傷だらけの心が恋の力で強くなる

さよならガラスの恋心

sayonara garasu no koigokoro

さよならガラスの恋心
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×218
  • 萌7
  • 中立3
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
9
得点
146
評価数
44
平均
3.5 / 5
神率
22.7%
著者
伊勢原ささら 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥630(税抜)  
ISBN
9784344841154

あらすじ

小さな定食屋で働く夏季は、このところ体調がすぐれず時折頭がぼんやりすることがあった。家族に恵まれず初恋相手からも傷つけられ対人恐怖症気味の夏季には、一年前から付き合っている美樹本という恋人がいる。美形で遊びなれたふうの美樹本が自分を構ってくれる理由はわからないが、嫌われないよう努力する夏季。その姿を美樹本の同僚・副島は痛ましげに見守っていた……。俯きながら生きてきた夏季を本当に救うのは?

※発売日が変更となりました。 11/15(水) → 11/30(木)

表題作さよならガラスの恋心

副島鷹行,28歳,玩具メーカー社員
近藤夏季,24歳,定食屋のアルバイト

同時収録作品幸せ色の風景

副島鷹行,28歳,玩具メーカー社員
近藤夏季,24歳,定食屋バイト

レビュー投稿数9

無口同士のカップル

初めましての伊勢原先生でした。
あらすじと麻々原絵里依先生の切なげな受けの表紙に惹かれてコミコミさんにて予約購入。

無口同士のカップルって物語を進める上でなかなか難しい感じがするんですが、このカップル、とっても素敵です。可愛いです。

あらすじは先の方が書いてくださっているので省きますが、受けの夏季のトラウマが重く今の生活と人間性に影響していて、帯にもある、忘れていることが明かされた時は驚き、それ以上に夏季が更に心配になりました。
いい子で、繊細で、小さなことに幸せを感じられる暖かい子。その反面、傷つきやすく怖がりで自信がなく、ビクビクしていて、そういうのが苦手な方もいるかもしれませんね。

攻めの副島は、もうとにかくいい男なんです〜!
職場から近い夏季のバイト先の定食屋に昼食を食べに通っているんですが、同僚の美樹本と付き合っている夏季が、2人が付き合う前から好きで。
元気のない夏季が、気がかりだし、やっぱり好きだし、だけど不器用だから「大丈夫か?」ぐらいしか声をかけれない。
少しでも元気になって欲しくて、癒してあげたくて海の景色のカードを渡してあげる。
そのカードが、夏季にとって、苦くも懐かしい故郷の海を思い起こさせ、心の支えになっていきます。

家族、元カレ、美樹本の仕打ちでなんとか地に足をつけて頑張っている夏季の壊れそうな心に、そーっと、静かに寄り添おうとする副島。
こんな男のなかなかいない!いい男だなぁ。
会うたびに「大丈夫だよ」って自信をつけさせてくれる副島と、どんな時でも「ありがとう」の感謝の心を忘れない夏季。

エロはラストに一回です。
夏季が今まで元カレとも美樹本とも本番までしたことのないことがわかった時の副島が、興奮を抑えてヤバイと言っているシーンにニヤニヤしました。
怖がらせないように、抑えて抑えて忍耐強く夏季を解していきやっと結ばれるわけです。
良かったね〜夏季!
欲を言えば、2人のエロはもっと見たかった!

コミコミ小冊子は、副島が繁忙期で付き合ってから初めて一週間連絡が取れない、定食屋にも行けない状況の中、同僚が買い出しに外から戻ると、入り口に夏季を見かけたと聞かされ、急いで外に向かう。
こんなことして、重いですよね、という夏季が、もう可愛くて嬉しくて仕方ない副島。
その夜、仕事帰り遅くに夏季の部屋に行くと、彼は机の上で寝落ちしていました。
料理本とレシピノートに「副島さんが好きな料理」というようなことが書かれているのを目にして、副島はたまらなく夏季を抱き締めたくなります。
本当はもっとちゃんとした時に言おうと思っていた言葉を目の覚めた夏季に伝えます。一緒に暮らして欲しいと。

カードショートは、夏季のお姉さんに副島を合わせるお話。
こちらも短いながら暖かくなるお話でした(*^^*)

伊勢原先生の別の作品も読んでみたくなりました!

10

いじらしくって切なくなります。

タイトルにピンっと来たら買いですっ!
不幸で健気な受設定が好きな方は特に!
夏季くん、いじらしくって守ってあげたい!
大事なところは押さえてる、寡黙で大きなハートを持った攻めも素敵!

ああぁぁぁぁ( ; _ ;)って感じの展開もあるので読む前にネタバレ感想とか読んでしまわないように!
読後感はやさしい涙が一筋零れる・・・そんな感じです。
切なくきゅーーーっとしたお話を読みたくなったらお薦めです。

BLなので1冊の中でのお約束があるとは思うのですが、個人的にはあの場面でエッチが無くても良かったな~っと。
勢いで盛り上がるとって感じはありだと思うのですが、二人はまだはじまったばかりでこれからって感じだったので~ちょっと勢いありすぎかな?っとも。
でも、BLだからしょうがないですよね~。
私的にはそういうBLのお約束に拘らないBL作品が出てきてもな~っとも思ったりしてますが難しいでしょうね~。

そして後日譚があるので、回し者ではないのですがコミコミさんの特典小冊子付お薦めです。
相思相愛ならではな、ちょっと重いというか可愛い行動がまたいじらしいです。

7

薄幸・健気受けさんがお好きな方にお勧め

伊勢原さんは個人的に当たり外れが大きい作家さまなので購入をためらいましたが、あらすじと麻々原さんの挿絵に惹かれて購入。

内容はすでに書いてくださっているので感想を。



とにかく受けの夏希が、薄幸・健気受けです。
家族に冷遇され続けた幼少時代。
初めての初恋での過酷な経験。

そんな彼がやっと手に入れた優しい恋人・美樹本。けれど美樹本という男は…。

なっちゃんがさ、とにかく男を見る目がないんですよ。
ないのだけれど、孤独ななっちゃんの環境を鑑みると、優しい言葉をかけてくれる男に惹かれてしまう気持ちも理解できる。

自分に自信がなく、常におどおどしているなっちゃんなので、もしかしたら好みが分かれるかも。でも、個人的にはとってもツボな受けさんでした。

そして一方の攻めの副島さんも。
寡黙ながらも物事の本質がきちんとわかっている大人な男性で、めっちゃカッコよかった。仕事はできるし人の感情の機微にも敏い副島さんですが、色事には疎く、なっちゃんへの愛情の伝え方が不器用なのも、これまた良い!恋する男子でめっちゃ可愛かった。

攻め・受けともにツボに入るキャラでしたが、この作品の大きなキモは、なっちゃんの抱える大きな心の闇でしょう。帯・あらすじを読んだ時に記憶喪失ものかと思っていましたが、予想を大きく裏切る展開にページを捲る手が止められませんでした。

なっちゃんを見守る周囲の人たちの優しさも非常によかった。なっちゃんが、そのことに自分で気づいてくれて、そして副島さんという優しい恋人を得ることができて本当によかった。

麻々原さんの挿絵も非常に素敵でした。
特に表紙。
本誌を読んでから、読後にしげしげ眺めると、そのイラストに込められたメッセージに萌えが滾りました。

薄幸・健気受けさんが、懐の大きい攻めさんに愛され幸せを手に入れる。
そういったストーリーがお好きな方にお勧めの、優しく愛情に満ちたお話でした。

5

表紙の雰囲気通りの作品

電子書籍で挿絵なし。
電子だと表紙の絵しかないので、攻の副島の顔がわからないのは残念。麻々原先生の素敵な絵柄を頭に思い浮かべながら読みました。

見た目は怖いけど懐が深いサラリーマン×あまりにも不憫な人生を送っている定食屋のバイトです。

シリアスで重たい作品。受の夏季の、「体調がすぐれず時折頭がぼんやりする」ことの真相がとても辛いです。夏季の場合は、精神的に受けたダメージがあまりにも致命的でした。

夏季は、島育ちで純朴すぎるだけでなく、8人兄弟の末っ子で家族にまともに相手をしてもらえず、漁師の息子なのに見た目も弱々しくいじめられっ子だったため、自己肯定感が欠片もありません。あまりの自信のなさに、読んでいて本当に可哀想な気持ちになります。この夏季のつらすぎる生い立ちのリアルさが良かったです。酔った父親が夏季に言ったことはものすごく酷いことなのですが、きっと言った本人は覚えていないのでしょう。
島にいた頃に夏季に手を出した男は、夏季が疎ましくなると夏季の根も葉もない噂を流して自分から遠ざけ、そのせいで夏季は島中から侮蔑の目で見られ、ついに家族にも捨てられてしまいます。島という特殊な空間で、何をしてもすぐに知れ渡ってしまう狭すぎる異常な世界で、夏季を捨てた家族に、同情の余地が全くないとは思いません。でもやっぱり酷すぎる…。

東京に出てきて定食屋のバイトに落ち着いた夏季は、ある日、常連である副島に着いてきた、同僚の美樹本という男と知り合い、付き合うことになるのですが…。
この美樹本についての描写に、たまに感じる違和感。「あれ?ここおかしくない?」と思う点は、物語の真相が明らかになると、そういうことだったのかと納得がいきました。

夏季のことをずっと見守り、支えてきた副島の一途さ、健気さ、男らしさの全てに胸を打たれます。夏季の過去は何をもってしても帳消しにはできないけれど、副島という素晴らしすぎる男に愛されて、どうか今後の人生は、光に満ちたものであってほしいです。

2

見守る攻め様にジレジレきゅん(*^^*)

正しい攻め様の見守る姿、というか見守るしか出来ない姿にジレジレしつつもきゅんですよ(≧∇≦)


受け様は、定食屋アルバイトの夏季。
控えめで繊細でまさに薄幸。
攻め様は、定食屋の常連客の副島。

初めは、何だか不安定な雰囲気の夏季や、恋人の美樹本とのやり取りに、ん?と私も不安を覚えつつ。

そんな中でも「ありがとう」という言葉と気持ちを大事にしている夏季は気持ちのいい、いい子だな、と好感触なんです。
そして、副島の力強い「大丈夫だ」に励まされてる気持ちにもなりました。

全くもう、副島がもっと早く自分の気持ちに気づいてアピールしてくれていれば、なんて思ったりもしましたが、いつも励ましたり、夏季の気持ちを大事にしてくれたり。
根気強く見守り続けてくれた副島は、やっぱりいい男だわね~(*^^*)

きちんと自分で元カレの美樹本と対峙しようとした夏季も、前向きになってきたんだな、と嬉しくて(*^_^*)
夏季の危機にはもちろん副島が助けに来てくれたし。
最低野郎の元カレでしたが、小物だったので、拍子抜けなくらい。

これからは、副島がそばにいて、夏季が安心して甘えられるようにしておくれよ、と思ったのでした。

1

きゅーーーーーーーと切なく感じたお話でした

「キューピッド」が大好きだったので購入。
繊細な印象の文章で、麻々原先生の挿絵がどんぴしゃに感じます。
昨日読んだ時はあまりに驚いて、普通にレビュー書けない気がしたので
今日もう一度読んだところ、受けはともかく、攻めの健気さに別の意味で驚き。
せつなさ きゅーーーーーーっといった感じのお話で、健気さん好きな方は
嬉しいのではないかと思いました。
本編240P弱+攻め視点のショート10P、共に書下ろし。
そんなに手ひどくないと思いますがパニック障害の記載が少しあるので
辛い方はご注意ください。

小料理屋でバイトする夏希が、買い出し途中にめまいでふらついているところを
店の常連である副島が助けるところからお話は始まります。
強面で仏頂面の副島を、今一つ苦手に感じていた夏希なのですが、
店まで送ってくれた上、別れ際に美しい青い海の3Dカードを渡され
二人のさりげない交流が始まり・・・

攻め受け以外の登場人物として、以下のような方々。
美樹本:夏希の恋人。家に遊びに来てくれる回数も少し減り気味。
真鍋:夏希の初恋の人。故郷の瀬戸内海の小島の水産加工場の跡取り。
その他、攻めの部下、小料理屋のおやじさん夫婦、受けの姉ちゃん等。


********************* 以下はよりねたばれ


最初そんな展開になるとは思ってなかったので、本当にびっくりしました。
(帯に「僕は何を忘れているんですか?」とあったので、
 記憶喪失ものかと思ってた)
今日もう一度読み返すと、攻めを「なんていい奴だ、こいつ!!!」と感じて
別の意味でびっくり。
受けの事を思って、専門家に相談してみたり、黙って見守ったり
いやーとにかくすごい。健気な攻めです。

くず としか言いようのない男どもや、後悔しているとはいえ
もうちょっと何とかしとけよ(怒)としか思えない受け家族のことは
非常に腹立たしく、そして後半びっくり とくるので
甘い部分が少なく感じました。
そのためか、本編1回につき最後の幸せショートは2回読みました。
本編で、きーーーーーっとなった方はショート2回読みをお勧めします。
受けが幸せそうで、こっちが救われます♡

12

あーちゃん2016

伊勢原先生のHPにSSあることを発見しました。いいSSでしたよ!

薄幸な青年の恋


定食屋で働く近藤夏季(受け)は最近めまいがしたりぼんやりしたりと体調がよくありません。何か忘れているような気がするのですが記憶に霧がかかったような感じがしているのです。そんな夏季を店の常連の副島(攻め)が気にかけてくれます。夏季は寡黙で強面で仏頂面な副島のことが実は苦手でした。が、体調が悪い時いつも「大丈夫か」と声をかけてくれるのです。

夏季は小さな島の出身で貧乏な大家族の末っ子でひ弱な夏季は家族からもないがしろにされ、学校では虐められ、身の置き所のない少年時代を過ごしてきました。
中学卒業後の就職先で初めて自分を見てくれる人が現れ、裏切られ故郷の島にもいられなくなり、上京することになります。
故郷での出来事のせいで、対人恐怖症でパニック発作も起こすようになってしまった夏季ですが、カウンセリングも受け、今の定食屋に就職してからは主人夫婦にやさしくされ、一年前からは美樹本という恋人もでき幸せを感じるようになりました。
美樹本は相変わらず優しくしてくれるのですが、なぜか抱きしめられても寒くて不安を感じるのです。

副島は玩具メーカーのゲームクリエイターです。格ゲーを作っているような印象の強面な人ですが、実際は癒し系ゲームを数多く手がけていて部下からの信頼も厚い人です。
夏季のことをずっと想っていたのですが、それが恋愛感情と気が付かず美樹本に先を越されてしまいます。それでも夏季が幸せならとずっと見守っていました。
最近の夏季の体調がよくないことを気にかけ、何かと気遣っています。
副島は本当にできた人で、体調が悪い夏季に何度も「大丈夫か」と声をかけ、家まで送ったり気分転換に連れだしたりと心の弱い夏季を気遣います。


本編を読み終わったときは幸せになった夏季のことが喜ばしくて泣いていしまいました。

夏季に恋人がいる状態だったのでどんな嫌な奴が恋人なのかと思ったのですが、はじめは普通に優しい恋人のように見えたので拍子抜けでした。が、読み進めるうちにうすら寒い感じがして、美樹本がいったいどういうつもりなのかが見えなくて、夏季の不安な心が移ったように不安な気持ちで読みました。
副島の行動も含めて、読んでいて不自然なことや違和感が何度もあって、これが不安感を煽ります。
真相がわかってからは夏季の心情を想って泣けました。
再読すると、副島の表情や言動が初見の時とは全く違って見えるのでとても切なくなります。

夏季の過去の話は読んでいてとても辛いです。
彼の過去の話を読んでいるといつの時代のことなんだろうと思うくらいでした。
いくらうっかりできたからといっても普通は年の離れた末っ子なんて一番かわいがられるはずのポジションだと思うのですが、一番弱いからとないがしろにされるなんて、血のつながった家族ではなく、様々な年齢が集まる子供の集団のようでした。両親の態度に問題があったとしか思えません。

最後、夏季が出て行ってから家族が心配していたと聞いても、どうも釈然としませんでした。直接会いに来たすぐ上の姉にしても自分に子供が生まれるからその子供に後ろめたい自分でいたくないから、そして自分は結婚して幸せで余裕ができたからという勝手な理由のように感じました。
いくら人の好い夏季が全く家族のことを悪く思っていなくても(逆に家族にとっ
て自分は幽霊じゃなかったとうれしく思うくらい)家族には何か因果応報があってもよいんじゃないかと思いました。

ただ、夏季にひどいことをした過去の男二人はちゃんと報いを受けたのでちょっと胸がすきました。

今まで、人に存在を肯定されることなく生きてきて、副島や定食屋夫婦や副島の同僚など優しくしてくれる人に囲まれ、やっとこれから人並みに幸せにな
れると思うと本当に良かったと思いました。
恋人とは尽くすばかりで気を遣う関係ではなく、お互いが相手を想いあいわがま
まを言える関係であると副島のおかげでやっと理解できて本当に良かった。

どんなに辛いことでもちゃんと向き合ってから副島に自分の気持ちを言えた夏季
に泣き、過去の夏季がかわいそうで悲しくなり、真相がわかってからは副島の心情を想って泣き、読むのはちょっとしんどかったです。でも、最後は泣き笑いで読み終えることができ、とてもいい話だったと思います。

11

薄幸すぎる……

辛いことの連続で、パニック障害まで起こすようになってしまっている不憫薄幸健気受けが主人公です。
まさにガラスのような脆い心を抱いて終始俯きぎみな受けが、言葉は少ないけれど誠実な攻めに出会って救われるというお話なので、不憫受けがお好きな方は、はまるんじゃないでしょうか。

ただ不憫・薄幸受けに仕立てるために用意した過去のエピソードのあれこれが不憫というか理不尽すぎて、自分の中で消化できないまま終わってしまいました……。

特に、家族とは名ばかりの受け一家。
末っ子である受けは放置して親の歓心を得ようと競争しあう兄弟達とか……どんだけ途上国で弱肉強食の世界なの?と。
それなのに終わりのほうで、当時について謝りたい……と登場する姉とか、今更どのツラ下げて……としか思えず、もやあっと。

そんな家族のせいで自尊心が育たぬまま大きくなってしまい、甘い言葉を吐く口先だけの男に引っかかってしまう受け……
しかも二度も……。

つらい……

貧乏子沢山でも愛情いっぱいの家庭で育っていたら、あんなクズ野郎たちに易々引っかかることはなかったと思うんですよね。絶対に。
あんなに健気でいい子なのに。
受けは「ありがとう」と言うたびに心のノートに記録していて、今日は3回もありがとうって言えることがあったと密かに喜んでるとか、どんだけいい子なの!と思わず肩入れしたくなる。


良かったね!と思える終わり方なんだけど、電子限定の書き下ろしSS「最強のライバル」を読んだら、時代錯誤もはなはだしい発言を攻めがしてて、うわー……と思ってしまいました。

攻めが開発した育成シュミレーションゲーム「ふんわりベアの農園づくり」にすっかりはまってしまった受け。
攻めがお腹すいて帰宅しても、「ちょっと待ってて、今カルボナーラを作ってみんなに振る舞うから」とゲームに夢中で、攻めをほったらかし。
しばらく待っても拉致があかない様子に堪忍袋の緒が切れた攻めは、電源引っこ抜いて「俺の方がずっと腹が減ってる!遊んでないで早く作れ!」と一喝。

受けは専業主婦でもないんだから、たまには俺が作ろうかなみたいな発想にはなんないのか?と。
もしくは、ご飯は炊いてあるんだから適当に食っとけ!!みたいな。
まぁ受けのご飯が日々の活力の元&楽しみなのはわかるんだけど。
(その後、攻めも時代錯誤で亭主関白丸出しな発言をしてしまった……と後悔してるんだけど。)

読まないほうが良かったなぁ……と思ってしまった電子限定SSです。

6

もっと読みたいシーンがたくさん

ささらさんの不憫受けと優しく包み込む頼り甲斐のある攻めは読んでいて安心感がありホッと優しい気持ちになれます。
もう少し種明かしを早めにして欲しかったです。
美樹本に<ネタバレ>れたシーンもちゃんと書いて欲しかった。自然消滅的だったのかな。付き合いだしてからの夏希の一瞬浮かれた時だったり、キスとかしたのか?とか、書いてない部分で読みたいところが多かった。

美樹本を定食屋に初めて連れてきた時の夏希の表情とそれで察する副島のシーンだったり、美樹本と付き合うことを知ってからの副島のジリジリした感情ももっと読みたかったです。自分には出来ない愛情表現を持つ美樹本に嫉妬したり、夏希に触れる美樹本を想像して苦しがったりするのを…(妄想補填笑)
そのくらい、夏希と副島の近づいていく距離感と時間のかかり方がすごく良いんですよね。
美樹本はあれで大手ゲーム会社勤務なのか?

副島がグールグルネガティヴ夏希に対して、困ったときに助けるだけでなく、趣味ややりたいことを見つけるようアドバイスするのは健やかな流れだったし、大事な事だよなぁと再確認出来ました。夏希の不安定な姿を押し付けず、やんわり声をかけて見続ける男副島、良いスパダリ。

本編後の小話「最強のライバル」が、副島の仕事がちゃんと活かされてて笑いました!早く帰ってきたのに夏希はゲーム漬け、嫉妬と腹ペコの限界でゲームの電源切ったら夏希ブチ切れ…あの儚い夏希が⁉︎あの副島さんに冷やご飯と玉子⁉︎(ご飯の準備くらいしてただろーとは思ってたのに)
そしてゲーム製作者だからこそ出来る裏ワザ情報で夏希のご機嫌取り、裏ワザ使ってゲームの復元(オプション入り)しながら夕食を待つ副島…
夏希のゲーム設定に見つけた自分への愛に気づいて「愛してる」と副島が告げれば〈ネタバレなので、自分メモとしてコメント欄にします〉と夏希から返ってくる。
こんな日常を当たり前に送るようになった夏希…!彼の心の成長と、それを献身的に支えた副島二人の変化にジーーンときた小話でした。

0

ひみた

「えっ、な、何?急に。あ、はいはい、わかった。お腹減ってるんでしょ?おだてなくてもすぐできますから。」
と笑いを含んだ声が返ってきた。

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