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unmei no neko
1冊丸ごと表題作です。
グラフィックデザイナーである梁瀬(攻め)の前に、「俺、猫だから拾って欲しくて」と不思議なことを言う青年(受け)が現われた。酔いに任せて承諾し、クロと名づけた青年と同居を始めるが、猫のように気まぐれで家事をするわけでもない。何も望まない彼に興味を持ち、惹かれるがまま抱き合うが…。
仕事でトラブルが生じると、クロは姿を消してしまいます。出て行く前のセリフから、梁瀬はクロは自分が好きなわけでなく金や名声目当てで裏切られたと思ったりもしますが、大金を残したところから疑問は増すばかり。友人の協力もあり、クロの正体は、梁瀬の仕事を有名にしたホテルのオーナーの三男と判明し、6年前に一目惚れしたと分かります。
そして晴れて二人は両思いになるのですが…。
クロこと美春の思考がいまひとつ納得できません。
「部屋を出て行く」「今の静かな暮らしがなくなる」ことを恐れ、また梁瀬のためにお金を置いて出て行くというのが何とも…。
平穏を保つためにお金を持ってきて、梁瀬に怒られて出て行くのならまだしも。お金を作るために実家へ帰ることになったのならまだしも。
大人なんだか子供なんだか…腑に落ちませんでした。
22歳とはいえ、ホテルで立っている様はただのボンボンという感じじゃないので尚更です。
また、猫だから拾って、という出会い方は斬新ですが、美春が単に頑張って考えたというのが違和感がありました。ホテルの仕事で猫に絡んだものがあったとか、梁瀬とつながるものがあればまだ納得できたのですが。
謎解きされてもどうにもスッキリしない読後の印象でした。