誰がお前なんかと結婚するか!

dare ga omae nanka to kekkonsuruka

誰がお前なんかと結婚するか!
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神60
  • 萌×230
  • 萌11
  • 中立1
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
14
得点
454
評価数
107
平均
4.3 / 5
神率
56.1%
著者
千地イチ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥689(税抜)  
ISBN
9784778127374

あらすじ

高校教師の椿征一は、婚活パーティーで軽々しくプロポーズする派手な金髪頭の藤丸レンに呆れていたが、同じヘヴィメタル・バンドのファンだと知り意気投合する。気づけば泥酔し親友への秘めた想いまで喋っていた。藤丸はそんな椿にキスしプロポーズする。ろくに抵抗できないまま抱かれてしまった翌日、藤丸がウェディングドレスブランド『Bararauka』のCEO 兼デザイナーで、椿の親友の仕事相手だとわかり――。

表題作誰がお前なんかと結婚するか!

「Balalaika」CEO兼デザイナー
婚活中の私立高校の数学教師29

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数14

恋愛をこれでもかと真っ向から描いた、とても心に響く作品でした

ずっと本心を押し隠し、完璧を演じ続けてきた主人公に、人の目なんて一切気にせず、自分に正直な攻め。
正反対な二人が出会い、ぶつかってスレ違って、愛しさを覚えたりする。
本音をさらけ出し、カッコ悪くとも素顔を見せる。
そして、自分の全てを素直に受け入れるー。

と、「恋愛」をこれでもかと真っ向から描いた、とても素敵なお話でした。
これ、二人の恋愛を通して、「人生とはなんたるか」を訴えかけてくるんですよね。
いや、婚活パーティーで偶然出会った二人が、誤解やスレ違いを乗り越えて結ばれるー。
と、超シンプルなお話なのです。
なのに、根底にあるものがめちゃくちゃ深い。

個人的にファンタジー好きでして、どちらかと言うと派手で凝った世界観なんかを好むのです。
が、これと言ってどうと言う事のない、ただ二人が恋愛をしてるだけのお話なのに、めちゃくちゃ面白くて。
う~む・・・。
恋愛に、特別派手な演出なんて必要無いんだなぁ。
泣いて笑って、傷ついたり、ときめいたりー。
そうやって、一生懸命相手と向き合ってるだけで、十分特別なんだなぁ。

で、ザックリした内容です。
高校教師である椿。
主人公の彼が婚活パーティーで、偶然隣になった場違いな青年・藤丸と出会った所からスタート。
同じヘヴィメタル・バンドのファンだった事から意気投合し、泥酔状態で一夜の過ちをおかしてしまうんですね。
その後、何故か藤丸からプロポーズされー・・・と言うものです。

椿ですが、実はずっと親友に片思いしてます。
で、その親友の側に居るために、ひたすら努力して完璧な人間を演じ続けてきた。
また、彼はすごく頑固で頭が固くて。
自身の親友への気持ちが恋だとは認めようしないし、自分がゲイだとも認めようとしない。
椿の視点で語れるのですが、なんかこう、本人は気づいてないんですけど、すごく生きにくいだろうなぁと。
こんな毎日、息苦しくないんだろうかと言うのが第一印象なんですよね。

で、そんな彼が出会った、正反対の青年・藤丸。
TPOなど無視し、自分のやりたいように振る舞う。
その最たるものが彼の婚活の理由でして。
実はウエディングドレスのデザイナーなのですが、結婚と言うものが分かっていないとデザインに文句をつけられるため、じゃあ結婚しようみたいな。
こう、結婚と言う事実さえあればいいと思っていて、相手すら誰でもいいのです。
徹底してるのです。
しかも、運命のイタズラか、椿の想い人である親友の仕事相手でもあって。

ここから、その親友・北斗に頼まれて断る事が出来ず、藤丸の面倒を見る羽目になる椿。
藤丸を結婚させるべく、いい男へと磨き上げますが、彼からは「結婚するならあんたがいい」と言われてしまい・・・と言う流れです。

こちら、とにかく二人の恋愛が丁寧に綴られるんですよ。
その中で、藤丸の男としての成長、そして親友への長い片思いを終わらせ、本当の自分と向き合えるようになる主人公が語られる。

最初こそ酔って寝てしまうと言う、最低の始まりだった二人。
それが、少しずつ少しずつ相手を理解し、互いに影響を受け合い、それぞれ変わって行く。
そして、かけがえのない存在へとなってゆく。

主人公の心情を丁寧に追いつつ、二人の変化が鮮やかに語られます。
この、深く掘り下げられた心理描写にすごく心動かされて。

あと、単純にですね、真っ直ぐな藤丸の言動がいいんですよ。
傷ついた時は「他の男を重ねた。プライドが傷ついた」と言い、好きになれば「あんたに夢中だ」と告げる。
また、意外と素直に椿の言う事に従うのも可愛くて。

椿がですね、そんな彼と過ごすうち、初めて楽に呼吸が出来ると感じるんですね。
そこがとても素敵で。
ついでに、気持ちが通じあってからのエッチを、最初の時のエッチと全然違うと思うのにも萌えちゃって。
想いが通じ合えば、重ねた身体も別物になるー。
いや、エッチって愛が無くても出来るけど、逆に愛があれば、これ以上ないほど素敵な行為になるんだなぁと。

他、椿の想い人である親友。
彼のキャラもとても素敵でした。
椿がこれだけ拗らせるワケだねと。
それと表紙がめっちゃ可愛いんですけど、口絵カラーが負けず劣らず素敵なのです。
本編を読了後に再び見ると、胸がジーンと熱くなってしまう。

最後に、自身がゲイだと頑なに認めようとしなかった椿。
彼が終盤で、気負いなく「俺はゲイだ。」とやりとりするのがすごく素敵でした

18

彼とは貴方しか結婚できない!

読み終わって、最高すぎて本当にのたうちまわってしまいました…!
正直、読み始めて今回のカップルの人となりがわかった段階では(うーん、好みじゃない!はずれ!)とさえ思っていたのに…!
テンポ感がよく、それでいてキャラクターの心に寄り添いながら成長を見届けられるような、なかなかこんなに読んでて楽しい作品はないかもしれません。

長年の努力でなんとか作り上げた完璧な男としては認められずにいた同性への片想いに気づかないふりをする受けの椿、そんな片恋相手の自分とはちがって生まれながらに完璧な男である北斗、それに相対するように、欠陥だらけと言っても過言ではないのに、椿の話を道標にどんどん完璧な男に近づいていくレン、どんな完璧な男相手でも肩を並べるにふさわしい椿の教え子・真凛がメインの登場人物のお話です。

先述のように、あらすじには特段書いてないけれど、椿は"北斗の隣にいるための完璧主義・意識高い系で人を見下すような"キャラクターです。言い過ぎかもしれないけど。俺様でもないけど。だから私は「え〜?好きじゃないかも」と思ってしまいました。
ところが、物語冒頭でなりゆきでレンに抱かれることで、本質ではないことが露わになります。

物語が進み、レンと親しくなるにつれて完璧主義「のよう」な椿の脆さが垣間見えて、また、その脆さゆえにすれ違ってしまいます。ここが本当に椿の可愛そうさをよく表しています。とはいえ逆に、誤解に気付いた時の椿のナルシズムに安心するとともに笑ってしまいました。

好きになってもらうための努力をして、完璧に近づいていく一方、レンの前では「完璧」でなくても許されることを知って、完璧な自分だからではなく、「完璧でいる努力をする人となりだから周りの人に愛されている」のだということに気づいていない椿が、かっこいいのにとっても可愛かったです。
椿のことばかり褒めてしまいましたが、
もちろんレンも俺様なのに健気で一途で、
レンが相手だからこんなにも椿のことを好きになれるお話だったと思います。
破れ鍋に綴じ蓋みたいなカップルですが、「支え合う」未来が手に取るように見えるステキな2人です。

北斗のBLのお話も読んでみたいですけど、そうじゃないし、ショートとかで2人を見守る北斗視点の話が読めたらいいな〜
というか、北斗は本当に椿の気持ちに気付いていなかったのか気になります。

今回のレビューで連呼した「完璧」って、魅力的な要因の一つであるのはたしかですが、何を持ってそう言えるのかなんて、感じる側の人間次第だし、不器用でも胸を張って生きられるために努力をし続ける方がよっぽどかカッコいいな、と読者にも訴えてくれていたような気がします。
騙されたと思って読んでみてください!

7

愛のレッスン

婚活パーティで偶然出会った相手と、まさかの偶然が重なりに重なってしまったお話。

ウエディングドレスのデザイナーなのに、愛することや結婚することについてはわかっていないと言われ、とりあえず誰でもいいから結婚さえすればいいとばかりに、婚活パーティに参加していたレン。
親友への感情を認めたくなくて、完璧な結婚を求めるている高校教師の椿。
そんな二人が、好きなヘビメタバンドの話題で盛り上がって、つい、一夜を共にたら、、、。
このお話、椿の職業が高校教師だという設定がとてもよくいかされている。
レン、椿、椿の教え子の女子高生、それぞれの結婚観が、三人互いに作用しあって、それぞれに自分の内面をちゃんと見つめて、それぞれ成長していく。
特にレンの成長が著しくて、とんでもないスパダリに変貌していく。
超ハッピーエンドでした。

7

性格が真反対な二人による恋のシーソーゲーム

千地イチさんの新作ということでとっても楽しみにしてました。

誰でもいいからとりあえず結婚したいという、なんだコイツ!感全開な攻めなんだけど、違和感なく読み進めることができ、いつしか二人の気持ちにしっかり寄り添って読むことができる。
最高でした。

仕事のために結婚したい攻めと、14年間思い続けた親友の結婚にショックを受けるもいまだにゲイである自分を認められず結婚に逃げたい受け。

それぞれ不純な動機で婚活パーティに臨んだ彼らが出会い、マイナーバンドのファンという共通項で盛り上がり、酒の勢いもあって寝てしまう。
翌朝、一夜の過ちとして無かったことにしたい椿(受け)に対して、結婚を迫るレン(攻め)。
性格が真反対な二人による恋のシーソーゲームが面白かった。

レンはウェディングドレスのデザイナーなんだけど、結婚の意味を理解しないと良いウェディングドレスが作れないと言われたからとりあえず結婚したいとか言っちゃうキャラで、「好き」という感情を知らないんですね。

そんなレンが、椿に出会って椿の言葉や存在に化学反応を起こして、「好き」という感情に目覚めていく箇所が好き。
母エピソードを絡めてああいう風に自分を肯定されたら、そしてあんな風に一緒に笑えたら、そりゃ恋に落ちるよね、わかります。

そして「恋愛なんて面倒」なんて言ってたレンが、椿の教えを守ったり恋愛セオリー本を読みまくったりして、教科書通りの恋をしようとするんです。
なんとしても椿を手に入れるために。
不器用なんだけど、一生懸命に。

そこがもう とにかくかわいすぎました!!!
恋は人を変え、成長させるわーと思いました。

一方、親友への気持ちは憧れだと言い聞かせてそばにいた椿の14年にも渡る片思い。
その想いにきちんと終止符を打つところが、切なくも晴れやかで良かったです。
そして、完璧な親友にふさわしいように完璧な自分を演出し続けてきた椿のために、レンがお手製のスーツを作って「完璧な姿」にしてあげる。
切ないのだけど恋を葬った湿っぽさはなく、晴れ晴れとしていてまるで卒業シーンのようだった。
ここがすごく印象に残ります。

あとがきが終わって、一番最後のカラー絵。(親友の結婚式の後だと思う。)
レンの笑顔が本当にかわいい。
一緒にいると思わず笑顔がこぼれる、そして相手の笑顔が見たくなる、そんな関係。
作中の「笑顔」にまつわるエピソードの数々が思い出されて思わずジーンとしちゃいました。
何度でも見返したくなる挿絵でした。

教科書通りの超王道のプロポーズをしたレンだから、次はゼクシィでも買い込んで結婚式のリサーチに励んでほしいです。
こぼれんばかりの笑顔で、全身から幸せを撒き散らして永遠の愛を誓う二人の姿が脳内に広がります。
(でも椿は男同士なのに人前で誓いのキスなんて!と抵抗しそうだけど)
もちろん二人はレンお手製のウェディングスーツを着用です。
きっと、そんな素敵な結婚式を挙げてくれることでしょう!

4

素晴らしかった…

タイトルにつきます。素晴らしかった……
二人の感情の動きや恋していく過程が、これでもかと丁寧に書かれた純度の高いラブストーリーでした。文章がキラキラしてた…

デザイナーでCEO、婚活、プロポーズ、ヘビメタなど……目に入りやすい設定は多いですが、私は二人の日常の描写に惹かれました。
想いってこういう何気ない生活の中で、二人にとっては特別な瞬間を積み重ねて、育まれていくものだよな…なんて柄にもないことを心から思ってしまいます。

また攻めの藤丸レンが……こんな純粋で真っ直ぐな男が世の中にいるのかと…!
温室で育ってきたような男ではないのですが、彼の飾らない、そのままの言葉には心を撃ち抜かれます。
車の中で椿さんに言ったあのセリフ……!読んだ瞬間、一旦本を閉じて放心したあと、部屋中転がり回りました……やられた…

迷ってないでもっと早く読んでおけば良かった…そしたら特典とかも色々あったのにな…悔しくて発狂しそう…
どんな形でも、この二人にまた会えたらとてもとても嬉しいです。

4

胸が苦しくなりました

「あれ?これ、千地イチさんの本じゃん」と気づいたのが先月末。
どうもタイトルと斜め読みしたあらすじがしっくりこなかったんですよね。
読んだらもう夢中になっちゃって。

いや、あらすじにちゃんと書いてあるんですよね。
『泥酔し親友への秘めた想いまで喋っていた』って。
ここをねー、ちゃんと読んで匂いをかぎ取ればよかったんですけどねぇ。最近アンテナの感度が悪くなってきたのかもしれません。

何が良かったかって、椿征一という男はね、高校時代に自分の窮地を救ってくれた北斗という人気者の同級生と友人でいる為に必死で勉強をし、身なりを整え、人当たりを考え、おまけに料理までも覚えちゃうんですよ。
それまでは、人の陰に紛れる様な目立たない生徒だったのに。
ただ自分を救い上げてくれた北斗の側にいて、彼に徹底的に尽くすために生きてきたの。29歳になるまで。
おまけに椿は自分がゲイである自覚がないのよ。
北斗から結婚式での友人代表スピーチを頼まれて、自分では気づかずに投げやりになって藤丸とそういうことになった時に指摘され、初めて気がつくんですよ。これが失恋であることに。

この『鶴の恩返し』感とでも言うか、自分の世界のほぼすべてが『大切な人』のためのものになってしまう感じがたまらんかったんですよ。
椿は北斗の為に無理をしているの。
その無理をすること自体は喜びではあるんです。でも、苦しくなるの。
不可抗力で藤丸と一緒に婚活に行くようになって、自然体でいる楽さを始めて知ったりするんですね。

このお話で私が「素晴らしい!」と思ったのは、そこまでやった椿の想いがきちんと報われることなんですよ。
それは『恋』という形ではないのだけれど。
それがあって初めて、椿は次に進んで行けたんだと思ったんです。
「北斗がダメだったから藤丸に」って言うんじゃなくね、自分がやって来たこと全てが『良い悪い』を超えて自分のものとして蓄えられるって言うか。
私はそのシーンで泣きましたよ。
ああ、いい話だなぁ……

3

お前は本当に結婚したいと思っているのか!

レンは仕事の為に、椿は好きな男を吹っ切るために婚活パーティに参加していて、多分その先の現実的な結婚生活は求めていない。最悪。

レンは初っ端から椿にプロポーズし続け、でも椿は「好き」から始まる恋愛を経ての結婚にこだわっているので相手にしない。
椿はレンの前では素でいられるし、北斗への想いも知られているので、ピッタリの相手だろうにくっつかない(北斗はいい男なので、スピンオフが読みたいけど、女性と結婚してしまい残念)。
結局、体の関係が早すぎた以外は、出会いから嫉妬や告白や色々普通に恋愛していたようだし、よりお互いの想いに気付けたんじゃないかと思う。
レンが最後の方で「恋愛はやっぱり面倒くさい」「だから俺の恋愛は一度きりでいいし、それは全部、あんたに捧げる」と言ったのが印象的。このセリフで神評価に。

BLでプロポーズのシーンが良く出てくるけど、現実ではせいぜい養子縁組なので、早く法律が同性婚を認めるといいね。

2

「好き」を知らないプロポーズ男と真面目な頑固教師


親友に失恋した真面目な男が酔った勢いで関係をもってしまった「好き」を知らない男。実は親友の仕事相手だったことが判明し、親友の頼みが断れなくて世話をしていくうちに失恋の傷が癒され新しい恋をする話。

<あらすじ>
親友に失恋したことを契機に婚活を始めた数学教師の椿(受け)が、ある会場で隣のテーブルに座ったのは会う女性すべてに「俺と結婚しよう」とのたまうプロポーズ男でした。
後の反省会で藤丸レン(攻め)と名乗るその男が言うには「恋愛は面倒くさいが仕事のために結婚はしたい。だから誰でもいい」と。
絶句する椿でしたが、レンは椿が好きなヘヴィメタバンドの大ファンだとわかり酔った勢いもあり意気投合します。
気が付くと、レンが持っているというお宝DVDを借りるためレンの部屋を訪ねていました。
記憶がない中で自分が何故婚活を始めたのかという話をしてしまったらしく、失恋男と結婚したい男で「俺たち、結婚しよう」と流されて関係をもってしまいます。
次の朝、酷い二日酔いと後悔で頭が痛い椿の前に現れたのは親友の北斗でした。
実は、レンは北斗の仕事相手でウエディングドレスのデザイナーだったのです。天才肌のレンに手を焼いている北斗は椿とレンが婚活で友人になったという嘘を真に受けて、レンの婚活を一緒に手伝ってほしいと頼まれます。
親友の頼みを断れない椿は内心嫌々ながら承諾し、レンの面倒をみることにするのです。


椿は高校1年の時北斗に助けられてから、モデルのようにかっこよく文武両道な北斗は椿の憧れでした。彼の親友として隣にいるため、あらゆる努力をしてきました。そんな彼が結婚すると聞いて素直に喜べなかった自分に驚きます。
自分は北斗が好きだったのだと気付き愕然とするのです。
どおりで女性と長続きしないはずです。
椿は北斗を忘れるために婚活に力を入れることにするのです。


レンは母子家庭で早くに母親を亡くし、ただひたすらがむしゃらにウエディングドレスのデザインをしてきました。
天才的な能力を持ちながら、人と接してこなかったため他人を思いやれない性格になっており、現在スランプに陥っています。
「結婚の何たるかを知らない」と言われたことで手っ取り早く結婚してしまおうと婚活を初め片っ端からプロポーズしまくっていたのです。


気楽に「結婚しよう」と言ってくるレンとは関わり合いになりたくなくとも、北斗の頼みにNOはない椿は仕方なく、ことごとく失敗しているプロポーズに対して
「自分を選んで貰いたければきちんと口説け。相手の価値を知り、自分の価値を相手に知らしめろ」とアドバイスします。
婚活にも同行し、服装や行動や言葉遣いに至るまで細々と面倒を見て、極上の男に仕上げるのです。

北斗の親友として、女子高教師として完璧に演じることで自分を保ってきた椿が初めて演じなくていい相手がレンでした。
レンはどっさり渡されたアドバイス本通りに椿を口説いていき、北斗の結婚式でそれは最高潮に達します。
そこでくっついていればめでたしだったのですが、椿は面倒な男でした。
北斗への失恋や病弱な弟がいたため両親に関心を持たれなかった思春期は彼を自己肯定感の低い男に育てていたのです。
すっかり極上の男に育ったレンを見て、自分はいらないんじゃないか、もっとレンにふさわしい女性がいるのでは・・と。

誤解されたのは悪い偶然が重なったからとはいえ、「丁寧に口説いて見せろ」と言われて頑張って口説いたのに、洗練されてきたから自分なんかいらないんじゃないかといじけられるとはレンは夢にも思わなかったのでしょう。あんなに椿のいいところを語ったのに・・・
恋愛なんて「面倒くさい」と言っていたレンがよくも頑張ったものです。

最後のプロポーズは、大っぴらにプロポーズしまくっていたレンらしく、結局大注目されますが、レンの想いの重さは何故か自分に自信のない椿にはぴったりで寂しい二人が喧嘩もしながらも仲良く暮らしていくのでしょう。


登場人物は二人に加え、椿の親友・真崎北斗と椿の教え子JK・井上。
井上は何でも持ってる子なのでやる気がなく椿の劣等感をそそる娘ではありますが、椿推しでレンと椿を応援している子です。
北斗は椿の親友で片想いの相手。
ただ、北斗は椿のことをどう思っていたのかはよくわかりませんでした。
北斗の親友でいるため隙を見せず完璧でいようとする椿を北斗は寂しいと思って
いたのではと思うし、椿の家の事情とか個人的なことすら話していなかったというのは親友なのにと思ったはずです。
もしかして椿の気持ちに気づいてた?
結婚式で意味深にこめかみにキスしたのは何か意味があったんじゃないかと思ってしまうのですが(普通男友達にやらないでしょ)、本当の椿を見せていれば北斗とワンチャンあったのかな。凄ーく気になりました。


「俺はゲイじゃない」と言い張っていた椿が「俺はゲイだから」と言えるようになって良かったです。

0

素直になれない事情持ち

千地イチ先生の主人公は、ほとんどが地味。
この作品の主人公も、真面目な地味系。

高校教師の椿征一は、高校教師。
片思いの北斗が結婚すると知り、傷心。
婚活パーティーで、プロポーズしまくる藤丸レンと、推しのヘヴィメタバンドで意気投合、泥酔してベッドイン。藤丸は椿にプロポーズ。
翌日、藤丸の部屋で目覚めた椿は、北斗の訪問に驚く。
『Bararauka』のCEO兼デザイナーで、北斗の仕事相手だと知り、驚く。

北斗の依頼を断れない椿が、レンの生活の面倒を見ることになる。
レンの寂しい生い立ちを知り、どんどんレンが気になり、構いたくなる椿。

色々あって、二人な相愛の仲になり、椿の要望通りのプロポーズをするレン。
最後まで、素直になり切れない椿が、面白かった。

0

縁は異なもの味なもの

今回はウェディングドレスブランドのCEO兼デザイナーと
親友の結婚で婚活を始める女子高の数学教師のお話です。

受様が親友の結婚で始めた婚活で知り合った攻様の恋人になるまで。

受様は私立女子高校の数学教師です。品行方正で清廉潔白、真面目で優しく
てかっこいい先生として生徒達からも慕われています。

受様には長い付き合いの親友がいます。彼との出会いは高校の時、彼は文武
両道でカッコイイと評判の学年一の人気者で、隣のクラスで目立たない受様
とは接点がありませんでしたが、ある事件で受様の味方となってくれて友人
となります。以来受様は彼の隣にいても恥ずかしくない男でいるべく、常に
己の努力を尽くしてきたのです。

そうして14年来友人付き合いを続けてきますが、2ケ月前に親友から結婚す
ると告げられます。結婚願望が強くない受様でしたが、親友の婚約を機に
婚活を始めるのです。

今日は銀座のレストランバーでの婚活パーティです。妙齢の男女20名が品定
めする中、受様は同世代の婚活女性の多くが求める派手過ぎず平凡で普通の
安牌男を演じていました。

受様には拘る条件はありませんが、今夜のパーティでも興味を持てる女性は
いませんでした。その上、隣の男が複数の相手に「結婚しよう」と口にする
男で益々気が滅入ります。この隣の男が今回の攻様なのです♪

攻様は20代前半で顔はキツメの美形で素材は悪くないものの長めの痛んだ
金髪にダメージジーンズ、ド派手なスカジャンと暇つぶし感覚の冷やかしに
しか見えません。

パーティ終了後は即帰るつもりの受様でしたが、男性の惨敗組の反省会に
誘われます。受様は今後の活動を鑑みて断れず、適当に付き合う気で参加
する事に。

しかしカラオケルームの反省会は愚痴や赤裸々な猥談に走り始め、限界を
感じた受様が腰を上げかけて攻様と目が合い、思いっきり不機嫌に無遠慮な
文句をぶつけられます。受様より自分のほうが良い男なのにと言うのです。

受様から見ればパーティに不似合いな言動の攻様がモテないのは自明の理で
す。しかも受様のプロポーズ大作戦は今回で4度目だと知っては呆れるしか
ありません。なぜと問えば仕事が忙しくて時間がなく、婚活女性相手なら
面倒な恋愛のプロセスが省けるからという謎理論をかまされは黙っていられ
ません。

受様は余計なお世話だとわかっていても、婚活を舐めている攻様に恋愛
フェーズの大切さを熱弁しますが、恋愛が面倒なのに結婚したいという謎
思考の攻様には暖簾に腕押し状態です。

面倒はまっぴらと受様が今度こそ退室しますが、折良くかかった曲が受様が
愛するマニアックなアメリカのヘヴィメタル・バンドのもので思わず、足を
止めてしまいます。それは攻様が入れた曲で、次に受様が目覚めた時には
攻様の家に向かうタクシーの中でした。

受様は同じバンドを好きだと知った攻様と意気投合し、飲めない酒を飲んだ
挙句にバンドのDVDを見たいと言ったらしいのです。受様は自分の婚活理由
の親友の結婚話もしたらしいのですが、覚えは有りません。

荷物の様に放られたベットで唇を奪われた受様は、攻様に趣味も合うし、
一緒にいて楽しいし、後は体の相性が良ければ「俺と結婚しよう」と言われ、
ものは試しと押し倒されてしまうのです!!

翌日、受様は攻様に親友の姿を重ねてしまい最悪な朝を迎えるのですが、
実は攻様は親友の勤めている大手ブライダル会社のウェディングドレスブラ
ンドのCEO兼デザイナーで親友はその担当者だったのです。その上、2人が
友達になったと知った親友に受様は攻様の婚活の手助けまで頼まれる事に!!

果たして受様は攻様の婚活を成功させることが出来るのでしょうか!?

各々の理由で結婚を目指す受様と攻様のドタバタラブコメディになります♪

受様は高校時代からの親友に無自覚なままずっと恋をしていました。しかし
ずっと友情だと思い、彼に相応しい良い男でいる為に努力を積み重ねてきた
為に、親友の縁談で自分の恋情に気付いてもなかなかそれを認められませ
ん。自分はゲイではないと証明するために、親友と今までの関係を続ける為
に婚活を始めるのです。

一方の攻様は母子家庭育ちです。中三で母を過労死で失うと攻様は中卒で
働きながらフリーデザイナーとして活動し始めます。攻様がウェディング
ドレスに拘るのは母が着たかったはずのものだからだったのです。夢の象徴
みたいなものかな。

しかし攻様のつくるウェディングドレスには花嫁へのリスペクトがないと
言われ、攻様は"結婚する"事で全てを解決しようとするのですが、そんな
方法が解決になるバスもないのです。

そして成り行きで親友からこんなめちゃくちゃな攻様を任されてしまった
受様は、世話焼きな体質と完璧主義な気質を存分に発揮した結果、攻様に
大いに気にいられてしまうのですよ (^m^)

そんな2人に受様の担任する女子生徒が絡まって話が進み、攻様が初めての
恋を知り、受様が新しい恋を自覚するまで、正反対な2人の恋模様にドキドキ
&ワクワク楽しく読ませて頂きました♪

傍若無人だけど真っすぐで一途な攻様に振り回されつつも放っておけずに
世話を焼いちゃう受様がけっこういいコンビでしたし、擬態していい先生を
演じていると言いながらも生徒を放っておけない生真面目な受様がとても
良かったです。

受様の親友が受様を評する"強さ"とは真っすぐで真摯な強さであり、己の
中にある信念を曲げない強さ、自分の得にならなくても間違いを糺せる強さ
なのでしょう。そんな受様だからこそ、攻様を変えていき、攻様を受け入れ
る事で自分自身も変わって行けたのかなと思いました。

今回は職業繋がりで榎田尤利さん『誓いは小さく囁くように』をおススメ。
こちらは受様がウェディングドレスのデザイナーです。

6

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