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koigafuchi ectoplasm
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
作家買いです。
エクトプラズムの意味を知らないまま読み始めたので、ちょっとびっくりする展開でした。
主人公は、40手前のゲイリーマン・恭一。
彼はいつも電車で見かける大学生・直哉に密かに恋をしていました。
とあるきっかけで知り合いになれたものの、翌日から直哉は姿を見せなくなってしまいます。
落ち込んだ恭一は、心機一転転居すると、その部屋には幽霊になった直哉がいて…!?
こうしてふたりの奇妙な(?)共同生活が始まるのですが、恭一は年上らしい落ち着きと優しさがあるし、直哉は若者らしい明るさと素直さが本当に魅力的で。
お互いを気遣い合う温かな空気感に癒されました。
もともと直哉が好きだった恭一にとって、直哉との生活はかけがいのない幸せな時間。
ずっと独りぼっちだった直哉にとっても、優しい時間だったと思います。
一緒に暮らすようになり、ますます想いが募る恭一でしたが、それは直哉も同じでした。
すぐ傍にいるのに、触れることができない。
最初から分かってたことだけど、気持ちが重なれば尚更それがもどかしい。
そっと触れるだけのキスをして、「やっぱり何も感触ないや…」というシーンが切なくて切なくて堪らなかったです。
個人的は、そのどうしようもない歯痒さが良いなぁと思った部分だったので、「お湯が…」というあの演出はいらなかったかな。
あそこはとことん切なく、プラトニックでいって欲しかったです。
巻末に描き下ろしの短い漫画が3本あるのですが、「ある朝」が良かったです。
新しい関係、新しい幸せを噛みしめる恭一さんでした。
おめでとう。直哉が本当にいい子なので何も心配してないです!末永く幸せに!
ドキリとする展開。ハラハラしながらも、きっと大丈夫。そんな風に思わせてくれる。
恋ヶ淵にはきっと。恋人たちを優しく導く不思議な力がある。
恭一さんは40歳を目前にして。独り寂しく過ごしているゲイだ。最低な男に最低な捨てられ方をしてから、その事が重くのしかかっていて、気楽に恋をする事も、特定の恋人を作る気にもなれずに、ただ日々を過ごしていた。通勤電車で、遠く、爽やかな青年をこっそり見つめているだけ。そんな密やかな楽しみは、ある日突然消えてしまう。
この、恭一さんの、清潔感はあるんだけど、地味で侘気なところがリアルかと思いきや。女子社員が遠巻きに見つめているところなんか見ると、結構綺麗な男なんだと思われ。最低な男に復縁を迫られたりしてたりもするので、それなりに人好きするんだと思う。
そんな彼が人目を惹きつけないわけは無く。
通勤電車で見つめていた彼も、恭一さんの事をそれとなく目で追っていたのだ。
彼はなぜ、突然消えたのか。
物語は少しミステリーで。後に幽体となって恭一の前に現れた直哉くんに至っては。まるでオカルト。ちょっとビックリしてしまう。作風の雰囲気から、「大丈夫、きっと何か、理由があって。直哉くんは何処かで生きている筈。」と思わせてもくれるんだけど。
ドキハラがジワジワと心に迫ってくる。
幽霊の直哉くんと何気ない日常を過ごす。ご飯を作って食べる。1人分だけど。
それをニコニコと見ている直哉くん。(の霊体。)
話は出来るし、見えるんだけど、触れない。こんなに近くに居るのに。
元々直哉くんに惹かれていた恭一さんは、そんな日常が大切で。いつかずっと続けば良いと願ってしまっている。直哉くんの心残りを癒して、成仏させてあげたい筈なのに。
切なくて。終わりは想像の域を越えないんだけど。切なくて。
読み手側もいつしか、恋人たちの幸せだけを願ってしまうのです。
恋人たちを救う場所、恋ヶ淵。実在したら良いなぁって思っていて。
調べてみたら。恋ヶ窪という駅が国分寺にあるらしい。作者はそれを知っていたのかな。
それは何だか。恭一さんと、直哉くんの住んでいた場所の雰囲気を彷彿とさせる。
すごく素敵でした〜
王道のストーリーなんですよね。
だけど、幸せと切なさが交互に来るストーリーに心揺さぶられ、主人公の恭一にしっかり感情移入できました。
40歳手前のサラリーマン・恭一の楽しみは、電車に乗り合わせるイケメン大学生・直哉を眺めること。
ある日、直哉に助けられたことで知り合いになった二人。
しかし、翌日から直哉は電車に乗って来なくなって……と、いうお話。
実は、ファンタジーな作品です。
直哉に会えなくて落ち込む恭一は引っ越しをするのですが、引っ越し先の部屋には直哉がいました!
なんと、直哉は幽霊になってしまっていて……という展開。
恭一がすごく優しくて、幽霊の直哉のことも大切にしています。
そして、直哉と一緒にいたい気持ちと、成仏させてあげたい気持ちとの葛藤が切ないのですよ。
少しずつ生前の気持ちを思い出していく直哉は、自分の心残りに気付きます。
両想いなのに、今更どうしようもない。
触れたくても触れられない。
──ここがMAX切なかった。
最後まで、自分の幸せより直哉の幸せを願う恭一が素敵でした。
年下らしく真っ直ぐな直哉も好青年で好印象。
恋に一喜一憂する恭一が可愛くて、いくつになっても恋は人を変えるんだなと思いました。
甘くも切なさを感じられる良作です。
ラストは想像通りなのですが、誰もが望むハッピーエンドの形だったのではないでしょうか。
次回作も楽しみにしています!