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「恋愛取引」のスピンオフ作品であり、前作の登場人物が良い味を出しているというのに、タイトルにつながりがないですし、あらすじでも説明がないので気づきにくいです。
信田(受け)に恋した元遊び人・槙原(攻め)が主人公です。遊び人を装った信田に一人勝手にふりまわされる槙原の話です。
彼の視点でストーリーは進みます。信田の真意がわからず悩むさまが語られるのですが、「恋愛取引」を読んでいると信田の正体は既にわかっているのでハラハラドキドキはありません。
かといって、「恋愛取引」より先にこちらを読むというのも、それはそれで…という感じで悩ましい限りです。
互いに二人は仕事で担当になる前から相手のことが好きなのですが、好意を抱いているのがわかる会話は微笑ましかったです。概念的というか理屈っぽいやり取りなのですが、そこは火崎先生の作品の特徴でもあるので私は気になりませんでした。
表紙が強姦されているかのようなイラストなのですが、もっと穏やかなものの方が似合う内容でした。
『恋愛取引』のスピンオフらしいですが、そちらは未読。未読でもストーリーを把握するのに問題はなかったです。
感想はつまんなかったの一言ですね。
主役ふたりが交わす会話の理屈っぽさに萎えました。
「清濁合わせ呑める大人」みたいな設定の二人なのに、交わす会話がとことん中二病的で青臭い。
ナンダカナァでした。
あとどうにも主人公の攻めが好きになれなかったです。
自分は遊び人なのに、相手が処女かどうかにやたら拘っててさァ。
処女だったことを無邪気に喜ぶくらいなら微笑ましいし可愛いんだけど、コイツの場合はなんか違うんだよね。ちっとも可愛くないよ。だいたいオマエは慣れてるんだから、相手のお尻が切れないように気を使ってやれ。
相手の気持ちを確認できたからはじめて優しく抱くっていうの、なんじゃそりゃ。そうじゃなきゃ優しくできないっていうの、むしろ萎える。
あと、謎として引っ張ってた「受けは処女(あるいは処女に近い)なのに、なぜ経験あるふりで攻めと寝たのか」とか「受けはなぜ会社での地位が高いのか」とかいう疑問ですが、ことごとくテンプレ通りの理由でガッカリ。
謎で引っ張るなら読者ごと騙して欲しいし、真相に少しは驚きたいし…。もうちょいヒネリが欲しかったなと思いました。
「本気で好きか好きじゃないかだけが問題で、好きだったからメデタシメデタシ」みたいな話運びもなんだかなぁ。たとえ本気で好きだったとしても、疑心暗鬼になってこの攻めみたいな仕打ちをしてくる男とつきあったら、普通は冷めるっちゅーねん。
あとあと、火崎さんの小説を読むと毎度同じことを思うんですが、仕事中も日常生活の中でも、ひたすらぐるぐると恋愛脳っていうのはやめて欲しいです。
これが過剰だと、登場人物の悩みに共感できなくなるし、人間が浅く感じて魅力も減ってしまうと思う。