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萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)全巻評価です。
恋愛一色のBLに食傷気味な人、ファンタジー漫画が好きな人に手に取ってみて欲しい長編シリーズ。BLではなくあくまでBL風味だけど、漫画としての面白さは文句なし!
最初の方はややもたつきが感じられる絵柄とストーリーも、加速的に魅力を増していき、わたしは夜を徹して読みふけった記憶があります。
心が無く冷酷な氷の魔物のブラッドと、死に場所を探しにきた穏やかな人間のイシュカ。
簡単にまとめるなら、この二人があらゆるエピソードを積み重ね、お互い成長してゆきながら確かな絆を築いていくという話。
心動かされるドラマが詰まった物語です。
見所は沢山ある。
まずはなんといっても作り込まれた世界観とストーリー。
魔物は人を殺し、人は魔物を忌む。魔物狩りで人間を守る寺院、人を見下し明確な実力支配の魔物界。
その狭間で揺れるブラッドとイシュカ。
二人がもたらす波紋は広がり、やがて種族の間に横たわる深い溝を埋めていく。
正義とは?悪とは?命とは?
あらゆるキャラクター一人一人に、作者はそれらを問いかけてゆきます。
そして、キャラクターが魅力的すぎる!
名前を挙げるとキリがないほどに、脇キャラが粒揃いです。
ネルを始めとするブラッドを慕う北の魔物の仲間たち、東を統べる魔物でブラッドの悪友ヴィルトと彼に育てられた人間ラプンツェル、正義に揺れる寺院の大僧正と僧正たち、闇に堕ちる気高い僧正、イシュカを執拗に狙う西の魔物カウゼル、寺院の孤児でありながらカウゼルを「おとうさん」と慕う少年リオ…等々。
ストーリーの都合上で敵味方に別れはいても、どのキャラクターにも背景があり、最大の悪役のカウゼルにすら、作者の愛情深い眼差しが向けられている。
真の意味での悪役はいないのだ。
光を描くなら影も描かなくてはいけない。
どちらも否定してはいけない。
両面を描いて初めて伝わるものがある。
作者はそれをよくわかっている。
そんな奥深いテーマを掲げながら、シリアス一辺倒ではなく笑い所もちゃんと用意してある演出がニクイ。
時間のある時にじっくりと、そして一気に読んでみて欲しい“これぞ漫画”なシリーズ。お勧めです。