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yume wa yogoyo ni otozurete
ありふれた日常に恋が少しずつ取り込まれていく感じが何ともいえずよかったです。
意外とこういう淡々とした話って好きかも。
よくある大学生活と「小林さん」が訪れるようになった一人暮らしのアパート。会話や雰囲気にセンスがあるし、奇抜さは感じないけどいい話だなと思えます。物語の中で唯一、傷心の男を拾う形になるところが非日常な部分としてあるわけで・・・。
ありふれてるけれども本人たちにとっては事件といってもいいことが次々に起きて、すれ違ったり、悩んだり、純粋に物語として面白いかな。
話の先が見えないこともないけど読ませ方が巧いのかあまり気になりません。
ただあえて言うならばこの設定、普通に男女の話でも十分いけると思うんだけどな。
1冊すべて表題作です。環(受け)の視点でストーリーは進みます。
「ヘタレ社会人×しっかり大学生」この一言に尽きます。
表紙では環を抱いてクールそうな小林(攻め)ですが、中身は年下大学生の環に世話をしてもらうことを喜び、環に嫌われるんじゃないかと本当のことを話せないヘタレです。
パチンコ屋で出会った二人ですが、環は月一度の楽しみですし、小林は初パチンコという感じで、あらすじの印象とは異なり二人とも真面目なタイプでそうバクチを好むわけではありません。
私が今まで読んだ限りでは、どんな設定の作品でも読後の後味が悪くないので大のお気に入りの作家さんなのですが、その分、淡々とした語り口で感情の起伏が激しくない印象もあります。
環は年齢の割に自分の考えを持っており、「こう考えられたら良いなぁ」と思うような理想的な青年です。かといってその優等生ぶりが鼻につくわけでもなく、そのバランスが見事だと思います。
主人公に感情移入して騒いだり泣いたりした方には向かないかもしれませんが、私はこういう自分を持っているタイプが好きなので楽しかったです。
ただ、淡々とした日常のストーリーなので退屈に感じる方はおられるかもとは思います。