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ne sawaranaino
大きな盛り上がりはなく、きっとなんてことない話なんだけど、絵の雰囲気と言葉のセンスがさすがとしか言えず、いつ読んでも好きだなあと思える作者だと再確認した。
平気な顔して平気じゃない、感情なんかない顔をして誰かを愛してる、読んでいるこちら側にもなにも察せない(わたしが鈍いだけかもしれない)からこそ、風船が割れるように感情が表情、言動にあふれた瞬間のコマにたまらなくなる。
やきもちをやいたり、些細な喧嘩をしてみたり、いわゆるカップルの日常は辿らないけど、初めてのセックスで「余裕ねえの?」と聞かれて「泣くのをずっと堪えている」なんて答える人がすごく愛しい話だった。
高校時代、親友の四井への気持ちがコントロールできず
四井に自分の気持ちがバレるのを恐れた各務は咄嗟に
『触るな』と言ってしまう。
それから数年経った未だに四井は各務に触れない。
うわーもぉこの時点で尊い!
好きな人の傍に親友として居続けてるのに
決して触れてはこない。。。(泣)
しかし尊いのはここで終わらない!!
「面倒見がいいな」と各務が言えば
四年生に慕われて頼りにされてるまでに世話を焼いてやる四井。
冗談っぽく「ワタシ煙草吸う人嫌い」と各務が言えば
買い溜めしてたカートンを友人にあげキッパリ禁煙の四井。
四井のすべては各務。
各務が言った何気ない一言も絶対に守る四井。
たまらんです!!!
そんな四井が唯一後悔していることは
高校の頃に「触るな」と言われた時に
「わかった」と返事してしまった事。
あぁぁぁぁたまらん。尊い。
見事なまでの両片想いに終始キュンキュンでした!!
独特なタッチの黒沢さんの作品、好きです。
人って誰しも心の奥底までわからないものですけど
距離感がリアルというか、
あまり饒舌に語るタイプじゃないのに目は口ほどにものを言う的な…。
高校からの両片想いこじらせ系でしたが
なんとも言えない雰囲気がありました。
各務が四井に「触るな」と言ったのは四井を嫌いどころか好き過ぎたせいでも
四井にしてみれば拒絶として受け取ってしまうのは当然です。
それでも側にいたくて、嫌われたくなくて
各務の言う事は素直に聞くなんて健気で繊細。
各務を大事に想っているのが周りにもわかってしまうほどに。
でも本人に伝えきらないところが想いの深さを感じました。
各務ももう少し察しやすいタイプならこじれなかったかもしれませんが
きっと四井はそんな各務も好きなんだと思います。
自分の事より他人の為に動けてしまうような各務が。
ちょいちょいクスッと笑えるシーンが入っていて
切なさとのバランスがとれているなぁと個人的に好きなのです。
あと二人の間で交わされる敬語がなんだか愛しい。
四井と各務を知ってくれている顎鬚の矢野が良い味出してました。
カバー裏で「たいていの料理は作れる男」と知り、益々好き。
『君という季節』
読み切りなのがもったいないくらい素敵!!!
同じクラスの男に告白され自分がゲイだと気付いた葉月が
大学進学の為に町を出て行く吉岡へカムアウトするのです。
幼なじみだった頃の“しょうちゃん”呼びが
思いが溢れて泣いて出てしまったのが非常にツボですし
しょうちゃんがね……なんかもう意思の強そうなキリッとした容姿と
心まで男前でどうしたらこんなに良いコに育つのかと…。
小さい頃からお互いに特別だったというシーンが色鮮やかに脳内に浮かんで来ました。
美しい情景です。