新婚オメガの戦国初恋絵巻

shinkon omega no sengoku hatsukoi emaki

新婚オメガの戦国初恋絵巻
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神29
  • 萌×213
  • 萌7
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
9
得点
219
評価数
52
平均
4.3 / 5
神率
55.8%
著者
雨月夜道 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
すずくらはる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
新婚オメガの戦国初恋絵巻
発売日
電子発売日
価格
¥700(税抜)  
ISBN
9784344843691

あらすじ

オメガ=白銀、アルファ=山吹と呼ばれている日本の戦国時代。大大名の安住家に白銀として生まれたけれど、まったく白銀らしからぬ葉月は、やがて侍大将に上り詰めるが、二十歳で遅すぎる発情期を迎えてしまう。もうこれでは戦に出られず、もともとの役目である政略結婚の駒として他家に嫁ぐことになるが、そこで幼少期に安住家に人質として連れてこられていた椿木家の次男・傑の名が上がる。みんなが会う人すべてを虜にしていく見目麗しく白銀らしい弟の充を褒める中、「はずれ殿」と仇名される葉月のことを気遣ってくれ「可愛い」とまで言ってくれた傑。仲が良かったのに、後味の悪い別れ方をしてそのまま会うこともなかった傑は、その後山吹に変転したという。まさかの嫁入りに、何だか胸がぎゅっと苦しくなる葉月はーー。

表題作新婚オメガの戦国初恋絵巻

同盟国の椿木家当主実弟で山吹(α)
出来損ないの白銀(Ω)20

その他の収録作品

  • 覗けない世界
  • 月娶りたる鬼の話
  • あとがき

レビュー投稿数9

愛って信じることなのね

雨月さんは本当に『頑張っている人』を書くのが上手いなぁ……
気がつくと心から応援していますもん。
それに加えて、今回のお話では傑の人物造形の複雑さが面白かったんです。
「面白い」って言ったら怒られちゃうかもしれないほど、抱えているものがすごくてねぇ。

婚姻は勢力拡大の道具である戦国時代。白銀(オメガ)はその美しさと子を成す力で、大切にされていました。大名、安住家に白銀の双子の兄として生まれた葉月は「美しくなく、無骨で、色気もない」と軽んじられて来ました。使用人にまで『誰をも虜にする魅力』を持っている弟の充(あたる)は『あたり様』、葉月は『はずれ殿』と影で呼ばれる暮らしに、心の中では傷つきながらも気丈に過ごしていたのです。そんな葉月を「可愛らしい」と言い、折に触れ葉月が好きだと言う草花を摘み届けてくれたのは、安住家に人質として預かりになっていた荻丸(後の傑)。家が弱小のため、虐められている荻丸は葉月に「何ほどのことでもございません」といつも言っていました。人質の期間が過ぎて荻丸が故郷に帰ってからも、荻丸がくれたその言葉と撫子の花を大切にして葉月は大きくなります。長じてからも葉月には発情が来ません。他家へ嫁ぐことでは家の役に立たないならば武芸で家を助けようと鍛錬し侍大将となった葉月ですが、周りにも認められた20歳過ぎ、発情が来てしまい大将の任を解かれることに。それでも葉月は前向きです。それならば自分の容姿でも迎え入れてくれる弱小国に嫁入りし、そこから安住家の勢力を広げようと考えます。葉月がいつも前向きなのは、荻丸の『何ほどでもない』という言葉が心にあったから。そんな葉月に来た嫁入りの話は、なんと椿木家。荻丸、長じて傑となった人への嫁入りでした。優しく、葉月を大切にしてくれる傑ですが、その複雑なお家事情もあって、心の内を葉月にも明かしてくれません。椿木の家を守るため葉月を利用しているという声も聞こえる中、隣国との小競り合いが始まります……

雨月さんのお話ですもの。
受けさんはいつも前向きで健気。おまけに葉月は元気が良くて、勝負所での思い切りもいい。
今回私が「すげぇな」と思ったのは攻めさん、傑なんですよ。
幼い頃に母は病死、父は暗殺、可愛がってくれた兄が戦場へ行った後、父の愛妾と腹違いの弟には虐められるわ、後見人の叔父にほぼ捨てられる様な状態で放置されるわで、下手すれば死ぬ所だったというとんでもない状況だったの。そこを生きのびて、その後、人質を要求する安住家に送られているんです。
「何ほどのことでもありません」っていう言葉、こんな背景があったんです。そういう風にでも思わなければ生きていけなかったんですよね。
だから、大人になった傑は闇が深いんですよ。
とにかく普段から「どう動けば最もリスクが少ないか」を考えて、人心を操ることに心を砕いているんです。それと同時に、そういう自分を汚いものだと思っている。でも、家のためにはやらざるを得ない。
その結果、傑って『全く何考えているか解らない人』に……

戦いが始まる前にどう動くか、家と家の間でどちらに付くかを判断しなければならない立場の葉月は、だから悩むんですよ。自分の能力を隠し、情報を集め、戦乱を上手く立ち回りながら家を守っている傑が、子どもの頃に純粋な好意を捧げてくれた荻丸と同じ気持ちでいてくれているのかを。
いや〜、傑の人物造形がお話を盛り上げました!
結構ハラハラしつつ、だからこそLOVEがあま~い。
ちょっと点が甘いですけれど、緊張とラブラブの落差が大きかった分だけ楽しめたので『神』付けまーす。

9

結婚から始まる物語

今回は国衆人の弱小国主の弟である山吹と
大名子息で出来損ないと言われる白銀のお話です。

政略結婚で嫁いだ受様が
攻様のつがいとして心を通わせるまでと
受様視点の後日談と
攻様視点の裏事情的番外編を収録。

数百人に1人の確率で生まれる
山吹色の瞳の「山吹(アルファ)」は
知力体力に優れた英傑になる事が多く
戦国の武将は皆山吹です。

武将たちは山吹の子を切望し
繁殖能力に長け、同性が相手で妊娠出来、
「山吹」と交われば高確率で
山吹を産む白銀の髪の「白銀(オメガ)」は
とても重要な存在です。

「白銀」の生まれる確率は
数千人に1人と言われますが
受様は百万石の大名が手を付けた侍女が
生んだ双子の白銀の兄として誕生します。

白銀は見目麗しく媚薬の様な
かぐわしい淫気を放つと言われますが

受様の弟がどんどん美しくなる対して
受様は長じても雄々しさばかりが目立ち
出来損ないの「はずれ殿」と影口を
叩かれようになります。

対して「あたり様」と呼ばれる弟は
長年敵対していた隣国の使者として訪れた
若き当主に一目惚れされ嫁いでいき
隣国を同盟国に変えてしまいました。

そこで受様は
花嫁修業よりも武芸の修練で力をつけ
侍大将とまでなりますが
白銀特有の発情期を迎えた事から
任を解かれてしまいます。

そんな受様に新たに与えらた任は
同盟国の1つである国人衆の弱小国の
国主の実弟との婚姻でした。

受様の相手こそが今回の攻様になります♪

攻様は13年前の一時期
同盟関係である国人衆の人質として
連れられてきた子供の1人でしたが
気概もなくひ弱な子だったのです。

なんと攻様は最近山吹に変わり
先の戦で大変な功績を挙げていて
受様は嫁として嫁ぎ攻様を手懐けるか
叶わぬなら殺せという命を受けます。

婚儀に際して受様の父は
壮麗な花嫁行列が用意されますが
受様自身は白無垢は似合わないからと
白直垂で攻様の国へとむかます。

しかし、出迎えてくれた攻様は
受様の為にと白無垢を準備していて
13年前と変わらない温かな笑顔を
向けてくれます。

受様を待ち受ける未来は如何に!?

お互いが初恋だった2人が再会し
誤解とすれ違いを繰り返しながら
強い絆を結ぶまでを描いた
和風オメガバースになります♪

すずくら先生のイラストも可愛らしく
最初は凛々しい受様が
雄々しくなった攻様と再会して
受様父の難題を交わしつつ
弱小国を大きくしていくのか
と思ったのですが

攻様がとってもややこいお方で
受様と一緒にグールグルしながら
ゴールを探して右往左往しつつ
とても楽しく読ませて頂きました♪

受様を嫁にした攻様は
一万国の国主の実弟で前当主の次男ですが

母を病で亡くし、父を暗殺されると
親代わりの兄は戦場へ駆り出され
側室腹の異母弟に虐められ、
後見人の叔父に城から放逐されるという
過酷な幼少期を過ごします。

人質として受様の父の城にあがった事も
覇気のないふぬけと言われる事も
幼い攻様にとっては生き延びるための
手段だったのです。

攻様がなにをされても
「何ほどのことでもない」と
立ち上がる攻様を受様は強いと思い
そんな彼のようになりたいと望みます。

そして誰にも顧みられなかった攻様は
ありのままに受け入れてくれた受様と
共に過ごた時を至福と思いながらも
自分を待つ民のためにと戻っていきます。

そして自国で生き残るために
周りの人々を観察し、状況を読み、
相手の一歩先、二歩先を読んで
自国が生き残る道を探り続けるのです。

そんな攻様なので再会した受様は
ドンドン惹かれていき
攻様も受様を誰にも渡したくないほど
思っているので
夫婦としての2人の時間は甘々です♡

しかし、
当主ながら長らく伏せっている攻様の兄、
妾腹ながらも山吹である攻様の異母弟、
攻様の追い落としを図る重臣たち、
攻様の国を狙う敵対国主、
同盟国に常に目を光らす受様の父等

様々な人々の思惑を読み
自国にとって最善の一手を練る攻様に
受様は攻様が何を考えているのか
自分をどう思っているのかが
判らなくなっていくのです。

そんな時に攻様の領地に
敵国との密通という嫌疑がかかり
新たな戦の口火が駆られてしまいます。

攻様が当主となって受様の手を取るまで
ハラハラ、ドキドキ、ワクワクで
頁を繰る手が止まりませんでした♪

群雄割拠な戦国の世では
正義とはただ一つではないでしょう。

己の愛した攻様を信じ鮮やかに生きる
受様がすごくかっこ良かったです (^_-)

今回は再会繋がりて清白ミユキさんの
『月夜の子守唄』はいかがでしょうか。
こちらの攻攻様もちょっと面倒なお方です。

4

男前なオメガが最高だった!

オメガなのに無骨で色気もなく不器量で(でも絵はかわいいし、攻めや嫁ぎ先では可愛い、可愛い言われてたので美の基準が国によって違うんかな?)出来損ないの「ハズレ殿」と言われて育った受けの葉月がすごく良かった。
傷つきながらも、必死に笑い飛ばして前向きで周囲を明るくする。
超〜健気で好印象。

自分は政略結婚の駒でしかないと思いながらも、両家の架け橋となるべくそりゃあ頑張るんです。
だいぶ規格外の嫁っぷりなんだけど。

攻めの傑が葉月に惚れ込んでるというのは読んでてわかるんだけど、葉月自身はそう思ってないんですよね。
傑が優しくするのは、超大国の主である葉月の父へのご機嫌取りでしかない……みたいに、傑のやる事なす事、全てが裏目にでてしまう。
あんなにポジティブ脳な葉月ですら、傑の優しさを素直に受け取ることができないところがとてももどかしい。

というのも、この傑がほんとーーーに難儀な男で。
傑は弱小国の次男坊ゆえ辛酸を舐めつくして育ってきたんですね。
そんな彼の生き延びるための唯一の方法は、誰にも本心を見せず、策略を尽くし人の心を操ることだった。
そして本当は心根がまっすぐで優しいからこそ、人の好意の裏の裏まで読んでしまう自分が何よりも許せず、それが心の闇となってしまっている。

傑は剥いても剥いても中身が見えてこないんですよね。
いや、芯は葉月を溺愛している心優しい男だというのはわかる。
だけど用心に用心を重ねて生きてきたこともあり、誰も彼の本質まで辿り着けないし葉月にすら辿り着かせない。
そして予想以上に彼の心に巣食う闇が深くて、本人すら自分の本音に辿り着けない。

だけど、そんな傑を次第に理解し、何があっても傑を信じるようになるんですね、葉月は。
おまけに、こんな罪深い自分は地獄行きだろうと傑が言うなら、俺も行ってやるから心配するな!みたいな。

この一蓮托生っぷりが最高!!なんですよ。
そんな葉月がいたら、そりゃあね!!!

受けによって攻めの心の闇が救われるみたいなの大好き。
こういう男前受け大好きなので、大変楽しく読めました。
か弱きオメガどころか、俺も一緒に戦ってやる!と自ら戦場に赴くオメガ、最高だわ。

電子なので読む前に本の分厚さが目視できないし、文字の大きさによってページ数が変わるんでページ数を意識した事がないけどかなりなボリュームなんだと思う。
読んでも読んでも終わらない感がありました。
攻めのぐるぐる感がまだ続くのか……と思ってしまったところもあるんだけど、受けが素敵だったのでおまけして神で。




ーー
だけど最後の最後にあった電子おまけが、超〜萎えた……。
まさかの葉月弟視点のお話なんです。

葉月弟は、猛烈な淫気で会う人会う人を虜にさせてしまう伝説のオメガみたいな存在とはいえ、なんで女言葉なんだろ??
で、実は傑が初恋の人だったとか、そんな情報今更いらんわ……!みたいな。
話し方が女言葉なので、したたかな女子の裏話みたいなのを読まされたような気分になってしまい、テンションだだ下がりの読後感……。


0

オリジナルバース設定が、面白かった。

面白かった。
「新妻オメガの戦国溺愛子育て絵巻」が面白かったので、既刊本も読むことに。
順を追っていないけれど、楽しめた。

著者オリジナルのバース設定で、
アルファ=「やまぶき」は、生まれつき発現している者と、後天的に発現するものがいる。
主人公の葉月が愛した荻丸は、15歳過ぎて、ヤマブキに変容。
白髪(オメガ)の葉月は、20過ぎて発情。
二人とも成人になるのが、遅かった。

純真で人を疑わない葉月は、自分の魅力を自覚していない。
双子の弟・充は淫気(フェロモン)を強く出す魅力的な白髪・(Ω)
常に比較される双子はアタリと、ハズレと影で言われて、葉月は自分に自信を持てない。

充の初恋の人は荻丸。荻丸の初恋の人は、葉月。葉月の初恋で片思いの相手は、荻丸。
三人の人間関係がぐちゃぐちゃにならなかったのは、葉月の純真さを敬愛する充と荻丸のけん制があったから。

飽きない展開で、引き込まれます。
続いて「囚われオメガの戦国読み入り絵巻」まで、一気に読みました。

0

巡り会えて良かった

こちら、戦国時代+オメガバースになります。

政略結婚で結ばれた二人が、時代の荒波を乗り越えて幸せを掴むまでー。
と、ハラハラドキドキあり、笑いあり、涙ありと超読み応えがありました。
あと、めっちゃ甘いのです。
二人のイチャラブが甘いからこそ、より切なくもあったりする過酷な時代ではあるのですけど。
好きな相手を心のままに愛する事が出来るって、実はすごく幸せな事かもなぁと、読みながらしんみり来ちゃいましたよ。


内容ですが、弱小同盟国である椿家次男で山吹の傑×百万石の大々名・安住家で白銀の葉月による、初恋再会ものでオメガバースになります。

美しさとその馨しい淫気で人を引き付ける白銀(オメガ)でありながら、雄々しく発情期もなかなか来ない為、出来損ないと言われている葉月。
二十歳で遅い発情期が来た事から、政略結婚の駒として弱小同盟国・椿家に嫁ぐ事に。
結婚相手で山吹(アルファ)である傑は、幼い頃に共に過ごし、未だに忘れられない相手でー・・・と言うものです。

まずこちら、今作でのオメガ設定ですが、オメガが白銀の髪を持つ事から「白銀」と呼ばれ、アルファが山吹色の瞳を持つ事から「山吹」と呼ばれています。
で、白銀は希少な上に山吹を産める事から、とても大切にされていてと言った感じになります。

で、そんな中、白銀でありながら容色に優れず、また体格も良い為に出来損ないと呼ばれて育った葉月。
一応ですね、本人は自分が不細工だと思い込んでますが、スラリと細身の端正な容貌と言った印象なんですけど。
で、超前向きなんですよね。
いつだって「何ほどのことは無い」が口癖で。
人並みに傷付いたりしてるのですが、周囲には常に明るく元気に振る舞うその姿勢が、とても好印象だったりします。

で、そんな彼が嫁ぐ事になった山吹の傑。
彼はとても優しく泰然とした青年でして。
不細工とこき下ろされ続けた葉月をですね、「綺麗だ」ととても大切に扱うのです。
いやもう、不細工だと皆に失望されると内心では不安で仕方ない葉月を、あたたかく包み込んで「可愛い」と言ってくれるのです。
もうこの時点でめっちゃキュンキュンですよ。

と、何の問題も無く順調に夫婦としての愛を育んでいるように見える二人。
が、これは政略結婚なんですよね。
実は葉月には椿家の内情を探り、場合によっては家督を乗っ取ると言う役目があり、傑は当然その事に気付いているー。

二人はどう見ても互いに強く惹かれ合い、愛し合ってるんですよね。
そんなワケで、もう二人で過ごす時間はめちゃくちゃ甘いのです。
破天荒でいつも前向きな葉月が常に傑を真っ直ぐ受け止め、そんな彼に安らぎ覚える傑と言った感じで。
あと、単純に、エッチ時に傑に(しがみついて)引っ掻き傷を作る事を嫌がる葉月の為に、傑が爪を切ってあげてみたいなバカップルそのものの事もやってたりする。
甘い・・・! めっちゃ甘いよ!!

だからこそですね、愛し合ってるのに、互いを信用してはいけないのが切ない・・・。
それぞれの立場が、心のまま自由に愛する事を許さないんですよね。
いやもう、ベースにこれがあるからこそ、二人の甘いシーンに切なくて仕方なかったりもする。

で、この後、他国から攻め込まれと、かなりの波乱があったりするんですけど。

傑はですね、大国から目をつけられぬよう、常に無能な振りをし続けて来たんですよね。
しかし、葉月と愛し合い、彼を心から信頼する事で、本当の姿を見せて正面から立ち向かうー。
常に自分の計算高さに自己嫌悪していた彼が、吹っ切った姿を見せるのにも嬉しくなっちゃうんですよ。

また、どれ程危機的状況で、傑の疑わしい情報ばかりが吹き込まれても、しっかり自分の頭で考え真っ直ぐ傑を信じる葉月に胸があつくなるんですよ。
相手を信じ続ける事って、実はすごく勇気がいるんですよね。
葉月、男前過ぎるよ!!

最後にですね、傑が葉月に巡り会えた事が幸せだと語るのです。
もうここで万感の思いですよ。
そう、二人でなら、どこまでだって行けるのです!!

と、すごく読み応えがある素敵な作品でした。

14

探り合いが泣けて泣けて

長いお話でした。もうこれでもか!と内容も盛り沢山で、葉月の切なさに泣かされ。

7歳の時に10日間だけ一緒に過ごした男の子のことが13年間ずっと忘れられず…。しかし相手は今頃どうしているやら、自分のことなど忘れているに違いないと。

とにかく葉月のコンプレックスを乗り越え、明るく前向きに頑張るところ、良かったです。そして傑の嫁になるのに、戦国の嫁の心得を勉強したり、醜男だからと親や従者に言われ放題でも明るく笑い飛ばして。

二人がすれ違うのが本当に切なくて泣けて泣けて。
傑が何を考えているのかさっぱりわからず、葉月は悪い方へとばかり受け取ってしまって。
どんなに優しくされても大事にされても媚びてるだけだと思い込んで。疑心暗鬼が過ぎます。

それがやっとお互い言葉で通じ合って(泣)
だけど一筋縄ではいかず。傑の修羅の道、心の闇は深いですね。誰よりも相手や領民や御家を案じている優しい人なのに、生き延びるためにやってきたことは鬼のようで。
傑はそんな自分を葉月に見せたくない。葉月もやはり信用してもらえないか…と。

腹の中の全ては決して見せてはくれない傑。
でも傑にとって葉月は自分を照らしてくれる月であり、誰よりも可愛くて救われて楽しくて。
葉月も傑となら地獄で楽しくやれる、共に落ちようとまで言って。器量の大きすぎる殿の背中を追いかけ、同じものを見たくて。

13年熟成純愛ですね。
主人公受けが美しくなく、でも攻めにはとてつもなく可愛く見える!新鮮でした。

0

戦国オメガバース

すずくら先生挿絵狙いで購入。そしたらびっくり鎧兜の絵があって!合戦話がたっぷりではなかったですが、戦乱の世を生き抜く二人のお話でした。きゃああというイタイ展開はなかったですが、ちょっとぐるぐるが長くて安堵感が少なかったため、申し訳ないです、萌にしました。本文300P+受け視点SS6P+攻め視点SS30P超+あとがき。
オメガバース変形版ですが、オメガが酷い扱いを受けていなかったので、気分的には楽勝でした!

須王国を治める大大名家に生まれた双子の葉月(ハヅキ)と充(アタル)。数千人に一人の確立で生まれると言われる白銀で、繁殖能力にたけ、数百人に一人の確立で生まれる山吹と結ばれれば、高確率で山吹を産むと言われています。そのため大切に育てられているのですが、充は白銀らしく美しくなる一方、葉月は今一つぱっとせず。ハヅレ様とアタリ様などと言われています。だからと言ってめげることもなく、葉月は武術を嗜み、侍大将となっていたのですが、二十歳をすぎてから発情期がやってきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
靖名(受けの異母兄)、三十郎(受けの側仕え)、隼(攻めの弟)、武(攻の兄)、狸ぐらいかな。あと敵方等で家の名前が少々。漢字苦手・・・

攻め受けについて

攻めがよく分かんなかったーややこしい、この男!!!!ああめんどくさい!!!とつい思ってしまうほど戦略家というか慎重派というか・・・・ややこしい立場の育ちで色々あったので、物事を慎重に大切に進めようというのは分かるんですけど、読んでて、「?だからどっち?」という気持ちがちょくちょくしました。

受けさんは、分かりやすい!とにかくポジティブ!!ナイス!な頑張り屋さん。まあすっとこなところがご愛敬といったところですかね。雨道先生らしいキャラだと思いました。

そんな二人が受けの実家の国も巻き込んで戦乱の世を生き延びるべく策略頑張るといった感じのお話で、私としてはちょっと甘さが足りず、そしてつつまれるような攻めの包容力もあまり感じられず、あまり萌が上昇しなかったです。申し訳ない・・。

1

健気だけど凛としている受けがいい

不憫な受けのシンデレラストーリーが好きなのですが
こちらのお話もすごく良かったです。

可哀想な受けではなくて、健気ではありますがちゃんと自分の意思がある子です。
傑も健気で、ずっと葉月(受け)のことが好きだったと言う
私はとても大好きな感じでした(*´▽`*)
「はずれ殿」と言われていた葉月が腐らずに生きてくれていて良かったです。
絵柄を見た感じでは、そんなごつごつもしておらず
綺麗な顔してるのに変な価値観…って思っちゃいました。

戦国のお話なので戦いシーンとかもあって、ドキドキするのですが
ちゃんとハッピーエンドで良かったです(*´▽`*)
信じることの大切さを学んだお話でした♪

0

ぷよ狸を気にしすぎてしまった……

新婚・オメガ・戦国・初恋と、訴求力の高いキーワードの並ぶタイトルに惹かれて読んでみた。戦国らしさを醸し出す古風な言い回しとラフな口語が混在する違和感はありつつ、文章は読みやすい。

主人公の葉月は明るく楽観的で、セリフ・モノローグ共に「!」が大量、ノリツッコミ多し。恋には初心でどもりまくるBLテンプレ反応で、それ以外ではあほのこになることなく、前向きな思考でとても好き。

傑は思わせぶりな描写が多く、最後までつかみづらかった。凄惨な過去を持ち、「何ほどのこともない」が口癖ということで、葉月が傑の生きる意味になっていく的な話かなあと思いながら読んだ。

傑の闇は深く、自分のことが大嫌いという。その状態から誰かを好きになれたこと、自分の子供を喜べたのはすごい。
本編とは関係ないが、リアルで壮絶な生い立ちの子の口癖が傑の口癖と似たようなものだったのを思い出した。

ストーリーは特に後半にかけて面白くなっていった。戦の謀絡みのあれこれがテンポよく進んでいく。正直、展開が止まってしまうエロシーンを邪魔に感じるほど、話の続きを早く読みたい気持ちになっていた。

挿絵は本文のイメージとは異なる。ごつい・雄々しいと表現される葉月が、イラストだと華奢で可憐。これではコメディ部分の笑いが半減する。
あまりに違うせいで容姿に関し、なんらかの叙述トリック的な仕掛けがあるのかと疑ってしまった。ところどころにそれっぽい記述があったような。

序盤から変な登場の仕方ばかりの狸も気になった。傑が葉月の内心を見透かしたときによく現れたので、何か関係があるのか?と勘ぐってしまったり。結局大した役割はなく残念。もっと活躍して欲しかった。

面白かったが、伏線回収が本編後の巻末短編で行われたり、こねくり回した策略を匂わせるだけで実際はしょぼい展開だったり、最初に書いてた設定から変わってない?てとこがあったり、全体的に詰めが甘い。

キャラの魅力はメイン二人とも最高。「つがい焦がれ」がなんか好き。

0

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