お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
Shanghai kingyo
かわい有美子先生の作品が大好きで、色々読み漁っています。
ハリウッド映画的なドーン!バーン!ボーン!というド派手なアクションとか、刑事サスペンスとかが好きなのでSITもの・SATものを中心に読んできたのですが、読み終わってしまい、こちらの三部作(なのかな?)を読んでみることに。
以下あらすじなしで、感想のみを。
やー…、しっとりした中に、愛人として決して一番にはしてもらえない辛さ切なさなんかが折り混ざっていて、なんとも情緒豊かな作品でした。
170P強と割と短いお話なんですが、読後のふわふわとした余韻が心地よい。
中盤過ぎくらいまで滝乃×水端はキス一つしないので、焦ったいと感じる方もいるかなと思うのですが。後半も後半、そして終盤にダダダダっと萌えが来た…!
でもこれ、この後の二人が見たいなーーーー!
帰国後やっと再会し、歯車が廻り始めた…!というところでのラストに、くうう、と声が出ました。
どんなもの、ことにも良い面を見出しポジティブに言える滝乃の懐に包まれて、水端にはいつまでも微笑んでいてほしいな、心からリラックスしていてほしいなと思う、美しいラストでした。
地味なんですけど、しみじみいい作品だな〜というわけで、
本当に読んでみるまでわからないな〜と思ったんですが、期待値が大きかった”透過性恋愛装置”より大人のしっぽり感あって好きでした。
不倫旅行(この字面がインモラル〜)で訪れた上海で、水端は滝乃に出会います。モノガミーである水端は、本当は不倫ではなくお互いのたった一人として関係性を築きたいと思うものの、妻子のある男性と恋愛しているゲイ仲間も少なくなく、そういうものなのかなと不倫相手との関係性を受け止めていたのですが、旅行先でうっすら気づいていた相手の嘘が露呈したことによって、すっかり気持ちが冷めてしまうのでした。相手への失望とともに、自分自身への憤りもあったんじゃないのかな…、急に帰国することになった不倫相手が気を利かせて仕事仲間の滝乃に水端のアテンドを頼んだことから一緒に過ごすことになり、適度な距離で紳士的に接する滝乃の対応に徐々に癒やされていくわけです。んでもって、おそらくほぼ一目惚れに近い直感があったんではなかろうか…な滝乃→水端、愛人なんて柄にもないなと交流していくうちに水端の人柄に惹かれていくんですよね…。
いや〜、失恋直後にこんなに気持ちのいい男が現れたら、そりゃ〜なんか好きになっちゃうよな〜な魅力にあふれる滝乃。こういう男っていいな〜な個人的な好みのポイント高めでした。社交的だし、さらっと気が利いて押し付けがましくないし、スマート、大人力高め。若干世間知らずなところのある水端と好相性なペア。上海の旅情感もすばらしくて…。旅が終われば魔法も解けるとばかりに、いったんお別れするんですけど、王子様はちゃんと運命の相手を見つけるんですよね、小さな地方都市の公証役場から!!!わかっちゃいるけど、もうドキドキしちゃいました。
その後、改めて連絡先を交換し合うんですが、、時代的に”スマホでぴ!”じゃないところがね〜いいんです。もうこの”名前、住所、電話番号”を紙に書きつけて、”改めてよろしくお願いします”っていう、やることやった後だけど!いいなぁいいなぁ♪と萌え悶えてしまいました。
この話の後の透過性恋愛装置を先に読んでしまっていたのですが、県内の他の図書館で蔵書されていたので手に取りました。県内の蔵書検索が出来るの、助かる。そして優秀だわ。。
こちらは、北嶋の友人?の滝乃のお話。
佑季はゲイで、バーで出会った伊藤と付き合っていたけれど、伊藤は妻子持ち。でも別れるって言われていたけれど、、、体の相性もたいして良く無いのに不倫関係を続けているような歪な関係。そんな伊藤から上海旅行に誘われる。
が、その旅行中に伊藤の妻が浮気を疑いだし、伊藤は帰国することに。佑季は伊藤に失望し、一人上海に残ることを選択する。
伊藤は仕事の知り合いで上海に来ていた滝乃に佑季のアテンドを依頼する。
滝乃と佑季は観光して時間を共有するうちにお互いが惹かれ合う。
とてもゆったりしたお話です。佑季の置かれた不安定で、ゲイであるからの孤独感、立場が滝乃のキャラクタによってゆるやかに解かされていきます。
伊藤は立ち位置だけみるとめっちゃ嫌なやつなんですが、それすら二人の出会う必然だったのかもなて思えるような時間が流れていきます。そして帰国しても連絡が取りようもなく、、、、偶然仕事で出かけた地方都市で再会。
素直に良かった…って思える二人で、お話でした。
「透過性恋愛装置」にどっぷりとハマったので、北嶋の友人とそのパートナーである滝乃と水端の話であるこちらの作品も読んでみました。
まず水端ですが、物語のスタート時点では伊藤という男と不倫状態にあるので、少しだけ人を選ぶシチュエーションかもしれません。この不倫相手というのが妻子持ちかつ、妻とはいずれ別れると言いつつズルズルと関係だけを続けるという絶妙にありがちで嫌~な感じです。
案の定不倫旅行が相手方の妻にバレてしまい水端は一人上海に取り残されてしまうことになるのですが、伊藤は偶然出会った滝乃に水端のガイドを任せます。不倫相手と別れたばかりで一人異国に取り残され気持ちの晴れない水端に真摯に向き合い、素朴な楽しみを教えていく滝乃が素敵でした。水端がそんな滝乃に惹かれていく一方で、滝乃の目にも水端は清廉でいてどこか色気のある魅力的な存在として映っていました。観光を通して打ち解けていく描写が丁寧に積み重ねられているので、やや性急にも見える最終日の夜のシーンにも不思議と説得力がありました。
キャラクター設定も物語の構成にも派手さはなく素朴にまとまっている作品なのですが、タイトルにもある金魚に絡んだ印象的なエピソードがあったりと、少しだけ非日常的な異国情緒とまったりとした空気感を楽しめる作品でした。
本屋サイトとちるちる読者層は異なるので、ランキング上位本も異なります。
違って当たり前ですが、好みが合わないので、私はいつも他サイトの売れ筋ランキングを参考にして読んで居ます。
本屋サイトのランキング上位に入っていたのが「透過性恋愛装置」。
どうやらスピンオフの三部作で、順を追って読まないとつながらない関連作らしいと分かり、ちょうどセール中だったので3冊電子版でまとめて買いました。
作品に登場する人物は、特に北嶋が壊れていて面白いです。
ちるちるで余り読む人が多くないのが残念。面白いので、是非読んでみて欲しいです。
★レビューに、読書意欲をそそる投稿を幾つか見つけたので、この著者の本を初めて読みました。
---
「上海金魚」「透過性恋愛装置」「月一滴」は是非とも三作続けてお読みいただくことをお勧め。(「スピンオフ」だと、紙本の帯に記載あり)
①「上海金魚」→透過性恋愛装置の佑季と滝乃の出会い
②「透過性恋愛装置」→ホテルマン牧田×若手建築士北嶋 「上海金魚」のスピンオフで関連作 ※CDのほうが人気が高い。
③「月一滴」→ドアマンの橋本xマテリアルデザイナーの嵯上 「上海金魚」と「透過性恋愛装置」の続編、『透過性恋愛装置』の牧田に憧れる人の話
★三作通して「北嶋困ったちゃん王子」北嶋は脇役でも強烈なキャラ!
★「月一滴」の『星の滴』で、牧田にお仕置きされる北嶋が面白い。
④「透過性恋愛装置【番外編】 花色景色」→おまけの番外編は北嶋が牧田とお花見に行く前の話。
---
・・と、あったので素直に従って、この本から読むことに。先人のアドバイスには素直に従った方が福聚。
★hontoで三日間ゲリラセールが開催されていました。
三冊とも10/18まで50%OFFセール対象本なので、三作と番外編を安く買えました。他にも沢山割引になっています。
「透過性恋愛装置」を読みたくて、先にこちらを読みました。
言ってしまえば旅先で出会った相手とのワンナイトのお話なんだけど、情景描写が美しく、しっとりした大人の雰囲気が、なんとも言えず心地よい。
攻めも受けもおっとりとして落ち着いているタイプなのに、色っぽいシーンでは情熱的で、その上大胆。受けは儚げ美人系なので、ギャップに萌えました。
一方で、前半の、受けと不倫相手とのシーンが案外長くて、そこがちょっと読んでいて苦しい感じ。不倫相手と別れるのが全体の4割ほどの部分なので、ぶっちゃけ別れたところから始まるとか、不倫相手とのアレコレより、もっと滝乃とのシーンを増やして欲しかったと思ってしまった。
BLで不倫が出てくることの何が苦しいかって、現実の、女としての自分の気持ちがどうしても出てきてしまって、キャラへの感情移入がしづらくなるところ(現実の自分は妻の立場なので)。
いくら奥さんとうまくいっていないと嘘をつかれていたとしても、妻子持ちと分かっていてつき合い続けている時点で同罪だと思うんだよなあ…。そんな受けを滝乃は「潔癖で臆病で、感受性の強い…」タイプだと思ってるみたいだけど、潔癖で臆病な人間が不倫ですか、とつい意地の悪いことを思ってしまう。
後半の展開はとても好みだったので、その部分だけが少し残念だった作品。
邪道ながら新しい方から読み返してしまいましたが
全く色褪せずいつ読んでも素晴らしい…!!!
高級家具輸入会社の二代目若社長・伊藤に
半ば強引に連れ出されたような形になった上海旅行、
佑季の真面目さとひかえめさがとても伝わって来ました。
家庭がありつつ佑季を可愛がり、伊藤なりの愛し方だったんでしょうけど
登の人を見る目はやっぱり間違っていなかった…。
奥さんとの不仲を強調しておいて事実はそうじゃないなんて最低。
佑季がすっぱり見限れて良かったし
滝乃という思いやりに溢れて細部にまで気遣ってくれる頼もしい男性に出逢えて
こちらまで幸せになれた気がしました。
滝乃は理想的な攻めと言っても過言ではありません!!
伊藤と佑季の事情に気づきながらさりげなくフォローしてくれたり
塞いだ佑季の心をどうにかとかしてあげようと親身になってくれたり…。
心細い時にこんなに優しくされたら好きにならない方がどうかしてる。
滝乃はノンケでも、佑季のいじらしさと誠実さ、透明感のある美しさに惹かれて
旅行中の気の迷いなんかじゃ無くて必然だったのでしょう。
帰国後の二人とも会いたいのに会えない焦れったさときたらもう!!
簡単なことじゃないですもんね…。
滝乃の会社に連絡なんて出来ないのもわかるし
滝乃は佑季の連絡先も職業も知らないまま別れてしまったしで
初めてこの作品を読んだ時あまりにも気になりすぎてついページ飛ばしちゃったのを思い出しますww
何ヶ月経って会えなくても忘れられなかったというのが
二人の真剣な気持ちを如実に表しているんですね。
田舎の地方法務局!!古い登記簿とか懐かしい!
今でこそ日本全国の物件でも簡単に証明書等取れますが
昔は謄本をわざわざ取り寄せなければいけなかったりしたのです。
支所や小さな出張所もだいぶ統合されたんじゃないでしょうか。
滝乃の部下のうっかりミスが二人をまた結びつけるなんてね…。
再会後すぐの佑季の態度をなじるでもなく、
穏やかに話しかけ続ける滝乃に涙が出そうになるんです。
金魚の話をされてようやく少し笑顔を見せてくれる佑季にも。
本当に心底ハピエンを喜べる作品です!!
かわい先生の作品が大好きで、刑事ものも歴史ものもSFものも色々読んできました。今作を含むシリーズの中では、恐らく透過性恋愛装置が一番人気だと思いますが、私はこれが好きです。
恋愛としての進み具合はかなりゆったりですが、所々で滝乃が佑季を大切に大切に慈しんでいることは伝わってくるので、ほっこりとあたたかい気持ちになります。上海という異国の地での、自然や食事など様々なことに関する情景描写も、さすがかわい先生という感じで非常に美しく繊細で、そういった部分でも楽しめるので、恋愛面がそこまでとんとんと進展していかなくても退屈さは全くありません。文字を読んでいるだけなのに、匂いや空気感が伝わってくるようで、本当に毎度毎度かわい先生の文章には非常にひきこまれます。
金魚の描写なんて、昔金魚を飼っていたことを思い出しながら懐かしい気持ちで読みました。青い金魚(銀魚?)美しいんだろうなあ。見てみたいです。楽しそうに、でもどこか寂しそうに昔飼っていた金魚の話をしたり、欲しいのかと聞いてもかわいそうだからいいという佑季に、ここで売られている金魚はペット用ではなくて宗教上の習わしで時がきたら上流に放すのだけれど、ずっと人間に世話されてきたから餌のとりかたもわからなくてすぐに天敵に食べられてしまうということを知っていても言えなかった滝乃のやさしさにも胸が震えました。このシーンはかなり好きです。
恋人として結ばれるのは本当に終盤ですが、滝乃が本当に佑季を大切に想っていることは常に伝わってくるので、どこか安心して読めました。大きな事件がおきたりするわけではないけれど、ゆったりと進むやさしいお話で私は好きでした。心が疲れている方に読んで欲しいです。私も心の栄養剤として手元に残しておこうと想います。
以前レビューした「透過性恋愛装置」の姉妹品のような作品です。こちら一冊だけ読んでも十分楽しめますが登場するキャラクターとの関係性や深く理解したいのであれば両方読むことをお勧めします。「上海金魚」はとっても静かに進んでいくお話で大好きです。静かなんだけど攻め・滝乃の受け・水端への熱い思いがすっごく伝わってくるお話で、本当に水端のことが真剣に考えているんだなぁということが伝わってきます。読み終えるとなんだか金魚を見に行きたくなります。
しっとりした大人の恋愛です。『透過性恋愛装置』にちょこちょここの二人が出てきて、気になったので読んでみました。
受けの佑季はちょっと影がある感じの美人です。ふとした時にしっとりした色気が漂う感じです。
攻めの滝乃は爽やかで察しのいい、上手に気遣いが出来るタイプです。
この二人が上海で出会い一緒に旅する事で恋に落ちます。元々は佑季が不倫相手と来ていて、その相手と揉めた事で滝乃と観光する事になるんですね。
二人の旅がすごく丁寧に書かれていて、私は上海に行った事が無いですが、一緒に旅してる気分になれます。異国情緒たっぷりです。
そして帰国前日に二人は結ばれます。お互いに言葉で好きだと確かめたのではなく、ふとした相手の態度や目線、表情などで惹かれ合っていることを察していくんですね。このあたりが大人の恋愛の醍醐味で、読んでてドキドキします。Hもお互いにどうしようもなく求めあってという感じが出ていて、最初で最後と思ってるのが分かるので、とても切ないです。
結局は日本で二人は偶然出会い、少し時間を置いたことでお互いへの気持ちを一時の物ではない確たる物にしていて幸せになります。
このストーリーだけなら『神』なのですが、佑季があまり受け付けませんでした。
不倫をしていて相手の奥さんに悪いと思いながらも、二人が別れる事を望んでいたり、その割には不倫相手を心底愛してはなく寂しいから惰性で付き合ってるような感じがどうにも…。
と言っても、これは完全に個人的な好みの問題なので、ちょっと狡い所もあるけど儚げな美人受けがお好きな方なら全然問題なく読んでもらえると思います。
雨が続くこんな時期にぴったりなお話でした。
1冊ぜんぶ表題作です。
滝乃(攻め)、水端(受け)の両方から語られるので、二人が惹かれていく過程が分かりやすいです。
水端は、伊藤(年上・35歳)と不倫旅行に上海にでかけますが、そこで妻にバレたのと伊藤の嘘が分かって別れることを決めます。一緒に帰国する事を拒んだ水端に、伊藤は滝乃に世話を頼んで…という話です。
伊藤が世話を頼む前にも滝乃とも面識はありますし、伊藤より滝乃の方が相性が良い描写もあって、失恋したヤケでも旅先の開放感でもなく、二人がなるべくして抱き合うことになった流れが素敵でした。
帯に「あなたにあえた幸福」とありましたが、本当にそのもので、じんわりと幸せな気持ちが胸に広がっていった作品でした。花本先生のイラストも内容と雰囲気がぴったりだと思います。
社会人のしっとりとした恋です。
ただ、受けが不倫をしていますので、苦手な方はご注意ください。
お勧めいただいて読んだのですが、素敵な作品でした!シリーズとのことなので、「透過性恋愛装置」「月一滴」も読んでみたいと思います。
あと余談ですが、水端の友人の登がハードな過去を持っているので、パートナーの北島に落ち着くまでの過程を読んでみたいともちょっと思いました。
シリーズ続編に当たる「透過性恋愛装置」を先に読み、滝乃×佑季の作品があるとな!?と思って読みました。「透過性恋愛装置」ではすっかり落ち着いて同棲に踏み切ろうとしていた二人の出会い編は、しっとりと、エキゾチックで、優しく、ロマンティックなお話でした。
滝乃も佑季も穏やかな男性ですが、ビジネスマンとして必要な強引さや頑固さを備える滝乃に少しずつ心を委ねていく佑季の様子が、本当に花が綻ぶようで微笑ましかったです。
一度だけ行ったことのある上海の風景を思い出しながら読みました。異国ので恋…いいな~。
シリーズ三作品の中で、一番好きだったかもしれません。
や、最初の方はまーーったく萌えないんですけどね(苦笑
受けは、優しいけれど自分を一番にはしてくれない伊藤と愛人関係を続ける佑季。
攻めは、伊藤と仕事上での知り合いである滝野。
伊藤から、佑季へ上海でのガイドを頼まれます。
前半は、上海でのふたりのゆーったりとした時間が流れます。
あまりにゆったりなので退屈に感じてしまいがちですが、端々で滝野の気遣いがあり、彼の誠実さが伺えます。
流れで体を重ねますが、佑季は連絡先を残さず帰国。
滝野は佑季との連絡手段がなく、佑季は一歩踏み出すことに躊躇し、すれ違ったまま数ヶ月。
しかし、偶然滝野が佑季を見つけた時に「きゃー!」と一気に怒涛のような萌えがわたしに降臨!
ぜひ、前半で投げずに読んで頂きたいです。
三作品の中ではかなり地味なお話ですが、滝野と佑季のカップルが一番好きなんです。
佑季は外見こそお人形のように静かに見えますが、キチンと自分というものを持っていますし、滝野は佑季の境遇(愛人)を知っていても真摯に向き合うことが出来る、大人でそれでいて熱い部分も持っている本当に良い男。
あー、また、読み返したくなりました!
順番としては、このお話が先でしょうか?
レビューは前後すると思いますが、透過性恋愛装置の方を先に読みました。
透過性恋愛装置の北嶋王子の面倒をなんだかんだとみてやっている良い人、滝乃くんと祐季ちゃんのお話。
不倫していたという祐季ちゃんの過去にびっくり。
でも、祐季ちゃんは、優しくて、まじめで、本当に良い子なんですよね。
登というなんでも相談できる友達がいて、滝乃くんにも再会できて本当に良かった。
優しい読後感でした。
かわい有美子さん、初読みです。
というか、BL小説はまだ3人の方の本しか読んだことがない状態で、こちらを読みました。
(3名とは、英田サキさん、榎田尤利さん、月村奎さん)
最初は、それまで読んだ本と文章の感じが違っていて、
それが妙に気になって戸惑ってしまいました。
一文がすごく長くて、読点がひと文に5つ以上打ってある文が時々あったり、
ひとりの人の会話文で1ページがほとんど使われていたり、
今まで読んだのと違う、そんな些細な事が妙に気になってしまって……。
読み進めていくうちにだいぶ慣れてきたのですが、
それでも読点でひと呼吸おいて読む自分のリズムに、正直ちょっと合いにくかったです。
う~ん……こういうのは、慣れなのかしら?
もう少し小説慣れした頃に読み返したら、また違うのかもしれないなぁと思います。
話からはゆったりとした空気が感じられて、
上海という、いつもとは違う時間が流れる外国でのストーリーととても合っていて素敵でした。
そして、上海金魚と、受けの口元のほくろがとても印象的な、美しさが漂うお話でした。
本当は、攻めの言動にきゅんとなれると、もっとこの本を楽しめたのだと思うのですが、
それは残念ながら……
サラリとした優しさが窺える話し方。
観光案内中は、気を遣いながらも自分も楽しみ、気取らないけれどスマート。
よく気が利く優しいノンケだったのが、
色っぽい青年相手には気持ちを抑えられず、少しだけ意地悪になって行為に溺れる。
こう書くと好みな感じがするのですが、
イマイチ男らしさに欠けるように感じてしまって、それがちょっと……
できれば、多少格好悪くても強引でも、再会は自分の手で掴み取ってほしかったなぁと。
でもふたりの関係は、この本1冊ではまだ始まったばかり。
大切なのは出会いや再会ではなくて、積み上げていくよい関係だと思うので、
今後の彼らをちょっと覗けるという「透過性恋愛装置」を、期待して読もうと思います。
追記:
「透過性恋愛装置」を読んで、攻め・滝乃の仕事への真摯な姿勢と機転の利く格好よさを知り、
こちらの本で持った彼への印象が変わってきました。
そして「恋は遠い日の花火ではなく」を読んで、ごめんなさい!!という気持ちでいっぱいです。
滝乃が佑季をとても大事にしているのがすごくよく分かりましたし、
偶然の再会の裏にはこの本には書かれていなかった事実があることも知りました。
この本をお薦めしてくれた友人が、
「滝乃に惚れるよ~」と言っていた意味がよく分かりました。
確かに滝乃はいい男だ……と前言撤回しちゃいますw
この本を手に取られたなら、
ぜひ「恋は遠い日の花火ではなく」までお読みになることをお薦めします。
ごく普通の地方公務員の水端佑季は初めて訪れた上海で恋人と別れた。
一人上海に残ることを選んだ佑季は元恋人の計らいで、彼の取引先の社員、滝乃と共に観光地をまわることになる。
狡いところのあった元恋人とは違う包み込むような滝乃の優しさに惹かれ始める自分を止められない佑季だったが……
遠い異国で生まれた恋。
ゆっくりゆっくり話が進むのが良い意味でじりじりする。
上海の空気感まで書き込まれているようで素敵でした。
佑季がぼんやりしているようでいて芯が強いのが好印象。
元彼の伊藤と比べると滝乃のいい男っぷりが際だちます。
伊藤は同時に複数の人を愛せてしまったり、ごく自然に嘘をつく狡さを持った人。
ああ、いそうだなあこういう人と思うと同時に、こういう人に惚れると辛いだろうな。
別にいつも贅沢させてくれなくてもいい。甘い言葉ばっかり言うのも信じられない。
一緒にいて落ち着くとか安心するっていうのがやっぱり一番だよねと妙に納得してしまった一冊でした。
水槽の中に漂う金魚・・そんなイメージを思わせる作品でした。
CDであらかじめ「透過性恋愛装置」を聴いて、原作を読んでみたくなり、CDにも
なんだか不思議と存在感アリアリだった北嶋の友人のお話だと知り、「透過性恋愛装置」
を読む前に読んどいたほうがいいかな?って感じで購入。
・・・大正解でした!
滝乃と水端。この2人の恋愛の過程を知ってから「透過性恋愛装置」を読むと
ますます楽しめると思います。
なんかしっとりとした穏やかな雰囲気の恋に凄く癒されました(^^)
題名にもなっている「金魚」が出てくるシーン。橋の上で金魚を売っているところに出会う2人ですが、滝乃がいろいろと金魚に関してのうんちくをしゃべるわけです。でも、余計なことは言わない。
ここで売られている金魚は、観賞用に売られているのではなく、徳を積むという仏教的な観念で橋の上から放流するためのものだと言うこと。そして放流された金魚は、じきに他の魚や鳥たちの餌になってしまう…と言うことを。だって、佑季を追いつめたいわけではなかったから。
この辺、出来た人間だなぁ…と感心しちゃいました。知ってることをついついひけらかしちゃいますよね、人間って。それを堪えて、楽しいことだけをしていこうとするんですから。
でも、滝乃は伊藤と佑季の関係に気が付いていて「伊藤さんって狡いところのある人だよ」と諭すように言っちゃうんですけ。
佑季が伊藤のことで傷ついていることもわかっていたけれど、言わずにはいられなかったんでしょうね。佑季をエスコートするだけでなく、ちゃんと内面も見ていたからこそ言える言葉だったんだと思うし。これ以上佑季を傷つけたくないって思ったのかなぁ?
5月の連休に上海で出会った2人。そして再会したのは9月の半ば。滝乃が仕事で寄った登記所で働く佑季を偶然見かけたんです。
離ればなれになったあと、滝乃は金魚を飼い出すし、佑季は佑季でペットショップに立ち寄っては金魚を見ていく…という生活を送っていました。
佑季は連絡を取ったけれど『あれは気の迷いだった』とかって言われるのが怖くて、連絡を入れずにいたんです。
そりゃそうですよねぇ。いくら身体を繋いだからと言って、やっぱり旅行先での出来事。ただ流されただけだったという可能性がないワケじゃない。また、タイミングを外したら連絡もしにくくなるし。
でも、ちゃんと2人ともお互いのことをずっと想い続けていたわけです。
滝乃が飼っている金魚、2人に大事に育てられちゃうのかなぁ?
すごく地味な印象のお話ですが、舞台が上海だと言うことですごく異国情緒も感じられたし、佑季や滝乃の心情も語られていたし、心に染み入るお話だったと思います。
この先、2人が幸せに暮らしていくんだろうなぁ…と言うのを想像できるラストだったので(もちろん『透過性恋愛装置』で語られていますが)、オトナカップルやハッピーエンドのお好きな方には、ぜひ読んでいただきたいお話です。
「上海金魚」の題名そのままに、柔らかなベールがかかったような雰囲気ただようお話でした。
一服のお茶のような、ほっとする感を与えてくれます。
一見頼りなげではかなげな祐季ですが、実は凛としたスジの通った清涼感ある青年なんですね。
愛人になっている伊藤に振り回されて、きちんとケジメをつけるあたりはしっかりしております。
滝乃も独特の雰囲気のある男性で、とても気配りのできる嫌味でない、よい男ですから、二人が上海を観光するシーンはとても素敵でした。
ゲイ仲間の登といる時は、結構本音がこぼれてこれが地なんだなと、田舎にいる時は目立たないようにわざと地味にしているんだということがわかります。
また祐季は、エッチに対してもきちんと積極的で、お人形でないところが気に入りました。
雰囲気だけでなく、ストーリーもしっかりしており、滝乃と祐季が結ばれるのもとても自然でしっくりきます。
全体を通しての話の色というかトーンがとても、とてもキレイでいつまでも眺めていたい景色のようなお話、神に限りなく近い萌えです☆
しっとりした大人同士の恋愛です。
淡々としたタッチで進む恋愛映画のようで、情景が浮かぶ本でした。
ハードで山あり谷ありな話に疲れた方には、こんな癒し系のしっとりした本がお勧めです。
商社の営業マン・滝乃(32)朗らか包容力攻め×地方公務員・水端佑季(28)真面目で芯の強い受け
上海に伊藤と旅行にきて、伊藤の欺瞞に気づいて別れを告げる。
伊藤が手配してくれたツアーの案内をしてくれる滝乃に好ましいものを感じて。
佑季は恋を失ったばかりなので、そうすぐすぐに関係をもつ訳ではありません。
むしろ、上海観光の方がメインと言ってもいいぐらいで。
滝乃の朗らかで明るい性格の良さがじっくりと浸透してから、そこでようやく関係を結ぶのですが、抑えた描写が実に色っぽいです。
口の周りにある黒子の色っぽさに、気付かされます。
同級生がホモで関連してリンチ事件が起きた時に、閉鎖的な地方の町なので大事件になったことがあり、同性に魅かれる性癖のある佑季は世間から外れないようにして生きている。
臆病でいながらそれでいて、誰か一人だけを愛しぬきたいという情熱を秘めている。
時たまに溢れ出るその熱が、色香になるのかもしれない。
地味だけど美人というタイプで、普段はメガネとダサスーツでそれを封印しています。
旅先の一夜で終わるはずが偶然の再会が待っていて、ご都合主義かもしれませんが、ハッピーエンド主義なので2人がもう一度会えてよかったです。
終わりというより、ここから始まると言った感じで、その後のエピソードが気になる感じです。
地味だけど、じわっといい話です。
エロ:★3 上海の時と再会の後といい、ずばりではなく、ちょっと抑えめな描写なのが色っぽいです。雰囲気エロスというか、匂うエロです。
総合:★4 もうちょっと2人のエピソードが見たいという意味での物足りなさがありました。
中国上海を舞台にした、静かでアダルトなラブストーリーです。
大きなドラマなどないしっとりした物語んだけど、めちゃくちゃ面白かったです。
神に近い萌え評価です。
ここでも評価の高い『透過性恋愛装置』で脇役として登場する、滝乃と佑季が主役です。ただし『透過性~』とは作風がまったく違う。『透過性』がドラマチックなデコレーションケーキなら、こっちは飾りけのないシフォンケーキ、みたいな。
上海の街をあちこち歩く二人の心理描写は、ギリギリまで削ぎ落とされてます。
それがむしろ想像をあおり、最終日に唐突に結ばれたとき、胸をわしづかみにされるほどのトキメキを感じました。
抑制のきいた描写、抑制のきいたアダルトな二人。セックス描写は短めなんですが、それまでの抑制がほどよい焦らしとなっていて、ゾクゾク度も萌え度もハンパなかったです。
エレベーターのなかでのシーンが一番好き。
こういうアダルトな恋、大好きです。大好物です。
言ってみれば水彩画のような感じ。
BLには珍しく、派手な設定も賑やかしさも、若々しさもあるわけではない、淡々とした日常の中での、ただちょっと運命的なだけな出会いが色を添える。
この話を単独で読むよりもこの二人の本質はむしろその後の「透過性恋愛装置」で登場したときのキャラが語っているような気がする。
別カプであるために登場は少ないものの、そちらの方で見え隠れする二人の関係やセリフにむしろ惹かれる。
「透過性恋愛装置」を読んだ人は逆にその前に描かれたこの二人に興味を持つのではないだろうか。
でも本編のこちらの方がむしろ淡々とした感じなのが不思議だ。
むしろ「透過」の方に登場した二人をもっと読みたいというのが本音です。
「透過性恋愛装置」 とその番外編同人誌を読んで気になっていた「上海金魚」
今年重版で出たのを、たまたま店頭で見つけて購入。
ちゃんとした大人が、
ちゃんとした恋をして
ちゃんとした幸せな結末になる
滝乃も水端も、ちゃんとした大人なので、お話は、一見地味にも思えますが、この地味な真っ当さがとっても貴重で、読後感がよかったです。
お話の設定自体は、ちょっと考えると、かなり荒唐無稽な力業もありますが(上海での出会いとか、日本での再会とか)、普通、他のBL作品では、もっと無茶な事はいくらでもある。
逆に言うと、この二人があまりにもまっとうなので、力業が目についちゃったって感じでしょうか
この本編では、二人は再会したところでお終いです。
この後の、デート編、プロポーズ編は同人誌「恋は遠い日の花火ではなく-総集編-」
で、どうぞ
表紙とタイトルに惹かれて購入。
不実な男に振り回され、疲れた真面目な男が。
異国の地で優しい男に癒される。
誰かが死ぬ訳でもなく、ガッと燃え上がる恋でもなく。
淡々とした地味な話だと思いますが、これがとても胸キュンで。
心に染みました。
傷ついて臆病で小動物のような佑季が、
徐々に滝乃に心を開いて行く様子が可愛くて切なくて。
佑季を大らかな優しさでスッポリ包んでくれる滝乃の男振り!
滝乃は本当にいい男だなぁ~と、うっとり。
上海最後の夜。駆け引きめいた二人の会話にドキドキし、
エレベーターから部屋に行くまでのくだりは切なくて萌えました。
大人しい佑季がふと見せる、しっとりとした艶がたまりません。
そしてタイトル通り、金魚が重要アイテムでしたね。
『ねぇ、あれから金魚飼った?』と言う台詞がスゴく好きで、ときめきました。
長らく入手困難だったものが最近ようやく重版されたので、私家版を読んではいたのだが、早速入手し読み直してみた。
商社マンの滝乃史宥と地方公務員の水端祐季、全く接点のないはずの二人が出会うのは、タイトルどおりの異国の地・上海である。
滝乃にとっては出張先、佑季にとっては滝乃の取引相手でもある恋人・伊藤(二人の間では恋人ということになっているが、妻子ある伊藤の佑季に対する扱いは愛人そのもの。対等ではない関係に佑季は不満を持っているが言い出せない)との旅行先である上海。
旅先での物語であるためか、主人公は二人とも至極堅実な社会人であるのだが、どことなく熱に浮かされたような、現実味のない雰囲気を帯びている。
両者の視点から物語が紡がれるので、読者には二人のおかれた状況や心情が正しく把握でき、その上で旅先での行きずりの関係が日本すなわち現実に戻った後にどうなるのか、充分やきもきできる仕掛けになっている。
ところで本作のように、特別な感じのあまりしない真っ当なもの同士の話というのは、案外少ないような気がする。
特異なキャラクターに頼ることなく描かれた良作であると思う。
花本安嗣氏のイラストも赤と金を基調とした装丁もなんとも上品で、作品のイメージを底上げしている。
タイトルみたいなふわふわ感が読後にありました。金魚のしっぽがふわふわひらひらするみたいな、ちょっとおとぎ話っぽくて、現実味が薄いような。
話のほとんどが上海での出来事だからそう感じるのかもしれないですけど、だからといってストーリーが適当という意味ではないですよ。
ある意味、その分生々しい所は生々しかったですから。
小さな商社で営業をする滝乃は、その仕入れも行うのでよく海外にも出張に出る。
今回もたまたま出向いた上海で、取引先の社長・伊藤と、そばに寄り添う美しい青年・佑季に出会う。
本来ならそのまま挨拶して分かれる程度の事だったのに、急に帰国をしなくてはいけなくなった伊藤に頼まれ、滝乃は佑季の上海観光案内をする事になった。
佑季という人物は、とても不思議な魅力がある人物で、一見おとなしく美しい、だけどふとした瞬間に何ともいえない色気を醸し出す人なんです。
ちなみに、女なら滝乃にとってストライクゾーンど真ん中なタイプです。
だけどその中身は、自分がゲイであるということに引け目を感じつつも、お互いをただ一人だけの相手として考えられるパートナーとの出会いを望んでいて、そして自分の足でちゃんと歩きたいと願う、自立心も持った一人の男性です。
現在の恋人の伊藤は、そういう佑季の気質には気づかず、ただ美しくて色気があるということだけで表面的に好きな感じで、不倫であるこの関係も、佑季に 嘘をついて続けています。
結局その事にキレた佑季が、一人上海に残るんですけど、滝乃はそんな佑季を楽しませたいと思うんですね。
滝乃は元々、そういう余裕のある人間で、引く所も心得ています。
二人は朱家角に行き、そこで町売りの金魚を眺めて語るんですけど、その金魚の風情が、この観光、二人の関係、佑季の風情、滝乃の淡い恋心と相まって、なんともいい演出になってるなと思いました。
二人のお初は行為は標準的だと思うんですが、今まで見てきた滝乃と佑季を、いい意味で裏切るエロさがにじみ出てて、ドキドキしましたね。
どうにも自分は、ストイックな人が実はかなりエロい・・・みたいなシチュが好きらしいとはっきり自覚しました。
ラストは少し都合いいなと思ったんですが、いいんです。幸せになって欲しかったから、そうじゃないと逆にイラっと来たと思います。
いい話なんだけど、現在物凄く入手困難で、古本屋で見かけたらラッキーというレベルなのが残念です。