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kayashimashi no yuuga na seikatsu
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
好きだと気持ちを伝え、体を繋ぎ、同じ家に暮らす。
恐らく茅島氏にとっては、これだけでもう生涯「彼」以外の男を愛する余地もないくらい満たされているはずだった・・・のだと思う。
しかし人とは欲張りなもので、こんな茅島氏ですら、やはりもっと与えられたいと願うのだなあと改めて感じ入った最終巻。
祖母の7回忌の為に実家に向かった彼の後を、衝動的に追いかけてしまった茅島氏。
大胆と言うか無謀と言うか・・・もちろん彼からはたんまりと叱られるわけだけども、彼も茅島氏には甘いので追い返すことも出来ず結局お泊りとあいなる。
それは屋敷で過ごす夜とはまた違う、甘い甘い密のような時間。
カミングアウトもしていないのに、妹には確実に勘付かれてしまうくらいラブラブオーラがだだ漏れだった2人にはゴチソウサマ。
この帰省は彼に将来の事を真剣に考えさせる良い機会となると共に、その後起こる大きなすれ違いの原因にもなってしまうので、かなり要チェックなエピソードかもしれない。
そうして後日。
あれだけ彼の田舎では幸せな時間を過ごしたというのに、急に茅島氏の態度がよそよそしくなってきたのは夏の終わり頃のこと。
このエピソードは読んでいる間中こちらが不安で仕方なくなってくるぐらい、茅島氏の動向には目が離せなかった。
どうして彼と目を合わせないのか?
どうして彼を避ける様な素振りを見せるのか?
どうして彼以外の男と時間を共有するのか?
なぜ、なぜ、なぜ?と、読み進めている内に気分はすっかり「彼」になってしまうことだろう(´-ω-`)
結局のところ茅島氏が彼と距離を置こうとしていたのは、本当に些細な理由からだったけども、それはどれだけ茅島氏が彼の事を愛しているかという証明にもなったし、また彼もどれだけ茅島氏を愛しく思っているかがハッキリと分かったエピソードだった。
本当になんて人だろう茅島澄人という人は・・・と、きっとここまで読んだ方なら、茅島氏のあまりに健気な姿にジンとくるに違いない!
初めて彼に告白した嵐の夜に「お前のことを考えていると、なんだかものすごく苦しいんだ・・・・・・」と、茅島氏が漏らした胸の内は、それは切ないものだった。
何でも手に入るこの人が彼の心だけは望めないのか・・・と思うと、本当に可哀想で気の毒だった。
しかし思い返せば、茅島氏は一貫して彼を「好きだ」と言い続けていた。
迷っていたのは彼だけで、茅島氏はただの一度も彼から目を離すことはなかったなあ。
この情熱は感動に値する。
シリーズの終盤、そんな氏を評した一節があるんだけども、私はその言葉にとても胸打たれてしまった。
『茅島氏はこれまで彼がつき合った他の誰よりも、けなげで情の深い人だった』
そんな茅島氏が「あんたが好きだ」と彼に言われるのは、それは当然のことだと思った。