まさに三人「遊び」…
遊びの域を出ていないように思いました。
なんていうか、三人で「真剣に」愛し合って求め合ってほしいかな。
はじめならまだしも、「愛してる」というなら。
特に、京介は子供の頃から哲平のことが好きでたまらなくて、嫉妬や別離にあせって事に及んだ、ということだったけれど、あまり切羽詰まった愛情を感じられず。
哲平が樫井と身体の関係を持ったということにはハラスメントすぎる、というぐらいネチネチと哲平の人間性を否定。
高校生だから仕方ないけど、子供っぽいんですよね。もう少し包容力みたいなのがあったらいいのに。
滋に至っては本当に哲平を愛してるのかな。
あまり深いところが見えてこないです。
教師としてもゆるーく、幼い頃からみてきた哲平の思いのほかドエロく成長した姿にハマっちゃって、京介の気持ちに便乗しておいしい流れで楽しもうっていう感じにしか見えず。
哲平のぽやーっとしたところが、可愛いというよりは、読んでて大丈夫?この子。と不安に。
川の流れるままに流されるように、周りの気持ちや出来事にたやすくフラフラして、きっとこれから更に激しくなっていくであろう京介と滋との行為に、耐えられるのかなぁ。
逆にそのおバカさで、受け流せるのかもしれないけど。
樫井がいちばん普通の人で精神的にまともだったのにね…
最後はちょっとホラーな裏話でしたが、そこまでの執着があるなら、もう少し哲平本人にその溢れる愛をむけてくれよと思ってしまいます。
どっちが樫井襲撃を…は、滋だと隠した感情が大きすぎて、暴力的な展開を想像してしまってぞっとするので、ここは妥当に京介と思っておきます。
3Pには受けへのクソデカ愛か、まともではなくても精神的に大人の男が個人的には必要だと思いました。受けもビッチでも自分を持ってないとね。
仮面は仮面でも、本当にのっぺらぼうみたいなガチ仮面でびっくりしました。
素性を完璧に隠すためとはいえ、ちょっと不自然さは否めないと思います(少なくとも昼間ソレでは出かけられないだろう)後ろゴムバンドみたいな感じだしちょっと‥
でもその分厚い仮面で本当に隠したいのは、自分の淫乱さや自己嫌悪だったのだなと分かりました。
遊び人の上條と一夜を過ごすことになり、ガチムチでエロエロな体を惜しげもなく見せても、頑なに仮面だけはとらない仮面くん。
上條はその場限りの相手と数えきれない夜を過ごしてきたはずですが、顔も声も分からないとなればさすがにちょっと興醒め。
拒否されてしまった仮面くんは泣いてしまいます。
仮面くんはとにかく繊細なんです。
淫乱な身体で乱れることをやめられないけど、そんな自分を恥じている。
身体と心のギャップを垣間見て、興味をそそられた上條は、彼の仮面を剥ぎ取ってみたくなります。
まずは話したり、昼間に出かけたり、名前を呼び合い(怜くんと呼んでいます)、そんなふうに一緒にいるうちにお互い惹かれていきます。
でもどんな風に好きになっていったかは細かくは描かれていないので、わりと気持ちはいきなり動いたように思えました。いつのまにヤキモチを焼くほど好きになったのだろうと。
それでも上條のまえではなかなか仮面をとれない怜。
最初とは仮面の理由が違っていました。
すでに心を許し上條を好きになったゆえに、逆に仮面があることで上條の気を引けているのではないかという不安が生まれていたのです。
どこまでも繊細な怜くんです。
ようやく上條の前で素顔を晒すことができましたが、読者は最後までしっかりと見ることはできません。
上條もたしかに怜くんを好きなのはわかるのですが、怜くんを自分のものにしたい、みたいな我欲のほうが先にあるように思えてしまって、どうにも相思相愛になってよかったね、とまでは感じられず。
お互いを想い合うというよりは、好きの押し付け合いのような段階に思えます。
でも、これまでお互いに恋愛をしてこなかったわけだから、最初から上手くはいかないですよね。
続編が出ているようなので、そちらでふたりの気持ちの成長が見れたらいいなと願って。