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全員、男。
taketorimonogatari isemonogatari
本書はあの有名な「竹取物語」と「伊勢物語」2つの古典のBL訳である。
【竹取物語】
主人公は絶世の美女のかぐや姫ならぬ、絶世の美男のかぐや彦(♂)。
彼は竹取の翁(♂)と爺(♂)に拾われた後、蝶よ花よと大事に育てられ、
長じた暁にはその美しさゆえに5人の貴公子たちから求婚を受けることとなる。
しかし、翁と爺との3人での暮らしに幸せを見出し、
結婚願望の欠片もないかぐや彦はそれぞれの貴公子たちに
無理難題をふっかけて、彼らの求婚をのらりくらりとかわす始末。
その後、天界からのお迎えがやってきて・・・と物語の大筋は原典と変わらない。
しかし、些細で細かな部分にBL訳ならでは著者のオリジナリティとうま味を感じる。
例えば、
(原文)この世の人は、男は女にあふことをす、女は男にあふことをす。
が
(BL訳)この世とは、男が男に出愛い(であい)、結ばれる愛♥源郷(らぶとぴあ)。
になる。
もはやセンスしか感じない!
【伊勢物語】
こちらもまた登場人物は男だらけの愛♥源郷(らぶとぴあ)である。
主人公を恋多き粋な遊び人・在原業平とし、ボーイズたちのラブを
ときに尻軽に、ときに熱く、ときに切なく、ときに狂おしく、
彼らの赤裸々な恋愛遍歴が歌に込められて綴られてゆく。
語り手は恋愛脳なので基本的には年がら年中恋ばかりしている。
若い頃に恋に落ちて以来の最愛の恋人・二条君に始まり、
失恋傷心旅行先で引っ掛けた名もなき地方都市の少年との愛の逃避行や
職場恋愛のお相手、親友の兄弟、物見遊山に出かけた先で見初めたお相手、
果ては弟にまで、と恋のお相手を数えあげればキリがない。
しかも、この数多くの恋はけっこう同時進行で行われていて、
二股、三股もザラである。
それも最愛の恋人が側にいてくれないせいだよ!
なんて開き直ってしまう始末。
もはや、恋愛狂いもここまでくると清々しいものである。
膨大な文(手紙)に綴られる恋の歌を読んでいると、
粋な文章を文に込めて駆け引きするという
この時代の恋の在り方が上質なものに思えてくる。
面と向かってではなく、あえて匂わせるような文章をつかって、
相手をその気にさせたり、ときにはまっすぐな想いを伝えたり。
現代にはない、恋のテクニックだなあと古典に学んだ。
登場人物も数多い中で魅力的な人物たちが登場する。
特に業平の親友の紀有常(有くん)と惟高親王(惟たん)
(=3人併せて、眩達大三角形(まぶだちとらいあんぐる))や
業平がライバル視するチャラ男の源★至は大好きだ。
登場人物が男のみということで、女御が男御だったり、
女房が男房へと表記が変わっていたり、細やかな設定は隅々まで、
読み応え十分すぎる1冊だ。