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婚約者との結婚を目前にして、シマはかつての親友だったアマチと再会した。
かつて甘く、今になっては苦い想いを共有して、そのまま音信不通になっていたアマチ。
それなのに無自覚のまま抱き合った記憶は鮮烈に蘇る。
しかし結婚を控えているシマだけではなく、アマチにも付き合っている相手がいて……
再会もの。
もうすぐ結婚する予定の婚約者がいるシマと、自分のせいで妻子を失った恋人を持つアマチ。
再開して強く惹かれ逢う二人ですが、二人ともがすべてを放り出して逃げられるほど自分勝手にはなりきれなくて、その優しさとか強さがすごく切ないです。
こういう話が読みたくて私はBLを読んでいる気がする。
葛藤がね、こう身を切られるような葛藤が心地良い。
だけどそれが現実離れした悩みじゃなくて、誰でも遭遇しそうなリアルな悩みや痛みだから、読んでいて思わず共感してしまう。
榎田さんはこういう身近な辛さを書くのがすごく上手いと思う。
あああ、切ないです。
長い時間をかけて日本の端から端まで移動して、今度こそ巡り会った二人にはこれから幸せな時間を過ごしてもらいたい。
おもしろかった!!
北海道の片田舎で中、高校と一緒だったシマとアマチ。
友達以上恋人未満。それが恋だなんて気付かずに
アマチの親の離婚を機に、離れてしまったふたり。
再会して恋に走るには、お互いすでに人生を抱え込みすぎていて・・・
っていうお話。
再会モノ。
再会して恋してゴールではなくって
ふたりの環境や付随する家族や恋人の問題を
丁寧に描いていたので、読み手もシマとアマチだけの
気持ちにのめりこんで萌えるということは出来ずに
ままならぬジレンマに重いため息をつきました。
ふたりは、まわりを傷つけないように別れたはずなのに
遠回りして結局まわりを手放して(手放されて)しまうんですよね。
大きな代償をはらって、大事なモノを手に入れたふたりに
感動っていうより、彼らが置いてきたモノに心が引きずられて
ちょっと落ち込みました。
読み物としておもしろいとは思うけど
主人公達以外の人の人生をしっかりと描きすぎてて
そっちに引っ張られてしまって、手放しに主人公達の幸せを
喜べない自分もいました。
シマだって離婚するつもりで子供作ったりしてるわけじゃないんだろうけど
結婚前に気持ちに気付いていたなら結婚するべきじゃないのになぁ・・・
とか思ってしまった。
シマもアマチも、他の物語の主人公のように無鉄砲に
まわりを傷つけて愛をつかむタイプじゃないけど
まわりをすごく気にしてあきらめたように見えて
最後までお互いの気持ちを捨てきれずに持ち続けている・・・
それは優しいようでいてまわりには残酷。
シマとアマチだけが悪いわけじゃないのはわかるけど
100%で自分を愛してくれない人と一緒にいるのは悲しいよね。
読んでる間中、シマとアマチに気持ちが乗らなくて
シマとアマチに置いていかれる脇の人間像に気持ちが引っ張られてしまった。
読んでて妙に悲しい気持ちになったのです。
1話目はシマの視点から語られます。17歳のときアマチとシマは犬がじゃれあうようにキスとそれ以上のコトもしてしまいます。でも、アマチ(受け)の両親が離婚して引っ越してゆき、シマ(攻め)との縁は一旦切れてしまう。
10年後再会したとき、シマは女性の婚約者をつれ、マンションの見学に訪れていた、そこには展示場の案内係としてアマチがいた。
アマチへの執着がいまだにあることを自覚するシマ。
しかし、シマには婚約者がいる、アマチもシマへの思いを自覚しながらも、家庭まで捨てさせた今の恋人と別れることはできない。
一夜きりと約束して、シマとアマチは抱き合います。
分かれの時、寝たふりをするシマ、去ってゆくアマチ。クリスマスの美しい楽曲が流れます…。読んでいて、たまらない気持ちになりました。
2話と3話はアマチの視点から語られます。
アマチは家庭に恵まれない子供だったこと。シマとのことは、生きる希望ですらあったこと。
そして酔ってはアマチを殴った実父も老い、病院で再会します。病にやつれた姿をみても父を許せないと言ってしまうアマチ。そのさまはいっそ哀れです。
許す、と言えないまま父は死んでしまって。その上、恋人とも、どうしようもない別れを向かえます。
なにもかもなくし、アマチは死んでしまってもいいような心地になります。たまたま知り合ったカメラマンの言うなり、バイト的なしごとをこなしつつ、
---アマチは新天地で自分を再度把握します。親戚も知人もいない天地で、生きている実感を取り戻したよう。
そこへ離婚してしまったシマが追っかけてゆきます。
37歳で再会して、アマチはようやく、17歳の時にいいたかった言葉をいいます。
とても、シンプルな愛の言葉を。
20年来、求め合っていた恋がようやく実ります。
入手困難かもですが、機会があったら読んでください、お勧めします。