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表題作と続編の中編2作品が収録されています。
どちらも美山(受け)の視点でストーリーは進みます。
「甘い罠」
美山は仕事で知り合った服飾デザイナーの灰原(攻め)に告白され、まずは友人として付き合うことになります。その後、リストラ対象者を選出する命令を受けた心苦しさから、週末を灰原と食事をして過ごすうちに、段々惹かれて…という話です。
「甘すぎる罠」
表題作より長めの続編です。
美山は会社を退職した後、灰原の店で働くことになります。そこで、灰原の恋人らしき相手から敵意を向けられて…という話です。
美山は頼りなく恋人に甘えるタイプでなく、灰原もそんな美山の意思を尊重することから、私がタイトルから想像した「甘い」という印象はあまりありませんでした。
美山の考え方はシンプルで真っ当なものなのですが、それが灰原にとっては魅力的だったのだろうなと読んでいてじんわり感じるので、理由が分からず何故か熱烈に愛されるという不可解さは私はありませんでした。
表題作ではリストラ対象者に、続編では灰原を好きな男にと、美山は襲われてばかりですが、ストーリー的に不自然ではなく、すんなり受け入れられました。
美山が灰原がもう傷つかないようにと自分で対処しようとするのも、好感が持てました。続編では犯人探しもするのですが、推理小説に慣れていれば犯人はすぐ分かりますので怖いことはなかったです。
あとがきで、「灰原は天然好青年でありながら、天然でイヤなヤツ」と書かれていたのですが、美山目線のためか余りイヤなヤツが表れていなかったように思えました。もっと美山以外には実はイヤなヤツである感じが出ていたら面白かったと思います。
好感のもてる真面目な受け、危機に助けに来る白馬の王子様的な攻め、社会人カップルがお好きな方にお勧めだと思います。