「ここに入れろよ……てめえの熱くて太いので、埋めて欲しくて仕方ねえんだ! 」

淫狼 ~インモラル・バディ~

淫狼 ~インモラル・バディ~
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神9
  • 萌×23
  • 萌1
  • 中立3
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
63
評価数
16
平均
4.1 / 5
神率
56.3%
著者
松梶もとや 

作家さんの新作発表
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イラスト
佐々木久美子 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイSLASHノベルズ
発売日
電子発売日
価格
¥890(税抜)  
ISBN
9784799748916

あらすじ

人に興味を持てないタイラは《凶獣》と戦う戦闘部隊に所属する。
ある日、命を救ってくれた別隊のレイに一目惚れするが、
突然バディに指名され共に戦う日々を送ることに。
しかも戦闘後に発情し、淫らに足を開いてタイラを誘ってくるレイの魅力に抗えず、
その体に何度も溺れてしまう。
ただ、どんなに淫靡な痴態を晒しても肌を一切見せないレイに、タイラは疑問を感じ始め…?

表題作淫狼 ~インモラル・バディ~

タイラ=スミス,特殊殲滅部隊,レイのハンドラー
レイ,特殊殲滅部隊のハウンド

レビュー投稿数4

"異質"な一匹狼同士が出会い、知り、深まる

めっっっちゃ良かった!!!!

個人的に攻めと受けの間で命が関わるやりとりや刹那的な生き方にとても弱いので、もぅ…めちゃくちゃ良かったッッ!としか言えない…。攻めがね、すごいんです。諦めないの。繰り返し繰り返ししつこいぐらいに気持ちを伝えるのにグッとくるんですよ(;///;)

世界観は先の姐様も書かれているように某人気漫画の設定は過ぎりました;壁とか壁の外に太刀打ち出来ない生き物がいるとか、成り立ちとか。とはいえ、そんなデジャヴ感は中盤過ぎれば吹き飛びましたね!!!

「生きたい」と「殺して」
「一緒にいたい」と「一緒にいるのが怖い」

相反する感情に苦しみながらも戦う姿に心持って行かれました。切ないです。痛々しいです。そして夢見る姿、ほだされていく過程が甘いッ!すッッッごく良かったです。めっっちゃ好き(;///;)

以下、ネタバレ込みの感想ご注意です。


攻め:タイラは人に興味がなく淡々としています。戦地で怪我を負った仲間に「殺してくれ」と請われたら、望み通りアッサリ殺してしまえるぐらいに。他の兵士達が仲間を失って泣いている姿もタイラには理解出来ません。

そんなタイラが戦地でピンチに陥った時に助けてくれた特殊部隊のレイの圧倒的強さに魅入られ、強く惹きつけられます。その後はずっとレイのことばかり考えていてーーー。

そんなある日、移動が言い渡されました。指令が下ったのは「レイのハンドラー(飼い主)」。憧れたレイの相棒役に心が沸き立ちますが、実際に任務に出向いてやることと言えば、戦闘後のレイの性的興奮を静める役回り。初めて会った時 強烈に憧れたレイとのギャップに戸惑いながらも、どんどんレイにハマっていきます。

受け:レイは不思議な男でした。小さな身体で凶獣を簡単に殺せる力を持ち、戦いが終わったあとは淫らに声をあげてtんkをねだる。エッチが終わればタイラをぞんざいに扱い、近寄らせない雰囲気を放つ。そして決して脱がない。(エッチの時に尻を出すだけで、寝るときも口元のマスクすら絶対外しません)

タイラもレイも孤独な一匹狼のまま、群れ(軍)の中で生きていたんですね。群れにいるから余計に自分は普通とは違う"異質"だと実感する。周囲と馴れ合うことすらできず浮いてしまう。

そんな2人が出会って、少しずつ少しずつ関係が深まっていくのがめちゃくちゃ良きなんですよ!!!タイラはレイの魅力にズブズブなんでせっせと世話を焼くんですね。食事の準備だったり、読み書きが出来ないレイの為に絵本を揃えたりとか。献身的な優しさがグッとくるんですよ~!(絵本とお揃いのカップはキーアイテムになっていて、後半泣きました(;///;))

でもレイはタイラの優しさが怖い。何しても、どんな我が儘も許してくれる優しさが怖い。それはレイの"本当の姿"を知ったらタイラもきっと離れていくだろうから。いつか失うぐらいなら与えて欲しくないというマイナスな気持ちから来ているんですね。前半はレイの強烈な強さが描かれているんですが、話が進むにつれて弱さをさらけ出していくのが切なキュンなんです(;///;)これ、涙腺が緩む…。

タイラはレイのいろんな部分を知る度に愛おしさが増していくので、逃げ腰のレイに繰り返し繰り返し根気よく気持ちを伝え続けます。どんなレイも好き、絶対嫌いにならない、と。レイに強く拒否されるとシュンとなるけど、折れないんです…!あああ年下攻めスキーの萌えを抉ってくるわ~~~~~/////

そんな風に愛されまくったレイはすごく嬉しい反面苦しくて仕方ないんです。そして内緒にしていることがあるから、知られた時を思うとタイラの言葉を信じ切ることが出来ない。その上、レイにはもう時間がないんですね。未来がないんです。

ベッドの上で丸まって「死にたくない」と泣いたレイ。
タイラに「殺してくれ」と願うレイ。

ダメだーーーーーーーー!!!!シンドイ…めっちゃシンドイ…涙止まらん…と思いながら読みました。そんでメリバも覚悟しちゃったよ…。(安心して下さい。ハッピーエンドです!)

ちょっと大きめのネタバレですが、長い眠りにつくレイにタイラがせっせと話しかけるシーンがあります。普通はタイラ視点になりそうなところを、眠っているレイ視点で描かれていたのがめちゃくちゃ良かったです。そのおかげで更にタイラの深い愛を感じられるんですよ~!!!(レビュー書く為に確認作業で本開く度に鼻の奥ツーンとくる…。このシーンすごく好き。)

BL的に萌えた部分を中心に感想を書いたので、ストーリー面ではもっといろんなことがあります。レイだけでなくタイラにも秘密があったりとか。人の心がないと言われていたタイラが仲間を失う悲しみを理解出来るようになったエピソードもグッとくるんですよ!!!

一匹狼同士で不器用な彼らが出会って、共に生活をして、秘密を共有して、愛を知って、交わすようになっていくのが心に響きました。2人とも自らを"異質"と認識していただけに"普通"への憧れも強いんですね。タイラは同じセリフで2度未来を夢見て語るのですが、1回目は切なくて、2回目の多幸感があって。最後まで涙腺が緩みっぱなしでした(;///;)すっごい良かった…!

6

面白かった!

あとがきでデビューノベルズと知って驚きました。これだから知らない作家さんの作品を買うのを止められません。期待の新人作家さんだと思いました。

読み易い文章と面白い展開は勿論の事ですが、受けのレイが獣墜ちしてしまうのか?タイラはどうやって彼を救う事が出来るのかと終盤まで夢中で読みました。

"凶獣"という圧倒的な敵を蹂躙するが如く1人で殲滅するレイの秘密、誰にも何にも関心を持たなかったタイラの理由、それが終盤に一気に繋がって行くのは見事としか言いようがありませんでした。

特効薬が完成するまでの長い間にレイは眠りにつくのですが、たまに覚醒するレイの意識と眠るレイに話しかけるタイラの言葉がとても切ないんです。
そしてタイラの話しかける内容で特効薬の開発状況が分かるのと、覚醒時のレイのタイラに対する気持ちが分かるようになっていたのがまた秀逸でした。

レイに出会う事によって他人に興味を持ち愛するようになって守ろうと成長するタイラと、全てを諦めていたのにタイラに会って救われて愛して未来を生きようと変わるレイがとても魅力的です。

そして特効薬が完成して目覚めたレイに喜ぶタイラが可愛らしいです。素直に言葉にするようになったレイとの甘々振りも是非読んで欲しいと思いました。

4

初長編でこのパワーはスゴい!!

2020年刊。
松梶さんの小説は先に短編『禁忌の密約』のみ読んだ事がある(*注・ガチ兄弟ものです)が、初長編でこのパワーはスゴい!!
今後色々な作風が持ち味の一つになってほしい、期待したい新人さんだ。

あらすじに戦闘部隊云々とあったので、今流行っているほわほわしたファンタジーとは違うんだ…とは感じた。
ただ、突如地上に出現した異形の脅威、人々は壁を構築して防衛している生活…といった序盤から、自分も未だ読んだ事がない進〇の〇人を思い浮かべたクチだったりする。
多分同じ印象を持った姐さんは他にも居るはずだ、間違いない(^_^;)
尤も、この物語で人々の生活を脅かしているのは、"凶獣"と呼ばれる異形の生物だけどね。

まぁそんな出だしを差し引いても、攻めキャラ(タイラ)が主人公で、受けキャラ(レイ)に惹かれて変わっていき、どうにかして彼を救いたいって突き動かされていく話ってのは久々かも知れない。

序盤では他人に全く関心のなかったタイラだが、いきなり目の前に現れて凶獣を滅多刺しにしたレイに強烈に惹かれていく。
特殊殲滅部隊のコンビの片割れ、ハウンド(犬)と称されるレイは凶獣狩りで滅法強いのと相まって、彼自身にも大きな秘密がある。
日頃の様子でレイ自身気ままでわがままなのかと思いきや、実はこれらが物語の謎と繋がっていて、中盤辺りから真相が見えてくる。

それでもレイを想う気持ちに揺らぎがなかったタイラは、何とかレイを以前のように戻したいと懸命に奔走する。
そこから、序盤或いは彼の過去を既に知る読者側は、タイラが心の痛みを知った一人の人として成長した姿を実感できるのだ。
結果、タイラはどうしたのか、レイがどうなったか、凶獣の脅威がその後どうなったかという終盤は、実際に読み終わったら満足できると思う。

ところで、タイラからすると実兄・ジョージとはソリが合わないと感じているようだけど、ジョージからすると彼なりに弟に気をかけているようだよ?
そんな一方通行な家族愛といった仄かな萌えの片鱗もあったのだった。

3

孤独と切なさと、そして深い愛情と。

初読みの作家さまですが、タイトルとあらすじ、そして何より佐々木さんの描かれた表紙に惹かれて購入しました。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






「凶獣」と呼ばれるケモノがいる世界、が舞台。
凶獣は犬に似たシルエットを持つが、大きさはかなり多く、何より人を襲い食らう生き物。凶獣に襲われけがを負った人間は、その後獣化することもある。凶獣から身を守るために人は壁を作り襲われないようにしているが、凶獣を倒すために戦闘部隊が存在している。

主人公は、その戦闘部隊に所属しているタイラ。
人に関心がなく、孤独を好む青年だが、ある日タイラが所属している部隊が凶獣に襲われ全滅の危機に見舞われる。が、そこに、一人の男が現れ、あっという間に凶獣を倒してしまう。

黄色の瞳を持つその男・レイに一瞬で心奪われたタイラだが、実はレイは凶獣を倒すための「特殊殲滅部隊」のメンバー。そして、レイから自分のバディになるよう指名を受け、タイラは憧れのレイと共に凶獣を倒すために奮闘するが―。

というお話。

んー。
巨人と人間の闘いを描いた某人気漫画の様だな、というのが、読み始めたときに感じた正直な感想です。

凶獣から身を守るために壁を作り、部隊が組まれている世界。
小柄で、綺麗で、けれど日本刀一本で凶獣を倒す男。

というバックボーンが非常に似通っているというか。

が、ここからが非常に面白い展開になっていきます。

レイは凶獣を倒した後、男に抱かれたくなってしまう。一人で凶獣を倒すことができるレイがバディを持つ理由は、その要員として「男」が必要だからなのです。
レイはアドレナリンが出て興奮しているから、と説明しますが、この行動がキーポイントになっています。

そしてタイラに抱かれる際、服を脱ぐことはない。
常に黒いマスクと手袋を身に纏い、どんな時でも外すことはない。

そこかしこに撒かれた伏線が非常に秀逸で、それを回収しつつ進むストーリー展開に一気に引きずり込まれました。

レイが強い理由、どんな時でもマスクや手袋、衣類を脱がない理由。
その謎を追う形でストーリーは進んでいきますが、謎めいているのはレイだけではない。タイラも、なのです。

一途にレイを想い、レイのためだけに彼は生きようとする。そのタイラの深い愛情に萌えつつ、タイラもまた抱えるものがある。

彼らはお互いに孤独を感じていて、けれどその境遇を諦めてもいる。が、二人が出会ったことで、足りないものを補うように、心の隙間を埋めていくように急速に惹かれていく。序盤、タイラのレイへの一目惚れのような出会いをすることもあってお互いが惹かれ合うその理由が分からずモヤモヤしますが、彼らの過去や境遇が少しずつ見えてくるにしたがって、その理由もきちんと見えてくるのです。

闘った後のセックスをする相棒として彼らは出会う、というバックボーン故か濡れ場はかなり多いです。多いですが、そのセックスシーンはなんとも哀しげです。エロいとか、綺麗とか、そういう濡れ場ではない。が、そこから彼らが想いを繋ぎ、唯一無二の存在になっていく。その過程のなんと優しく温かなことか。この対比が非常に素晴らしく、より一層萌えが滾りました。

そして佐々木さんの挿絵もイメージにぴったり。この世界観を損なうことないイラストですごく良かった。

あとがきで今作品が松梶さんの「デビューノベルズ」だと書かれています。

今作品の煽り文の

「ここに入れろよ……てめえの熱くて太いので、埋めて欲しくて仕方ねえんだ! 」

という文句、そしてタイトルからエロス満載の作品かな、と思って手に取りましたがなかなか骨太の読みごたえのある作品でした。これがデビュー作とはちょっとびっくり。すごい作家さまが出てきたなという感じ。

次回作も楽しみに待っていようと思います。

8

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