弦宇が言う雑音って…
もしかして単に一目惚れじゃね?という予感( ´艸`) ♪
「一目惚れ」が「殺す」に変換されて
捻れたクソデカ感情で式見に執着してる…!?と思ったら
ワクワクソワソワ萌えがドカーン!!!ヾ(*´∀`*)ノ
甘ったるさが全然ないからこの道筋が見えた時の滾りがハンパなかった/////
好きが拗れて「殺す」ってどんだけ拗らせてるの!?
(意訳:めっちゃ萌えますありがとう)
あああ、最高~~~!好き~~~~!(∩´///`∩)
そんで弦宇のクソデカ感情を受け止める式見ね。
良い意味で式見の俯瞰した性格が効いていた気がします。
(弦宇の激情に触れたら普通メンタル速攻死ぬよ…;)
タイトルに「天使」とあるのがスッと附に落ちました。
好きとか愛してるとか甘いお話ではないですが、
魂と魂がぶつかり合う熱量がとても良かった…!!
そして「愛してる」の変わりに…が、ロマンチック。
弦宇にとって重い意味を持つ行動にグッときました(;////;)
惜しむらくは結ばれた後のエピソードが少々物足りないのが淋しいところ。
出版社特典ペーパーではド甘々な2人が読めましたのでオススメです♪
以下余談ですが
兄弟の定理のその後の様子が知れたのがすごく嬉しい!
「顔が似てきた」の一文にジワッと熱くなります(;///;)