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concrete wo yabutte
ずっと好きだった三海が失恋してぼろぼろになったところを拾った囲。ずっと思いを封じ込めコンクリートになりたいといったのに突然現れた三海に告白しすがりつく・・。
表題作「コンクリート・・」もよかったのですが、なんと言っても同時収録されている、短編「眠れる花」がとてもよかったですよ。
「理性では決して答えを出せない狂おしい恋心」もう胸が苦しくなるほど切ないお話でした。
ということで、「眠れる花」をご紹介しましょう。
大学時代から6年来、セフレとしてつきあっている三谷飛鷹(ミタニヒタカ)に、結婚するんだと告げられた主人公小塚亜貴(こづかあき)
最初は、三谷が先輩を好きになり、先輩のかわりに二丁目で誰かを買おうかと言い出したところ、三谷を密かに好きだった小塚は、自分は男にしか興味ないから、自分と寝ようと誘ってしまう。
降谷先輩の身代わりのつもりで、抱かれていたのに、三谷から結婚すると告げられひどく動揺する小塚。
しかし、セフレとしての友人の立ち位置を失いたくないと、三谷に対する気持ちをかたくなに隠し続ける、小塚・・・三谷への、あふれる恋心がなんとも切ないです。
先輩を追って、先輩と同じ会社に就職した三谷、その三谷を追って、三谷と同じ会社に就職した小塚。
「三谷が結婚するんだってな・・」と上司である降谷先輩からも聞かされ 職場でつい涙をこぼしてしまう小塚。
短編なのに、切なくてしかも、ちゃんとエロ満載でした。
表題作とその続編、関連のない短編の3作品収録されています。
いずれも受けの視点でストーリーは進みます。
「コンクリートを破って」
人肌を恋う三海(受け)は、高校時代から気に入れば抱き合う生活を過ごしていました。自分の快楽を求める者ばかりの中、三海を気遣って抱く囲(攻め)を気になってはしたものの、卒業して音信不通になります。
それから十年後、三海は仕事も恋人も失います。道路に転がり、囲が卒業文集に書いた「コンクリートになりたい」の言葉を思い出していると、囲が声をかけてきて…。
最後の一行が、題名とその続編と関連していて見事だなぁと思いました。
「ヒビ割れの向こう側」
表題作の続編。三海は囲の部屋と同居をします。三海は、囲の頑な純粋さに惹かれていますが、仕事と住処を見つけて独り立ちするまでは、囲に告白しないと決めています。そんな時、新しい仕事先の店長と会っているところを囲に浮気していると誤解されてしまい…。
囲を信じさせるために、誘う三海がオトコマエだと思いました。
「眠れる花」
小塚(受け)は大学時代から三谷(攻め)が好きなのだが、三谷は降谷先輩(男)が好きで、小塚はその先輩の身代わりとして抱かれています。ある日、見合い相手と結婚する、と三谷に言われて…という話です。
明かりの消した中で、泣いていたのか?好きだから抱いてるって顔を見られなかったんだな。と三谷が言うのが好きです。両片思いがとても好きなので、そのセリフの場面を想像すると萌えました!
「眠れる花」は最初は表題作のスピンオフかと思ったのですが、全然別の短編でした。作者様のあとがきでも触れていなかったですし。短編集でもないという珍しい構成だと思います。
イラストを描かれている宮本先生の漫画では、なんとなく流されてカラダの関係を持ってしまう作品があるのですが、この本の内容がそんな感じのもので、ぴったりだと思いました。また、漫画のようなセリフやコマ割のある挿絵も面白かったです。
「好き」という過程の積み上げがない作品だと思いました。日々での交流の中で徐々に惹かれて好きになっていく、という過程をすっとばして、思いをどう伝えていくのかという点に重きを置いているように感じました。
エロはあるのですが、快楽に流されるというより、主人公の思惑が強く、エロさより切なさや愛しさという感情さが印象に残りました。