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……俺にこうして抱かれているのはいやか
ookai ouji no katakoi tsumorite
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
こちら、平安時代を舞台とした宮廷ものになります。
狼の耳と尻尾を持って生まれた事から、鄙に置かれて育った親王・敦誉。
左大臣家二の君である幸紀ですが、そんな彼に幼い頃から仕え、まるで兄のように愛情を注いできたんですね。
そんなある日、都を襲った疫病により、敦誉の兄皇子達が皆亡くなるという事態に。
そこで、残された唯一の皇子として、敦誉は御所に呼び戻されますがー・・・と言うものです。
と、こちら、立場だけみると、敦誉が不憫と言うか、かわいそうな印象なんですよね。
こう、田舎に捨て置かれた上に、勝手な都合で振り回される異形の皇子って感じで。
ストーリーとしては、シリアス寄りを想像しちゃうんじゃないかと思うんですけど。
が、実は全然違います。
敦誉ですが、わりと受け以外どうでもいい、結構な執着系攻めなんですよ。
意外としたたかな部分もある。
そう、悲壮感と言うものは1ミリ程度しか無い。
で、対する主人公はと言うと、超鈍い年上美人。
えーと、何だろう。
いい意味で、育ちの良いお坊ちゃんでして、恋愛方面に関してもうぶうぶなんですよね。
主ではあるものの、まるで兄のような気持ちで仕えてきた敦誉。
彼には幸せになってもらいたい。
その為にも「早くいい姫君を見つけて結婚なさいませ!」みたいな。
まぁそんなワケで、全然受けに相手にされていない可哀想な年下攻めが、スネたり懸命にアピールして鈍い相手を手に入れる・・・てなお話になるんですよ。
そう、チグハグな主従コンビのズレまくりの恋愛を楽しむお話になるんですよ!
これ、個人的に一番萌えた部分なんですけど、幸紀のズレっぷりでして。
いやね、元々鈍い受けと言うのは大好きなんですけど、幸紀はちょい天然まで入ってまして。
敦誉なんですけど、聴力の鋭さ故に、雷が大の苦手なのです。
本人は、そう言ってるのです!
そこで、雷が鳴ると幸紀を膝の中に座らせた上に抱き締めて、耳を彼の手でふさいで貰ってとかってやってる。
で、大きく立派になってもこういう所は昔のままだ・・・とかって微笑ましい気分になってる幸紀。
おいおいおい!
騙されてる。
幸紀、絶対騙されてるよ!みたいな。
ちなみに、そんな感じで、主従のズレた恋愛劇が大変萌えるんですけど、ストーリーとしてもちゃんと面白かったりします。
敦誉の出生の謎だったり、宮中での権力争いに絡んで、二人に謀反の嫌疑がかけられと、ハラハラドキドキの展開だったりで。
お話を通して平安貴族の日常も堪能出来と、最後まで飽きずに読ませて貰えるんじゃないでしょうか。
とりあえず、サブキャラで当て馬である幸紀の従兄弟・兼忠がいい男すぎて、彼にもシビレました。
最後になっちゃったんですけど、攻めのキャラ設定上、獣姦ありです。
狼だろうと攻めとのエッチなので(私は)全然問題無いんですけど、苦手な方はご注意下さい。
典雅な平安もの+ケモ耳という異色のコラボ作品です。
一途な攻め×鈍ちんな受けの焦れ恋で、恋心に全く気付いて貰えない攻めのため息の数(笑)
幸紀が支える親王・敦誉には狼の耳と尻尾があり、凶兆として疎まれ、京から遠く離れた山で暮らしていました。
訳あって敦誉が上洛することになり喜ぶ幸紀に対し、敦誉は不満顔でーー…
長きに及ぶ片思いに全く気付かれない敦誉に、事あるごとに姫との恋をすすめてくる幸紀。
気持ちのベクトルはお互いに向いているはずなのに、二人の置かれている立場、幸紀の鈍さがそれを邪魔します。
ここがとても焦ったいけど、敦誉の一途さに触れて幸紀の気持ちがゆっくり変化して行くところが一番の見所でもあると思います。
そもそも、お互いの幸せの価値が異なる二人。
幸紀と居られれば、何処にいても立場などなくても幸せな敦誉と、敦誉の幸せは帝の後継となり、姫を娶り子を成す事だと思っている幸紀。
幸せは自分の外側にあるものではなく、内側から感じられるものだと思います。
自分の幸せのモノサシは自分で決める!
そこが揺らがない敦誉を凄いと思いました。
(ちょっと子どもっぽい所もあるけどね)
それでも、民と国を守るために帝位につくことを承諾する敦誉に胸が熱くなりましたし、最後の最後にようやく幸紀が敦誉を受け入れてくれてホッとしました。ここまでが長いのよ。
敦誉が狼になって幸紀を守ったり、敦誉の姿の由来もファンタジー色全開。
なかなかのオリジナリティーを感じられる作品で、とても面白かったです!
「海辺のリゾートで殺人を」を読んでからちょっとしか経っていないのですが、今回も最後に怒涛のように解決して敦誉に狼耳や尻尾がある謎解きがありました。
神にしたいところだったんですが、受けの幸紀が好きになれずに萌2でした。
まずあまりにも鈍感なのと頭が固いので、途中まで敦誉が可哀想で気の毒でしょうがありませんでした。
敦誉の想いを拒絶した後に宿下りを申し付けられた時には、まさかの受けザマァがあるかと期待してしまった程です。
でも敦誉はワンコ(狼)なので一途でしたね。御上との初めての謁見でのハッキリとした物言いは見事でした。
今回は狼の耳と尻尾を持って生まれて雛に追いやられた親王と
左大臣の正妻に疎まれている優秀な二の君のお話です。
東宮の死で宮中に戻った攻様が政争に巻きこまれながらも受様を離さず
未来の帝の道に辿り着くまで。
攻様は帝の皇子ながらも狼の耳と尻尾を持って生まれます。その姿ゆえに
都から遠く離れた比叡の山で育ちます。攻様自身はここでの暮らしに何の
不満も無いようですが、9才で攻様の側仕えとなった受様は攻様が雛の地で
過ごすのはあまりにひどいと常々思っていました。
受様は左大臣の二の君として生まれます。受様の母は父の寵愛が深く、
母と受様は内親王の位から降嫁した気位の高い正妻に疎まれて育ちます。
その上嫡男はお世辞にも出来がよくなく、父に喜んでもらおうと勉学に
励んだ結果、受様はさらに正妻の反感を買う事になるのです。
受様が攻様の元に遣わされたのは体のいい厄介払いでした。しかし受様が
比叡で出会った攻様は村の子供達よりも汚れてみっともない姿ながらも、
初めて会った都の公達を前に狼の耳や尻尾を隠そうとするいじらしい子供
だったのです。
そんな攻様を不憫に思った受様は満足に躾もされていない4才下の皇子に
皇子らしい振舞を教えようと躍起になります。攻様も「受様のようになり
たい」と何事につけ受様を真似、3年のうちに受様と同じ書を読み、受様
の教育のために遣わされた師について共に学ぶようになります。
攻様自身のたゆまぬ努力もあり、今では四書五経に通じ、古今和歌集を諳
んじ、孫氏の兵法書を読み、歌も読めるし、書もうまく、狼の耳と尻尾
さえなければ、眉目秀麗で才知溢れる若者となります。
そんな折の秋、都を襲った疫病が御所にまで蔓延り、帝の后や皇子を次々
と襲い、攻様を疎んじた中宮も腹違いの兄皇子達も命を落とします。残っ
たのはまだ乳飲み子の皇太孫と皇女たちばかりで、異形であっても皇子は
皇子と攻様が御所に呼び戻される事となりました。
攻様は「今のままでいい」と言い続けていましたが、帝の命に背く事は
出来ません。迎えの牛車も格式も造作も立派なもので大納言が使者に立ち、
東宮の御座所としても使われる昭陽舎に迎えられます。それは攻様を大切
な皇子として遇する意思があると感じられ、受様はとても嬉しくなります。
攻様は比叡に移されてから1度も都に帰った事が無く、父帝の顔を知りま
せん。攻様は大切な儀式である元服の儀には御所に呼んでくれる、父帝も
顔を見せてくれるはずと思っていたのに、目見えられなかった時から父帝
に一切の期待をしなくなっていたのです。
受様は無事に御所に帰る事ができた今、攻様には早くに父子の再会を果た
して欲しいと願っていましたが、なんと帝もまた疫病にかかって褥から
出られない身となっている事を知らされます。
その上攻様は、東宮坊の次官、従五位に叙せられ、副舎の母屋を曹司とし
て与えられていた受様に昭陽舎の東の庇を局として与えると言い出すの
です!!
内裏のうちに殿舎や局を賜るのは寵愛を賜る女御や宮仕えの女房たちで
あり、男子は出仕が基本で副舎に曹司を賜るのは破格な事なのです。そう
訴えると攻様は「今までどおり仕えてくれる気はないのだな」と聞く耳は
なく、受様は局を賜る事になるのです。
そうして始まった御所暮らしですが、攻様は次代の東宮位を巡る政権争い
に巻きこまりる事になります!!
果たして御所に戻った攻様に待ち受ける運命とは!?
そして受様は大切な主君である攻様を護る事ができるのか!?
平安宮廷を舞台に狼の耳と尻尾持ちの攻様とその側仕えとなった受様の
恋を描いたもふもふファンタジーになります♪
攻様の狼耳と尻尾には秘密があるのですが、それ故に獣姦もあるので地雷
な方はご注意くださいませ。
基本は時の帝の皇子ながら生まれ持った狼耳と尻尾のために雛の地に追い
やられた攻様が、都から来た綺麗で優しくて賢い受様に相応しくあろうと
頑張るラブコメ風味なのですが、
都で蔓延した疫病によって次々と帝の血筋の者が倒れたが故に、御所に
攻様が呼び戻されて東宮位を巡る政争に巻き込まれていく事で、攻様の
受様への想いや狼の耳と尻尾がある訳、父帝の本心などが明かされて
いくというハラハラ&ワクワクなストーリーで、たいへん楽しく読ませて
頂きました (^O^)/
受様は正妻に疎まれるくらい才のある子供ですが、様々に噂された攻様に
対しても見た目ではなくその心根こそをまっすぐに見定め、抱き締めてく
れる純粋で優しい子です。
そんな受様だからこそ攻様は受様に恥じない人間でいたいと思い、様々な
努力をしたのだと思います。そしてそんな攻様のいじらしいまでの努力を
もまた受様は褒めて伸ばしてきたのだと思うのですよ。
攻様が小さい頃は鈍すぎる受様に恋してしまった攻様の健気過ぎる頑張り
がいたく可愛いのですが、長じていくとしたたかになって受様の鈍さを
利用して下心いっぱいにおねだりしたり、強引に命令したりしているのが、
もう楽しい過ぎました♡
恋人になってもまだいろいろすれ違ったり、バタバタしそうな2人なので
できたら続編を期待したいです。
平安時代ですが、小難しい設定は無し。攻めは帝になる第一順位の皇子。しかしある理由から都から遠ざけられ不遇の日々を送っていた。しかし孤独な幼年時代に現れたのは4つ年上で聡明な美童の受け(左大臣息子)だった。
というプロローグで物語は始まり、20歳と24歳の青年に成長した2人がこの話の主人公。狼の耳と尻尾を持つ攻め。妖怪的なのではなく、神の力を授けられてそういう容貌になったという感じなので同じ姿の仲間がいなくて孤独です。神の力を持つという事で人格的にも俗世の男性に比べて高潔な人です。受けは出会うまで教育も受けず放って置かれていた攻めの生活マナーや勉強も優しく寄り添いながら教えてきた、住み込みの綺麗な家庭教師のお兄さんという感じです。
お互いを大事に思いながら育ってきた2人の間にはやがて愛が芽生えますが(攻めの方は受けに一目惚れ)、受けが年上なのに鈍くてなかなかそれに気づかないので攻めが気の毒でした。最大の萌えは2人とも初めて同士!ってとこ。やっと初めて結ばれる所はウブな2人が可愛くてたまらなかったです。あっまあまのラッブラブですよ。
この時代の人って性的に早熟だったので20歳×24歳で初体験って今の時代感覚よりかなり奥手って感じだと思うのでそれがまた良いです。
2020年刊。
平安皇族ものらしく所々風流な部分はあるものの、たまーに妙な所で今時な言い回しもあって引っ掛かった点もあった。
まぁ時代ものは読み慣れていないし、逆に堅苦しい言い回しとかを心配していたので、読み易ければそれで良し!!って割り切ろうと思う。
狼の耳と尻尾を持つ以外は申し分のない凛々しさと知性・品格を併せ持つ皇子に育った敦誉(あつたか)は、比叡山で帝位とは無縁の生活をしていた。
しかし、流行り病で異母兄弟が相次いで亡くなった為に異形の姿でも皇子ならば…といった体で望まなくとも都へ呼び戻されてしまった。
幼い頃より側仕えとして敦誉と生活を共にしてきた幸紀は、いずれは誇らしき主君・敦誉を周囲に認めて貰える機会に期待を寄せるのだが、当の敦誉はそんな雪紀の考えが大いに不服でならない。
初めての出逢いから15年も幸紀を慕ってきた敦誉にとっては、彼に常々「いずれはお后をお迎えして~」なんて言われ続けてムッとするのも無理はない。
敦誉が伴侶として愛情を育みたいのは幸紀に対してのみ、といった想いは幸紀の従兄弟・兼忠ですら瞬時に悟ったのに、鈍きは幸紀ばかりなり…
その兼忠だが、そんな幸紀の至らない鈍さを巧みに援助していて、脇役としての有能さに惚れ惚れとした。
ちなみに、敦誉は狼耳と尻尾持ちではあるが獣とは違ってれっきとした人間だ。
狼っぽい変わった一面といえば、満月の夜と幸紀の身に危険が迫った時に変身するのだが、その辺りについてはあまり深く触れられていない。
幸紀との寝屋の絡みも人同士の行為と変わりはないので、人外攻めに期待していたら肩透かしを喰らうって人もいるかも知れないかな。
敦誉が何故狼の耳と尻尾を持って生まれたかの謎は終盤で明らかになる。
その場面では帝の敦誉に対する想いにほっとする反面、母君の不遇さにはちょっぴり切なくなるかな。