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ryouomoi no kakuritsuron
この作家さんは絵柄が気に入って読み始めた作家さんなんですが、間の取り方や雰囲気、台詞にも少しクセというか、特徴があって、読む人によっては分かり辛かったり物足りないと感じる作家さんだと思います。
この作品にもそれは表れていて、時々「ん?」という展開がありました。
とは言うものの、この作品の魅力は正にその「ん?」にあるのではないかと思います。
まず登場人物の関係を説明すると、
・狛澤翠…高校2年で留学を控えている。両親を亡くしており、従兄弟の英の実家に引き取られている。数学大好き。
・加納有衛…翠の親友で高校2年。語学コースに在籍しているが、数学を選択している。中学の時には英が家庭教師をしていた。
・英…翠の従兄弟で、翠と加納の高校の数学教師。
という関係です。
翠の心境は割と早く分かるのですが、加納と英の本音が中々分からなくて、一体誰を好きなんだ?とず~っと気になりつつ読んでました。
この微妙な関係性がこのお話を作っていて、受け様も攻め様の煮え切らない態度にかなりヤキモキさせられるのですが、読者も同じようにヤキモキさせられると思います(笑)。
恋愛度は薄目なんですが、私はこういう作品も結構好きなので楽しめました。
英の立場が絶妙で、結構ひねくれている所が好きでした。
夏乃さんの絵柄は好きなんです。ほぼ小説挿絵で、漫画は(原作つき含め)こちらともう何作かしか拝読していませんが。
ただ、こちらは古いからか絵も少しぎこちない感じはします。それでも、やっぱり絵柄そのものは綺麗で好きではあるんですけどね。
白黒のコントラストのはっきりした画面も、独特の(と感じる)コマ割りも、それ自体はいいんです。
しかし、とにかくキャラクターもストーリーも、何に言及していいのか困ってしまうくらいに意味不明でした。
なんというか、地の文で説明して補える小説ならまだしも、漫画なのに絵や台詞で表されない行間(ではないけど)が多過ぎる気がしました。作家さんの頭の中には、もっときちんとしたお話があるんだろうな~という感じかな。
極端な話、本の裏のあらすじを確認しなきゃキャラクターの想いの方向や、どういう三角なのかさえよくわからないほどでした。
申し訳ありませんが『ストーリー漫画』としてはあまりにも微妙でどうしようもないです。ホントに、絵が好みじゃなければ『しゅみじゃない』でしかない。
ただ、こういう雰囲気というか空気感を楽しむにはいい作品なのかもしれません。あっさりしてさらっと乾いたイメージです。