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神作品

女性さうりんさん

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つらい痛みを乗り越えて、2人で叶えた初恋

ムシシリーズ第2巻、綾人と理久のお話。
ストーリーは王道ラブロマンチック。
エロ度は少なめとなっているけど、個人的には設定がどエロく感じます。

1巻の澄也と翼でも、タランチュラの毒が媚薬のように作用したり、糸が触手のように動いたりなど、ムシの特性を生かしたエロにドキドキしましたが、この綾人と理久の体液のやりとり…(意味深)

クロオオアリの綾人が出す蟻酸と、クロシジミチョウの理久が出す甘露が、お互いが気持ちよくなる快楽どころか、生命そのものにまで作用する(それがなければ生きていけない)というところが、すごくエロいと思うんです。
甘露はなければないで、クロオオアリは生きていけるのかもしれないけど、一度その味を知ってしまえば、それを得るためにすべてを捨てるくらい虜になっちゃうわけですよ。
最後ようやく2人が本当の意味で身体を繋げるシーンは、その言わば命の源、を互いに与え合う喜びが伝わってくるようで、まさにハピエン、ひとつになる幸せに溢れていました。

そんなふうに身体面でも離れ難いふたりですが、お互いの心には幼い頃からの淡き純情が。
まさに初恋を叶えるストーリーです。
理久はたったひとり、最後のクロシジミチョウ。
すぐに枯れてしまう花の命さえも愛しんで絵に残しておこうとするような、あらゆるものに愛をたくさん注ぎたい、心の優しい子です。
理久は狭い世界に閉じ込められるようにして生きていますが、そのなかでほんのわずかな繋がり(天ちゃん)や過去の思い出、写真からふくらませた温かな風景などを絵にして、その絵柄で焼き物を作るのがとても好きで、なんというかその愛の表現が、もうとても健気でたまらなくて…
なので、その理久の愛そのもののお皿を綾人が割ってしまったとき、同じように理久の心もこなごなに砕け散ってしまいました。

でも、綾人の心もやはり同じように砕けてしまっていたんですね。
子供なりに覚悟を決めて理久とともに駆け落ちしようとした綾人が、仕組まれた別離によってひとりになってしまってからずっと、綾人も壊れていました。

理久といることだけが望みだった幼い綾人が、周りにも、そして当の理久からも「王になれ」と望まれていると誤解し、感情をなくすしかなかった綾人。
理久に憎しみや悲しみをぶつけるようでいても、それでもふとしたときの優しさや好意が隠しきれず、綾人の心には、どこにも行けない愛が膿んでしまっているようでした。

つらい目に遭い記憶喪失になってしまった理久の痛みはいかばかりか。
自分を忘れた理久を前に、どれだけの後悔と自責の念が綾人を襲ったか。
心の苦しみを少しずつ癒していったのは、幼い恋心の過去をやり直すかのような文通で、この辺りからの流れが本当にかわいいかわいいかわいい。
街子マドカ先生の挿絵の理久に(手紙読んでる)心をむぎゅっと掴まれます。
理久が意を決して関西にいる綾人に会いに行くところで、ものすごーく可愛さに胸を打たれた文章がありまして。
P243
自分は綾人に好かれたら、嬉しいのだと気がつくと、理久はあまりにドキドキして、息ができなくなりそうだった。

なんて可愛いことを書くんだ樋口先生。
こういう文章がすきなんだよなぁ…
読者を虜にして離さない甘露のようです。

ふたりを引き離した有賀の女王ですが、私は彼女をあまり憎めません。
家を背負う覚悟を貫いているからかな。私情じゃなく。
血の強いものを王にしなければならない、そして絶滅に瀕したクロシジミを最後まで守り抜かなければならない。
彼女もひとり戦っているのだと思うと、綾人と里久の苦しかった紆余曲折も、けして全く不要なものではなかったと思うのです。

最後やっとやっと甘露を口にした綾人。
このシーンを楽しみにしていました。
ありがとうございました。

書き下ろし、綾人の溺愛ぶりがたまらず。
ようやく全ての愛を注げるようになったんだもんね…愛と慈しみにあふれた世界で2人が生きていることを、いまも想像しています。

ムシシリーズはこの2人から始まった

最新刊発売に合わせて再読。
もう何回読んだことか、ムシシリーズ大好きです。
虫が死ぬほど苦手な私でも全く抵抗なく読めます。
樋口先生だからこそ、虫好きだからこその知識が深く散りばめられ、うまく活かされている他にない作品だと思います。

ムシシリーズ元祖、第1巻の澄也と翼。
何度も読んでると、ああこの2人の出会いはこんなだったなとか、央太はこんな泣き虫だったかとか、陶也やばかったなとか、のちのちの続編で登場する人たちにどうしても思いをはせながら読んでしまいます。
真耶ははじめからずーっと好きです!

翼の強さには本当に心を打たれます。
生まれつき、長く生きられない身体で生まれてきた翼。
「何もしなくていい、生きてるだけでいい」という翼のお母さんの願いも、すごくよく分かるのです。
大事な人にほどそう思ってしまうものだし、けして間違っていない気持ちだと思います。

でも、翼が自由にならない身体でずっと思ってきたこと、小さくて大きな願いは、「一生懸命生きてみたい」ということでした。

ハイクラスばかりのお金持ち学園に入学して、まわりは敵だらけのような環境に置かれても、翼は負けません。
負けん気が強くて、どんな相手にも怯まないし、でも相手の優しさや弱さを繊細に感じとろうとする深い思いやりを持っています。
翼は、ロウクラスというカテゴリでひとくくりにされるのではなく、翼というひとりの人間として生きたいと思っているし、周りにもそう見ていてほしいのだけど、なかなか分かってもらえません。
憧れの澄也も、いざ会ってみれば全く翼のことを見てくれず。

「恵まれているというのはただの境遇であって、幸せとは関係ない。幸せな人間というのは、自分の人生を生ききったやつのことだ」
澄也のこれは、自虐的な発言だったんでしょうかね。

翼はこれを「恵まれていなくても、自分のやりたいことや考えたことに一生懸命突き進むことが幸せだ」と捉えたけど、
澄也は「恵まれていても幸せとは限らない。自分には一生懸命になりたくても選択肢がない」という諦めの気持ちだったのかな。
でも、この言葉が翼を変え、そののち自分を変えることになりました。

澄也に気に入られてしまったことで、次々につらい出来事が起こりますが、翼は耐え、それどころか相手の気持ちをいつも推し量る優しさを忘れないでいます。
本当に健気で強くて、常に愛を持ち続けられる子なんですよね。
澄也も早い段階からそんな翼を好きになっていたのですが、澄也をとりまく環境もがんじがらめで苦しいもので。
翼を守るために距離を置くしかなかったり、他のやつと寝て誤魔化さなきゃいけなかったり、誤解される振る舞いばかりするけど、心の根っこにはもともと愛が根付いている人だったのだなと思います。
不器用で分かりにくいのに、翼は澄也のなかにある優しさによく気づいていたなと思うんです。

性モザイクという、とても稀な身体で生まれついて、短いかも知れない一生を、懸命に生きようとする翼。
澄也もようやく自分を変える、自分で選択肢を選び取るため、強くなる決意をしました。

彼らのその後は、続編のはしばしで出てきますが、この2人がいたからこそ階級を問わずに支え合って生きる道が開かれ、たくさんのひとが「人生を生き切るように」生きる光を見つけられたのだと思います。

何度読んでも面白く、年月が経っても色褪せない素敵な作品です。

好きだからこそ、弱って迷って苦しむ

1巻の感想書いた直後に2巻読んだら!
!!!!????♡♡♡♡
1巻読んで思っていたことがアレ?と覆されるところもあり、あーーやばいやばいー好き好きドキドキズキズキ(胸が)な読後感です。

コール!オマエ…ってやつぁー
でもすっごくわかるわかりすぎるその迷い。
アレックスへの気持ちは溺れて溺れて息ができないような苦しい「好き」で。
何をどうしようがド好みの相手。
完璧で最高で、自信に満ちたアレックス。
リスカの存在すら知らないような人。
光の中の人みたい、ってモノローグがあったけど、ああいう場面すごく分かるなぁって思った。手が届かない、絶対的な隔たり。

一緒にいればアレックスの眩しさに自分の暗闇が余計に意識され。
自己嫌悪してしまうことが、もともと自己肯定感が地を這うレベルのコールにはさらに苦しくても。
趣味がぜんぜん合わなくても。
それでも好きで好きで。
アレックスはやめられないドラッグみたい。
一緒にいるとドーパミン出まくりで、もうコレしか要らない!っていう感じで(再会のメガネ萌えからの勢いがたまらなく良い♡)

ブラッドを選ぶという選択肢も充分ありだと思います。
心地いい安らげる「好き」でいられるから、穏やかでいられるだろうし。
ブラッドはスッと心に入ってきちゃったよね。
3Pの夢見るのとか、コール正直すぎて好き。
でも口でさせちゃったのは、やっぱりコールの弱さだな…でも最後までいっちゃうかと思ったので、「出てけ」はヒドイけども、元に戻れない一線を越えなくてよかった。
ブラッドを保険に残しときたいようなズルさも、ズルっ!て思うけど分かる、人間、弱いもの。

ブチギレアレックスからの心情はすぐ読みとるには少し複雑で、言葉にするのは難しいです。

アレックスは、今までの恋人たちやコールが抱えているドロドロの気持ちが分かっていなかったんだと思う。好きすぎて眩しい、好きすぎて苦しい、好きすぎてもう一緒にいられない、というような。
いつも自分の方に余裕があり、いつも先に求められて、本気で執着する必要なんてなかったはず。
いつも恋愛面では(それ以外でもかも)相手より上にいた。
でもまさか、激重愛のはずのコールが心を揺るがしたのがわかって、初めて自分を否定されたような、コールを自分なりに大切にしていた気持ちが馬鹿にされたようなショックもあったのかもしれない。余裕をなくし、コールの首を締め、このやろう…!となったのか。
でも、その後、リスカを理解できないと言いながらも口付け愛おしもうとするアレックスはとても優しい顔をしていて、また新しい、一歩深いところに進める関係になれる希望が見えました。

あー、3巻すぐ読みたいけど、読み終わるのがもったいない病が発動してしまっている。
でも、コールとアレックスがどうなるか、絶対見届ける!
(そういえば、ブラッドに口でさせたのはバレてないけど…大丈夫なのか)

律の癒され顔に癒される(悠馬ありがとう)

あまあまで最高でした♡



悠馬癒しの天才すぎる。
こたつ、みかん、ご奉仕、きわめつけは「おでん仕込んでるんだ」
なにそれ…癒し攻め!!

律のぽやーっとしてふだん無表情なのに(それも可愛いが)、悠馬と一緒にいるとほわーん、とろーんとなるのがホンット可愛くて、そんな律の表情にこちらも癒されます。
気持ちよさに弱いところもいいんだよね、まりもも飼い主に似てぽてっとして従順で可愛い。
えっちでもどんどん開発されていっちゃって、これも律がすごく素直だからで、自分からおねだりしちゃうのも可愛い(可愛いしかない)

それもこれも、常に悠馬が律を見てて、体調とか気持ちをいちばんに考えて動いてくれてるから。
お腹痛そうだったので、最初は無意識に出た頑張りすぎなストレスかなと思ったのですが、盲腸で良かった。
律のことで色々気を遣っていても一切負担になってないのが悠馬らしい。律ファースト、むしろ趣味というか生きがいレベル。
はじまりは偽装結婚で、自分にも周りにも引け目があったと思うので、これから堂々と胸張っていちゃいちゃ仲良くしてほしい!
悠馬の頑張りが報われて本当に良かったです。

当て馬くんはむしろナイスキューピッドでした。プレゼントの件なんか、ぽやぽやしてる律に気づかせてくれて、めちゃめちゃいい人で感謝しかない。

ここで完結なのが惜しいような…あまあまをもっと見たくはあるけど、この幸せな読後感、幸せな余韻は、ここで完結だからの気もします。
佐倉先生、悠馬、律、たくさん幸せを届けてくれてありがとうございました♡

心にひそむ想いをようやく明け渡す

やっとこのカプの良さがわかってきた…

1冊目、いまいちハマりきれなかったのは、たぶん大輔が原因。
言い訳ばかり
素直じゃない
昭和な男な古い考え方(妻を守るべき養うべき、同性愛なんてありえない)
でも身体は欲に抗いきれなくて
田辺の気持ちからも自分の心に生まれつつあるものからもそっぽをむく

そういう性格が嫌いというよりは、なぜそこまで頑なに?と理解できませんでした。

でもこのシリーズ2冊目を読んで、なんとなくですけど、それが大輔なんだって納得できた気がします。こういう人となりなんだなと。現時点で。
そしてこの人を少しずつ変えられるのは、田辺しかいないんだと。
どんなふうに2人が変化していくのかは、シリーズ読み進めてのお楽しみかな。

とりあえず、大輔の妻には空いた口が塞がらない。
本気の相手が別にいるどころの話ではなかった。
せめて幼馴染との純愛だけにしとけよー。
幼馴染と子供のことだけでもドン引きなのに、こころが壊れただか寂しいだか知らないけど、浮気を繰り返したうえに薬に手を出す女って…
大輔も、妻の異変に気づけないくらいには妻をみてなかったのだろうけど、構ってほしくてなんて理由でできるような内容じゃない。
なんでこんな女のために大輔は、と思ってしまうけど、最後まで「男たるもの」としてどんな妻でも守る、それが大輔なんだなと、このエピソードでかなりしっくり理解できたように思います。
大輔にはガチガチの自分の矜持があるんですよね。だからこそ、「男たるもの」を崩しにかかる田辺には、フラフラして距離の取り方がわからないんだろうな。

妻に管理されてた大輔のお給料や貯金は無事なのかが気になるところですが、、妻が最低限の良心で、手をつけてないといいんだけど。
そもそも、いまどき妻を長く1人にしたくらいでね…そんな殊勝に待つばかりの妻、あんまりいませんって。

大輔を責める妻に平手打ちした田辺はかっこよかったです。
福島に向かう道中からの、田辺目線で語られる大輔への思いは、思ったよりとても複雑で重く、こんなにも大輔を理解し想っていたことに、すごく気持ちを掴まれました。
考えていたより、はるかに大きな感情でした。
その後、体を張って沢渡組に話しつけに行ったのもね、愛だなぁ♡田辺推せる。

一応「好きだ」と田辺に正直な気持ちを言えたし、離婚したしですんなり進むのかと思いきや、やっぱり大輔はいじいじ。

「仁義なき嫁」未読なので、いまいちまだ新条と田辺に何があったかとかわかりきれてないけど、田辺は新条にかなり執拗にひどいことをした、でもすっごく気に入ってたってことはわかりました。

とにかく2人を疑ったり自分が当て馬じゃないのかとか不安になったり、大輔はマイナス思考で忙しい。
胃に穴開けるほど、田辺のことがだいすきなんだけど、考えすぎてがんじがらめになっちゃって、かわいそう。
嫉妬や不安でぼろぼろに弱くなっちゃう大輔は可愛くて、意固地なよりはよっぽど魅力的です。

今回も2人のエッチシーンは多めだけど、回を重ねるごとに甘くいやらしくなるのが最高に良きです。
ふだん、なかなか平穏にはいかないふたりだからこそ、身体つなげて甘えて、甘やかして、糖度振り切れるくらいでこれからもお願いします。
やっと次回から恋人編!
でも仁義なき嫁のほうも気になる。

ありがとうアラリック、リンツェットを幸せにしてくれ。

本当に出会えて良かったーーー!!
ふたりが運命の番で本当に良かった。

リンツェットの生い立ちは先の「深窓のオメガ王子と奴隷の王」でも少し触れられていましたが、こんなにもこんなにも辛く孤独な思いをして何年もひとりで過ごしていただなんて。

根拠もない迷信のために、生まれた時から忌み嫌われてきたリンツェット。
優しい母が亡くなり、家族のようでもあり優しい側仕えのふたりも遠ざけられ、顔を隠してひとり生活しなければならない悲しい境遇には、憤りを感じました。
そんな生活の中でも、薬草を育てたり、お菓子を作ったり、できることから幸せを見出そうとするリンツェットは本当に健気で美しく、母の教え通り、強く生きています。

ゲルハルトは、そんな兄の美しい見目にも中身にも惹かれてしまったんでしょう。
しでかしたことは行き過ぎた行為でしたが、人質の話をしに来たときだけのいい顔しぃの実父よりは全然マシだと思います。

そして運命の!本当にこれこそ運命の番です。
アラリックと出会ったことで、リンツェットの人生は大きく変わっていきます。

アラリックはとても優しく朗らかでよくしゃべり、自分の気持ちを楽しく歌います。
8年もの長い間ひとりでひっそり暮らしたリンツェットにとって、どれほど眩しかったことか。
片青眼は不幸などもたらすものではなく、ただただリンツェットの瞳は美しいと愛で、早急ではありますが優しく優しく抱き求めるアラリック。

不肖の息子からのやりとりが面白すぎて。
「お安い御用です」とか、「なんと謙虚なお人柄」とか、この人たちどんな格好でお話してるんだよ、そしてこの空気感からまたアンアン喘ぐ展開に戻れるんかい、とずっこけながら楽しみました。

お付きになったジェレマイアも主人であるアラリックに似てとてもおしゃべりで、彼との会話やダウラートまでの道中で見る初めての景色にリンツェットが本当に楽しそうで嬉しそうで、寂しい館を出られて本当に良かった、と改めて思いました。
初めてのことばかりで、ピクニックとか、手と手をとって、とか、なんでもない言葉にフワフワ楽しそうに想像を膨らますリンツェットもすっごくかわいい♡

誰彼構わずジェラってしまうアラリックもさもありなん、という感じなんですが、そのヤキモチと、また強面ロランのせいもあって?一波乱でした。
「急に色気づいた朴念仁の歌」を歌われたくないために香水のことを秘密にしたっていうロランも、たいがいいろんな些細な出来事を変な歌にされてしまっているんでしょうね。
いちいちその歌のタイミングが面白くて、でもリンツェットには愉快すぎるくらい愉快なひとがお似合いだと思うので、リンツェットには日に何回でも歌ってあげてほしいな。

書き下ろしでは、ロランがキリルと仲良くなるため、仲良しの秘訣をリンツェットに聞きにくるけど、歌も歌えないロランには何の参考にもならないという話。
朴念仁だからしょうがないけど、スピン元に続くこのボードゲームの裏話にはほっこりです。

笠井先生のカラーの口絵というんですかね、その雰囲気がものすごく素敵で、幸せそうなふたりには本当に癒されました。
人の何倍もつらい思いをしてきたぶん、リンツェットにはこれから笑いと会話の絶えない日々が待っていると確信しています。
アラリック、リンツェットに出会ってくれて、心からありがとう!

言葉にできない感情で胸が詰まる。

なんだこれ…すごい。
読まないとわからないし伝えられない。

アハハめっちゃ笑える〜
ペラッ(ページめくる)
すごいシリアスでつらい
ペラッ
不覚にも胸キュンどきっ
ペラッ
ど下ネタやん…

みたいに、1ページめくるごとに、いろんな感情の嵐でした。
でも、ベースにあるのは、征士郎とトモちゃん、ふたりの底知れず深く、果てしなく広い愛情なのです。
それがあるから、どんな場面もどんな事情もふたりのカタチなのだと思えて、なんだか尊いし愛しい。

トモちゃんのEDの原因になっているトラウマは、もう本当にヘビーで苦しすぎる過去。
EDのトモちゃんを、征士郎は、腫れ物のように扱うわけでもなくて、愛してるからエッチしたいよ、触れたいよ、っていう伝え方がね、強引すぎず、うまーくリードして、それが愛に満ち溢れてるんですよね。
5人セフレはいるんだけども、それが身勝手なばかりではなく、トモちゃんへの欲望をコントロールするため、っていうのに納得してしまう。
基本、どちゃくそ変態なんですが、こんな征士郎だから、トモちゃんに少しずつ変化を与えながら、心に寄り添えている…
トモちゃん、とっても素敵だよ、大丈夫だよ、と自分の過去や気持ち、征士郎にも向き合おうとする彼のけなげな変化を心から応援します!

たくさんの人に読んで欲しい神神神作品

なんって素晴らしいお話なんだろう…
「君は純愛にふさわしい」まさに、まさに。
オメガバα×Ωだけど、αとΩだから好きになったわけじゃない。ひとりの人間として、彼だから、好きになった。
性と感情の狭間で模索し悩む、等身大の高校生のお話です。

つがるんの考え方がとても好きです。
α、Ω、β、性差のまえに、同じ人間だということ。人間に上も下もないということ。

つがるんはβ一家に突発性のαとして生まれて、でも特別扱いされることもなく、そういえばアンタはαだったね、くらいの扱いで育ってきて、そんな家族の影響が大きいと思います。
でも一歩外に出れば、誰がαだ、誰がΩだなどと、性差ばかり先に語られる。そんな世界への苛立ちが強く感じられます。
でも、ゆずと過ごすにつれ、自分の中にも、強烈にαとしての本能を感じてしまう瞬間があり、そんな自分に苛立ってしまうことも。
それでも絶対に本能のまま相手を求めたりしない、流されない強い精神を持っていて、努力のうえでの冷静さを保っています。
自分の気持ちを確かめながら、ゆずという人間をちゃんと見て知って、好きになる。
ほんとにこの子はすごい。すごいです。
人としてかっこよくて、強い。
強くあろうとしている。
いままでオメガバたくさん読んできたけど、こんなαに出会えて良かったと心から思いました。

ゆずは本当につらい環境にいる子でした。
Ωでいちばん読んでて悲しいのは、ゆずのように実の家族にまで疎まれ蔑まれている子がいること。
学校ではフワッと幼い振る舞いで浮いていて、はじめはつがるんもゆずを苦手に思っていたけど、橋から川を見つめるゆずの顔は壮絶に虚ろで。
Ωとして下に見られ、虐げられることを当たり前の日常にしてきたゆず。でも心はもう限界なのです。
兄のしたことは人間として許されることではない!
αとして生きるストレスがあっても、それをΩにぶつけていい理由なんかないのです。

つがるんの本能に流されない強さ、ゆずを人間としてみてくれる優しさは、ゆずの世界を変えていきますが、つがるんと自分を取り巻く環境には差がありすぎて、ゆずが思い悩む姿には胸がぎゅっと苦しくなりました。

川でのふたりのやりとりが、まさに純愛。
純愛にふさわしい…ふたりとも。
言葉にできないくらいの名シーンだと思います。
お互いを思い合う、思いやる気持ちがものすごく尊いです。
性差のしがらみというドブ沼を抜けて、人と人として愛し合って番になろうという強い決意。
このふたり、めちゃくちゃ愛しいです。

オメガバはもともと大好き。
でも、どうしても前提にある性差やそれに伴う差別、それが面白くもあるんだけど、どこかで反発する気持ちもあったと思います。
そのモヤモヤを晴らしてくれた、「同じ人間なんやから」という優しいつがるんの言葉に出会えたことに感謝します。

読み終わってしまったぁぁぁ…続きクダサイ

楽しみにしていたSATシリーズ新刊!
もったいなくてちびちび読みたかったけど、気づいたら夢中で読み終わってました。
恋愛のドキドキと、事件のハラハラと。
できたら記憶消してもう一度味わいたい。
記憶あってもまた読むけど。
犬伏や橋埜たちもちょこちょこ出てきてくれたし、やっぱりこのSATの仲間たちは絆が強くて気持ちいい!

中垣×北山
最高のカップリングでした。
中垣が、もうホントに忠犬で。
北山にしっぽ振って近づいて見たり、弱ってるとこ心配しに行ってみたり、遠ざけられてしゅんとしてみたり、やっと近づけるとなったら、ぺろぺろなめて止まらなくなったりで。
欠点がないです。イケメン、明るくて爽やかで素直で、まわりへの気遣いができて、優しい、そしてSAT隊員として優秀で。

北山は、はんなりたおやか、ここぞという京都弁、影あり美人、謙虚で優しく、やはり有能優秀なSAT隊員。

このふたりが少しずつ近づいていく感じが本当に素敵でした。
最初のデートもどき、博物館に行って、エスニック料理を食べる、っていうところ、すごく好きでした。
相手の好きなものに興味を持って相手を知りたいし、相手にも自分の好きなものを知って欲しいという、誠実な感じが中垣の良さですね。
もちろんそれにちゃんと応える北山も良きです。

そんな中垣だから、北山の影や孤独に手が届いて、北山の心に温度や色を取り戻させることができたんだと思います。
北山が思春期の頃に、当たり前だと思っていたものを無くした経験は本当に重たくて、両親もいなくなって、警察官になってふつうの生活ができるようになっても、その擦り切れた感覚やぽっかり空いた穴だけが残っていて、自分でもどうしようもなかったと思うんですよね。
中垣に出会えて良かったよ…
しかしようやく思いが通じ合ってから初めて体を重ねるときには、北山が天然に煽る煽るで、京都弁が凶器になって、キュンで死なす気かと。
忠犬からうってかわって獰猛な獣になる中垣もカッコよかったー。

事件のほうはだいぶ不穏で、当て逃げ事故に、寮へのロケット弾打ち込みに、テロ予告の多発と、何が起こるのかとすごくハラハラしました。
デカすぎてこれはすべて回収されるのか?と思ったら、なるほど!これは事件の一端にすぎないのか…とにかく北山が間一髪で本当によかった。

この事件の全容がわかるのは続編?「不穏に恋を語れ」の流れからだと、また犬伏と橋埜でなのかな?楽しみすぎて指折り数えて発売を待つしかないぃ!
やっぱりこのふたり大好き。
豪快単純能天気なように見えて勘の鋭い犬伏と、強さと繊細さを併せ持つ橋埜が、また事件に立ち向かうところも、ラブなところもいっぱい見たいです。
中垣と北山の関係をいち早く察して、中垣の尻たたいてちゃんと北山を大事にしろよ!って感じなのもやっぱり橋埜優しくて好き…。

このシリーズ、何回読み返しても飽きません。
まだまだくださいー!!

ふたりで幸せになるために、乗り越えて欲しい

重たくつらい展開ではありますが、金沢先生と加賀さん、どちらもお互いの本音や弱さや見せ合えた、大事な巻になっているのではないかと思います。 

金沢先生が酔っ払って言った「結婚しましょうよ」
加賀さんは本当に嬉しかったんだろうな…
一緒にいたいと願って、用意していた指輪や言おうとしていた言葉。
アメリカ行きを知らされて、それをぐっと飲み込んだ加賀さんの気持ちを考えると本当に苦しいです。

でも今までだったら、顔色を変えることなく「行ってらっしゃい」しか言わなかったはず。
行って欲しいも行かないでも、どちらも加賀さんの本音で、金沢先生を悩ませるとわかっていてもちゃんと伝えられたのは、本当に金沢先生のことが好きだから。

最初こそワイルドで強気に見えた加賀さんだけど、本当は、ビビリで怖がりで、感情的でわがままな部分もあって、甘えたがりで、それをぜんぶさらけ出せる人を、わかってくれる人を求めていたんですよね。
金沢先生ならそういう心を預けられると思ったし、金沢先生もそういう加賀さんを理解してそばにいたいと願った。
そんなふうにようやく通じ合えるところだったから、今回のアメリカ行きは正直ほんとうにタイミング悪っ!(犀川父があともう少し残ってくれてればよかったのに)

ふたりがたくさん悩んだすえに出した「行ってきてください」と「待っててください」には心からの誠実な気持ちがこもっていて、とても好きな場面でした。
さいしょのころ、加賀さんが好きかどうかもわからなくて悩んでいた金沢先生だったのがウソのような、揺るがない決意と思いが伝わってきました。

そして、アメリカに出発したときの金沢先生からのメッセージ。
これを見た加賀さんの表情がたまらん…!
涙うかべて、微笑んで。
きっとこのふたりはもう大丈夫なんじゃないかなと思えました。

が、順調に思えた遠恋でも波乱が。
研究が思うように進まず、帰国がのびることを恐れる金沢先生、無理してどんどん体調を崩していきます。
様子のおかしさに気づき、加賀さんは犀川先生のもとを訪ねますが、やっぱり犀川先生ってちゃんと見てるしわかってる。お見通しなのは美チンだけではなく。僕はすべてを知っている…

渡米の前に「待っていてください」と言った言葉を、自ら揺るがす金沢先生。きっときっと、加賀さんがびしっと気持ちをぶつけてくれることを祈って、次巻を待ちます!