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bokura wa yoru ni kawareru kemono
初買いの作者様です。
以前から気になっていて今回手に取りました。
絵柄はとても綺麗でお上手だと思います
個人的にはめちゃくちゃ好みでした。
自分の事をあまり話さない寡黙な攻×親に問題有な健気で真面目な受というカプです。
お話は夜間高校が舞台。
タイプが違う岩月(攻)と鳴(受)。
漠然と自分とは違う岩月に対して苦手意識を持っていた鳴。
だがある夜、鳴のとある現場を見られたことで岩月に声を掛けられといった感じで始まります。
物語自体は淡々と進んでいきますが個人的にはソコが逆に良かったですね。
夜間高校を夜の動物園に見立てて少しシリアスな世界観のお話で物静かな雰囲気の中で必死で恋をする鳴と岩月といった感じでした。
岩月の視点もあるので二人の感情の動きはきちんと分かりました。
ただ寡黙で無表情攻が苦手な私はあまり岩月を好きにはなれず…
もう少し表情が動いてくれればもっと良かった…
でも鳴は凄く可愛かったです。
身勝手な親に振り回されても腐らず捻くれず今自分が出来ることを精一杯やりながら周りともきちんと関係を築いている鳴が本当に可愛かったです。
描き下ろしは成人を迎えた二人の話でここでも激的な展開は無いんですがなんだかニマニマしてしまうといった感じでした。
激しい展開はありませんが静かにゆっくりと恋をする二人を見守る系の話が好きな方にはおすすめです。
良い話というか、良い漫画というか、良い本だった。
「うわー!すごいいい!」というより、じわじわ、しみじみ、染みてきて良くなる感じです。
なんかすごい丁寧に作られた刺繍見たような感覚?
傷ついた動物が寄り添ってじっとしているような話なんですけど、
辛いけど拠り所が出来て、先行きが明るくなっていく展開が気持ちいい。
主人公が登場人物を動物に例えて、それと共に動物の絵も沢山描かれているのだけど、ユキヒョウって珍しいなぁとほくほくしました。ライオンやトラ、ヒョウはよくあるけど、ここ来るか~。
どんどんユキヒョウが可愛くなってくのがたまらんですなw
つーか最後のおまけ?イラストがユキヒョウの全身って、本当に好きなんですねw
漫画描く人は躍動感たっぷり、動きが感じられる「動画タイプ」と瞬間を切り取った写真を描いたような「静止画タイプ」に分かれると思うのですが、七微さんは静止画タイプの人です。
夜間高校を夜の動物園に例えた発想が独創的…
どこか寂しげで、ダークな雰囲気をまとった世界観が表現されています。
そして、ダークなだけでなくコミカルな描写も多く、後半は違った印象の仕上がりが面白かったです。
ただ、あえて下手うまな表現にしているのか解りませんが、
個人的に画のタッチが好みではなく、夜を強調しすぎて極端な表現になっているようにも感じました。
それぞれの事情で夜間高校に通う生徒を動物に例え、夜の学校を夜の動物園と表現する鳴。
色んな動物がいる中で、不憫な境遇の自分を地に這いつくばる黒猫に例え、
同じクラスの岩月を気高いユキヒョウに見立てる。
岩月はどこか人を見下しているようにみえ、黒猫の自分など一溜りもなく喰われてしまうレベルの強者。
不躾で飄々とした存在感の岩月に、ひょんな事から飼われることになった鳴…
岩月は大きな家に一人暮らしで生活感がなく、同じベッドで寝る時には腕を拘束されるが眠るだけ。
鳴には借金で立ち行かない父と出稼ぎで離れた母がおり、
母の言葉を信じて夜間高校へ通う為に、バイトやウリをして自力で孤軍奮闘していましたが、
母は新しい家庭を持つために鳴に別れを告げます。
このやりとりがせつない…自力で頑張る子どもよりも男を選ぶ、
母でなく女としての自分を選ぶんですが、子どもにとって何より残酷な場面です。
それで折れることなく、岩月に支えられ大人の一歩を踏み出す展開が救いでした。
そして浮世離れして見える岩月もまた、お金持ちの両親が離婚して各々が新しい家庭を持ち、
一人元の家で生活することを選択し、親に頼らず生活する為に昼は働き夜間高校へ。
岩月が鳴を重ねてみていた写真の子も、親によって不幸になっていました。
鳴を拘束して寝る理由が実は解りやすくて、素直に寂しさを告白する岩月が愛しくなります。
この作品は、大人の都合で愛情に恵まれない子どもが、自分の力で立ちあがり力強く前進する…
そして、空虚な寂しさを無意識に埋めようとしているような気がします。
他にも、世間の目に潰されず自分の足で立って強く生きる生徒の姿が描かれており、
初めの印象と違った目線で、夜の学校に通う生徒を見ることができます。
岩月と鳴は寂しさを埋め合うだけでなく、
岩月の不躾な言葉も、後半になると慣れて笑いのネタになるレベル。
お互いを支え合う存在ではありながら、寄り掛かりすぎない関係を保とうとする二人はすごく大人です。
だからこそ、お互いを尊重して関係が続くんだろうなぁと実感します。
岩月は独特の存在感が魅力的ですが、繋がった二人の関係の変化が一番萌えました…。
ユキヒョウが従順な大型動物になっていて、鳴に甘えまくる姿がカワイイ!
感情表現が少なく、表情に出ない解り難いタイプなので、普通に鳴に縋って甘えるなんて。
描き下ろしのあまイチャ最高でした!
※シーモア:修正不要な描写です。
定時制夜間高校に通う鳴と、クラスメイトの岩月のお話。
母親は出稼ぎに行っててあまり働かない父親と二人暮らしの
貧しい鳴に、施しのように落ちたシャーペンじゃ現金を
あげようとしてくる岩月。
意図が分からず尋ねる鳴に「服に穴空いてるしガリガリだから」と
超不躾。しかも無表情で(笑)
父親が蒸発し家賃が払えなくなった鳴が
困って学校に泊まろうとしていたら
「俺が飼ってあげる」と言い出す岩月。
不本意ながらも岩月の一人で暮らす広い自宅に泊まる事に。
謎過ぎる岩月の行動は家出も続き
寝るときは鳴の両手をタオルで緩く結び抱き枕のように抱えて眠る。。。
なかなか岩月の意図も感情も分からないでワクワクドキドキで楽しめました。
作中に鳴が夜間学校を「夜の動物園」と表現し
いろんなクラスメイトを動物で表しますが
岩月を”ユキヒョウ”
自分を”黒猫”と現し2匹の描写がちょくちょく出てきます。
そのユキヒョウと黒猫の描写が1冊通してとても印象的で素敵でした♡
エピローグと描き下ろしのユキヒョウは
本編の獣感はなく可愛くなっちゃってるのが
これまたたまらなかったです♡
夜間高校を舞台に、夜の静かな世界を主軸とした切ないお話です。
夜間高校に通う鳴は、仕事の続かない父と出稼ぎに出ている母を支えるため、一生懸命働いています。
夜の学校には色んな人がいて、事情も様々。中でも鳴は、同じクラスの岩月が苦手。
人を見下すような雰囲気は、鳴が「夜の動物園」と例える学校の中でも何だか異質です。
ある夜、鳴が少しでも稼ぐためにとしているウリの現場を岩月に見られてしまう。
すると翌日、岩月は「体を売るよりマシだ」とお金を差し出してくる。
拒絶する鳴だったが、父親が失踪したことで住むところを失い、自分を「可哀相だ」と言う岩月に飼われることに。
「飼われる」といっても主従関係のようなことはなく、暴力的なことも全くありません。
岩月は「可哀相だから保護する」という言葉の通り、鳴を愛でるように扱います。
人肌恋しいのか寄り添いたがる岩月は、なぜか鳴の手を縛って眠る。
それから時々触れ合うようになり、何と表現することのできない関係になっていく二人。
やがて岩月の私物に、幼い頃の岩月と映る自分と似た男の子の写真を見つけ、彼の抱える闇を知りたいと思う鳴。
抱き返すことを望まれない手を振りほどき、抱きしめ合いたい。愛し合いたい。
切ない展開が続きますが、極端に暗いとか残酷だということはなく、不器用な二人が少しずつ寄り添っていくお話なので、纏っている空気から想像するより優しく甘い物語です。
最終話と描き下ろしは恋人となった二人のエッチでイチャイチャなお話で、最終的には幸せいっぱいの気持ちになれます。
特に、鳴をして「かわいくなった」と言わしめる、高圧的で近寄りがたかった岩月の変貌は必見。
大型肉食獣攻めが、小動物の受けに甘えてべったりな様子が微笑ましい。攻めを飼いならす受け、最高ですね。
インタビューで先生がユキヒョウと表現されている岩月は、美しく気高く、孤独な雰囲気を纏っています。
対する鳴は黒猫ということで、強くて大きな存在ながら本当は寂しがりなユキヒョウが、自分より小さく弱い黒猫を守りつつ、やがてお互いが支え合いかけがえのない存在になっていきます。
二人の姿が時折ユキヒョウと黒猫として描かれているのも印象的です。