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封じられた鬼×孤独な青年の、時空を超えた現代和風ラブファンタジー!
mononoke junjorentan
ゼミ合宿の山の中で慧はきれいな石を見つけます。心惹かれ拾ってみたそれは封印されていた鬼の真眼でした。思いがけず封印をといてしまい鬼・朱銀から真眼を返すように迫られるのですが、封印した僧に復讐に行くという朱銀に力の源である真眼を返すわけにはいかず思い余って飲み込んでしまいます。
なぜか右腕に定着した真眼は慧が持っていたお守りの効力もあり朱銀は手も足も出なくなります。が、それがかえってほかのモノノケに狙われるきっかけとなってしまいます。自分の真眼を奪われるのを恐れた朱銀はしぶしぶ慧のボディーガードをすることにするのです。
母親の家系で慧はモノケが視える体質です。祖母も母も大体10歳くらいで視えなくなったのに、なぜか慧だけは20歳近くなってもまだ視えるままです。慧は力が強く、視えるだけでなく会話したり触ったりすることができます。あまりに普通に視えるため人に見えるているものかどうかが判断できず、虐められる原因にもなったので人とも本音で交流するのを避けてきました。そして、モノノケに対してもいずれ視えなくなると思うと心を寄せるのも怖くて視えないものとして生活するようにしていました。
常にモノノケの声や気配を感じ取る慧にとって心休まるのはバイト先の喫茶店だけでした(後に強力な結界が張ってあるからだと判明)
その喫茶店に祟り神が現れます。祟り神は自分と朱銀にこの地から出てくようにと攻撃してくるため、喫茶店を守るためにも朱銀に真眼の力を与え祓おうとするのです。
朱銀はモノノケの中でも真眼を持つ程力の強い鬼でした。
里の人のために戦い、里の皆と仲良くしていたのに、幼い時から信頼していた師匠に裏切られ封印されてしまいます。長い年月を僧侶を恨みならら封印が解ける日を待ちわびていました。
姿かたちは20半ばなのに、自分のことを俺様と呼び、ガキ大将のような尊大な態度でちぐはぐな感じです。面倒見がよく、慧の部屋に居ついているほかのモノノケたちに慕われます。
バナナが好きで「ありがとう」と言われることを何よりも喜びます。
慧は周りに同じ体質の理解者がいることで孤独ではなかったようですが、自分より力の弱かった母親たちはモノノケとの関りでひどい目にあうこともなく生きてきたため、最大の理解者であり不理解者で逆に孤独を感じることになります。
少し疑問だったのが、祖母はまだ術者の手伝いをしていたとあるのに何故慧自身は術者と付き合いをさせなかったのでしょう。いずれ消えてしまう力だとしてもかなり強力な力を持っているのだから、身を守る術の訓練くらいしておけばよいと思うのですが。近寄ってくるモノノケから身を守るすべが小さい護符だけとはちょっと不自然。
モノノケから距離をとっていた慧ですが、自分よりも人間くさい朱銀とのかかわりにより、自分を隠さず付き合える相手を得てその心地よさに気が付くのです。
慧のバイト先に祟り神が来たことにより話が動きます。
祟り神を倒すには朱銀が真眼の力を必要とすることから真眼を返そうとする慧。
腕を食べていいと言い出す慧に怒って、腕を食べないで慧から力を取り込む方法をとることにします。
この作品は本当に悪いモモノケは出てこず、人間の都合による悲しく純真なモノノケ2体の救いの話です。朱銀が封印された本当の理由が分かったときは、杓子定規な役人たちに本当に腹が立ったし、胸が痛みました。
そして祟り神の正体とその経緯にはその健気さに心を打たれます。
彼女の心に平穏が訪れて本当に良かった。
そしてそれを叶えてくれた喫茶店の店長は最初の印象通りいい人でした。これからも彗の良き理解者になってくれることでしょう。
ただ、死が2人を別れさせたあとの朱銀を思うとしんどいです。少しでも長く良い思い出が作れることを願って止みません。
表紙裏のカラー口絵がとてもとても素敵でした。全裸の二人(最中ではない)なのですが、慧の背中の骨や筋肉やお尻、朱銀の腕や腹の筋肉がとても奇麗で(ちょっとマニアックかな)もううっとりでした。
難を言えば、絡みが二回ありますが、一度目は儀式のようなもので、二度目はお互いを感じるためといった感じで全然色っぽく感じなかったのがちょっと残念でした。