上海金魚

Shanghai kingyo

上海金魚
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神38
  • 萌×225
  • 萌28
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
26
得点
376
評価数
95
平均
4 / 5
神率
40%
著者
かわい有美子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
花本安嗣 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
シリーズ
上海金魚
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784773002638

あらすじ

しっとりとした花のような色香を持つ水端佑季の恋は、初めて訪れた異国の地、上海で終りを告げた。
男の狡さに気付きながら、嘘を信じていた佑季は突然の別れに傷付き、旅先で出会った男、滝乃と体を重ねてしまう。
滝乃の包み込むような優しさに、つかの間の関係だとわかっていても、心惹かれることを止められない佑季だったが…。

表題作上海金魚

滝乃史宥,32歳,小さい商社の営業マン
水端佑季,28歳,地方都市の公務員

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数26

上海が舞台の、なんとも余韻の残るラブストーリー

かわい有美子先生の作品が大好きで、色々読み漁っています。

ハリウッド映画的なドーン!バーン!ボーン!というド派手なアクションとか、刑事サスペンスとかが好きなのでSITもの・SATものを中心に読んできたのですが、読み終わってしまい、こちらの三部作(なのかな?)を読んでみることに。

以下あらすじなしで、感想のみを。

やー…、しっとりした中に、愛人として決して一番にはしてもらえない辛さ切なさなんかが折り混ざっていて、なんとも情緒豊かな作品でした。
170P強と割と短いお話なんですが、読後のふわふわとした余韻が心地よい。

中盤過ぎくらいまで滝乃×水端はキス一つしないので、焦ったいと感じる方もいるかなと思うのですが。後半も後半、そして終盤にダダダダっと萌えが来た…!

でもこれ、この後の二人が見たいなーーーー!
帰国後やっと再会し、歯車が廻り始めた…!というところでのラストに、くうう、と声が出ました。

どんなもの、ことにも良い面を見出しポジティブに言える滝乃の懐に包まれて、水端にはいつまでも微笑んでいてほしいな、心からリラックスしていてほしいなと思う、美しいラストでした。

1

穏やかで優しい恋(ノンケ×ゲイ)

地味なんですけど、しみじみいい作品だな〜というわけで、
本当に読んでみるまでわからないな〜と思ったんですが、期待値が大きかった”透過性恋愛装置”より大人のしっぽり感あって好きでした。

不倫旅行(この字面がインモラル〜)で訪れた上海で、水端は滝乃に出会います。モノガミーである水端は、本当は不倫ではなくお互いのたった一人として関係性を築きたいと思うものの、妻子のある男性と恋愛しているゲイ仲間も少なくなく、そういうものなのかなと不倫相手との関係性を受け止めていたのですが、旅行先でうっすら気づいていた相手の嘘が露呈したことによって、すっかり気持ちが冷めてしまうのでした。相手への失望とともに、自分自身への憤りもあったんじゃないのかな…、急に帰国することになった不倫相手が気を利かせて仕事仲間の滝乃に水端のアテンドを頼んだことから一緒に過ごすことになり、適度な距離で紳士的に接する滝乃の対応に徐々に癒やされていくわけです。んでもって、おそらくほぼ一目惚れに近い直感があったんではなかろうか…な滝乃→水端、愛人なんて柄にもないなと交流していくうちに水端の人柄に惹かれていくんですよね…。

いや〜、失恋直後にこんなに気持ちのいい男が現れたら、そりゃ〜なんか好きになっちゃうよな〜な魅力にあふれる滝乃。こういう男っていいな〜な個人的な好みのポイント高めでした。社交的だし、さらっと気が利いて押し付けがましくないし、スマート、大人力高め。若干世間知らずなところのある水端と好相性なペア。上海の旅情感もすばらしくて…。旅が終われば魔法も解けるとばかりに、いったんお別れするんですけど、王子様はちゃんと運命の相手を見つけるんですよね、小さな地方都市の公証役場から!!!わかっちゃいるけど、もうドキドキしちゃいました。

その後、改めて連絡先を交換し合うんですが、、時代的に”スマホでぴ!”じゃないところがね〜いいんです。もうこの”名前、住所、電話番号”を紙に書きつけて、”改めてよろしくお願いします”っていう、やることやった後だけど!いいなぁいいなぁ♪と萌え悶えてしまいました。

0

ピュアです、ピュア!

この話の後の透過性恋愛装置を先に読んでしまっていたのですが、県内の他の図書館で蔵書されていたので手に取りました。県内の蔵書検索が出来るの、助かる。そして優秀だわ。。

こちらは、北嶋の友人?の滝乃のお話。
佑季はゲイで、バーで出会った伊藤と付き合っていたけれど、伊藤は妻子持ち。でも別れるって言われていたけれど、、、体の相性もたいして良く無いのに不倫関係を続けているような歪な関係。そんな伊藤から上海旅行に誘われる。
が、その旅行中に伊藤の妻が浮気を疑いだし、伊藤は帰国することに。佑季は伊藤に失望し、一人上海に残ることを選択する。

伊藤は仕事の知り合いで上海に来ていた滝乃に佑季のアテンドを依頼する。
滝乃と佑季は観光して時間を共有するうちにお互いが惹かれ合う。

とてもゆったりしたお話です。佑季の置かれた不安定で、ゲイであるからの孤独感、立場が滝乃のキャラクタによってゆるやかに解かされていきます。
伊藤は立ち位置だけみるとめっちゃ嫌なやつなんですが、それすら二人の出会う必然だったのかもなて思えるような時間が流れていきます。そして帰国しても連絡が取りようもなく、、、、偶然仕事で出かけた地方都市で再会。
素直に良かった…って思える二人で、お話でした。


1

瑞々しい関係性

「透過性恋愛装置」にどっぷりとハマったので、北嶋の友人とそのパートナーである滝乃と水端の話であるこちらの作品も読んでみました。

まず水端ですが、物語のスタート時点では伊藤という男と不倫状態にあるので、少しだけ人を選ぶシチュエーションかもしれません。この不倫相手というのが妻子持ちかつ、妻とはいずれ別れると言いつつズルズルと関係だけを続けるという絶妙にありがちで嫌~な感じです。

案の定不倫旅行が相手方の妻にバレてしまい水端は一人上海に取り残されてしまうことになるのですが、伊藤は偶然出会った滝乃に水端のガイドを任せます。不倫相手と別れたばかりで一人異国に取り残され気持ちの晴れない水端に真摯に向き合い、素朴な楽しみを教えていく滝乃が素敵でした。水端がそんな滝乃に惹かれていく一方で、滝乃の目にも水端は清廉でいてどこか色気のある魅力的な存在として映っていました。観光を通して打ち解けていく描写が丁寧に積み重ねられているので、やや性急にも見える最終日の夜のシーンにも不思議と説得力がありました。

キャラクター設定も物語の構成にも派手さはなく素朴にまとまっている作品なのですが、タイトルにもある金魚に絡んだ印象的なエピソードがあったりと、少しだけ非日常的な異国情緒とまったりとした空気感を楽しめる作品でした。

1

三部作の読み順:「上海金魚」「透過性恋愛装置」「月一滴」

本屋サイトとちるちる読者層は異なるので、ランキング上位本も異なります。
違って当たり前ですが、好みが合わないので、私はいつも他サイトの売れ筋ランキングを参考にして読んで居ます。
本屋サイトのランキング上位に入っていたのが「透過性恋愛装置」。
どうやらスピンオフの三部作で、順を追って読まないとつながらない関連作らしいと分かり、ちょうどセール中だったので3冊電子版でまとめて買いました。
作品に登場する人物は、特に北嶋が壊れていて面白いです。
ちるちるで余り読む人が多くないのが残念。面白いので、是非読んでみて欲しいです。

★レビューに、読書意欲をそそる投稿を幾つか見つけたので、この著者の本を初めて読みました。
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「上海金魚」「透過性恋愛装置」「月一滴」は是非とも三作続けてお読みいただくことをお勧め。(「スピンオフ」だと、紙本の帯に記載あり)
①「上海金魚」→透過性恋愛装置の佑季と滝乃の出会い
②「透過性恋愛装置」→ホテルマン牧田×若手建築士北嶋 「上海金魚」のスピンオフで関連作 ※CDのほうが人気が高い。
③「月一滴」→ドアマンの橋本xマテリアルデザイナーの嵯上 「上海金魚」と「透過性恋愛装置」の続編、『透過性恋愛装置』の牧田に憧れる人の話
★三作通して「北嶋困ったちゃん王子」北嶋は脇役でも強烈なキャラ!
★「月一滴」の『星の滴』で、牧田にお仕置きされる北嶋が面白い。
④「透過性恋愛装置【番外編】 花色景色」→おまけの番外編は北嶋が牧田とお花見に行く前の話。
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・・と、あったので素直に従って、この本から読むことに。先人のアドバイスには素直に従った方が福聚。

★hontoで三日間ゲリラセールが開催されていました。
三冊とも10/18まで50%OFFセール対象本なので、三作と番外編を安く買えました。他にも沢山割引になっています。

6

受けの設定がちょっと苦手でした

「透過性恋愛装置」を読みたくて、先にこちらを読みました。
言ってしまえば旅先で出会った相手とのワンナイトのお話なんだけど、情景描写が美しく、しっとりした大人の雰囲気が、なんとも言えず心地よい。
攻めも受けもおっとりとして落ち着いているタイプなのに、色っぽいシーンでは情熱的で、その上大胆。受けは儚げ美人系なので、ギャップに萌えました。

一方で、前半の、受けと不倫相手とのシーンが案外長くて、そこがちょっと読んでいて苦しい感じ。不倫相手と別れるのが全体の4割ほどの部分なので、ぶっちゃけ別れたところから始まるとか、不倫相手とのアレコレより、もっと滝乃とのシーンを増やして欲しかったと思ってしまった。
BLで不倫が出てくることの何が苦しいかって、現実の、女としての自分の気持ちがどうしても出てきてしまって、キャラへの感情移入がしづらくなるところ(現実の自分は妻の立場なので)。
いくら奥さんとうまくいっていないと嘘をつかれていたとしても、妻子持ちと分かっていてつき合い続けている時点で同罪だと思うんだよなあ…。そんな受けを滝乃は「潔癖で臆病で、感受性の強い…」タイプだと思ってるみたいだけど、潔癖で臆病な人間が不倫ですか、とつい意地の悪いことを思ってしまう。
後半の展開はとても好みだったので、その部分だけが少し残念だった作品。

1

やっぱり神シリーズ

邪道ながら新しい方から読み返してしまいましたが
全く色褪せずいつ読んでも素晴らしい…!!!

高級家具輸入会社の二代目若社長・伊藤に
半ば強引に連れ出されたような形になった上海旅行、
佑季の真面目さとひかえめさがとても伝わって来ました。
家庭がありつつ佑季を可愛がり、伊藤なりの愛し方だったんでしょうけど
登の人を見る目はやっぱり間違っていなかった…。
奥さんとの不仲を強調しておいて事実はそうじゃないなんて最低。
佑季がすっぱり見限れて良かったし
滝乃という思いやりに溢れて細部にまで気遣ってくれる頼もしい男性に出逢えて
こちらまで幸せになれた気がしました。
滝乃は理想的な攻めと言っても過言ではありません!!
伊藤と佑季の事情に気づきながらさりげなくフォローしてくれたり
塞いだ佑季の心をどうにかとかしてあげようと親身になってくれたり…。
心細い時にこんなに優しくされたら好きにならない方がどうかしてる。
滝乃はノンケでも、佑季のいじらしさと誠実さ、透明感のある美しさに惹かれて
旅行中の気の迷いなんかじゃ無くて必然だったのでしょう。

帰国後の二人とも会いたいのに会えない焦れったさときたらもう!!
簡単なことじゃないですもんね…。
滝乃の会社に連絡なんて出来ないのもわかるし
滝乃は佑季の連絡先も職業も知らないまま別れてしまったしで
初めてこの作品を読んだ時あまりにも気になりすぎてついページ飛ばしちゃったのを思い出しますww
何ヶ月経って会えなくても忘れられなかったというのが
二人の真剣な気持ちを如実に表しているんですね。

田舎の地方法務局!!古い登記簿とか懐かしい!
今でこそ日本全国の物件でも簡単に証明書等取れますが
昔は謄本をわざわざ取り寄せなければいけなかったりしたのです。
支所や小さな出張所もだいぶ統合されたんじゃないでしょうか。
滝乃の部下のうっかりミスが二人をまた結びつけるなんてね…。
再会後すぐの佑季の態度をなじるでもなく、
穏やかに話しかけ続ける滝乃に涙が出そうになるんです。
金魚の話をされてようやく少し笑顔を見せてくれる佑季にも。

本当に心底ハピエンを喜べる作品です!!

4

ゆったりと進むやさしいお話 手元に置いておきたい

かわい先生の作品が大好きで、刑事ものも歴史ものもSFものも色々読んできました。今作を含むシリーズの中では、恐らく透過性恋愛装置が一番人気だと思いますが、私はこれが好きです。

恋愛としての進み具合はかなりゆったりですが、所々で滝乃が佑季を大切に大切に慈しんでいることは伝わってくるので、ほっこりとあたたかい気持ちになります。上海という異国の地での、自然や食事など様々なことに関する情景描写も、さすがかわい先生という感じで非常に美しく繊細で、そういった部分でも楽しめるので、恋愛面がそこまでとんとんと進展していかなくても退屈さは全くありません。文字を読んでいるだけなのに、匂いや空気感が伝わってくるようで、本当に毎度毎度かわい先生の文章には非常にひきこまれます。

金魚の描写なんて、昔金魚を飼っていたことを思い出しながら懐かしい気持ちで読みました。青い金魚(銀魚?)美しいんだろうなあ。見てみたいです。楽しそうに、でもどこか寂しそうに昔飼っていた金魚の話をしたり、欲しいのかと聞いてもかわいそうだからいいという佑季に、ここで売られている金魚はペット用ではなくて宗教上の習わしで時がきたら上流に放すのだけれど、ずっと人間に世話されてきたから餌のとりかたもわからなくてすぐに天敵に食べられてしまうということを知っていても言えなかった滝乃のやさしさにも胸が震えました。このシーンはかなり好きです。

恋人として結ばれるのは本当に終盤ですが、滝乃が本当に佑季を大切に想っていることは常に伝わってくるので、どこか安心して読めました。大きな事件がおきたりするわけではないけれど、ゆったりと進むやさしいお話で私は好きでした。心が疲れている方に読んで欲しいです。私も心の栄養剤として手元に残しておこうと想います。

5

静かで素敵な物語

以前レビューした「透過性恋愛装置」の姉妹品のような作品です。こちら一冊だけ読んでも十分楽しめますが登場するキャラクターとの関係性や深く理解したいのであれば両方読むことをお勧めします。「上海金魚」はとっても静かに進んでいくお話で大好きです。静かなんだけど攻め・滝乃の受け・水端への熱い思いがすっごく伝わってくるお話で、本当に水端のことが真剣に考えているんだなぁということが伝わってきます。読み終えるとなんだか金魚を見に行きたくなります。

1

儚げな美人受けです

しっとりした大人の恋愛です。『透過性恋愛装置』にちょこちょここの二人が出てきて、気になったので読んでみました。

受けの佑季はちょっと影がある感じの美人です。ふとした時にしっとりした色気が漂う感じです。
攻めの滝乃は爽やかで察しのいい、上手に気遣いが出来るタイプです。

この二人が上海で出会い一緒に旅する事で恋に落ちます。元々は佑季が不倫相手と来ていて、その相手と揉めた事で滝乃と観光する事になるんですね。

二人の旅がすごく丁寧に書かれていて、私は上海に行った事が無いですが、一緒に旅してる気分になれます。異国情緒たっぷりです。
そして帰国前日に二人は結ばれます。お互いに言葉で好きだと確かめたのではなく、ふとした相手の態度や目線、表情などで惹かれ合っていることを察していくんですね。このあたりが大人の恋愛の醍醐味で、読んでてドキドキします。Hもお互いにどうしようもなく求めあってという感じが出ていて、最初で最後と思ってるのが分かるので、とても切ないです。

結局は日本で二人は偶然出会い、少し時間を置いたことでお互いへの気持ちを一時の物ではない確たる物にしていて幸せになります。

このストーリーだけなら『神』なのですが、佑季があまり受け付けませんでした。
不倫をしていて相手の奥さんに悪いと思いながらも、二人が別れる事を望んでいたり、その割には不倫相手を心底愛してはなく寂しいから惰性で付き合ってるような感じがどうにも…。
と言っても、これは完全に個人的な好みの問題なので、ちょっと狡い所もあるけど儚げな美人受けがお好きな方なら全然問題なく読んでもらえると思います。

雨が続くこんな時期にぴったりなお話でした。

2

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