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優季、伯母さんはあなたのことが心配です。
会社の倒産は残念でした。良いご縁があり喫茶店で働かせてもらえて良かったわね。
ですが、まだ転職先も決まっておらず世間知らずな上京したての18歳のあなたが、神宮寺さんにストーカーされそそのかされていくのが怖かったです。
まだよく知りもしないのにお付き合いだのその日のうちにエッチだの。
その後もあなたは神宮寺さんの言いなりで。嫌われたくないとの気持ちはわかりますが、それでは二人は上手くいくとは思えません。
本音を言えず籠の鳥にされ、ますますあなたは神宮寺さんの玩具になっていきましたね。
そして涼さんからあの話を聞いて…。
とんでもない男です。今すぐ逃げて来なさい。伯母さんの家に匿ってあげるから。
会いに来た神宮寺さんが言ったことに何をほだされてるのです?あんなことをする人とまたやり直すつもりですか?
いい年をしてあなたをあんな目に合わせたんですよ?
そうですか…。
なら後悔しないように。幸せになった者勝ちです。いつでも頼ってちょうだいね。
と、優季の伯母さん目線で書きたい衝動を抑えられませんでした。
五十嵐優季は十八歳。
就職のために、故郷から上京したもののほどなく勤め先が倒産。
元々母子家庭で、生活も苦しかったことから、実家に帰るに帰れずに、バイトをしながらハローワークに通い、就職先を探す日々。
ところが、そのバイト先である喫茶店でエリート医師の神宮寺と出会う。
神宮寺は、優季を一目見て、驚いた顔をした後、三日と空けずに喫茶店へと通いつめ始めた。
そのうちに常連の客の一人として、優季との距離も近くなっていった。
ところが、ある日、優季がバイト帰りに歩いていると、喫茶店に向かっていた神宮寺と鉢合わせした。
すでに店も閉まっている時間で、優季も食事がまだだったことから、神宮寺に誘われるがままに食事を共にすることになる。
連れて行かれたのはホテルの中の一流レストランで、優季は神宮寺との金銭感覚の違いに呆然とする。
そして、そのまま神宮寺に情熱的にくどかれ、恋人同士として付き合い始める。
神宮寺は何もかもが、一流の男で、優季に普段の食材を買うのは高級スーパー。
また、優季に服はおろか、下着やコロンの類いまで買い与えてくる。
初めて経験する甘くて華やかな生活に酔う優季だったが、神宮寺に会うことを優先するがあまり、就職活動もままならなくなってしまう。
そのことを神宮寺に相談すると、あろうことか神宮寺は就職活動を止めて大学へ進学することを勧めてくる。
元々、勉強自体は嫌いではなかった優季ではあったが、費用の面から色よい返事ができずにいると、神宮寺は学費はすべて自分が出すから、と請け負ってくる。おまけに、勉強のためにバイトも辞めて、そうすると生活費が払えなくなるから自分と同居するように、と持ちかけられる。
そんなに何もかも世話になるわけには……と当初は渋った優季だったが、生まれて初めて人を愛することの幸福に酔っていたため、最終的にはその提案を受け入れる。
ところが、まったく神宮寺のことを疑いもしなかった優季に、思わぬ形で神宮寺の秘密がわかり……
という話でした。
相手の猛アピールと信じられないようなシンデレラロマンスに優季が酔っている間に、外との関わりをゆっくりと遮断されて、挙句、暇を見つけては電話をかけてきて、家にいなかったら携帯にまで電話をかけてくる念の入れよう。
おまけに、元々優季の持っている携帯以外にも、もう一つ携帯を持たせて、それにはGPS付き。
自分がやられたらうんざりするような束縛具合だけど、純粋で他の誰とも付き合ったことのない優季は、その事実に気づかず、気づいた後もそれが二人にとっていいのなら、と受け入れてしまう。
でもまぁ、最終的には実は神宮寺には異母弟がいて、その異母弟によく似た優季を連れてきて身代わりに仕立て上げたのだということが耐え切れなくなって優季が逃げ出して。
最後は結局、神宮寺が迎えに来てハッピーエンド。
ただ、普通のハッピーエンドとは違うのは、済し崩してもとさやに収まるんじゃなくて、ちゃんと優季が自分の希望を口にして、それを神宮寺が聞き入れる形でハッピーエンドになったことですかね。
なんだか前半やたら物語のテンポが早いなー……と思ったので、何かあるのかしら? と思いきや、やっぱり何かがありました。
ただ、全体的にかなり急ぎ足だったような印象がぬぐえなかったので、ちょっと入れようとしている話の内容がページ数に合わなかったのかもしれません。
出会いから付き合い始めるところまで、と。
付き合い始めてから問題が起こるところまで、を。
一つの話に入れ込むのは案外難しいことなのかもしれませんね。
読む前に持っていたイメージよりはまだよかったです。ただ、好きとまでは言えませんが。
申し訳ありませんが、とにかくこの表紙イラストだけで(どれだけあらすじや設定に興味惹かれたとしても)一気に読む気なくしますよ。←本文中のモノクロイラストは、まったく好みではないですが別にそこまで悪くはないんですけどね。
この表紙、魅力がないというよりかえってマイナスでしかないと感じましたね。実際、(真船さんの過去作集めようと選んでた時に)買うかどうかギリギリまで迷いましたから。
少し病んでる、でも身体的に痛くはない執着・束縛もの。心はちょっと痛いかも(読み手ではなくキャラクターの)。
まあタイトル通りですね。
そして、『執着・愛情』の大元になるのは身代わりです。
優季(受)が、神宮寺(攻)の亡くなった想い人である異母弟にそっくりだったんですね。←すみません、この事実は結構あとの方で出て来ます。そこまでは、ハッキリしないけどどこか危うい(歪んだ)ベタ甘の日々です。
題材はシリアスで軽くはないんですが、キャラクターに嫌味がないので読みやすいし、結局は甘い溺愛ものなんじゃないかな。
終始静謐な雰囲気で進むのもいいと思うんです。
う~ん、決して悪くはないんですが、結構複雑な設定(展開)を無理矢理決まったページに詰め込んだ感じだったんですよね。
その分浅くて上辺だけになって全体に印象が薄い気がして、ちょっと物足りなかったです。