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pheromone tantei
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
作家買い。
「フェロモン探偵」シリーズの10作目に当たる作品です。今シリーズの1作目にあたる『記憶喪失男拾いました~フェロモン探偵受難の日々~』が刊行されたのは2014年の3月。長きにわたって、多くの読者と、そして作者である丸木先生に愛される人気シリーズです。
で。
びっくりしたのが今作品の表紙。通常運行の、相葉さんの描かれる美麗かつ可愛らしいイラストと、若干テイストが違う。しかも雪也が映を見つめずそっぽを向いているだと…?あらあら、もしかしたら今作品はちょっと波乱があったりして?と思いつつ手に取りました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
映のもとに、彼の父親で日本画の大家でもある一馬から一本の電話がかかってくるシーンから物語はスタートします。
「フェロモン探偵」シリーズの8作目にあたる『フェロモン探偵 蜜月のロシア』で、一馬の代わりにロシアの富豪の家の襖に絵を描いた映のお話が描かれていましたが、その映の描いた絵がロシアのテレビ番組で取り上げられ、再び、画家「夏川映」が注目を浴びるようになってしまった。
そのことで、映は再び筆を持つにいたるのか―?
というお話なのですが。
今作品は、映が再び絵を描き始めるのか否か、という点に加え、もう一つ、軸になる点が登場します。それは、雪也の過去。彼が何を差し置いても最優先する、「女性」の存在です。
映のことは何からナニまで(そう、ナニまで)知り尽くさないと気が済まない雪也ではありますが、自分のことは一切話そうとしない。その雪也が、映のことよりも優先する事態が起きた。
映が絵の世界に戻るのか悩んでいる時も、絵を描こうと決心しアトリエに籠る時も、雪也は映を置いて出かけてしまう。その「理由」の欠片を、雪也の弟である龍二に聞いた映は動揺するが―。
今シリーズは、基本的には1巻読み切りの体を成していて、それぞれその本だけで完結する手法がとられています。いるのですが、うん。さすがだなあ、と思うのは過去の話が伏線になっているところ。そしてその伏線がきっちりと回収され、その流れで雪也と映の仲が深まっていくところ。だと思われます。
今作品も、これ単体で読めないことはない。序盤に二人の関係や過去の話がうっすらと描かれていますので、前作未読でも話はきちんと理解できます。
できるのですが、彼らの「過去」を知って、そのうえで読むとさらにストーリーに深みが加わり、より萌える作品になる。さすが丸木先生だぜ…、と唸らざるを得ません。
そのうえで、表紙を拝見したときに感じた不穏な空気が、読者を襲う。
雪也が、映以上に優先する、その女性の存在とは―。
まあね、正直ね、ああうん。そういう結末だよね。という展開であることは否めない。否めないのですが、この女性の存在を介し、今巻で明らかになるのは雪也の過去。そして、二人のゆるぎない愛情と信頼のさらなる築きだったように思います。
タイトルの「守りたい人」。
これって、雪也の映への想いかな?と思っていましたが、読後は感想が全然違う。
雪也も、映も。
二人とも、相手を守りたいのではない。
相手を尊重しつつ、支え、信頼し合う、もっともっと深い想いなんじゃないかな。そこに、お互いが、気づいた。そんな風に思いました。
今シリーズは丸木作品の中でも群を抜いてコミカルなお話です。
雪也と映のすれ違う想いを描いた今作品ではありますが、そのコミカルなベースは崩れることはないので、シリアス過ぎず、でもコミカルすぎもしない、バランスのいい作品でした。そこにきての、二人の深い愛情もがっつり描かれているのでめっちゃ萌えました…。
で。
今作品も次作の伏線になってるんだろうなあ…。
という描写が所々で登場します。
ということで、次作も楽しみに待っていようと思います。
映が嫉妬する姿が珍しいと同時に、そんなに雪也を愛してるんだなぁと思うと微笑ましかった。映と雪也はどちらもハイスペックだけど不完全、その不完全さも含めて互いに溺愛してる2人。お互いこの人しかいないくらい濃密な2人だけど、どこか欠けてるように感じてました。それが今作で埋まったなぁと。 映は不安だったのに包み込むように雪也を見守ってて愛を感じました。良いcpになったなぁとしみじみ感動でした。新たなステージに進む2人をまだまだ見ていたいです
本シリーズは実業家兼探偵助と探偵事務所所長のお話です。
受様が画家としての再活動を決める中、
攻様が長く贖罪として関わっていた人物との関係を変えるまで。
受様は日本画の大家と琴の名手という両親の次男として
2人の才を最も受け継いた子供でしたが、
自分の特殊な性質に悩んだ末に家を出て探偵事務所を開きます。
攻様は実家のヤクザ稼業を嫌って起業、
実業家として悠々自適な生活を送っていましたが、
友人の頼みで近づいた受様に惚れ込み押しかけ助手となり、
影に日向に受様を守る番犬と化します。
受様は攻様とかかわりを深める中で徐々に過去を払拭し、
家族との関係も改善、攻様も受様の恋人の地位を確保します。
受様は父の代打としてロシアに赴き襖絵を描いたのですが、
その作品がロシアのテレビ番組で取り上げられた事から
再び日本画家としての活動を始める決意をします。
そして実家近くのアトリエで創作活動に入る事にしますが
正直いつも受様の傍を一時も離れない攻様が
引っ付いてきたら面倒だと思っていました。
ところが最近の攻様は帰りが遅くなったり、
しょっちゅうどこかに出かけていたりと
いつもと違う毎日を送っていたのです。
攻様は受様の何もかもを知りたがり、関わりたがるのに、
受様には自分の事情は何も明かさず、
関わる事を許しません。
今回も受様は知りたい気持ちをぐっと耐えていましたが
探偵事務所にやってきた攻様弟が
ニヤリと笑って意味深にこんな事を漏らすのです。
子猫ちゃんさぁ、知ってる?
兄貴に「特別な」女がいるってこと。
そいつの為なら何でもすんの。
受様は攻様弟のもらした「特別な女」の気配の欠片も
浮気という空気も全く感じられていませんでした。
攻様にそんな「特別な女」が存在するのか!?
そして攻様とその彼女との関係とは!?
シリーズ10作目となる本作は
受様が画家としての活動再開を決意し、
攻様が長く続けてきた贖罪としての関りが明らかになり
2人の関係がまた少し変っていく物語になります♪
いつもは受様特有のフェロモンにより
誰かしらが受様に傾倒して攻様の悋気爆発というのが
シリーズの定番王道パターンなのですが
今回は攻様の過去に比重が寄っていた展開で
ほのぼのシーンはあってもコミカルな笑いは少なめで
シリアスよりな展開で進みます。
受様は何も話さない攻様に苛立ちながらも
どうしたら関われるのかもわからずぐるぐるしますが
受様妹が攻様が若い女性を追いかけている場に遭遇、
すわ浮気かも!?と兄に話した事から
受様は探偵として攻様の相手を探り始めます。
受様が攻様に関する調査をしていく中で
今後にも深く関わりそうな相手が顔を見せつつ
攻様が件の女生徒の関係を変えるまで
どういう関係? どうなっていくの? どうするの? と
ワクワク&ドキドキ、とても楽しく読ませて頂きました♪
今回の初出演キャラも含みがありそうな登場でしたが
本作の受様や攻様の動向に8作目、9作目の主要脇キャラが
関わっているのでは!? という事がチラつかされていて
続刊で彼らがどう関わってくるのかも気になります。
個人的には9作目の敏腕マネージャーが
どう2人に関わっていくのかがとても気になっているので
次作でもぜひ客演して欲しいです (^O^)/