片想いの相手と駆け落ちしました

kataomoi no aite to kakeochi shimashita

片想いの相手と駆け落ちしました
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神42
  • 萌×227
  • 萌5
  • 中立0
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
14
得点
333
評価数
79
平均
4.3 / 5
神率
53.2%
著者
海野幸 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
大橋キッカ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
電子発売日
価格
¥890(税抜)  
ISBN
9784773060164

あらすじ

逃げられない縁談から晴臣を助けてくれたのは初恋の相手・大我。なぜか交際宣言までしてくれて、駆け落ち同棲生活が始まった!?

表題作片想いの相手と駆け落ちしました

山内大我、初恋相手の同級生
紫藤晴臣、華道の家元の次男、25

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数14

No Title

華道の家元の息子晴臣が兄から見合いを薦められてずっと好きだった幼馴染大我に話を打ち明けたら恋人のふりをすると言ってくれて同居する事になるお話。兄と幼馴染は犬猿の仲でギャフンと言わせてやるみたいなノリで乗ってくれる。だけど晴臣は想いが段々募ってしまって…。箱入り息子だった晴臣が生活の仕方を学んで頑張るところ、生活の変化で花との向き合い方を改めて考えるとこも好きだった。大我との花のエピソードも、職人の手の話もすごく素敵でした!

0

可愛くて悶え死ぬ

小学校の同級生だった町工場の跡取り息子×華道の家元の次男のお話で、現在の年齢としては26歳。なんとこの2人、小4で恋に落ちた両片想い同士でした!

攻めの大我は自工場を守るため、腕のいい職人獲得に向け出稼ぎ中。一方受けの晴臣は次期跡取りの兄から言われたお見合いを断るため、好きな人がいると嘘をつく。大我が帰省していた時に偶然再会を果たし、事情を聞いた大我は2人が付き合っていると嘘をつき、駆け落ちすることに。

そうして始まった2人の同居生活だけど、いいお家のお坊ちゃんな晴臣は一般庶民の金銭感覚がなく、お買い物はセレブ向きのスーパーが定番。その他、水道光熱費など大我1人で生活していた時と必要経費の違いが明るみに。でもそこは擦れてない、純粋なお坊ちゃんの晴臣。愛する大我のため、一般庶民の金銭感覚を大我から聞いたり、図書館で節約術を学んだりと、とてもいじらしいんです。色んなスーパーの底値を確認したり、豆腐屋さんからおからをタダで貰ったりとお坊ちゃんらしからぬかいがいしさを見せるんです。

もうそれだけでも十分可愛いのですが、1番キュンときたのは、大我から晴臣への告白のシーンです。小4の時の思い出に倣って、花束から花を1本ずつ渡しながら「好き」とか好きなところなどを言いながら渡していくんですが、もうそこが私の中では最高の激萌えポイントでした!

他にも、晴臣がいかにお坊ちゃんなのかがセリフの言い回しにも出ていて、育ちの良さもとても良いです◎でも男らしいところもちゃんとあるのでかなり好感度高めです。

また折に触れて何度となく読み返したくなる、そんなお話でした。

1

純愛ってフレーズはこういう恋に使って欲しい

もうね、華道家のおぼっちゃまの小学生の頃のエピソードがたまんないです。

で、そのまま成長してるんです。
そして攻めだけが好きなままです。

で、攻めは一時期は遊んでた様ですけど受けに対する想いは特別なままです。

2人ともキャラが良くて、お互いが特別で、その気持ちが上手く描かれていてたまらなくなります。

健気な2人のピュアな恋が長い時間を経ていきなり駆け落ちから動き始めて、そしてまた過去のエピソードをやり直すところが青臭くて上手いです。

ちゃんと両思いで良かった〜


3

世間知らずな新妻と優しく守る包容力のある旦那


経済観念が全くないぼんぼんがよくぞここまで・・・恋の力は偉大だ。


兄・清雅に勧められた見合いを断るため偶然再会した幼馴染の大我(攻め)に恋人役を頼んだ晴臣(受け)。
茶番だと激高した清雅に駆け落ちでもしてもろと煽られた二人はほとぼりがさめるまで大我の部屋で同居することになります。実は大我は晴臣がずっと忘れられなかった初恋の人で・・・
というところから話がはじまります。

駆け落ちというからどこかへ逃避行するのかと思ったら、攻めの家に家出するだけでした。ちょっと拍子抜けしました。
突然の駆け落ちで動揺した晴臣は携帯電話やカードや着替えなど持ち出せず、ほんの少しの現金だけをもって大我の部屋へ転がり込んだ晴臣が想像以上にボンボンだったことにおどろきました。
自分がいかにセレブな暮らしをしていたかということを知らなかったせいで、数日で持ち出した現金を使い切ってしまいます。
庶民な大我とどうやって暮らすのかとちょっと心配しましたが、恋する男はがんばりました。
図書館などで調べて節約術を駆使するまでに成長したときには驚きました。
世間知らずな幼な妻のような健気さでした。

ちょっとした誤解などもありましたが、終始ほのぼのとした初々しい同棲生活がすごく幸せそうでした。
どうせすぐに終わる同棲生活だから図々しくなってしまおうと開き直る晴臣が、普段は奥ゆかしいのに逞しく見えました。



ただ、大我と清雅の確執はちょっとよくわからなかった。
ずっと二人はいがみ合っていたとういことだったので、てっきり清雅の気持ちに兄が気づいていてブラコンな兄が邪魔してるのかと思っていたのですが、そうでなかったようで、ならなぜそんなに二人は険悪だったのか。
本当に晴臣が作ったバレンタインのクッキーを貰えなかったことが癪に触っただけだったのかしら。このあたりがちょっと謎のままでした。

そもそも、この騒動の発端である清雅持ってきた見合いですが、そんな変化球を使って晴臣と腹を割って話したいなんて考えないで、素直になっていれば兄弟仲もこんなに拗れなかったのにと思ってしまいました。
まぁ、兄弟仲が良かったら二人の駆け落ちはなかったので結果オーライなのですが・・・



私的には幼馴染の拗らせ系の場合でも攻めには一途でいてほしい方なので、大我がずっと晴臣が忘れられないのは男が好きなんじゃないかなんて考えた時点で他の男に走らないで晴臣に向き合ってほしかったです。
そしたら晴臣はこんなに長く拗らせなくてもよかったのに・・・
女性で発散していたってのも不誠実だと思うのでそこもちょっとマイナスでした。
今回のことでも、偶然じゃなくて晴臣を手に入れるべく狙ってとかだったらもっと良かったな。


全体的には「貧乏でも二人でいるだけで幸せ」な二人の新婚生活を覗き見るとい
う感じでとても楽しかったです。

1

なんて素敵な告白シーンなんだ

こんな美しい告白シーン、初めてかもしれない。
素晴らしかった。映像で見たい。いや、脳内には鮮やかに映像が流れました。

海野さんの伏線の張り方がやっぱりすごい好きなんです。
それで勘違いや すれ違いの嵌め方も惚れ惚れしちゃうんですが、何が良いって、読者にはきちんと「ほのめかし」ながら進んで行くところです。
でも途中で「え?あれ?もしかして読み違ってる?」なんてハラハラさせる部分もちりばめつつ、最終的には期待値の場所にきっちり落としてくる。
もちろん、そーだったのか!なんて種明かしもある。

うーん、上手いな!と唸ってしまいます。

5

微笑ましく見守らせてもらいました。

 作家様買いです。
受け攻め様、ともになんともかわいく優しくて、ほんわかさせて頂きました。

 受け様である晴臣は、兄からのお見合いの話を断る口実として、恋人がいると言って、長年片想いしていた攻め様である大我の申し出を有り難く受けて同棲をすることに。
 大我は昔晴臣に助けてもらったお礼であり、犬猿の中である晴臣の兄への意趣返しだと言って、晴臣との同棲生活を快くスタート。

 でも、いけばなの次男坊として何不自由なく暮らしていた晴臣は、経済観念というものがなく、本人の中では無駄遣いをしたわけでもないのに、所持金を使い果たしてしまう訳で。
同棲生活を長引かせたい、大我に必要とされたい、という想いから、一念発起して、節約生活を頑張る晴臣がとてもたくましく、応援しまくりでした。
スーパーの見切り品コーナーで、一緒に節約術や見切り品レシピの話をして盛り上がりたかったです。

 また、大我はそのままの晴臣を受け入れていて、大らかないい攻め様でした。
お金の事では「甲斐性のない旦那で悪い」「いや、内助の功が足りなくて」とお互いを想い合ったあげくに「新婚だから」ってなってて、うわーなんだかわいいじゃないか。
 名前呼びや、おかえりのハグや、ペアリング、と、どう見ても同棲したての甘々カップルの所業があふれかえってて、かわいいしかなかったです。

 2人が相手に恋をした訳が、私から見てもそれは嬉しいよね、と暖かい気持ちにさせてもらえたのでした。
疲れから熱を出した晴臣が、直接伝えることができない、たくさんの想いをこめて「大我」と何度も呼びかけるシーン、他の方もレビューされてましたが、私ももっても好きです。

 最後で大我がたくさんの花を手渡しながら告白するシーンはもう、よかったねぇ、と感無量でした。
そしてまた、えちシーンでの晴臣の「好きにされたい」のセリフ。
好きにして、じゃなく、好きにされたい。
かーーーー、なにその煽り力満タンのかわいいセリフ。
私も大我と一緒にかわいい爆弾をくらってうっとなってしまいました。

 相手を思いやる気持ちを忘れず、努力するガッツもある2人を暖かい気持ちで見守らせて頂きました。

 イラストの大橋キッカ先生。
口絵の、花の下の木漏れ日の中で花を抱えた2人のキスシーン。
背表紙にもありますが、うっとりする美しさですー。

2

いっぱいの

ずうっともだもだうずうずしてしまう可愛さでしたが、それだけでは終わらない大きな愛なお話でした!
皆さま書かれてるクライマックスが、文字だけでもすごい威力だったのに、素晴らしい挿絵が絶妙なタイミングで支えてくれて、ここまでじっくり紡いできた二人の長い年月がばーっと開花するような素晴らしい場面でした。泣きました…!
その直前の晴臣の辛い涙(思い込みからですが)からの、愛としか言えない展開に目の前が熱くなりました。

箱入り息子で世間知らずで、体もそんなに強くなく、人付き合いも得意ではない晴臣が、しゃべると案外ぶっきらぼうなのがとても好きです。華道一家の次男坊がまさに「坊」て感じ。和服多めでもなよなよしてなくて、むしろ男っぽい。
実は内面はいっぱいいっぱいな結果が必要最小限な言葉になってるのですがそこが可愛い。攻の大我くんが、そういう晴臣をとても可愛く思ってるのがひしひし伝わってくるのがもーめちゃくちゃ可愛い!
両片想いでも特に晴臣だけがひとりわかってなくて、全編悶えました。
悶えて悶えて、あの場面を迎えるので、高まりすぎて何か放射してたかもしれない。

晴臣が一途に忘れられないでいる大我との突然の新婚ごっこが可愛くて可愛くて、合間に挟まれる大我の一言一言が、晴臣を大事にして甘やかしてるのがダダ漏れでカッコイイ〜!
ものの値段を考えて生活したことのない晴臣が、節約主夫に目覚めて節約仲間ができてしまう追求ぶりも笑いました。
折々に描かれる晴臣の花の才能とその無自覚さにも、うずうず。
そして、着物を乱す晴臣をちゃんと堪能してしまう大我のおかげで、非常に非常にえっちがえっちでした。始まる前からえっちでした。

途中、この超ブラコンお兄様はひょっとして相姦的な展開に?と少しハラハラしてたのですがそんなことはなかった…私がヨコシマなだけでした。
すごくすごく迷いましたがこのお兄ちゃんでちょっと萌2に。
特典での清雅の言葉はぐっと来ました。

海野先生作品初でしたが追っかけたいと思います。この作品のような幸せな物語をぜひ他にも読みたいです。

4

良かった!

見合いを逃れるために偽装駆け落ち&同棲というお話なんだけど、印象的なシーンがいくつかあって楽しめました。

まず二人の偽装新婚生活描写に萌え転がりました。

超おぼっちゃまゆえ世間一般の金銭感覚を持ち合わせていないんですね、受けは。
だから所持金があっという間に底をついてしまい、ようやく自分がいかに世間知らずで一般的な経済観念を持ち合わせていないか気づくんです。
だけど攻めは、その疎さを決して責めずに「甲斐性のない旦那で悪いな‥…」と言ってくれるんですよ。
優しい〜♡

そこから節約生活を心がけてどんどん逞しくなっていく受けにも好感が持てるし、そこがまた「お金はなくとも愛がある」みたいな貧乏若夫婦みたいでいいんですよ。

ちなみに読者には両片思いなのが見え見えなんだけど、あくまで犬猿の仲である受け兄に一泡吹かせてやりたい一心で、攻めは駆け落ち&同居をしてくれてるにすぎないと受けは思ってるんですね。
だから攻めに本心を悟られないようにクールに装いつつも、密かに幸せを噛み締めている様子がこれまたいじらしいんです。

夫婦茶碗に惹かれるもあくまでごっこだから……と自制して、それでも箸だけでもお揃いにしたいと密かに思う受け。
それを「夫婦箸みたいだな」と攻めに言われて、「まあ、一応、夫婦だからな」と動揺を悟られないように返したりしてるんだけど、端から見ると新婚カップルそのものみたいなやり取りをしているところが萌える。
(そして、後日このときの茶碗を何も言わなくても買ってきてくれる攻めが、これまた優しい。)

私がこの本の中で一番好き&泣いてしまったシーンは、疲労から高熱を出してしまった受けが、何度も何度も攻めの名前を呼ぶシーン。

攻めの本心を勘違いした受けが、この偽装同棲もついに潮時だと思いながらも、傍で心配してくれてる攻めの手を求めるんですね。
握り返してくれる攻めの手の感触を確かめながら、「好きだ」と言えないかわりに何度も何度も攻めの名前を呼ぶんです。
その都度、おう、なんだ、うん、いるよと飽きもせず返してくれる攻め。

伝えられない気持ちを名前に込めて伝える。
相手を心の底から求める愛しさと切なさに満ち満ちてて、何度読んでも泣けます。

そして全編通じて「花」が重要なアイテムとしてあちこち散りばめられているところがとても良かったです。

電子には特別版としてコミコミ特典小冊子の【花の名前】が収録されてて、これがまたとてもいいんですね。
二人にとっての花がいかに特別だったかという過去、そしてこの先も花と共に過ごしていくんだろうな……と未来に思いを馳せることができる点で、全読者に読んでほしいと思える内容でした。


7

歴代最高の告白シーン

ラブコメものだと思い何気なく手に取ったら、確かにラブコメではあるものの、グッとくる台詞や描写が多く、非常に良い意味で裏切られました。
コメディと両片思いのラブな部分にほのぼのとしていると、突然胸をガシッと掴まれるような…
バランスが良く読みやすく、なおかつ細かな描写が素敵な作品です。


あらすじは他レビュアーさまが詳しく書かれているので割愛致します。
華道の家元の次男なお坊ちゃまと、同級生で町工場の倅という2人の再会もの・両片思いが成就するまでのお話です。

今作は皆さまが仰っている通り、何よりも告白シーンがとっっっても良かった…!
1本ずつ花と想いを贈り、やがて花束になる。
このシーンが本当に美しくて、今まで読んだお話の中で1番好きな告白シーンになりました。
小説なのに、まるで映画を観ているかのよう。
どうしてこんなに素敵な描写が思い浮かぶのでしょう…
海野先生の筆力もさることながら、大橋先生の挿絵も素晴らしかったです!
人物は勿論、お花がすごく綺麗で…上記の告白シーンを読みながら想像していた通りの素敵な画がパッと現れます。

告白シーンだけではなく、2人の新婚(?)生活の描写もコミカルで可愛らしいです。
お坊ちゃんゆえに、世間知らずで金銭感覚も怪しい晴臣。
同棲当初は色々とぶっ飛んだお金の使い方をしてしまいますが、根が真面目でとにかく一生懸命なので、失敗からどんどん学び、やがて頼もしいくらいの節約家に!
家を出てから新しく覚えた言葉が見切り品なのに笑ってしまいました。
そんな晴臣に呆れるでもなく、静かに見守りながら良いところは良いと褒める大我。
どっしり余裕がありそうに構えながら、さり気なく晴臣に口説き文句を言うものの、相手はなかなか気が付かず…(笑)
あれこれ理由を付けてさり気なく指輪を買ったり、スキンシップをはかったりする姿も可愛らしかったです。

全編を通して2人ともが尊重し合っているというか、相手のやる事を否定しないのが良かったです。
各職人さんへの尊敬の念が感じられる言動が随所に散りばめられていて、なんだか素敵な2人だなあと思ったんですよね。
幼い頃に恋をしたきっかけになった言葉が、お互いに特に意識をせず自然と出た言葉だったというのも素敵。
ちょっと最後のラブホテルのシーンは駆け足だったかな?
もう少しじっくりと読みたかったななんて。

今後も2人はこの小さな町で幸せに暮らしていって欲しいなと思える良いお話でした。
長年の両片思い・受け大好きな攻め・頑張り屋な受け・ラブコメも切なさもキュンも読みたい!という方におすすめの1冊です。
告白シーンが本当に素敵なので、色んな方に読んで頂きたい…!

4

息が止まるほど美しく、香り立つ告白シーン

華道のお家に生まれた深窓の令息が、後を継ぐ予定の兄から見合いをごり押しされそうになって、長い間片思いしていた幼馴染の町工場の倅と偽装駆け落ちをしましたが……というお話。

海野さんのお話ですから、読者の楽しませ方がとてもお上手。
徹底的な経済観念の薄さであるとか、明らかな倅(大我)の『好き好きモード』に気づかない鈍感ぶりであるとか、令息(晴臣)の現実離れした『深窓ぶり』で笑わせてくれます。
また、晴臣の兄や2人の共通の幼馴染の立花という女子のエピソードも2人の関係を混乱させて、なかなか気を抜けない感じを最終版まで引っ張ります。

でもそれだけだったら、こんなに「いやー、良い本ですよ」とお勧めしたくはならない思うんですね。
だって、こういう言い方もなんですが、似たような筋のお話は何度も読んだことがありますもの。

「じゃあ何がそんなに良かったのか?」と言われれば、大我から晴臣への告白シーンです。
これは私が知っている告白シーンの中でも一二を争う!
何と言ってもここの部分の描写が素晴らしく、そして美しい。
絵が頭に浮かぶ。
そして文章が香るのです。芳香な花の香り。
それらが相まって、恋をしたことのある人なら思い浮かぶ『時が止まる』あの感じが生まれるんです。非常に胸に迫るんですよ、ここが。
恋愛小説におけるロマンティックってこういうことなんじゃないかと!

海野さん、以前から『手練れの方』というイメージがとても強かったのですけれど、今作でもその見事さを見せつけられました。
大我はものづくりに誇りを持っている『町工場の倅』です。晴臣が、爪の間に油が染み込んでいる大河の手を「ものを作っている人の手」と言いますが(このセリフも素敵だったのよね)海野さんの小説を読んで「恋ということをよく分かっていらっしゃる方の文章だよね」と思ってしまいました。
いや、私なんかがこんなことを言うのは僭越なんですけれども。

10

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