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dekiakankei onzoushi youseijo
本当にありそうな設定なので、面白かった。
学院育ちの翔也の引き取り先で起きる色々。
▶シリーズ二冊のうち、スピンオフの「初恋契約」から先に読んでしまった。
・溺愛関係 御曹司養成所 2019/11/ 嗣人x翔
・初恋契約 御曹司養成所 2020/10(スピンオフ) 貴志x理久
学院:「御曹司養成所」:
品のある賢そうな子供を集めて、特殊教育を施す学院。
6歳まで保育舎 7才から18才まで寮生活。
18歳までに引き取り手が無い場合、施設から大学に進学。
・・教育を施し仕立て上げた子供を受け渡す、後継者斡旋所。
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●刀根嗣人:年齢40代?
刀根家の代表。兄綾人が死亡。父も死亡。
祖母に遠慮、訳ありの出自。
●翔也:18歳 学院出身
14歳で面談。求められた要素は、明るい色のくせ毛+色白。
4年後の18才、大企業・刀根家の当主・嗣人に引き取られる。
刀根の亡き兄・綾人の息子「刀根翔也」として入る。
●増山 明通:
祖母の家系のマタ従弟 財産目当て。「学院からきたのか?」と疑い纏わる。
翔也に薬を飲ませて強姦未遂。
●藤倉:
学院のサポートパートナー。
ハピエン。
こちらですね、表紙やタイトルから甘くて可愛いお話を想像しちゃうんじゃないかと思いますが。
実際には、しっとり切なく読ませてくれるお話だと思います。
もんのすごく作者さんのカラーが出てる、切なく優しくどこか透明感のある作品と言うか。
作者さんご本人も書かれてますが、箱庭のような特殊な学園で育った主人公が、外の世界でいかに自分の居場所を作って行くか。
それと、恋をする事で、初めて知る喜びや悲しみ。
そして痛みー。
そんなものが、すごく丁寧に綴られた作品なんですよ。
王道のスレ違いものではあるんですけど、しっかり読ませてくれる主人公の心情が切ないなぁって感じの。
個人的にはこういうお話は大好物ですが、甘さを期待される方はご注意下さい。
ザックリした内容です。
優秀な跡取りを育成して提供する、特殊な学園の生徒・翔也。
彼は巨大グループ企業・刀根家のトップである嗣人に「後継者」として選ばれるんですね。
嗣人の「亡き兄の子」と言う架空のプロフィールの元、刀根家に迎え入れられる翔也。
自分を気遣い、常に見守ってくれる嗣人に惹かれてゆきますが、彼には「忘れられない相手」が居ると知ってしまいー・・・と言うものです。
まずこちら、設定がちょっと面白くてですね。
少子高齢化により、後継者不足が深刻な現代日本。
そこで、政府も一枚かんで、優秀な後継者を育成する学園が創設されたんですね。
で、その学園の生徒である翔也。
彼は四年前に自分と面談して、強い印象を残した刀根家のトップ・嗣人が忘れられずにいたんですね。
そんなある日、再び学園にやって来た嗣人から、後継者として自分の元に来て欲しいと望まれるー。
これ、見処の一つが、主人公の「後継者」として認められる為の奮闘だと思うんですけど。
えーと、嗣人の亡き兄の息子と言う偽のプロフィールの元、屋敷で過ごし、周囲に自分が正当な後継者だと認めさせて行く。
翔也ですが、すごく真面目で心根の真っ直ぐないい子なのです。
自分を必要としてくれただけでは無く、当たり前にちゃんとした人間として思いやってくれる嗣人。
彼の期待に応えたいと、自分の役割を精一杯果たそうとするんですね。
こう、頭の回転も早い為、狸である親戚とのやりとりでも、機転を利かせて乗り切ったりして。
いやなんか、こういうシーンが読んでいて小気味いいのです。
また、祖母に対してなんかは、実の孫のように本当に肉親の情を向けるのが好感を持つ。
いやこれね、嗣人が常に優しく寄り添ってるのも萌えて。
また、そんな嗣人の期待に応えたいと、翔也が一生懸命なのも微笑ましいのです。
と、ここまでは、比較的甘い展開。
が、ここから、翔也の正体を疑う親戚から媚薬を盛られ、関係を持ってしまう二人。
この件をキッカケに、二人の間にスレ違いが生じ・・・。
と、続きます。
繰り返しになりますが、箱庭のような学園を出て、攻めと過ごす事により、主人公の世界が広がって行く所が素敵だと思うのです。
実は翔也ですが、期待に応えなくてはと気負うばかり、かなり手痛い失敗なんかもしちゃうんですよね。
また、嗣人と確かな繋がりがあると思っていたのに、それが自分の勝手な思い込みだと気付くー。
そして深く傷付く。
いや、様々な事を経験して行くワケですが、それが痛いし切ないんだけど、同時に心を打たれるのです。
そう、恋をするって、すごく苦しい。
でも、とても素敵な事なのです。
スレ違い時が結構切ないですし、嗣人には若干イライラする部分もあるんですけど。
いやね、彼もまた誤解をしていて、翔也から離れた方がいいんだと思い込んでるんですよね。
それにしても、ちと冷たくないかい?と。
頼れるのは嗣人だけなんだから、ここは優しくしてやってよ!と。
あと、しつこいですが、タイトルほど内容は甘く無い。
ただ、主人公が自分の居場所を作って行く所が素敵なら、攻めの主人公に対する深い愛情にはグッとくる。
そして、幸せを掴むのにとても嬉しくなる。
そんなワケで、個人的にはとてもツボな作品でした。
〝溺愛〟というタイトルに惹かれ拝読させていただきましたが、
溺愛というほど溺愛ではないような……
甘々なお話だと思っていたのですが、ちょっと違いました。
ちるちるのあらすじザックリしてますねー^^;
翔也は、跡継ぎのいない名家に後継候補者を提供する特殊な学園で育ちました。
引き取り手が現れた子どもは学園を去っていくのですが、
翔也は卒業間近の18歳になっても引き取り手が現れません。
翔也には、4年前に面談した忘れられない人がいるのですが、
その男・刀根嗣人から翔也を後継者として引き取りたいとの申し出があり⁉︎
待ち望んだ形で引き取られた翔也ですが、
4年の間に他の人に引き取られるリスクを考えんかい!
と、思ってしまいました……(^^;;
本作は、一族との揉め事や後継ぎのゴタゴタがメインではありません。
翔也は学園でしっかり教育されていますから、
刀根家でもしっかりそつなく後継者として振る舞います。
あくまでも、翔也と嗣人の恋が作品の軸になっているのです。
途中、親族の明道という男が学園のことを調べ、
翔也にカマをかけた上に興奮剤を飲ませてしまいます。
その熱を和らげるために、翔也は嗣人に抱かれるのですが、
そこから恋心を自覚した翔也の態度が不自然になってしまいます。
嗣人に触れられそうになる度に、
翔也が意識し過ぎてビクつくんですよ。
それで、嗣人も触られたくないのだと勘違いしたりして……
この辺りはちょっとイライラしましたね。
多分、翔也が頭が良すぎて考えすぎちゃうのかもしれません。
色々なことをグルグル考えて先読みしては勘違いしたり……
この勘違いやすれ違いがこの作品のメインであり、
かなり遠回りして両想いになります。
互いに必要とされる喜びを知り、
相手を慕わしい、愛しいという思いは伝わってきますし、
翔也が自分の居場所を見つけることができた幸せなラストには、
ホッと胸を撫で下ろしました。
個人的には、翔也視点で進む本編ではなく、
嗣人目線での電子限定『プラスワン』に萌えました。
今まで知ることができなかった嗣人の気持ちを知ることができ、
どんなに翔也のことを愛しく思っているか分かりました。
疑問に思っていた、なんで翔也を好きになったかも詳しく明かされていて納得。
スッキリしました!
両想い後のHは甘いですが、全体的には甘々ではありません。
もっと嗣人が翔也をデレデレに甘やかす溺愛ぶりが見たかった……というのが、正直なところです。