凡乃先生作品初読みです。
怖いのくるぞ~とビビりながら読み始めましたが、禄斗が無邪気でらぶらぶな雰囲気で、より怖いシーンが効いてくるコントラストがいいですね。
七海が恋人を失って心を病むほどになる背景がよくわかりましたし、そんな七海だから全裸で現れた禄斗を受け入れたのが自然に感じました。
七海にとって禄斗はまさに「生きる理由」だったから。
─暗闇の中 たったひとつ光が現れたなら それが偽物だって悪魔だって なんだって良かった
の言葉がその通りなんだと思えて。だから人殺しまでやってしまう。それが暴力的な殺人ではなく死を望む人へ与えてあげるというのがまだ救いであり、七海自身同じ状況であったから…ですよね。
禄斗が無邪気で子どもっぽいのは宇宙人として不完全だからか。だから宇宙人としての自覚がない。
2人は愛し合っているけれど、時々コマの背景が不穏な波のようだったり、宇宙人が人を食べているシーンのコマ外が黒ベタに白線が渦のように描かれていたのが怖さを際立たせていました。捏造した不完全な記憶の表現でもあるのかな。
ラストは禄斗も一緒に飛び降りたけど死なずにその場を立ち去ったということでしょうか。
それなら目撃者はいなかったのかなと気になりますが、そこは謎ですね。
禄斗は飛び降りなかったのかもと一瞬思いましたがそれはなさそうですし。
これはただの妄想ですが
七海は恋人が亡くなった後、心を病み飛び降り命を絶ってしまい、禄斗と会ったこの物語は七海の夢だったりして…とふと思いましたがベタすぎますね。
夕方5時前に一人ブランコに乗る少年に会いに来た全裸の子は禄斗の後の姿…と読み取れますが、ここはいろんな解釈ができそうです。
読者それぞれ感じたままでいいのかなと思います。
想像していたような陰惨なホラーな面より、純愛+絶対的な共依存を描くための設定だと感じました。
相手がいるから生きていられる、生きていたい。そのためなら偽物でも悪でも何でもいい。
死んでもまた一緒に生きたい。
「6と7」タイトルが秀逸。
人間に完璧を求めてもそんなことは不可能で(完璧だったらそれは人間ではなく神ではないのかな)(それを望んだ両親が熱心な信仰者というのが皮肉ですね)
不可能なことを求められた七海は歪まされてしまった。
対して不完全な禄斗は、七海にとっては完璧な存在だったのではないかと感じました。
七海の求める恋人像。
自分と同じくらい自分のことも思ってほしい。それを体現している。
6(不完全だけど七海にとって完全。完璧だからこそ人間ではない)と7(完全を求められた不完全な七海)。
ラストの少年との出会いが5時前なのは「6と7」の前。
この物語より前からやり直したいという意味かな~と想像しました。
他にもいろいろ想像したり解釈の余地があり深みのある作品で好きです。
本間先生初読みです。
ヤクザBLが好きなので遅ればせながら手にとりました。
絵がいいですね。野浪が男前だし。卯月がよく見るとかわいいし。
ヤクザと医者のBLですが、だんだんこれはギャグ?と思えてくるおもしろさですね。舞台はほぼ仮病での入院先だし。
野浪が男前な表情を変えずにおもしろいことを言ったりやったりする。
舎弟も結構言いたいことを言ったりやりとりが笑えるし。
ただ時代的なものか…その展開、無理がありません?と思うところがしばしばあったんですけど、ま、それも味ですかね。
ヤクザと医者としての見どころはこの先でしょうか。
野浪のかっこよさ、渋さをもっと見てみたいです。
会話を途切れさせないようとする卯月を制して野浪と無言で風の音や鳥の鳴き声を聞くシーンはよかったです。マジメにもシュールにもどちらともとれますしね。
お仕事BLとしても好きなシリーズ。
番外編集めちゃくちゃありがたいです。
見れば見るほど槇さんが好きなタイプです。
仕事ができる、無愛想なのに世話焼き、幸典大好きすぎる…その描き方がかわいいったらない。先生のセンスというか筆力に磨きがかかっているのではないでしょうか(偉そうにすみません)それくらい槇さんが魅力的だし2人の関係性がおもしろい。
□槇さんが苦手なこと
髭剃り機が「ぞわっぞわするけん」好かんと幸典の所へ逃げてくるのがかわいい。
幸典が髭を剃ってあげる時、槇さんの幸典へくっつく逃げ方もかわいい。
槇さんの顎のラインがセクシーで美しく描かれるのがまたたまりません。
その後、幸典がちゅーするのは甘〜いし「……髭はある方が好みかな…」はひでーw と笑いました。
□槇さんの指導
工場の仕事を覚えたいという幸典にその危険性を語る槇さん「…あんたが大事やけん」とくっつくの萌えー。あんた呼びいいわぁ。その後のセリフとわしわしもいい。
他のお話も幸典大好き槇さんがかわゆすぎました。
小話盛りだくさんで大満足です。
脇キャラも皆個性的なのも好き。
木下先生の新刊うれしいです。しかも「久しぶりに正面からラブストーリーを描きたい」とありワクワク。腕を鳴らしている先生を思い浮かべました。
木下先生らしく流れるように読める気持ちよさもあり、期待通りのいい1巻でした。
タイトルの「望田くんは恋をしている」…1.2話はまさに惚れてまうやろ〜な顔をしていて、中盤はそれに抗おうとするも、ラストで桐生への恋を確信するというモノローグと表情のシンクロがすばらしい。
恋ってこうよね〜とうっとりさせられます。
桐生の人たらしっぷりが自然でいいですね。
関西弁もいい感じで。
望田くんが好きになるのがわかるし、桐生が思わず望田くんをかわいいと言っちゃうのもわかる。
2人とも女性との恋愛に興味がないとの伏線もしっかり張られているし。
お仕事BL(大好き)としてもおもしろい。
この先、順調にくっつきそうだけど、波乱があるんでしょうか。
できるならスムーズにくっついてお付き合い編に突入して頂きたいくらいです。長く描いてほしい。そう思える1巻で、そうなると名作シリーズの予感さえします。
望田くんに「欠点なくて完ペキに丸いから」と言われた桐生が「うん…ありがとう」「人のことよく見てるし見えてる」って素直に受け入れていて、謙遜せーへんねやw とちょっと笑ってしまいました。
あと、同僚の女性たちがすぐ恋バナにしたがるのが少し気になりました。ストーリー展開上、必要なのだと思いますが。リアリティありますが個人的にはちょっとなぁと引いてしまいました。
スピン元が好きでこちらも購入。あらすじなど確認しなかったのですが、ファーリーという性癖があるんですね。初めて聞きました。
そんなファーリーなノアはいじめがあり家出中も明るい子で。でもドラッグの売人と知り合いだったり。
ブラッドは精神的に不安定な彼女にフラれたり友人にキープされた挙句フラれたりで不眠症になり薬の副作用があったり。
ケイレブはイカれ気味で暴力が怖いし。
フィクションでありながらリアリティがあるので、出てくるいろんな要素に不安を感じながら読みました。これが日常というのが不穏で妙に怖いんですもん。
それでもブラッドは仕事に行くのがえらい。
ノアを拾うのは善意だったし、自己中な恋愛も無理矢理ではないし。
2人の仲はほんわか自然に進んだのがよかったです。
キスシーンの描き方が好きです。
このシリーズ、スポーツBLが好きでして新刊うれしいです。
絵がますます美麗になられたようで目が喜びました。
水町×タイガ
タイガが生意気なのに兄弟へのコンプレックスからネガティブだったり恋愛面で奥手なのがかわいいです。
水町がクールなのにどこかとぼけていたり変なノリかたまにあるのがおもしろい。
しかしエロ展開が早いw こんな感じでしっけね。
タイガの「軽すぎダロ」に対して
水町「重くしてもいいの?」がドキッとしました。いいセリフだわ〜。
水町が本気でタイガがちょろかわ素直でいいカップル誕生ですね。
水町がメガネを取ると美形本領発揮で見惚れてしまいました。
前作はシュウの葛藤や振り幅が見られましたが、続編はヒデの嫉妬や揺れが見られてよかったです。
片岡がBL続編あるある新キャラ当て馬かと思いきや、仕事面のことと、ちょっとヒデを煽る程度だったのが私的にはいい塩梅でした。
そう、社内恋愛がテーマなだけあってストーリーにがっつり仕事が絡んでくるのがおもしろいです。先生の実際の体験が活かされているんですね。
仕事でぶつかりながら相手を気遣って、それまでの自分から変わっていく。
シュウは特定の相手をつくらなかったのにヒデに甘えん坊将軍になっちゃうし。優等生だったのが不正解でも踏み込む勇気を持てるようになったり。
ヒデは頑固な仕事人だけど、シュウに片思いしていたのがかわいかった。こういう無愛想なキャラがいじらしくなるのギャップ萌えします。
仕事とプライベートが密接に絡んで2人の仲が深まるいい続編でした。
2人の日常と周囲の人々の視点からじわじわ深掘りしていく2巻。
校則に疑問を持ち合理的な説明ができないからと納得できない武田が論理的だなぁと。既成概念を鵜呑みにしないところも。国語教師であることと武田の人柄がよくわかる。
回転寿司屋での武田と有田の会話がいい感じで噛み合っているのが、こういうのって気が合うってことよな〜と微笑ましく感じ。
大人か子どもかとか、こういう話って噛み合わない人は全く合わないですもんね。
2人ともそれぞれの自問自答の仕方が良くて、それを話す2人が楽しい。会話の描写がお上手です。
有田が選ぶメニューも既成概念にとらわれておらず自由でおもしろい。
シャボン玉のシーンは2人とも子どもみたいに無邪気に楽しそうで。片方が水を差したりしないのがいい関係だなとしみじみ魅せられます。
比奈子に2人は恋愛関係ではないのかと切り込まれてこちらまでドキッとしました。
周囲から見てただの友だちでルームシェアなのねとはならないもんなんだなぁと今更。当人たちがそう説明しないし友だち同士って感じではないからどういう関係か気になるんですね。
関係性を人に説明する必要性…それが社会であり人間関係でありしがらみってことですよね。
説明できない関係ってどういうこと?となる。
当人の立場で考えると、ほっといてよと思うけどそれだと世間に認めてもらえない空気…が描かれている。
得体の知れないものが怖い…心理としては自然だと思います。それがいじめや差別につながることもあるし。だから説明が必要な時があるのもわかる。
でも武田が言うように、説明がつかない、理解できないものも存在していい社会の方が風通し良くていいと思いますけどね。
ただ社会的にそれで済まないことがある。そんな中で2人がどう考え、どう生きるかがテーマでもあるでしょうか。
武田がすぐに答えを出そうとしないのもある意味、文系的なのかな。
1巻からそうですが、さりげないセリフからそれぞれの個性、人によって感覚や価値観や考え方の違いがわかったり、目線で感情が伝わったり、そういう描写がいいですね。