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last kiss kara hajimeyou
表題作が褐色攻めです。
これ、表紙でちょっと損してる気がする。
ジェイク(表紙の彼)カッコイイです!
そしてこの表紙からはちょっと想像つきませんが、一つ前にレビューした「懺悔」とそう変わらないくらいに、これもなかなか暗いトーン揃いの短編集です。
「懺悔」が背徳感のもたらす暗さなら、こちらは刹那的・破滅思考的な暗さかな。
90年代半ばの時代性がガシガシ反映されている感じがします。
暗いけれど良い。
「ラストキスから始めよう」
高校生〔ケイゴ〕の家に、子供の頃ひと夏だけ一緒に過ごしたアメリカ在住の従兄弟〔ジェイク〕がやってきて始まる、6年越しの再会ラブストーリー。
恋の自覚はなくとも好き合ってキスを交わしていた二人だけど、夏休みが終わって別れなきゃいけない寂しさからケイゴの酷い言葉でジェイクを傷つけて離れ離れになってしまい、その後ジェイクの日本留学で6年ぶりに再会するも素直になれないまま身体の関係だけは持って…なお話。
ドラマティックにクサいラストがカッコよくっていい!
本作の前日譚「BLUE PERIOD」が『苦い果実』に収録されています。
本作でも触れられている、ジェイクとジェイクの初めての男ロニーとのお話です。
また、新装版『懺悔』では「ラストキスから始めよう」、「BLUE PERIOD」、↓の「本編まで何マイル?」をまとめて読むことが出来ます。
「本編まで何マイル?~ブラザージェイクの多難な日々~」
「ラストキスから始めよう」の後日譚。
本編とは打って変わってシリアス要素ゼロ、おバカなノリのショートストーリーです。
「OUT OF BLUE~汚れた天使」
「Punch↑」のプロトタイプ的作品にも思える記憶障害モノ。
二度にわたる絞殺のトラウマから10歳児に退行してしまった青年と、彼を預かって面倒を見ている主人公のお話です。
絞殺の痕が首に残る青年の危うさと、10歳児の少年のあどけなさと、元の彼が持つ男を溺れさすような魔性性が合わさった〔尚哉〕のキャラは、イケナイ欲望をストレートにつついてきます。
叔父と甥かと思って読んでいた主人公と尚哉の関係は作中で少しずつ明らかになっていくのですが、彼らの関係がまたインモラル。
後ろ暗いエロスを刺激される作品でした。
「ズルい男」
親の再婚で家族になった義兄弟のお話。
これもなかなかの仄暗さとエロティックさです。
セックスなんて興味ありませんよって顔してる奴は大体淫乱だし策士よな。
「瞬きの季節」
自動車事故の加害者と被害者。
「オープンカーを乗り回すホスト」という攻めのキャラ設定に時代を感じます。
唯一明るめトーンのお話か?と思ったのも束の間、やっぱりこれも暗くって、ラストにいたっては一番重い…。
人生のほんの一瞬だけ交錯したホストとチンピラの刹那のお話。
「吸血と給血と。」
いわゆる「バンパイアイズム(吸血性愛)」ってやつですな。
血を吸い/吸われ行為のエロティシズム。
耽美調ですが、ストーリーとしてはブッ飛んでます。
しうこ作品って、トーンはコミカルなのにどこか暗さが拭いきれなくてじっとりしててそこが好きだなぁと思って読んでたんですけど、ここらへんの時代の作品を読むと、ああいかにも私が好きになりそうな作家様だわと納得します。
表題作『ラストキスから始めよう』のジェイクが表紙のコミックス。しうこ先生のコミックスの中でも、肌色率が高い表紙です。時代を考えると、かなりHな表紙でした。それが『メイキングオブ「ラストキスから始めよう」』で描き下ろしされていて、面白いです~。表紙がHだと売れ行きに影響があったんだとか・・・。買うのが恥ずかしくて買えないってことなんでしょうね。
原画をみて担当さんが散々笑った後に「ワイルドでいきましょー」と言って、表紙になったそうです。デザインは麗人の表紙デザインも手掛けている末沢瑛一さんです。「憧れの末沢さん」と鹿乃先生が添えた想像図は洗練された素敵な男性ですが、会ったことはなかったらしい(笑)
竹書房から出版されたしうこ先生のコミックスのデザインは最新作の『フェイク♂』まですべて末沢さんですね!ファースト画集も末沢さんでした。
さて本編ですが、現在のしうこ先生はシリアスとユーモアの絶妙なバランスが持ち味の作家様ですが、この作品はシリアス一辺倒です!重くて苦しくて切ない。ジェイクが黒人と日本人のハーフと言うことで、今では絶対に描かれないような差別めいた台詞を吐くシーンもあります。Hシーンは昔から定評のある先生ですのでがっつり濃厚。絵柄は今とは違うけど、絡んだポーズとかはこの頃から本当に上手いです!ジェイクのアメリカでの中学時代のお話の「BLUE PERIOD」が『苦い果実』と『懺悔ー麗人セレクションDX』に収録されています。
表題作以外には「記憶喪失もの」「義兄弟もの」「刺青もの」と続き、最後の『吸血と給血と。』は麗人の創刊号に掲載された作品でした!
麗人と言えば今年20周年号が発売された所です。20年も前のしうこ作品は謎めいた吸血鬼ものでした。耽美な作風なのだけど、意味はよくわからないです^^;時代ですねー。
本編はシリアスですが、ラストキスの番外編に現在の片鱗が見えます。というか、現在のしうこ先生そのものです!鼻息荒く圭吾の体を狙うジェイクの日常が、ユーモアいっぱいに描かれていて、テンポやオチへの勘の良さはこの頃から健在です。
そういえばプライベートなあとがきがユーモアいっぱいなのは、今も昔も変わりませんね。
『懺悔ー麗人セレクションDX』で知ったのですが、このコミックスの増刷には、もう一遍ラスキスの描き下ろしが収録されているようです。フランクフルトを咥える圭吾を見て、鼻血を出すジェイクのイラストに(その後追加収録となりました)と注意書きがありました。私の『ラストキス~』は初版なのですが、いつから収録されたのでしょう?知っている方がいましたら教えてください。
迷宮のリコリスさん
『懺悔ー麗人セレクションDX』の方にコメント貰ったあとがきの件ですけど、
私の手元にあるラスキスは第8版ですが、新たな描き下ろしは追加されていないです。
思うに多分、しうこ先生があとがきを書かれた時点では収録予定じゃなかった「本編まで何マイル!?~ブラザージェイクの多難な日々~」が追加収録されたって意味じゃないかな?って思ってるんですけど、どうだろう。
1993~1996年に『麗人』に掲載された5つの作品と描き下ろしで表題作の番外編とスペシャル特番『メイキング オブ「ラストキスから始めよう」』が収録されています。
こちらも鹿乃さんの初期作品とあって、シリアスでダーク色が濃い目の作品集でした。
主人公達がお互いに素直になれず意地を張ってこじれてしまうという流れに加えて、登場人物のバックグラウンドが複雑で更にややこしくなったり、ダークな感情が入り込んだりという、この時代特有の要素を感じます。
収録作品中、一番ハッピーな結末と思えた表題作が一番好きでした。
特にジェイクが魅力的で、この2人のお話はもっと読みたいと思いました。
一番マニアックだったのは、収録作品中雑誌発表が一番古い『吸血と給血と。』。
扱われているネタは好きなのですが、こういう極端なマニアックさは今まで見たことないかも…。ちょっとびっくりした作品でした。
表題作の描き下ろし番外編は本編とはうって変わってコミカルな作品で思わず笑ってしまいました。
ジェイクがお笑いキャラのようになっていて、本編でもこんなだったら可愛かったのに、と思ってしまいました。
漢字の問題にもご注目を。
迷宮のリコリス
みみみ。さん
そういう意味か!そうですね!納得です!
自分の国語力の限界の低さを痛感…(´□`。)
フランクフルトを咥える圭吾を見たい一心で探してました(//∇//)
ありがとうございましたー!