お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
丸ごと1冊表題作です。
椎堂(受け)目線で進んでいきます。
顔は良いが、無口で愛想の無い椎堂(24歳)は、ある過去から「好き」という感情に脅威を抱いている。平穏で単調な毎日を望みながら過ごしていたのに、会社では異動が決まり、祖母・華子が倒れて入院。同僚の三浦には言い寄られ、現場に居合わせた課長の旭川(攻め)に叱られる。そんな中、接待で酔いつぶれた夜に旭川に襲われて…という話です。
序盤の旭川に襲われる場面で、「死ぬほどのことじゃない。過ぎてしまえばただの思い出に変わる」という椎堂の思考が、母親から幼児虐待を受けていたためだと分かると切なかったです。
椎堂は怯えると身体が硬直してしまいます。ところが、襲う方には「抵抗しないということは、嫌じゃない、OKなんだ」と思われてしまいます。この考えが、現実社会の「嫌よ嫌よも好きのうち」だとかほざく男がちらりと浮かんで、ちょっとリアルに思えました。
最初は強引に抱かれたものの、それからは優しく何かと力になってくれる旭川に、椎堂だけでなく、読んでいるこちらも癒されます。
母親から「好き」だと言いながら殴られていた椎堂は、「好き」なのに酷い目に遭わされることが怖い。旭川が自分を強姦したのは、怒らせたからだ。好きだからじゃない。「好き」と言わないで欲しい。
と、題名そのままの内容でした。
椎堂の心中の言葉が多めではありますが、日記をつけていたり、三浦に迫られたことを本当に忘れていたりと、退屈なキャラには思いませんでした。ただし、コミカルさはありません。シリアステイストですが、旭川が椎堂を大切に思っている様子が伝わってくるので、辛さはありません。
企画を練っている様子もあり、仕事を放置して恋愛に悩む自分勝手な主人公じゃないので、好感が持てます。
頼りがいのある年上攻めが好きな方は読んでみてください。