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manhattan propose
良かったんです。とても感動したし「灼熱の若王と秘されたオメガ騎士」よりは作者様の力量が伺えた良作でした。
同性愛者という事が家族にバレて辛い経験をした2人が上司と部下として出会って、友人となって交流する内にお互いが無くてはならない存在になって行くんです。
それがとても自然に書かれていました。
以下ほとんど内容を書いてますので、知りたく無い方は読まないで下さい。
攻めのアダムは圭よりもとても辛い目に遭っていて、読んでいてとても胸が苦しくなってしまいました。
圭がアダムの部屋に現れた彼の兄の理不尽な態度に憤って、非常階段を使って追いかけて怒りをぶつけるシーンは緊迫感があって息を止めて読んでしまっていました。
アダムという人は真面目でとても誠実で優しい青年なんです。家族からとても辛い目に遭わされて来たのに、父親が危ないと聞けば病院まで行って親族に追い返され、深夜に母親から父親が危ないとビデオ通話が来ても恨み事も口にせず言葉を掛けます。
葬儀の前日の別れの言葉も父親を冒涜する様な事を言いませんでした。
でもそれはずっと孤独で他者と距離を取っていたアダムに圭が寄り添って支えて来たからなんです。
同じくずっと家族から疎まれて来た圭が、マンハッタンに研修生として赴任して来て自分らしく生きようとするんです。
生活に慣れて来て初めて行ったゲイバーを出たところで、レイプされそうになったのを助けてくれたのがアダムでした。
アダムは圭の辛い過去を聞いてその日は圭が怯えないように安心させてくれるんです。
2人の尽かす離れずの友人としての絶妙な距離感の関係がとても素敵でした。
圭は早い段階からアダムを好きになるんですが、ずっと気持ちがバレないようにしています。
でもアダムは薄々気がついていたようなんですが、家族との確執に自分の中で決着が付いてから圭に告白するんです。
それが父親の葬儀に行く前々日でした。そして圭はマンハッタンに帰って来るまで、ずっと一緒に居てアダムを支えて居たのです。
信じて側に居る圭も葬儀の後で圭を気遣うアダムも素晴らしかったです。
そしてマンハッタンに帰って来てから圭をデートに誘うアダムがかなり情熱的でロマンティックだという事が分かります。さすがアメリカ人です。侮ってました。www
でも辛い時に映画を観ながらもアダムが恋を諦めていなかったと知ってホッとしました。圭と出会えたのは運命だったんですね。2人はやっと結ばれるんですが、2人とも初めての恋でゲイばれしてから恋人を作って無いので久しぶりのセックスです。
ここで割礼の話が出て来て凄くビックリするんですが、調べてみたらアメリカでは当たり前に行われてて少なくなって来ているものの本当だと知り驚愕しました。
でもね反対にアダムは圭の下の毛の処理に疑問を抱かなかったのかと思ってしまいました。圭が処理をしているとは思えないので…。
圭は1年半というで研修生ビザで赴任してて、アメリカ支社が就労ビザへの切り替えを打診してくれるのですが、弁護士には切り替えが出来たら奇跡だと言われしまうんです。
だから離れてしまう日まで2人は大切に過ごしていました。
そしてビザ失効までひと月と迫った日に移民弁護士から電話が来て、就労ビザがおりたことを知ります。そして週末デートでアダムに高級レストランでお祝いをしてもらうのですが、圭は帰国しなければならなかった自分との思い出作りの為に予約していた店だと思ってしまうのでした。
2人は恋人同士としてクリスマスの朝を迎えます。アダムが用意した2つのプレゼントのうち小さい方は指輪でした。
アダムはビザがおりなくても一緒に居られるように、圭にプロポーズする為に指輪を用意してレストランを予約していた事を知りました。
圭はアダムの気持ちを知り涙を流しました。そして2人はこれからの事はゆっくりと話し合って決めようと、じっくり考えてお互いにとって最良の道を選びたいと思ったのでした。圭もアダムに指輪を贈ると言って2人はとても幸せそうでした。
なのに!なのにですよ!次には圭はビザの切り替えの為に帰国するんですが、実家に帰って出迎えた母親に「大切なことを話したくて、帰って来たんだ」と家族と自分自身に正直に幸せの形を伝えるって覚悟で終わってたんです…。
盛り上がった所で終わってしまいました…。
出来ればアダムの元に戻って一緒に暮らし始めたとか、数年後に結婚したとか読みたかったです。不満は残りますがとても面白かったので神です。
心に傷を抱える二人が、ニューヨークの片隅で出逢ってー・・・。
と言った、しっとり優しく読ませてくれる素敵なお話でした。
主人公である圭ですが、過去の手痛い出来事から、ゲイだと言う自分の性指向をずっと隠して生きてきた青年なんですね。
そんな彼が、ニューヨーク・マンハッタンに一年半の赴任でやって来た所から、お話はスタート。
こう、マンハッタンでなら、自分自身に正直でいられるかもと、新しい出会いと経験を期待してー。
で、そんな彼が出会ったのが、現地社員であるアダム。
極端に愛想が無く、クールで取っつきにくい人物になるんですね。
二人は、圭が襲われてレイプされそうになっていた所をアダムが助けた事をキッカケに、親しくなって行き・・・と続きます。
いや、う~ん。
作者さんの作品を読むと毎回感心するんですけど、とにかく文化の違いだったり現地の空気感といったものの描写が巧みでして。
今回も、マンハッタンが肌で感じられるようなリアルな描写が印象的なんですよね。
またこちら、マイノリティ故の葛藤や孤独、苦悩と言うのが、しっかり掘り下げて書かれてる作品でして。
実はアダムですが、彼もゲイです。
家族が厳格なキリスト教徒である彼は、同性愛者である事をひどく断罪された。
また、初めての恋人を事故で失い、二度と恋をしないと自分に誓った。
これね、そんな心に傷を抱える二人が、互いの存在で癒されると言う、すごく優しくて深いお話なんですよ。
二人の共に過ごす時間と言うのは、ごくごく普通のありふれたもので、特別な事って何もしてないんですよね。
一緒に食事をして、会話をして、映画を見る。
でもその日常が、すごくあたたかい。
また、最初はアダムに救われた圭。
一人孤独で居続けようとするアダムの心の傷を知り、今度は彼がアダムを救おうとするのに、すごく心を打たれるのです。
こう、アダムに惹かれる彼は、もう一度アダムが恋を出来るよう、純粋に願って行動する。
自分の恋を叶える為じゃなく。
人が人を思う気持ちって、すごく素敵だよなぁと。
う~ん。
家族との関係、自分の性指向、心の傷。
そんなものに丁寧に向き合ったお話なんですよね。
そして、前を向いて歩き出すと言った、とても爽やかで感動的なお話なのです。
テーマがわりと重いんですけど、しっとり優しい雰囲気で読ませてくれるのも素敵だと思んですけど。
まぁそうじゃなくても単純に、二人が共に過ごすシーンだけでやたら萌えちゃうんですけど。
この二人の空気感、友達以上恋人未満って感じで。
こちら、電子専門で100P程度なんですけど、この後の二人も読みたいし文庫化して欲しいですね。
すごく良かった。
作者さんの作品は大体読んでるんですけど、個人的には一番好きです。
ニューヨーク マンハッタンで繰り広げられる、素敵なラブロマンスに浸りました。
タイトルから分かる通りハッピーエンドの物語ではあるのですが、そこに至るまでの過程がただの王道ラブストーリーになっていなかったのがよかったです。
それは、圭とアダムの過去を掘り下げ、苦しみから逃げない姿をしっかり描いているからだと思います。
圭の過去は序盤で明らかにされるのですが、アダムの抱えている闇は後半まで分からないのです。
だからこそ気になって引きつけられたし、分かった時の衝撃も大きかった。
圭だから分かるアダムの苦悩。
一人では立っていられないアダムに寄り添い、どこまでも支えようとする圭が健気でいい子でした。
同情じゃなくて共感。
2人が誠実で優しいのが分かるし、お互いの気持ちを汲んで行動できる思慮深さに感動しました。
恋心を隠しながらゆっくり近付いていく2人が、自然でとてもよかった。
マンハッタンというロケーションもロマンチックで、同じ経験をしてきた2人のシンクロニシティ……ここに運命を感じます。
アダムのキザな部分も、イメージにぴったりで素敵でした♡
〝理解しなくてもいいから、否定はしないでほしい〟
これが、自分らしく生きる自信に繋がると思います。
余韻を残すラストも素晴らしかったです。
分かってもらえなくても、気持ちはきっと伝わると思う。
ゲイであることを家族に知られて腫れ物のように扱われるようになり、生きにくさを感じていた受けが、赴任先のNYで同じ傷を抱える攻めと出会って恋に落ちていくラブロマンス。とっても良かった〜!
テーマがマイノリティに焦点を当てられているので重くなりそうなイメージなのですが、受けの圭が自由の国アメリカで、1年半というタイムリミットがあるからこそ、ここでは自分らしく正直に生きようと決めていて、何事にも素直に前向きに向き合おうとするので、読者もそれにつられてポジティブな気持ちで読めます。とっても健気ないい子です。
ゲイというだけで自分を否定されて周囲に理解されない。傷つけられるまえに自分から距離を取り、防波堤を作ってしまう。そんなお互いの傷も痛みも分かるからこそ、決して強引に踏み込んでいかず、ゆっくりと歩み寄って愛を育んでいくのがとてもロマンチックで良かった。
同情やいっときの激情ではなく、傷の舐め合いともまた違っていて。相手の心地よい距離感で共感することでお互いを癒し、少しずつ惹かれあっていくのが大人の恋愛って感じで自然で素敵でした。
寡黙でシャイだと思っていた攻めが後半めちゃくちゃスパダリになり、大人の包容力ある愛し方で受けを宝物のように扱うのがものすごく萌えた〜。外国人らしくパートナーに対する甘い言葉もベタなアプローチもこれでもかと発揮してきてにやにやした。攻めのアダムが自分が信じると決めた人にはとことん甘い、愛したがりな人だと分かってほっこりでした。
劇的なストーリーや伏線が貼られた練り込まれた物語ではないですが、ゆっくりと丁寧に恋を育んでいく受け攻めが好きな人にはおすすめしたい作品です!ラストも明るい未来を想像させる、余韻を残すラストで素敵でした。
なんて素敵なお話なのだろう。
こちらの作品、すごく好きです。
作家様の別作品が面白かったので、特殊設定ではない現代ものも読んでみたいなと購入したのですが、これが大当たり。
レビューを書いている今、とても心地の良い読後感に包まれています。
自由の国・アメリカを舞台に、自由なようで自由ではない部分や、宗教や文化・習慣の違いを交えながら、男性同士の恋愛を真面目に、じっくりと丁寧に描いた作品でした。
同じ企業に勤務する、恋愛対象が「男性」の圭とアダム。
生まれも育ちも異なる2人ですが、自身のセクシュアリティに関して家族から理解を得ることは叶わず…と、過去に心に傷を負っているところは同じなのです。
これほどまでに自由な国だというのに、自分たちの中ではごくごく普通の恋愛でも、その対象が同性であるだけで、1番認めてほしい家族にはすんなりとは受け入れてもらえず、異質な者として見られてしまう。
アダムの家族の宗教観もあって、場合によっては日本よりも風当たりが厳しい部分もありますね。
差別・偏見・宗教と、かなりセンシティブなテーマを描いているのだけれど、お話のトーンは決して暗くはないのです。
むしろ、すごく前向きで優しいお話だなと感じました。
読み進めていくと、はじめはぼんやりと曇っていた空にうっすらと陽が差して、淡い色でグラデーションを描きながら少しずつ晴れていくようなイメージ。
導入からするりと読みやすく、それでいて非常に丁寧で繊細な描写が光ります。
桜部先生の文章の雰囲気が、なんだか読んでいて「いいな」と心地良さを覚えてしまう文章なんですよね。
すぐに恋愛関係になるのではなく、同じ痛みを知る圭とアダムが出逢い、ゆっくりと一歩ずつ。
心の交流を重ねながら、ただの同僚から友人になり、もっと親しい友人に。
2人の距離の縮まりがアメリカでの何気ない日常生活と会話で自然に表現されているのが良いのです。
傷を舐め合う2人ではなくて、お互いに支え合って前を向く2人だったのも素敵でした。
頑なだったアダムの変化と、圭の前向きさ、そして何より、誠実さと優しさを持ち寄るかのような2人が好きです。
恋愛面に関してはぜひあなたの目で。
こちらもときめきあり、ロマンティックさありで素敵ですよ。
食事・文化・宗教・育った環境。
日本とは異なるアメリカという国の一面をちょっとだけ覗き見ることが出来たような気がします。
食事の描写もひとつでも丁寧で、作中に登場する料理がどれも本当に美味しそうだったんですよね。
うーん、ポップコーンを片手に映画を観たくなりました。
アダムの家族に関しては、もう少し長めに読めればもっと良いまとまりになったかなとは思いますが、それでも自然とこちらの評価を押している自分がいます。
ああ、恋愛っていいな。
読後にはそんな気持ちになれる素敵な作品でした。
NY赴任を機にゲイの自分らしく生きようとする人懐こい主人公が、現地採用の切れ者エリート、アダムに恋する物語。
2人は同僚として出会うのですが、主人公が人を寄せ付けないと言われているアダムと積極的にコミュニケーションをとるなかで、段々と打ち解けていき、ある事件をきっかけにアダムの誠実さと優しさに触れ、次第に心を寄せるようになります。
アダムも実はゲイなのですが、宗教上の理由から家族にゲイであることを否定され、恋人を失って以来、孤独に生きていました。
でも、主人公と出会うことで少しずつ心を開いて前向きになっていきます。
物語の中で、アダムが家族と和解できるかが焦点になる部分が、ご都合主義というか、(ページの枚数の都合もあるでしょうが)駆け足だなあと感じてしまい、正直そこはちょっと気になりました。
宗教と差別というデリケートな話題に敢えて触れるなら、もうちょっと丁寧に描いても良いのでは?と。
(全部がご都合主義的な軽いポルノっぽい物語だったら気にならなかったのだと思うけど、そうじゃないから逆に気になるのかも)
とはいえ、2人の恋愛模様も、行為の仕方も、誠実で丁寧。
全体として優しい物語だなと思いました。
性的指向を否定されてきた者同士が出会い、寄り添い合って前向きに生きていこうと決意していく。勇気をもらえるような優しいストーリーでした。
神評価が多かったので楽しみに取っておいたのですが、うーん、やはり作家様の文章と相性が合わないみたいです、すみません。
だからか、萌え以前にストーリーがすんなりと入ってこなくて…。メインの二人についても、わたしの印象では『運命の王子と幸せのシュガーパン』とカップリングが被っていて、どちらもその魅力が伝わりにくいキャラでした。アダムは属性でいうとクーデレ?ツンデレ?圭は天然?健気?でも結構グイグイ行くから、誘い?
展開においても思わず「いつのまに?」とツッコミを入れてしまう状況が多々ありました。しかもそこ説明大事なところじゃない?と。メインの二人ともがエスパーなみに相手の心情を汲み取り合っていて、その部分を会話シーンで確認することもなく(つまりは読者の了解をとらずに)ストーリーが進んでしまう。読者は推測の域を出ないままどんどん先に連れて行かれます。圭はいつのまにアダムに片想いしてたの?アダムが恋を遠ざける理由をどのタイミングで高木が圭に伝えていたの?アダムってアルコール駄目なタイプじゃなかったっけ?
物語の舞台は、アダムと圭が勤務する総合電機メーカー「サミー」アメリカ本社。本社がアメリカだからとはじめは外資系のアタマで読んでしまっていて、日本企業だったっけ…と確認するために一から読み直したり。(すみません、そこは粗忽で無知な自分のせい。)圭の実家は仕出し料理屋さんなのに本人は料理ができない演出はなんだったのかなとか。でもおせち料理だけは詳しいとか。なんていうか、文章を読みながらわたしの頭の中に想起される色々なイメージと、作者の描きたいとされるものとが、ことごとく噛み合わない感じというか。たぶん、表現にピンとこないことが多かったので、文章との相性に阻まれているだけなんだと思いますが…。
同性愛への理解をテーマに、リアル寄りのお話を書かれる作者の作品はとっても貴重です。でも個人的にはBL萌えって感じもしないし、思いっきりリアリティーに特化したシリアスドラマでもないしなぁ…と、モヤモヤな読後感を持て余してしまいました。
最新作も気になっているんですが、なんだか挫折しそう…。もし次を選ぶなら、作家様のオメガバースかファンタジーにしてみようかな。