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namae no nai hana
題名から受けた私の印象ではちょっと切ない感じでしたが、内容はあらすじから受けたコミカルテイストでもなく、芸能界ものだけど結構真面目に働いている男達の話でした。
丸ごと1冊表題作です。郷田一歩の目線で進みます。
郷田(攻め)は網膜剥離になったため、ボクサーの夢を諦めることになり、ヤケになっていたところを千里(受け)にスカウトされます。モデルとしても役者としても売れる、と誘う千里に、自分の人生を預けるならこの人がいい、と思った郷田は、「恋人になってもらいたい」と条件を出します。千里は悩んだものの了承し、二人はタレントとマネージャーという仕事のパートナーでありながら「中学生程度」の恋人からスタートをします。
仕事のご褒美にキスをねだる郷田を計算高いなと思いつつも、それだけで1年も頑張っていたんだと思うと健気でもあります。頬にキスでも照れるとか…千里可愛い。
映画の撮影中に、共演者の嫌がらせで負傷をしてしまった郷田。千里が怒る姿を見て、郷田は喜び、当初の条件であった「恋人契約」を解消して本気で好きになってもらうんだと告げます。
しかし、千里の方は、郷田は「短気な自分が我慢もできる相手」で、恋人になっても良いと思ったから、了承したのだとなじります。
それで両思いになるのですが…。千里がちょっと分かりにくかったです。タレントとして大切にしているのと、恋人とをもう少しメリハリつけて欲しかったです。郷田じゃなくても、仕事の一環でキスをしてくれているだけ、照れるのは恥ずかしがりで好意を持っているからじゃないんだと思ってしまいそうでした。
でも、郷田のために怒ったり、初めてのエッチで逃げないと宣言をしたり、千里はなかなか男らしい性格であると判明し、ギャップが良いなとは思いました。
あと、喧嘩っぱやそうなのに、意外と大人で我慢強い郷田が格好良かったです。缶ジュースを握りつぶすとか、男だなって感じでした!
芸能界仕事もの、男前な年下攻め、男前な年上受け、ゆっくりな恋がお好きな方に読んでみてほしいです。
年下攻め、攻め視点という設定で読んだんですが、久しぶりに火崎さんでおもしろかった。
よくも悪くも、火崎さんの淡々として盛り上がりに欠けるようなことが多くて、一時期、一気に読んだ後、わりと避けていたんですが、これはその淡々とした乾いたところが、主人公の攻めのキャラクターにもあっていて、おはなしの展開を楽しく見せていたような気がします。
なにもかも淡泊になっている攻めが、熱血な受けに押しまくられ、俳優になり、受けを手に入れるために頑張る、それが次第に彼自身の情熱にもなっていくのがよかったです。
この二人の話をもっと読みたくなった。
ただ、あいかわらず、火崎さんはあとがきで、この後、こうなって、ああなって、とあれこれ書くんですが、そういうのは作品で書いてほしいと切に思います。あとがきで書かれても、と困ってしまう。この火崎さんのあとがきが嫌になって読まなくなったことを思いだしてしまいました。
イラストは、話には合ってたかな。