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火崎先生の小説は、地味で派手さはないけれど、
心理描写が丁寧で、主人公のトラウマが癒えていく過程を読むと
読んでいる自分も癒えていくような心持になってしまう。
一冊読むと、シリーズ全部を追って読みたくなりました。
2005年発刊で始まったシリーズで、
主人公が救われていく内容なので、ホッとする。
押し込み強盗が侵入した日、異常を察知した親が、「ここから出てはいけない」と物置に息子を隠して、殺されてしまう。
痙攣する血まみれの両親を見て以来、感情を失い、人が人形に見えてしまうようになる如月巳波。
夢を見ると、フラッシュバックを起こして、体温が下がってしまう。
雨の中で濡れそぼる捨て犬のようだと、如月の面倒をみる尾崎一雅。
或る晩、尾崎が刺されて倒れている姿を見て、絶叫する如月。
でも尾崎は死ななかった。蘇る尾崎を見て、如月に変化が起きる。
尾崎は、如月にとって「生きている人間」として認知できるたった一人の人。
尾崎と離れたくなくて努力する如月がいじらしい。
・・色々な事件に巻き込まれて、如月が変わっていく過程の描写が良い。
運命を変える出会いがあって生き直すチャンスを得た物語。
いいお話でした。初めての作家さんです。
過酷な過去のトラウマものは苦手なんですよね。しかも繰り返し繰り返し。
そんなトラウマを抱える如月をそばに置く元ヤクザの尾崎。
如月がいても平気で女を連れ込んでしっぽりやっちゃって。
このお互いに気を使わない関係が如月には居心地が良くて…。
しかし、尾崎が刺されてから急展開します。
もぉー、如月よ、卑屈すぎ!こんなに大事にされてるのに!迷走して尾崎と距離を置こうとして。素直になれよーーー!と何度も思いました。
いや、自分が可哀想だから尾崎はきっと…、もし自分の気持ちがバレたら…とかわかるんだけど。
ラーメン屋さんのグッジョブで無事に想いが通い合い、氷の心が溶けて閉ざされた扉も開いて。でもただ一人の大切な男は尾崎だけ。
尾崎の深い愛にしびれました。
めでたしめでたし。
攻めはもう3年前に組を解散したんですが、カタギになった今でも昔のしがらみをかかえる男。
そんな男が子供の頃からのトラウマをかかえる受けを暖かく見守る物語です。
受けは人を「もの」としか見ていないので、愛情とか友情という感情が少し欠けている所があり、攻めもそれを知っています。
それがある事件がきっかけで、受けの攻めを見る目に変化が訪れます。
それからがとても切なかったですね。
しかもとてもじれったかったです。でもそこがいいんですけれども・・・。
まさにタイトルが内容を如実に表していると思います。
タイトルの候補には
起動 リモート リムーブ
なんてのがあったらしいですが、やはり決まったものが一番いいですね
主人公である如月は幼い頃のトラウマから、人間を「もの」としか見ることができません
だから周りの人間の反応や行動に意味を感じず、ひどく無感動な性格をしてます
ただそう書くと淡々としてるクールな受けを想像すると思うんですが、そういうわけでもなく…
バーテンとしてはきちんと愛想笑いもするし、心配してくれるマスター達には感謝もしている。
ただ、そこに感情が揺り動かされることはない、ということです
そんな如月ですが、今回の攻め・尾崎に対してだけは最初から多少なりとも気持ちを揺さぶられていた気がするんですよね!
周囲の邪推とはかけ離れた、清廉潔白(?)な同居をしていた二人が、あることをきっかけに距離を縮めるんですが…
尾崎を「もの」ではなく「人間」であるという当たり前とも言える…けれど如月にとっては初めての認識をしてしまってからの如月は、本当に初な乙女という感じでした
触られただけで意識してしまうし気軽に返せていた下ネタにも頬を赤らめてしまう始末。
クールビューティーといった印象の如月のそんな反応は、ありがちですが反則でしょうという感じで可愛かったです
やはりクールビューティーには溺愛系の多少傲慢な攻めがお似合いですね!
ヤクザの抗争も絡んではきますが、今作は完璧にキャラ萌えでした(*´∇`*)